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第一部 異世界の貴族達
129. 異世界588日目 事件が終わってから
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キザール爵の家からは車でラクマニア様の屋敷に着くと、話はすでに通っていたみたいで歓待してくれた。特に子供達は大喜びで出迎えてくれたのでちょっとほっこりする。
夕方にいったんラクマニア様が戻ってきたので簡単に状況を尋ねたところ、あまりの額に確認作業だけで数日かかりそうだと言うことだった。そして芋づる式にいくつかの商会が捕まっているらしい。ジェンがさらわれた店の他、いくつかの店が人さらいに加担していたようだ。
しばらくは忙しいのであまり屋敷には戻って来られないと言っていたので申し訳ないなあ。「やっとやつを処分できそうなので気にしないでくれ。」と言われたけどね。
キザール爵の後見人になっているハックツベルト上位爵もキザール爵を切り捨てようとしていたみたいだったので、おそらく処分には同意するだろうと言われてほっとした。さすがに人身売買は刑が重すぎるのでそこまで手を出しているとわかって焦っていたようだ。
このためキザール爵のみを切り捨てると言うことで話はつきそうだということを言っていた。まあ政治の世界ではよくある話ではあるんだろうね。あまりそのあたりには関わりたくないものだ。
さすがに昨日のこともあるので、今日はゆっくりしたほうがいいと前に泊まった部屋に押し込まれた。食事も部屋に運んでくれるようだ。子供達はかなりがっかりしていたが、なんとか納得してくれたらしい。
少し仮眠をとった後、昨日のことについてジェンと話をした。
「更衣室に入って着替えをしようとしたところでなぜか急に眠気に襲われてね。そこで記憶が途切れたのよ。」
「たぶん眠り薬か何かなのかな?ジェンがさらわれたとわかった後、急いで追いかけたんだけど、先に屋敷の中に連れ込まれてしまっていたんだ。それで大急ぎでラクマニア様に助力をお願いしたんだけど、やはり上位爵の貴族でも証拠もなしに調査はできないと言われてしまったんだよ。」
「まあそれはそうでしょうね。」
「それで屋敷に侵入して証拠を探すことにしたんだ。前に北の遺跡で死にかけたときの反省から隠密関係の魔道具を作っただろ。あれを使えばなんとかなるんじゃないかと思ってね。」
「ああ、あまりに魔獣石の消費量がすごくてよっぽどじゃないと使えないと言っていたものね。あれを使ったの?」
ジェンと二人で使ってみて数秒使っただけで消費がすごすぎて、全部つけると1分で2万ドールくらい消費してしまったのだ。
「うん、おかげでほとんどお金がなくなっちゃったよ。ごめんね。」
「ううん、私を助けるために使ったんだもの、怒るわけ無いじゃない。ありがとう。」
このあとなんとかばれずに侵入してから水素爆発をさせたところまで説明する。
「ああ、音は聞こえなかったけど、部屋全体が振動するような感じがあったのがその時だったのかな?そのちょっと前くらいに目を覚ましたのよ。」
部屋にいたのはジェンの他に2人いたんだけど、彼女たちもさらわれてきた女性だったらしい。他に世話役として3人のメイドがいたんだけど、この3人ももともとはさらわれてきた女性らしく、お世話係として残されたようだ。どうもさらった中でお気に入りの娘は手元に残していたみたい。
「簡単に話を聞いた後は、眠いからと言ってずっと布団に潜り込んでいたわ。食事は準備されていたんだけど、さすがに怖いのでこっそりと持っていた食べ物で済ませておいたの。だいたい来る時間は決まっているようで、夜のある時間を過ぎると就寝準備をすることになっていると言われたんだけど、安心できないからほとんど寝ないで過ごすことにしたわ。」
「自分の方は爆発のあと、窓から水素の入った風船のようなものを放って出て行ったように見せかけたんだ。
そのまま隠密状態で部屋の中で様子をうかがっていたんだけど、護衛など誰もいなくなったところでいきなりキザール爵が笑いだしたのは驚いたよ。気が狂ったのかと思ったもんな。」
「おかしくなったの?」
「これまでも証拠は見つかってもどう考えても額が小さすぎるので本命が他にあるはずだと言っていたからね。『ばかめ、いつものようにダミーの書類にだまされおって。』と言っていたので予想通りだったよ。」
「逃げたと思って油断したわけね。」
「この後、ジェンがいると思われる方の通路まで行ったのでかなり焦ったんだけど、『明日にでも調査が入るかもしれないから、終わった後でたっぷりかわいがってやるとするかな。せいぜい今晩くらいはゆっくりとくつろぐがいいさ。』とか言って戻っていったのでほっとしたんだ。
