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第一部 異世界ものに出てくる賢者
111. 異世界489日目 二人のその後
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翌朝、朝食をとってからすぐに出発する。この日は一気に走ってから拠点に宿泊。翌日は、気になっていたサクランの町によってみることにした。
町の入り口に行くと、門番からかなりいやな目で見られる。なんで?前来たときにもいた人かな?
ミルファーさんの家に行ってみるが、なんか変な雰囲気だ。なんか前来た時よりさらに薄汚れている感じだ。この間は留守にしていたから仕方がないけど、なんか家の周りとかほとんど使われていないような雰囲気だ。
ドアをノックするが返事がない。どこかに出かけているんだろうか?索敵で確認してみると、家の中に二人いるようだ。どう考えてもスイートさんとミルファーさんのようなんだがどうしたんだろう?
「ジュンイチとジェニファーです。ミルファーさんいらっしゃいませんか?」
声をかけると、しばらくしてドアが少し開いて顔が見えた。こちらを確認すると辺りを気にするように中に招かれた。
部屋の中はかなりあれてしまっており、カーテンも閉め切っている。いやな予感がする。二人もかなり痩せ細っており、ある意味二人を助けたときよりも顔色もよくない感じだ。
中に案内されて、テーブルに座ってから状況を尋ねてみる。自分たちが出ていった後のことを聞くと、スイートさんが泣きながら話し出した。
「ごめんなさい。私が彼に話したばかりに町中に知れ渡ってミルファーまでこんな目にあわせてしまったのよ。」
「仕方がないことだわ。どっちにしろみんなに知られてしまうことだったと思うからね。」
話を聞くと、あのあとスイートさんは彼氏に今回のことを話したらしい。そのときは大丈夫と言われたが、翌日から町の人たちの見る目がかなりおかしくなったようだ。
そして彼氏から別れを告げられ、両親からもうちにはそんな娘はいらないと追い出されたらしい。最低限の荷物を持って仕方なくミルファーさんの家に転がり込んだようだ。
ミルファーさんも両親に話をしたところ、最初は慰めてくれたようだが、町中にこの話が伝わると両親の態度も徐々に変わってきてもう家には来ないでと言われたらしい。義両親については「息子を見殺しにしてよくのうのうと帰ってきたな!」と罵倒されたそうだ。
買い物に行っても白い目で見られ、ガラの悪い男達たちから言い寄られているらしい。一度襲われそうになったこともあり、それを訴えたが、自分たちから誘ったんだろうと聞いてくれなかったようだ。
ここまでひどいとは・・・。
「どうしてこんなひどいことができるの?旦那さんを殺されてつらい目に遭ったのに、なぜさらに追い打ちをかけないといけないの?」
ジェンがかなり怒っている。自分も苛立っているのがわかる。
「ミルファーさん、スイートさん。このままこの町にいてもどうしようもないと思います。故郷を捨てるというのは辛いかもしれませんが、もしよかったら他の町に移住しませんか?他の町ならきっとやり直すことができると思いますよ。
幸いなことに自分たちは収納バッグも持っていますので、荷物も全部持っていけると思いますし、車に乗っていくこともできます。」
どう考えてもこのままこの町にいてもいいことはないだろう。インターネットのようなものがなく伝達手段が限られるこの世界であれば他の町に行けばやり直せるだろう。
なかなか決心がつかないようだが、ジェンが説得して一緒に行くことになったので、大急ぎで必要な荷物を収納バッグに入れていく。
家は借家ということなので鍵を返却すればすむらしい。転居のような手続きは必要ないらしく、あくまでそれぞれの町で滞在の許可を取ればいいだけのようだ。
荷物のまとめが終わったところで車に乗り込んで出発。スイートさんの家にも寄って持って来られなかったものを回収していく。両親からかなり嫌な目で見られたけど気にしていられない。
家の鍵を大家に返却し、今日までの家賃の支払いを済ませてから町を出ることにした。
二人とも遠ざかっていく町を見ながら涙を流していた。生まれてからずっと住んでいた町をこんな形で後にするというのはかなりつらいことだろう。
とりあえず王都のクリアレントにいってからその後のことを考えよう。人の交流を考えると今の町からある程度離れたところに行く方がいいだろう。移住するのにいい場所を役場に相談してみるかなあ?
来るときは拠点に泊まっていたので結構いいペースで走れたんだが、今回は宿に泊まっていかなければならないのでペース配分が面倒だ。このあたりはしょうがない。
移住にどのくらいお金がかかるかわからないため、移住までにかかる費用については自分たちが援助することにした。
盗賊退治の時にアジトで手に入れたお金を元々渡そうと思っていたので心配しなくていいと説得したところ、彼女たちも今後の生活のことがあるので今回は自分たちの提案に乗ることにしたようだ。
1日の移動の距離が短くなってしまったが、6日目の昼過ぎにクリアレントに戻ってくることができた。今回はジョニーファン様から調査依頼があったので町に入る手続きはすぐだと思ったんだが、二人がいるので結構時間がかかってしまったのはしょうがない。
今回の宿も前に泊まったルイミルダンというところにした。
「え?ここに泊まるのですか?」
なぜかミルファーさんとスイートさんが固まっている。
「ええ、前にこの町にいたときも泊まったところで、なかなかいいところなんですよ。他にどこかいいところをご存じですか?」
「いえ、この町に来るのも初めてですし、知り合いから聞いた宿はもっと小さなところだったので、ちょっと驚いているだけです。高そうなところですが、大丈夫なのでしょうか?」
結構立派なところだから驚いていたようだ。まあ自分たちがここに泊まって、彼女たちを別の宿というわけにもいかないしね。
「大丈夫ですよ。こう見えてもここに泊まるくらいのお金はあるので気にしないで下さい。」
部屋を確認してツインの部屋を二つ取ってもらう。宿に入った二人はちょっと興奮している感じだ。まあ自分も最初にこのくらいの宿に泊まったときはテンション上がったしなあ。建物の中の移動方法などを確認してからいったん各々の部屋に分かれる。
部屋でいったん休憩を取った後、彼女たちを誘って夕食へと向かう。夕食を食べながらこの後の予定を簡単に話しておく。
「申し訳ありませんが、明日は依頼者に報告に行かなければなりませんので、買い物などをして時間を潰してもらえますか?
朝食と夕食はご一緒するつもりですが、もし6時になっても戻って来られない場合は二人で食事をして下さい。食事をする場所はいくつか候補を挙げておきます。」
「わかりました。ありがとうございます。こんな大きな町に来るのは初めてですので色々と見て回りたいと思います。」
「明後日に役場などに行って今後の対応について相談したいと思っています。移動先が絞り込めれば自分たちが送っていくつもりですので心配しなくていいですよ。」
治安はいいようだが、何かあっても困るのでそのあたりについては注意しておいた。さすがにその点はわかっているらしく、大丈夫そうだ。
夕食を終えた後は部屋に戻り、シャワーを浴びてからゆっくり休むことにした。さすがに移動は疲れるなあ。
~ミルファーside~
少し前までは幸せな生活を送っていました。幼なじみのカルサイオと結婚し、親友のスイートからも祝福されてこれからも幸せが続いていくと信じていました。そしてまもなく商店を立ち上げる資金も貯まりそうだというところで私たちに不幸が襲いかかりました。
友人の結婚式に参加するために使った乗り合いの車が盗賊のものだったようなのです。私たちは盗賊のアジトに連れていかれ、カルサイオは殺されてしまいました。そのあとスイートと二人で毎晩盗賊達の慰み者になってしまいました。
死ぬ勇気はありませんでした。夜に数人の相手をさせられましたが、食事などはちゃんと与えられました。スイートとは空いた時間に話すことができたこともよかったのかもしれませんが、徐々に心が壊れていくように感じられました。
何日かたった頃に盗賊達の悲鳴が聞こえてきました。なにがあったのかと驚いていたところ、冒険者のような格好をした男女がやってきました。助けに来たと言われて、ほっとしたのと同時に本当かなとも思いました。
ジェンと呼ばれている女性が浄化魔法で体を綺麗にしてくれて、そのあと衣類も貸してくれました。もう服もボロボロでしたのでとても助かりました。さすがに100%信用できないと言うことで拘束はされましたが、これは仕方が無いことだと思いましたので素直に拘束されました。私たちも盗賊にだまされてさらわれたのですから、そのくらい慎重になっておかないといけなかったと反省しました。
彼女に「何も悪いことをしていないのにそれで人生を諦めるなんてもったいない」と色々と励まされ、頑張って前向きに生きていこうという気持ちになりました。
彼らはいろいろと世話をしてくれた上、途中の宿泊費まで出してくれて町に戻ることができました。盗賊の持っていたお金を渡してこようとしてくれましたが、さすがにそれは断らせてもらいました。
町に戻り、二人と別れた後、今回のことを両親に話しました。ごまかしようがないことでしたので仕方がありません。両親は「つらかったね。」と抱きしめてくれました。カルサイオは亡くなりましたが、なんとかやり直すことができるのかな?と思っていました。
翌日に買い物に行くとなぜか周りからの視線が変なことに気がつきました。スイートから「彼氏に話したところ、彼氏に別れを告げられ、私たちのことを町中に吹聴された」ということを聞きました。「ごめんなさい。」と謝られましたが、これはスイートのせいじゃありません。なんて男なのでしょうか。
頭に血が上ったまま彼のところに行きましたが、驚いたことに彼から殴られ、罵られました。周りの人たちも白い目で見て助けてくれることはありませんでした。
スイートは両親にも追い出されたというので私の家に来てもらいました。しばらくすれば皆わかってくれるはずという思いもむなしく、嫌がらせはどんどんひどくなっていきました。
両親もその嫌がらせに耐えきれなくなったのか、泣きながら縁を切ると言ってきました。カルサイオの両親もやってきて、「息子を見殺しにしたのか!おまえ達だけ助かって、よく平気だな。」と言われました。
買い物に行っても汚らわしいものをみるような目で見られました。そして柄の悪い人間達に声をかけられ、襲われそうになりました。なんとかその場は逃げて兵士に助けを求めましたが「自分たちから誘ったんじゃないのか?」と言われました。もちろんなにも調査をしてくれませんでした。
家から出るのが怖くなり、「もうこのまま死んでしまった方がいいのでしょうか?」と考えるようになりました。
しばらくした頃に誰かがやってきましたが、怖くて出ることができませんでした。しばらくノックがされ、声が聞こえてきました。あのとき助けてくれたジュンイチさんとジェニファーさんでした。二人に家に入ってきてもらい、事情を話すと、かなり怒り出し、他の町に行こうと提案されました。
「きっと他の町に行けばやり直せる、せっかくの人生をこんなことで終わらせてはだめだ!」といろいろと励ましてくれました。ほんとにやり直せるのでしょうか?スイートととも話して最後にもう一度この二人を信じてみることにしました。
途中にかかる経費を出すと提案されましたのでさすがに断ったのですが、今後色々とお金がかかるはずだし、前にも話した盗賊の拠点から得たお金については使ってもらってかまわないということでしたのでその言葉に甘えることにしました。
途中の町で泊まりながら初めて王都にやってきました。今日はここに泊まると言ってやってきたのはかなり立派なところで驚きました。あとで値段を聞いてさらに驚きました。普通に考えると3倍くらいの値段です。
明日は一日依頼者への報告があるみたいで、自由に買い物するなりしてくれと言われたのでとても楽しみにしています。
スイートと明日の計画を考えているとかなり夜更かしをしてしまいました。ちょっと前までは死のうかと思っていたのに、ジュンイチさん達と数日過ごしたことで大分前向きになっているような感じがします。
町の入り口に行くと、門番からかなりいやな目で見られる。なんで?前来たときにもいた人かな?
ミルファーさんの家に行ってみるが、なんか変な雰囲気だ。なんか前来た時よりさらに薄汚れている感じだ。この間は留守にしていたから仕方がないけど、なんか家の周りとかほとんど使われていないような雰囲気だ。
ドアをノックするが返事がない。どこかに出かけているんだろうか?索敵で確認してみると、家の中に二人いるようだ。どう考えてもスイートさんとミルファーさんのようなんだがどうしたんだろう?
