254 / 313
第二部 異世界での訓練
230. 異世界1645日目 ハクセンの北の大地
しおりを挟む
ラクマニアさんの家を出発してからまっすぐ北上する。さすがに主要街道と言うだけあってきちんと整備されているし、魔獣の姿もほとんどない。出てくるのは初階位レベルの魔獣くらいなので、車で通り過ぎていくことがほとんどだ。見かけたら討伐するのが義務なので魔法で攻撃していくこともあるけどね。
拠点に泊まりながら10日間車を走らせ、北部エリアの中心都市ハルマニアに到着。さすがに中心都市といわれるだけあって人も多い。入口の混雑もすごいので貴族用の入口から中に入る。貴族用の出入り口でも少し行列ができているくらいだからね。
かなり環境も変わっているのでまずはここで少し滞在して周りの情報を集めることにしたほうがいいだろう。とりあえずラクマニアさんに紹介してもらった宿へ向かうが・・・予想通りかなり高級そうなところだった。
「紹介状を出したらまた最上級の部屋とか案内されそうなんだよねえ。しかも無料で・・・。」
「ええ、そうでしょうね。」
「さすがにいつもいつも気が引けるから今回は別のところにしてもいいか?」
「イチがそう思うんならそれでいいんじゃない?それでも別に安宿に泊まるっていうわけでもないでしょ?」
「まあそれは最低限ちゃんとしたところに泊まるよ。」
さすがに自腹でこの宿に泊まるのはもったいないので前に冒険者から聞いておいたおすすめの宿に泊まることにした。建物もきちんと清掃されているし、部屋も必要最低限の物はある上、シャワーとかもついている。まあ平民用なので最初に行ったところと比べるまでもないが、1泊800ドールでこのくらいなら十分だろう。
夕食は宿の近くにある食堂で食べるが、やはり寒い地域になってくると、煮込み料理などの温かいものが名物となってくるようだ。あとお酒も度数の高い物が多くなってきているような気もする。ジェンは嬉々としてお酒を選んでいた。
夕食は宿に併設する食堂で食べることにしたが、普通においしかった。ここにいた冒険者と思われる人たちとも話をしたが、やはり冬になると活動ができなくなるので動ける今のうちにできるだけ稼がなければならないとぼやいていた。ずっとこの辺りに住んでいるので寒くなったら南の方まで移動する考えはないようだ。
彼らは冬になるともともと生まれ育った地方の町に行っているみたい。その町の護衛にもなるし、日帰りでそこそこの魔獣を狩ることができるので十分らしい。
翌日は役場に行って依頼の確認をしてみるが、特に目を引く依頼はなかった。受付に話をしてみると、記録を見た後で提案があった。
「素材の確保のための討伐依頼が出ていますが、受けてみませんか?良階位上位の大白兎の毛皮が対象となるのですが、冬になる前にかなりの数の要望が出ているのです。毛皮の状態にもよりますが、普通のレベルでも2000ドール、状態が良ければ最高2500ドールと普段の買い取り価格よりも非常に高くなっています。」
確かに通常は1500ドール、お店に出しても2000ドールは行かないはずなので買い取り価格はいいのかもしれない。ただこの魔獣を狩ったことはないはずだけど、なんで自分たちにこの話を提案してきたんだろう?
