【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ

文字の大きさ
284 / 430
第二部 長かった異世界旅行?

259. 異世界2363日目 緊急会議に参加する人々

しおりを挟む
 朝早く迎えに来た車に乗って移動する。打ち合わせは王宮ではなく、王宮の近くにある迎賓館のようなところで行われるらしい。

 少し走ったあと、車は両開きの鉄の扉の中へ入った。門から並木道を進むと建物が見えてきた。この国の伝統的な建築らしく、王宮と同じような石造りの立派な建物だ。海外から偉い人が来たときに招待される建物なんだろうな。
 建物の前で車から降りると、係の人が建物の方へと案内してくれた。建物の入口の受付でマスカさんから受付をしていく。ここで渡された名札のようなものを胸に付ける。どこの国の代表なのかが分かるようにこれを着けるようだ。
 自分たちの名札の色は茶色なんだが、褒章などに使われる色は避けて用意されるのが一般的らしい。ホスト国だけが最下位の赤を使うことが多いようだ。どっちが上だともめたりするんだろうな。

 やって来ている国を聞いたところ、ホクサイ大陸からはヤーマン、アルモニア、ハクセン、ナンホウ大陸からはモクニク、トウセイ大陸からはここアウトラスとルトラ、キクライ大陸からはハクアイと結構な数となっている。
 今回これなかったのは日程的に難しいというところや参加しても力になれないと断ったところらしい。まあサビオニアとかはそれどころではないかもしれないしね。


 会議が始まる前に簡単に挨拶をする場所なのか、飲み物を用意されたロビーに案内される。すでに何カ国かの人たちが来ていたんだが、その中で見たことのある顔があった。マスカさんがそっちに向かったので折角だからと自分たちも付いていく。

「すみません。自分たちの知っている方もいるのでご一緒させてもらってかまいませんか?」

「そういえば他の国にも知り合いがいると言っていたな。今から挨拶をするのはハクセンでもかなり実力のある人物だから粗相の無いようにな。」

「分かりました。」


『初めまして、ヤーマン国の使節団団長のマスカといいます。』

 こういうところではライハンドリア公用語を使うのが普通らしい。少し挨拶した後、こっちにも気がついたようだ。

「ジュンイチとジェニファーじゃないか。久しぶりだな。元気にしていたか。」

「ラザニア様、お久しぶりです。元気にしていますよ。今回はラザニア様が団長だったんですね。」

 ラザニアさんがハクセン語で話しかけてきたのでハクセン語で答える。

「ああ、父とラクマニア様から指名されてな。おそらくジュンイチ達もやってくると思うから会ったときにはよろしく言っておいてくれと言われたよ。」

 マスカさんに簡単に関係の説明すると、さすがに驚いていた。

 しばらく話をしていると、他の国の使節団もやって来たようだが、その中の一人がこっちにやって来た。

「やはりおぬし達もやって来たのだな。」

 ジョニーファンさんだ。他にもアルモニアの使節団の中には前にいろいろと話をした人たちの顔があった。

「どこまで力になれるかは分かりませんよ。」

「おぬし達が無理なら今回来ている大半のもの達も無理なんじゃないか?」

 ジョニーファンさんがかなり持ち上げてくる。雑談していると周りから注目を集めてしまった。ここでマスカさんとラザニアさんを簡単に紹介する。

「ヤーマン国もこの二人を選出してくると言うことはちゃんと人選をしているようじゃな。」とか言っている。持ち上げすぎだよ。

 そのあとしばらく会話した後、また後でと離れていったが、マスカさんからどういうことだと詰め寄られた。ラザニアさんはジョニーファンさんとの関係は知っていたようで驚いていなかったけどね。

「ハクセンとアルモニアでいろいろとお世話になった方の一人なんですよ。
 今回アルモニアから参加された方の多くは一緒に魔法などについて討論した人たちでした。古代遺跡などにも造詣がある人たちだったから選ばれたのだと思います。」

「そ、そうなのか・・・。」

 他にもモクニク国の使節団にデリアンさんとカルアさんがいて驚いた。あのあといろいろと論文が認められて国では結構な地位を与えてもらっているようだ。
 今回も遺跡について調査した中に古代兵器についての資料もあったために使節団に入ったらしい。

 二人は最近結婚したらしく、ちょっとのろけられてしまった。カルアさんはジェンと何かしら話していた。



 会場に入り、しばらくすると今回の古代兵器についての説明が始まった。

「最初に、今回出現した古代兵器と思われる魔獣は特階位に指定されましたことをお伝えします。以後は個体名『アムダ』と呼ぶことになります。」

 特階位の魔獣は種類ではなく、主に優階位の魔獣の中で特に強い個体を区別するために設けられた階位だ。個体名が付けられており、その討伐にはかなりの実績と報酬が支払われる。普通は「名付き」と簡単に言われているが、出会ったら死を覚悟しなければならないレベルだ。


 このあとこれまでの経緯について説明があった。

 アムダが最初に現れたのは地方の小さな町だった。帰ってこない冒険者が複数出てきたため、強い魔獣が現れたのかもしれないと調査依頼が出された。あとで調査したところ、その町以外の小さな町が襲われて全滅したところもあったようだ。
 調査にでた良階位のパーティーがアムダに遭遇。その地域には珍しく良階位レベルの強さだったが、金属系の魔獣で攻撃がほとんど通じず、撤退することになった。ただ、移動速度はそれほどなかったこともあり、森の中を突っ切ることでアムダを引き離すことができた。