証拠が手に入ればラクマニア様が翌朝までには調査資料をそろえてくれると言っていたのでその日は撤収することにしたんだ。
かなり混乱していたのであっさりと屋敷を抜け出してからラクマニア様のところに行って、証拠を提出したんだ。そのあとの行動についてラクマニア様と打ち合わせをしてから最低限の令状を出してもらって今朝訪問したという訳なんだ。」
「そ、そう・・・。」
「調査の時にこっそりと隠し通路の方に行ってみたら、昨日の行動から扉を開けるプレートを発見できてね。あとはラクマニア様と一緒に隠し部屋の方に入っていったという訳だよ。」
「夕べそんな近くに来ていながら助けてくれなかったってことなの?わたしがあんな怖い目に遭っていたのに!!」
「それはほんとにごめんって!!あの場で動いたらすべて台無しだったし、一晩は大丈夫というもくろみもあったからだよ。そもそもドアを開けるのも難しかったから。」
いろいろと言い合っていたんだが、罵り合いは終わらない。
「もし私がなにかあっていたらどう責任とってくれてたの!!」
「そんなことになったらちゃんと自分が責任とってたよ!!」
「・・・・!!」
「・・・・!!」
「そ、そういうつもりだったらいいわ・・・。」
「まあ、なんだ・・・まあ・・・。」
売り言葉に買い言葉で色々言ってしまった。責任をとるって自分はどうしようと思ったんだろう。そういう責任をとるって言ってもジェンも困ってしまうよな?ジェンには好感は持たれているとは思うんだけど、そういう関係までとなるとどうなんだろうな。
二人で黙っていたところにメイドさんが食事を運んできてくれて助かった。なんか変な雰囲気に首をかしげていたけどね。
食事のあとは微妙な空気を感じたのか、メイドさんが子供達を連れてきてくれたのでなんとかジェンとの変な雰囲気も少し解消された。ナイス判断です。
~ジェンSide~
目を覚ましたときは見慣れない景色で驚いてしまった。たしか服の試着をしようとしていたはずなんだけど、倒れてしまったのかしら?
そう思って周りを見てみると、小さなベッドに寝かされていることがわかった。横には私と同じように眠っていった女性が二人いたんだけど、まだ目を覚ましていないようだ。
部屋の中にはメイドの格好をした女性がいたので声をかけてみる。話を聞いてやっと状況を理解できた。まさか本当にさらわれてしまうことになるとは・・・。ごめんね、イチ。
とりあえずなんとか脱出する方法を考えないといけないわね。
魔力は使うことができるんだけど、残念ながら魔法は発動しなかった。きっと魔法を発動できない魔道具が設置されているのだろう。
隠密関係の魔道具はあるけど、魔獣石があまりないから使えても数分ってところね。まあ数分でも使えたら逃げ出すくらいはできるかもしれないわ。とりあえず準備だけはしておくことにしよう。
索敵は出来たので部屋の状況を確認するが、何故かあまり広いエリアを探索できない。島で見たようなものかな?とりあえず索敵できる範囲内ではこの部屋の他には誰もいないようだ。
部屋は結構広くて、小さなベッドが6つあり、食事用と思われるテーブルも置かれており、台所も併設されていた。時々小さなエレベーターのような物で荷物のやりとりをしているので外部とのやりとりはこれだけでやっているのだろう。大きさ的には人は中には入れそうにないわね。
シャワールームやトイレもあるみたいで、ここの中で一通りの生活はできるようになっているみたいだ。
夜のある時間を回ったらその日は寝る準備に入るように言われたけど、あまり信用することもできない。さらわれてきたという人もさらわれてきてメイドのようなことをさせられているという人もどこまで本当なのかはわからないからね。あくまで仲間に引き込むための偽装と言うことも考えられるわ。
とりあえず「眠いので横になっておくわ。」と言って食事もシャワーも辞退して布団に潜り込んだ。このまま簡単に装備を着込み、こっそりと持っていた携帯食を食べておなかを膨らませる。全く寝ないわけにもいかないので、警戒しながらも半分眠った状態で過ごすことにした。
他の人たちも眠りについたみたいで、周りからは寝息も聞こえてきた。おそらくドアとかも開けることはできないと思うので誰かが入ってきたときがチャンスね。
朝になったみたいで、メイド係が朝食の準備などを始めた。そのあとしばらくしてから誰かが入ってきたようで緊張してしまう。ただ一人はイチのようだったので少し安心した。もう一人ラクマニア様かな?連行されている感じではないので助けに来てくれたのかな?
ドアが開いたときはさすがに緊張したんだけど、入ってきたイチの顔を見てかなり安心してしまい、抱きついて泣いてしまった。イチは優しく抱きしめてくれた後、「もう少し後始末があるから。」と出て行った。
このあとしばらくしてから他の女性達は兵士さんに連れられていった。私はイチと合流してからラクマニア様の屋敷にやってきた。
今回はほんとにどうなるかと思ってしまったわ。まさかあんなところでさらわれることになるとは考えてもなかったからね。やっぱりどんなときでも油断をしたらだめね。
今回の話を聞いていると、夕べのうちに私の近くまでやってきていたことを聞いてちょっと怒りを覚えてしまった。状況はわかるんだけど、不安だった私の気持ちもわかってほしかった。
そう思ったら感情を抑えられなくなってイチに当たってしまったんだけど、「そんなことになったらちゃんと自分が責任とってたよ!!」と言われたらそれ以上は何も言えないわよね。責任をとるって言うことは・・・。
夕方にいったんラクマニア様が戻ってきたので簡単に状況を尋ねたところ、あまりの額に確認作業だけで数日かかりそうだと言うことだった。そして芋づる式にいくつかの商会が捕まっているらしい。ジェンがさらわれた店の他、いくつかの店が人さらいに加担していたようだ。
しばらくは忙しいのであまり屋敷には戻って来られないと言っていたので申し訳ないなあ。「やっとやつを処分できそうなので気にしないでくれ。」と言われたけどね。
キザール爵の後見人になっているハックツベルト上位爵もキザール爵を切り捨てようとしていたみたいだったので、おそらく処分には同意するだろうと言われてほっとした。さすがに人身売買は刑が重すぎるのでそこまで手を出しているとわかって焦っていたようだ。
このためキザール爵のみを切り捨てると言うことで話はつきそうだということを言っていた。まあ政治の世界ではよくある話ではあるんだろうね。あまりそのあたりには関わりたくないものだ。
さすがに昨日のこともあるので、今日はゆっくりしたほうがいいと前に泊まった部屋に押し込まれた。食事も部屋に運んでくれるようだ。子供達はかなりがっかりしていたが、なんとか納得してくれたらしい。
少し仮眠をとった後、昨日のことについてジェンと話をした。
「更衣室に入って着替えをしようとしたところでなぜか急に眠気に襲われてね。そこで記憶が途切れたのよ。」
「たぶん眠り薬か何かなのかな?ジェンがさらわれたとわかった後、急いで追いかけたんだけど、先に屋敷の中に連れ込まれてしまっていたんだ。それで大急ぎでラクマニア様に助力をお願いしたんだけど、やはり上位爵の貴族でも証拠もなしに調査はできないと言われてしまったんだよ。」
「まあそれはそうでしょうね。」
「それで屋敷に侵入して証拠を探すことにしたんだ。前に北の遺跡で死にかけたときの反省から隠密関係の魔道具を作っただろ。あれを使えばなんとかなるんじゃないかと思ってね。」
「ああ、あまりに魔獣石の消費量がすごくてよっぽどじゃないと使えないと言っていたものね。あれを使ったの?」
ジェンと二人で使ってみて数秒使っただけで消費がすごすぎて、全部つけると1分で2万ドールくらい消費してしまったのだ。
「うん、おかげでほとんどお金がなくなっちゃったよ。ごめんね。」
「ううん、私を助けるために使ったんだもの、怒るわけ無いじゃない。ありがとう。」
このあとなんとかばれずに侵入してから水素爆発をさせたところまで説明する。
「ああ、音は聞こえなかったけど、部屋全体が振動するような感じがあったのがその時だったのかな?そのちょっと前くらいに目を覚ましたのよ。」
部屋にいたのはジェンの他に2人いたんだけど、彼女たちもさらわれてきた女性だったらしい。他に世話役として3人のメイドがいたんだけど、この3人ももともとはさらわれてきた女性らしく、お世話係として残されたようだ。どうもさらった中でお気に入りの娘は手元に残していたみたい。
「簡単に話を聞いた後は、眠いからと言ってずっと布団に潜り込んでいたわ。食事は準備されていたんだけど、さすがに怖いのでこっそりと持っていた食べ物で済ませておいたの。だいたい来る時間は決まっているようで、夜のある時間を過ぎると就寝準備をすることになっていると言われたんだけど、安心できないからほとんど寝ないで過ごすことにしたわ。」
「自分の方は爆発のあと、窓から水素の入った風船のようなものを放って出て行ったように見せかけたんだ。
そのまま隠密状態で部屋の中で様子をうかがっていたんだけど、護衛など誰もいなくなったところでいきなりキザール爵が笑いだしたのは驚いたよ。気が狂ったのかと思ったもんな。」
「おかしくなったの?」
「これまでも証拠は見つかってもどう考えても額が小さすぎるので本命が他にあるはずだと言っていたからね。『ばかめ、いつものようにダミーの書類にだまされおって。』と言っていたので予想通りだったよ。」
「逃げたと思って油断したわけね。」
「この後、ジェンがいると思われる方の通路まで行ったのでかなり焦ったんだけど、『明日にでも調査が入るかもしれないから、終わった後でたっぷりかわいがってやるとするかな。せいぜい今晩くらいはゆっくりとくつろぐがいいさ。』とか言って戻っていったのでほっとしたんだ。
証拠が手に入ればラクマニア様が翌朝までには調査資料をそろえてくれると言っていたのでその日は撤収することにしたんだ。
かなり混乱していたのであっさりと屋敷を抜け出してからラクマニア様のところに行って、証拠を提出したんだ。そのあとの行動についてラクマニア様と打ち合わせをしてから最低限の令状を出してもらって今朝訪問したという訳なんだ。」
「そ、そう・・・。」
「調査の時にこっそりと隠し通路の方に行ってみたら、昨日の行動から扉を開けるプレートを発見できてね。あとはラクマニア様と一緒に隠し部屋の方に入っていったという訳だよ。」
「夕べそんな近くに来ていながら助けてくれなかったってことなの?わたしがあんな怖い目に遭っていたのに!!」
「それはほんとにごめんって!!あの場で動いたらすべて台無しだったし、一晩は大丈夫というもくろみもあったからだよ。そもそもドアを開けるのも難しかったから。」
いろいろと言い合っていたんだが、罵り合いは終わらない。
「もし私がなにかあっていたらどう責任とってくれてたの!!」
「そんなことになったらちゃんと自分が責任とってたよ!!」
「・・・・!!」
「・・・・!!」
「そ、そういうつもりだったらいいわ・・・。」
「まあ、なんだ・・・まあ・・・。」
売り言葉に買い言葉で色々言ってしまった。責任をとるって自分はどうしようと思ったんだろう。そういう責任をとるって言ってもジェンも困ってしまうよな?ジェンには好感は持たれているとは思うんだけど、そういう関係までとなるとどうなんだろうな。
二人で黙っていたところにメイドさんが食事を運んできてくれて助かった。なんか変な雰囲気に首をかしげていたけどね。
食事のあとは微妙な空気を感じたのか、メイドさんが子供達を連れてきてくれたのでなんとかジェンとの変な雰囲気も少し解消された。ナイス判断です。
~ジェンSide~
目を覚ましたときは見慣れない景色で驚いてしまった。たしか服の試着をしようとしていたはずなんだけど、倒れてしまったのかしら?
そう思って周りを見てみると、小さなベッドに寝かされていることがわかった。横には私と同じように眠っていった女性が二人いたんだけど、まだ目を覚ましていないようだ。
部屋の中にはメイドの格好をした女性がいたので声をかけてみる。話を聞いてやっと状況を理解できた。まさか本当にさらわれてしまうことになるとは・・・。ごめんね、イチ。
とりあえずなんとか脱出する方法を考えないといけないわね。
魔力は使うことができるんだけど、残念ながら魔法は発動しなかった。きっと魔法を発動できない魔道具が設置されているのだろう。
隠密関係の魔道具はあるけど、魔獣石があまりないから使えても数分ってところね。まあ数分でも使えたら逃げ出すくらいはできるかもしれないわ。とりあえず準備だけはしておくことにしよう。
索敵は出来たので部屋の状況を確認するが、何故かあまり広いエリアを探索できない。島で見たようなものかな?とりあえず索敵できる範囲内ではこの部屋の他には誰もいないようだ。
部屋は結構広くて、小さなベッドが6つあり、食事用と思われるテーブルも置かれており、台所も併設されていた。時々小さなエレベーターのような物で荷物のやりとりをしているので外部とのやりとりはこれだけでやっているのだろう。大きさ的には人は中には入れそうにないわね。
シャワールームやトイレもあるみたいで、ここの中で一通りの生活はできるようになっているみたいだ。
夜のある時間を回ったらその日は寝る準備に入るように言われたけど、あまり信用することもできない。さらわれてきたという人もさらわれてきてメイドのようなことをさせられているという人もどこまで本当なのかはわからないからね。あくまで仲間に引き込むための偽装と言うことも考えられるわ。
とりあえず「眠いので横になっておくわ。」と言って食事もシャワーも辞退して布団に潜り込んだ。このまま簡単に装備を着込み、こっそりと持っていた携帯食を食べておなかを膨らませる。全く寝ないわけにもいかないので、警戒しながらも半分眠った状態で過ごすことにした。
他の人たちも眠りについたみたいで、周りからは寝息も聞こえてきた。おそらくドアとかも開けることはできないと思うので誰かが入ってきたときがチャンスね。
朝になったみたいで、メイド係が朝食の準備などを始めた。そのあとしばらくしてから誰かが入ってきたようで緊張してしまう。ただ一人はイチのようだったので少し安心した。もう一人ラクマニア様かな?連行されている感じではないので助けに来てくれたのかな?
ドアが開いたときはさすがに緊張したんだけど、入ってきたイチの顔を見てかなり安心してしまい、抱きついて泣いてしまった。イチは優しく抱きしめてくれた後、「もう少し後始末があるから。」と出て行った。
このあとしばらくしてから他の女性達は兵士さんに連れられていった。私はイチと合流してからラクマニア様の屋敷にやってきた。
今回はほんとにどうなるかと思ってしまったわ。まさかあんなところでさらわれることになるとは考えてもなかったからね。やっぱりどんなときでも油断をしたらだめね。
今回の話を聞いていると、夕べのうちに私の近くまでやってきていたことを聞いてちょっと怒りを覚えてしまった。状況はわかるんだけど、不安だった私の気持ちもわかってほしかった。
そう思ったら感情を抑えられなくなってイチに当たってしまったんだけど、「そんなことになったらちゃんと自分が責任とってたよ!!」と言われたらそれ以上は何も言えないわよね。責任をとるって言うことは・・・。
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