「大白兎は倒したことはないと思いますが、なぜ自分たちに依頼されるのですか?」
「ええ、通常は討伐実績を基準に依頼をするのですが、討伐実績に蹴兎と大蹴兎がありましたので提案させていただきました。
雪の中での戦いだと大白兎の方が危険度が高いと言われていますが、雪がない状態であれば蹴兎の方が素早く、討伐の危険性は高いと言われています。その蹴兎の討伐をされていますし、それよりも格段に討伐の難しい優階位の大蹴兎を狩られているので問題はないかと思いますよ。」
そういうことか。まあ、あれは魔道具を使ったからなんとか討伐できただけだけどね。でも蹴兎と同レベルなら何とかなるかな?まあ受けてみても損はないしね。
「いろいろと回っているところなので、この町に戻ってこれるか分からないのでちょっと厳しいかもしれません。」
「ああ、それでしたら大丈夫ですよ。討伐依頼はこの町だけでなく、大白兎を狩ることのできる北部エリア全体に出ていますので、納品はこの町でなくてもよろしいですよ。ただ正直な話をしますと、各支部の実績にもなるので、できればこの町に納めてほしいですけどね。」
そういうことなら断る理由もないな。数の指定もないので最悪1匹は狩ることができるだろう。
「分かりました。それでは受けさせてもらいます。」
このあと、置かれている資料を確認していく。この辺りにいる魔獣の特性はアルモニアと大きな差はないようだ。個体的にはこっちの方が若干小さいようだが、動きが素早いらしい。
今回行こうとしているトニア遺跡はすでに調査は終了しているところなので最低限の管理しかされていないみたいだ。春に大規模な魔獣退治が行われ、夏の間は現地で管理を行うが、今の時期はすでに現地の管理は行われておらず、近くのトニアの町で入口の鍵を管理しているだけらしい。
そこの遺跡は多くの壁画が残っており、古代ライハンドリア語の解明が進んだせいで最近再調査が行われたらしく、いくつか論文も発表されていた。ここの壁画は神話に関する内容が多いみたいなので、今回はその確認を兼ねての調査だ。
管理をしていた時期からすでに1ヶ月以上経って魔獣が増えている可能性があるのでしっかり対策しておかなければならない。まあ優階位の魔獣はいないと思うが、良階位の魔獣はいる可能性はあるからね。
ここ最近はあまり使う機会がなかったけど、一応防寒着についても対策を考えている。魔道具である程度寒さの緩和はできるが、やはりアンダーウェアのようなものは着たほうがいいからね。さすがにこの辺りの町だといろいろと売られているのでいくつか買い込んでおいた。
ちなみにマントは購入していたんだが、最近はほとんどが町の中の変装用という使い方だ。町の中では護身用に鉄の短剣を身につけているけど、防具も結構いい物を着ているのでそれを隠すために使っている。
最初の頃は暑さと寒さ対策、雨対策、野宿の時の寝具代わりとかに使っていたんだけど、今は雨の日はあまり動かないことが多いし、収納バッグがあるため寝るときの防寒道具も十分、暑さや寒さ対策にはベースとして魔道具がある、移動は車がほとんどということでなかなか出番がない。
たださすがに年数も経っていたのでこの際だと買い換えることにした。前よりも薄くて丈夫な素材のせいもあり、一つ15000ドールと結構な値段となってしまった。買ったマントには耐久性向上と重量軽減の魔符核を刻んでおいた。レベルは低い物だが、それでもあるとなしでは重さとか耐久性が違うんだよね。
いろいろと買い物をしていると思ったよりも時間がかかってしまったので結局この町で2泊することになってしまった。翌日の朝早くに出発して西にある遺跡へと向かう。
拠点に泊まりながら10日間車を走らせ、北部エリアの中心都市ハルマニアに到着。さすがに中心都市といわれるだけあって人も多い。入口の混雑もすごいので貴族用の入口から中に入る。貴族用の出入り口でも少し行列ができているくらいだからね。
かなり環境も変わっているのでまずはここで少し滞在して周りの情報を集めることにしたほうがいいだろう。とりあえずラクマニアさんに紹介してもらった宿へ向かうが・・・予想通りかなり高級そうなところだった。
「紹介状を出したらまた最上級の部屋とか案内されそうなんだよねえ。しかも無料で・・・。」
「ええ、そうでしょうね。」
「さすがにいつもいつも気が引けるから今回は別のところにしてもいいか?」
「イチがそう思うんならそれでいいんじゃない?それでも別に安宿に泊まるっていうわけでもないでしょ?」
「まあそれは最低限ちゃんとしたところに泊まるよ。」
さすがに自腹でこの宿に泊まるのはもったいないので前に冒険者から聞いておいたおすすめの宿に泊まることにした。建物もきちんと清掃されているし、部屋も必要最低限の物はある上、シャワーとかもついている。まあ平民用なので最初に行ったところと比べるまでもないが、1泊800ドールでこのくらいなら十分だろう。
夕食は宿の近くにある食堂で食べるが、やはり寒い地域になってくると、煮込み料理などの温かいものが名物となってくるようだ。あとお酒も度数の高い物が多くなってきているような気もする。ジェンは嬉々としてお酒を選んでいた。
夕食は宿に併設する食堂で食べることにしたが、普通においしかった。ここにいた冒険者と思われる人たちとも話をしたが、やはり冬になると活動ができなくなるので動ける今のうちにできるだけ稼がなければならないとぼやいていた。ずっとこの辺りに住んでいるので寒くなったら南の方まで移動する考えはないようだ。
彼らは冬になるともともと生まれ育った地方の町に行っているみたい。その町の護衛にもなるし、日帰りでそこそこの魔獣を狩ることができるので十分らしい。
翌日は役場に行って依頼の確認をしてみるが、特に目を引く依頼はなかった。受付に話をしてみると、記録を見た後で提案があった。
「素材の確保のための討伐依頼が出ていますが、受けてみませんか?良階位上位の大白兎の毛皮が対象となるのですが、冬になる前にかなりの数の要望が出ているのです。毛皮の状態にもよりますが、普通のレベルでも2000ドール、状態が良ければ最高2500ドールと普段の買い取り価格よりも非常に高くなっています。」
確かに通常は1500ドール、お店に出しても2000ドールは行かないはずなので買い取り価格はいいのかもしれない。ただこの魔獣を狩ったことはないはずだけど、なんで自分たちにこの話を提案してきたんだろう?
