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第一部 異世界の貴族達

123. 異世界577日目 貴族との対面

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 朝食は宿にはついていなかったので近くにあった喫茶店のようなところで食べることにする。クロワッサンのようなパンにソーセージとスープに珈琲という感じでなかなか美味しかった。結構濃いめの味付けだけどなかなか食事はいいな。1食100ドールとちょっと値段は高いけどね。

 宿は連泊することにしてから昨日も行った貴族街の入口へ。受付に連絡してからしばらくすると受付から呼ばれる。もう行けるのか?と思ったんだが、まずは本人確認のためにその家の執事が来たらしい。部屋に案内されるとそこには男性が一人立っていた。

「初めまして。ルイドルフ家の執事をしていますクリファリアと申します。」

 いかにも執事という感じの40代くらいの人だった。

「初めまして。自分がジュンイチ、隣がジェニファーといいます。」

「さっそくですが、要件をお伝えします。昨日ジョニーファン様からのお手紙と依頼書を確認しました。しかしながら依頼されたのが本当にあなた方なのか確認しなければなりません。なにか証明できるものはお持ちでしょうか?」

 まあいきなりやってきた人がそうそう貴族と面談できるわけはないよな。今回は渡すだけではなく、説明までしなければならないんだから。

「証明になるのかわかりませんが、ジョニーファン様からいただいたブローチがあります。これを見せれば依頼者であるとわかると言われています。」

 ジョニーファン様から依頼を受けた際に、渡されたブローチを差し出す。台座に青く輝く宝石のようなものがはまっており、胸につけられるようになっているものだ。
 クリファリアさんは手に取って確認を始めたが、なぜか自分たちが持っていたときと違って黒くなっているような気がする。しばらく確認した後、ブローチを戻してきた。

「申し訳ありませんが、もう一度手に取ったまま見せてもらえますか?」

 渡した時に青かったブローチが黒くなっていた。「こんな色だったっけ?」とブローチを手に取ると、先ほどまで黒くなっていた宝石部分が青くなってきた。

「ちゃんと反応していますね。」

「どういうことでしょうか?特に説明を受けていなかったのでよくわからないんですよ。」

「私も原理はわかりかねますが、ジョニーファン様がそれを持たせた人のみに反応する魔道具なのですよ。他の人が持つと先ほどのように黒くなりますが、そのブローチに登録された人だけは青く輝くのです。」

 そうだったのか。説明しておいてよ・・・。おそらく固有魔力に反応して内部に仕込んだ光魔法が作動するという感じなんだろう。ドアとかの応用なのかな?

「確認ができましたので屋敷に案内します。どうぞこちらへ。」

 そう言って貴族側の出口に案内されると、立派な車が止まっていた。車に乗って少し移動したところで大きな門に到着する。

「でかっ!!!」

 思わず叫んでしまったが、ジェンは「貴族、しかも上位爵なんだからこんなものじゃない?」と普通にしている。日本人にとってはこんな屋敷を見ることはそうそう無いんだよ!!

 門をくぐってから屋敷の玄関に到着すると、なんか出迎えの人たちが整列していた。

「どうするんだよ、こんな貴族への対応できないぞ。」

 正直言って、貴族に対する対応なんて本で読んだ本当かどうかわからない知識しか無いんだから無理があるぞ。ヤーマンではクリスさんがいたからなんとかなったけど、どうするんだよ。

「イチ、あくまでジョニーファン様からの依頼できているから緊張しなくてもいいと思うわよ。相手もそれはわかっていると思うし、私たちに任せるくらいだからそこまで頭の堅い人でも無いと思うのよ。」

「そうだよな・・・、そう信じよう。」

「ご主人様は平民の方への態度はかなり寛容です。ちゃんと礼節をわきまえた行動を示していただければ大丈夫ですよ。貴族同士のしきたりなどを求めたりはしません。」

 そういうクリファリアさんの言葉を信じて屋敷へと入っていく。扉を入るとイメージ通りの大きなホールになっていた。うん、場違いすぎるね。このあと近くにある大きな扉の前に案内された。

「こちらにどうぞ。」

 案内されて扉の中に入ると、中には机に座った初老の男性がいた。周りには護衛と思われる人たちがいる。まあ当たり前だな。

「ご主人様。ジュンイチ様とジェニファー様をお連れしました。ジョニーファン様から依頼を受けたものであることは確認済みです。」

「ご苦労。」

 執事はドア付近に待機するようだ。この執事もかなりの実力者と言うことがわかる。

「ジュンイチ殿、ジェニファー殿、初めまして。私がルイドルフ・ラクマニアだ。今回はジョニーファンからの依頼を受けてもらい感謝する。」

「お初にお目にかかります。最初に断らせてもらいますが、自分達は貴族に対する対応についてはほとんどわかりません。失礼なことがあるかもしれませんが、その際はご容赦下さい。またそのことについて指摘していただければ対応したいと思います。」

「まあ、そこまでかしこまらなくてもよい。親友のファンからもいろいろ聞いているからな。」

「ありがとうございます。それでは依頼されたものをお出ししたいと思うのですがよろしいでしょうか?」

「それではこちらにお願いします。」

 執事の人に言われて指定された場所に荷物を出していく。

「最後に出したものが今回預かった資料となります。この内容について説明する様に言われていますが、お時間はよろしいでしょうか?簡単に説明するだけでも1日では終わらない内容なのですが・・・。」

「事前に到着の時期は確認できていたからな。今日からしばらくは午前中に時間をとるようにしているのでお願いできるか?」

「わかりました。それではさっそく説明をさせていただきます。」

 このあと順番に内容について説明していく。わかる範囲でいいので細かく説明してほしいという要望だった上、いろいろと質問してくるので思いのほか進行が遅いんだが大丈夫だろうか?説明内容は満足しているのか不安だったんだが、いろいろ聞いてくるあたり満足はしていると思っていいのかな?


 予定の時間はすぐに終わって、せっかくだからと昼食をごちそうになった。どんな豪華な内容になるのかちょっとびびっていたんだが、いわゆるサンドイッチと果物という簡単なものだったのである意味助かった。

「思ったほどの食事でなくてがっかりしたか?」

「いえ、食材はかなりいいものを使っているみたいで、とても美味しいです。果物もこの季節なのにかなり美味しいので手間暇もかかっているものだと思います。ただ先入観で申し訳ありませんが、貴族の方はもっと豪華なものを食べているのかと思っていたのは事実です。」

「まあそういう奴らもいるのは確かだがな。私はいつもそんな食事をするのは体に悪いと思っているのだよ。野菜や果物を多めにとり、あまりしつこくないものを食べる方が健康にいいと思っているんだ。
 しかし、よく果物のことがわかったもんだね。果物はこの屋敷で栽培しているものなんだ。あとで庭師の方にも今の言葉を伝えておこう。」

「たしかに長生きの秘訣として野菜などを多くとるのはいいことですし、油関係を抑えるのは肥満も抑えて健康にいいですね。肥満は裕福の象徴という意見もありますが、血が固まり易くなったりとかいろいろな病気の原因にもなってしまうのでいい習慣だと思いますよ。」

「なに?食事療法についても知識があるのか?」

 結局食事中もいろいろな話をすることになってしまい、最後は執事に「そろそろお時間が・・・。」と言われてお開きとなった。やっぱりジョニーファン様の友人だな。


 明日も午前中に話をすると言うことだったので、宿に戻ろうと思ったんだが、泊まっていくように言われてしまう。それはこっちとしてはありがたい申し出だけど・・・いいのか?
 さすがに辞退しようと思ったんだが、食事の時にも色々話ができるから頼むと言われてはどうしようもない。宿のキャンセルはしてくれるようなのでお願いするが、荷物は持ち歩いているので大丈夫だ。
 午後は他の執事の人に屋敷の中や庭などを案内してもらうが、広いので夕方までかかってしまった。庭に温室や畑まであって中で果物や野菜がいろいろと栽培されているくらい広いんだもんなあ。まあ見ていて楽しかったけどね。地球だったらお金を払って見学するような感じのところだからね。
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