 すぐに報告が行われて優階位の冒険者が討伐に向かうことになったが、通達が間に合わず、襲われる人もいたようだ。
 ただ、これで倒せるだろうというもくろみだったが、結果から言うと倒せずに撤退することになった。経験を積んだのか、聞いていたよりも強くなっており、さらに優階位のメンバーが持っていたミスリルの武器では歯が立たなかったらしい。
 なんとか撤退することは出来たが、移動速度が速くなっていたために撤退するのも大変だったようだ。

 そこで一気に始末してしまおうと優階位のパーティーを集めている間に問題が生じた。勝手に討伐に向かったパーティーがいたようだ。実力は良階位だが、お金に物を言わせて装備にいい物を使っていたため、対象にもよるが、優階位の魔獣を狩ることのできるパーティーだった。
 アムダの監視役はいたのだが、かなり遠くからの監視しか出来ないため、気がついたときには遅かったらしい。パーティーは全滅してしまい、その装備から身体の修復を行っていたようだ。また大量の魔獣石を持っていた可能性があり、それも吸収されたようである。あとで壊れた収納バッグが発見されたらしい。

 そして5組の優階位冒険者パーティーが討伐に向かったが、実力が格段に上がっており、再度討伐に失敗してしまった。
 聞いていたときよりも格段に速度が上がっており、強さが上がってしまったことがその原因だが、最も悩ませたのは広範囲にダメージを与える光魔法だ。これは魔法防御も貫通してくるらしく、致命傷まではならないがかなりのダメージを負ってしまうようだ。連射は出来ないようだが、一定おきにこの攻撃を行ってくるようだ。
 交代で攻撃を続けたが、オリハルコンの武器でもほとんど傷つけることが出来ず、先に体力がなくなったのは冒険者の方だった。撤退するのもかなり厳しかったみたいで、数名の犠牲の上で撤退できたらしい。

 この時点で討伐について国が動くこととなり、その姿から古代兵器ではないかという報告があがってきて、他の国に情報が配信されたようだ。

 現在も監視を継続しており、近隣の町の住民は前もって避難しているようだ。まっすぐどこかを目指しているというわけではないようだが、徐々にこの王都に向かっているらしい。



 一通りの説明があったあと、少し休憩に入った。10分ほどしてから再開されるようなのでトイレに行ってから少し休憩する。

「だけど、5組の優階位の冒険者パーティーが倒せないってかなり厳しいよね?」

「そうね。ただ問題は強さと言うより堅さの方かもしれないわ。オリハルコン100%だと今の武器だとかなわないわよね。」

「傷つけられなければずっと強さが変わらないと言うことになるし、結局体力負けしてしまうよなあ。」


~マスカSide~
 今回古代兵器への対応について緊急会議が行われることになり、私が使節団の団長となった。古代兵器への対応であるが、多くの国から使節団が参加すると言うことでかなり重要な役目を担っている。とくに一緒に行くメンバーがかなり癖のあるものが多いのが気になるところだ。
 その中でも異質なのはジュンイチとジェニファーという二人だ。長年の実績があるわけではないが、多くの革新的アイデアの導入やクリストフ王爵の救出、そして公開はされていないが王家の遺跡に関しても多くの活動をしてきたらしい。ヤーマンでの会議でもその知識の深さに驚いた。

 国王陛下からも一目置かれており、王族のメンバーからも慕われていると聞いている。特にクリストフ王爵とは家族でのつきあいがあるらしく、親友と呼べる間柄とも言われている。また正確には分かっていないがハクセンとサビオニアからも褒賞を受けており、他国の重鎮ともコネクションがあると言われている。

 このような関係を持っているのだが、特に問題となる言動も行動もなく、かなり控えめな対応をしており、団長としての私の立場もちゃんとたててくれているのはありがたかった。この年齢でそのような立場だと、高慢になるものもいるからな。



 現地に着いてからは自由行動となったが、監視の目が付くのは仕方が無いところだろう。参加メンバーは思い思いの行動をとっていた。
 そして会合の日になり、会場に着くとすでに何カ国かの使節団がやって来ていた。最初に目に付いたのはハクセンの使節団だ。たしかハックツベルト家のラザニア中位爵だったはずだ。胸の名札を見ると今回の使節団の団長のようだ。
 挨拶に行こうとすると例の二人が同行すると言ってきた。どうやら知り合いがいるらしい。ラザニア爵と挨拶をすると、二人の方を見てハクセン語で声をかけていた。どういうことだ?ハクセン語は少しわかるが、どうも知り合いのようだ。かなり親しげに話している上、彼の父の名前だけでなく、ルイドルフ爵の名前まで出ている。
 会話が一段落したところで改めて紹介されるが、ハクセンで彼の父だけで無く、ルイドルフ・ラクマニア爵とも交友があったらしい。ハクセンのトップの二人と言われる二人と交友があるだと?

 そう思っていると他から二人を呼ぶ声が上がった。見てみるとなんとジョニーファン様だった。今回はこの方も参加しているのか?そう思っているとまたもや二人と会話を始めた。そのあと紹介を受けたが、ちゃんと人物を選んだと言われて驚いた。
 あとで二人に話を聞くとアルモニアにいたときにジョニーファン様を含めて今回の使節団に参加した人たちといろいろと議論をしていたらしい。ジョニーファン様には他の使節団も遠慮して声をかけられない状態なのに、私たちが普通に話をしているのでかなり注目を浴びてしまったぞ。


 出発前に国王陛下から言われたことを改めて思い出す。

「ジュンイチとジェニファーの交友関係には驚くかもしれないが、二人にとっては利害関係ではなく、親しくしてもらっている人達と考えているので、余計なことは考えない方がいい。」

 国王陛下が言われていたのはこういうことだったのか。二人は特にかしこまるわけでもなく、礼節は守っているが、普通に話をしているのだからな。これだけでも二人がこの使節団にいる価値があるというものだ。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未(ことぶき・あゆみ)
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...