「大白兎は倒したことはないと思いますが、なぜ自分たちに依頼されるのですか?」
「ええ、通常は討伐実績を基準に依頼をするのですが、討伐実績に蹴兎と大蹴兎がありましたので提案させていただきました。
雪の中での戦いだと大白兎の方が危険度が高いと言われていますが、雪がない状態であれば蹴兎の方が素早く、討伐の危険性は高いと言われています。その蹴兎の討伐をされていますし、それよりも格段に討伐の難しい優階位の大蹴兎を狩られているので問題はないかと思いますよ。」
そういうことか。まあ、あれは魔道具を使ったからなんとか討伐できただけだけどね。でも蹴兎と同レベルなら何とかなるかな?まあ受けてみても損はないしね。
「いろいろと回っているところなので、この町に戻ってこれるか分からないのでちょっと厳しいかもしれません。」
「ああ、それでしたら大丈夫ですよ。討伐依頼はこの町だけでなく、大白兎を狩ることのできる北部エリア全体に出ていますので、納品はこの町でなくてもよろしいですよ。ただ正直な話をしますと、各支部の実績にもなるので、できればこの町に納めてほしいですけどね。」
そういうことなら断る理由もないな。数の指定もないので最悪1匹は狩ることができるだろう。
「分かりました。それでは受けさせてもらいます。」
このあと、置かれている資料を確認していく。この辺りにいる魔獣の特性はアルモニアと大きな差はないようだ。個体的にはこっちの方が若干小さいようだが、動きが素早いらしい。
今回行こうとしているトニア遺跡はすでに調査は終了しているところなので最低限の管理しかされていないみたいだ。春に大規模な魔獣退治が行われ、夏の間は現地で管理を行うが、今の時期はすでに現地の管理は行われておらず、近くのトニアの町で入口の鍵を管理しているだけらしい。
そこの遺跡は多くの壁画が残っており、古代ライハンドリア語の解明が進んだせいで最近再調査が行われたらしく、いくつか論文も発表されていた。ここの壁画は神話に関する内容が多いみたいなので、今回はその確認を兼ねての調査だ。
管理をしていた時期からすでに1ヶ月以上経って魔獣が増えている可能性があるのでしっかり対策しておかなければならない。まあ優階位の魔獣はいないと思うが、良階位の魔獣はいる可能性はあるからね。
ここ最近はあまり使う機会がなかったけど、一応防寒着についても対策を考えている。魔道具である程度寒さの緩和はできるが、やはりアンダーウェアのようなものは着たほうがいいからね。さすがにこの辺りの町だといろいろと売られているのでいくつか買い込んでおいた。
ちなみにマントは購入していたんだが、最近はほとんどが町の中の変装用という使い方だ。町の中では護身用に鉄の短剣を身につけているけど、防具も結構いい物を着ているのでそれを隠すために使っている。
最初の頃は暑さと寒さ対策、雨対策、野宿の時の寝具代わりとかに使っていたんだけど、今は雨の日はあまり動かないことが多いし、収納バッグがあるため寝るときの防寒道具も十分、暑さや寒さ対策にはベースとして魔道具がある、移動は車がほとんどということでなかなか出番がない。
たださすがに年数も経っていたのでこの際だと買い換えることにした。前よりも薄くて丈夫な素材のせいもあり、一つ15000ドールと結構な値段となってしまった。買ったマントには耐久性向上と重量軽減の魔符核を刻んでおいた。レベルは低い物だが、それでもあるとなしでは重さとか耐久性が違うんだよね。
いろいろと買い物をしていると思ったよりも時間がかかってしまったので結局この町で2泊することになってしまった。翌日の朝早くに出発して西にある遺跡へと向かう。
0
お気に入りに追加
516
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる