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第二部 異世界の古代文明

174. 異世界1107日目 ナンホウ大陸の窓口へ

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 ナンホウ大陸に行くことにしたのでオカニウムから船で行くことになる。昨日までにクリスさんやコーランさんたちなどお世話になった人達には挨拶を済ませた。
 カサス商会には出発前までにいつもの倍の量の魔符核を納めており、このあとオカニウムでもできる限り納品して行ってくれと言われている。ナンホウ大陸でも納品はできるんだが、やはり時間やコストがかかってしまうからね。
 おかげで普通に旅をするための資金としては十分という感じになった。あとは普通に依頼をしていけばなんとかなるだろう。防具関係も材料さえあればある程度の修理はできないことはないからね。

 部屋の契約を解約したので残りの金額は若干返却してもらった。アパートの住人には数日前から挨拶を済ませていたし、荷物の引っ越しは収納魔法があるから全く問題は無い。



 今年は雪が少ないらしいが、山越えはやっぱり無理なので山を迂回していかなければならない。ぬかるみとかもまだ残っているようなので途中は飛行を使ったりして行くしかないかもしれないな。魔法の能力も上がってきたのでコストはかなり抑えられるようになっているけどね。
 車に取り付ける重量軽減の魔符核も頑張ってかなり小さくしたからね。ただこれを作るだけでかなりの日数を費やしてしまった。集中力が続かないのでずっとやっているわけではないんだけど、正直もうやりたくない。
 ただ通る車も少ないせいか、魔獣が結構出てくるのが面倒なところだ。ある程度は無視していくんだが、できるだけ倒すことが推奨されているので魔法で倒して収納していく感じだ。解体は後でまとめてやるつもりだ。


 野営をしながらアーマトまで移動し、アーマトでは宿屋カイランに泊まる。結婚したことを伝えると話は聞いていたらしく、改めてお祝いを言われる。
 このあと風の翼やクラーエルのメンバーと夕食を一緒にとることにした。風の翼のニックさんはもうすぐ結婚することになったらしく、なんとカサス商会がバックアップして結婚式をやるらしい。自分たちも招待したかったようだが、時期的に厳しいことを伝えるとかなり残念そうにしていた。自分たちの結婚式でみたイベントを色々とやろうと考えているようだ。宣伝を兼ねた結婚式みたいなので金額的にはほとんど負担がないようだ。

 アーマトで2泊した後、再び南下していくが、このあたりから雪もなくなり、人の往来も多くなってきた。サクラを出発してから2週間ほどかかってやっとオカニウムに到着した。



 到着してまずはメイルミの宿へ行き、予約を済ませる。このあと船の予約へと向かう。ナンホウ大陸行きはモクニク国行きしかないのでルートの選択肢はない。やはり大型の魔獣が出るエリアを避けるため、航路が限定されているらしい。
 ただ船の会社は二つあり、一つはヤーマンの会社スルートが運営しているもので、もう一つはモクニク国の会社マンザックが運営しているものだ。

 事前に調べていた情報からは船の規模としては前にタイガ国から乗ったものと大きな差は無いみたいだが、いろいろと面倒なことがあるようだ。

 出航の日時はおおよそ決まっているが、運行などのトラブルによってずれてくることも多いため確定ではないというのが普通だ。乗船口に行ってスケジュールを確認してみると、スルートの船は12日後、マンザックの会社は6日後の出航予定となっていた。
 到着までの日数はおおよそ10日となっていてこれはどちらも変わりは無い。改めて確認したところ、船の大きさもそれほど差は無いので性能についても大きな差は無いのだろう。
 金額についてはグレードによってかなりの差があるので一概には比較できないし、貴族用と平民用で別けられているのでさらに比較が難しい。
 船内の案内を見る感じではマンザック社のは貴族がメインという感じだ。船室の7割くらいが貴族用となっている。平民用のスペースは狭いがその分値段が安いという感じだ。平民用の高い部屋でも貴族用の下のクラスよりもランクは落ちる感じになっている。
 スルート社は4割くらいが貴族用で4割くらいが平民用、2割が共用と言う感じで貴族用のスペースは狭い分値段も若干抑えられている。部屋のランク的には平民用でもかなりいい部屋が用意されているようだ。
 クリスさんに聞いたところ、どちらも使ったことがあるが、確かにマンザック社の方が部屋の質的にも上質ではあるが、スルート社の方が良かったと言っていた。特に平民であれば間違いなくスルート社の方がいいだろうと言うことだった。

 残りの部屋を調べてみると、両者ともにまだ部屋は開いていたので大丈夫なんだが、さてどうするか・・・。

「貴族用でとることはできると思うけど、どうする?」

 さすがにジェンも悩んでいるようだ。

「そうねえ。前にタイガ国から乗ったときは貴族用で確かに良かったけど、乗客でいやな感じの人も多かったのは事実なのよね。」

「でもそれを言うなら平民用でも同じような人はいそうだけどね。ただ今回はさらに貴族特権の強い国だから小説みたいな貴族がいないとは言えないんだよね。」

「そうなのよねえ・・・。」

 まあ特に何があるとは思わないんだが、せっかくの船旅でいやな気分になるのはできるだけ避けたいところだ。

「クリスさんたちもよく使っていたというスルート社の貴族エリアにするか?いくら悩んでもそのときの乗客によってどうとでも変わってくるからね。」

「わかったわ。それにしましょう。」

 結局スルート社の貴族用の部屋にすることにして、部屋は上から3グレード目の10万の部屋にすることにした。部屋はダブルの部屋でお風呂もついている。

 身分証明証を見せると、良階位の冒険者であれば何かの時に協力してくれる前提であれば料金から5%割引となるらしい。さらに実際に魔獣の退治に協力すればあとからさらに20%の返金があるようだ。協力について同意することにした。


 出発は12日後となったのでそれまではオカニウムで過ごすことになる。ジェンはアキラとマラルと早速予定を調整していた。
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