「ジュンイチとジェニファーです。ミルファーさんいらっしゃいませんか?」
声をかけると、しばらくしてドアが少し開いて顔が見えた。こちらを確認すると辺りを気にするように中に招かれた。
部屋の中はかなりあれてしまっており、カーテンも閉め切っている。いやな予感がする。二人もかなり痩せ細っており、ある意味二人を助けたときよりも顔色もよくない感じだ。
中に案内されて、テーブルに座ってから状況を尋ねてみる。自分たちが出ていった後のことを聞くと、スイートさんが泣きながら話し出した。
「ごめんなさい。私が彼に話したばかりに町中に知れ渡ってミルファーまでこんな目にあわせてしまったのよ。」
「仕方がないことだわ。どっちにしろみんなに知られてしまうことだったと思うからね。」
話を聞くと、あのあとスイートさんは彼氏に今回のことを話したらしい。そのときは大丈夫と言われたが、翌日から町の人たちの見る目がかなりおかしくなったようだ。
そして彼氏から別れを告げられ、両親からもうちにはそんな娘はいらないと追い出されたらしい。最低限の荷物を持って仕方なくミルファーさんの家に転がり込んだようだ。
ミルファーさんも両親に話をしたところ、最初は慰めてくれたようだが、町中にこの話が伝わると両親の態度も徐々に変わってきてもう家には来ないでと言われたらしい。義両親については「息子を見殺しにしてよくのうのうと帰ってきたな!」と罵倒されたそうだ。
買い物に行っても白い目で見られ、ガラの悪い男達たちから言い寄られているらしい。一度襲われそうになったこともあり、それを訴えたが、自分たちから誘ったんだろうと聞いてくれなかったようだ。
ここまでひどいとは・・・。
「どうしてこんなひどいことができるの?旦那さんを殺されてつらい目に遭ったのに、なぜさらに追い打ちをかけないといけないの?」
ジェンがかなり怒っている。自分も苛立っているのがわかる。
「ミルファーさん、スイートさん。このままこの町にいてもどうしようもないと思います。故郷を捨てるというのは辛いかもしれませんが、もしよかったら他の町に移住しませんか?他の町ならきっとやり直すことができると思いますよ。
幸いなことに自分たちは収納バッグも持っていますので、荷物も全部持っていけると思いますし、車に乗っていくこともできます。」
どう考えてもこのままこの町にいてもいいことはないだろう。インターネットのようなものがなく伝達手段が限られるこの世界であれば他の町に行けばやり直せるだろう。
なかなか決心がつかないようだが、ジェンが説得して一緒に行くことになったので、大急ぎで必要な荷物を収納バッグに入れていく。
家は借家ということなので鍵を返却すればすむらしい。転居のような手続きは必要ないらしく、あくまでそれぞれの町で滞在の許可を取ればいいだけのようだ。
荷物のまとめが終わったところで車に乗り込んで出発。スイートさんの家にも寄って持って来られなかったものを回収していく。両親からかなり嫌な目で見られたけど気にしていられない。
家の鍵を大家に返却し、今日までの家賃の支払いを済ませてから町を出ることにした。
二人とも遠ざかっていく町を見ながら涙を流していた。生まれてからずっと住んでいた町をこんな形で後にするというのはかなりつらいことだろう。
とりあえず王都のクリアレントにいってからその後のことを考えよう。人の交流を考えると今の町からある程度離れたところに行く方がいいだろう。移住するのにいい場所を役場に相談してみるかなあ?
来るときは拠点に泊まっていたので結構いいペースで走れたんだが、今回は宿に泊まっていかなければならないのでペース配分が面倒だ。このあたりはしょうがない。
移住にどのくらいお金がかかるかわからないため、移住までにかかる費用については自分たちが援助することにした。
盗賊退治の時にアジトで手に入れたお金を元々渡そうと思っていたので心配しなくていいと説得したところ、彼女たちも今後の生活のことがあるので今回は自分たちの提案に乗ることにしたようだ。
1日の移動の距離が短くなってしまったが、6日目の昼過ぎにクリアレントに戻ってくることができた。今回はジョニーファン様から調査依頼があったので町に入る手続きはすぐだと思ったんだが、二人がいるので結構時間がかかってしまったのはしょうがない。
今回の宿も前に泊まったルイミルダンというところにした。
「え?ここに泊まるのですか?」
なぜかミルファーさんとスイートさんが固まっている。
「ええ、前にこの町にいたときも泊まったところで、なかなかいいところなんですよ。他にどこかいいところをご存じですか?」
「いえ、この町に来るのも初めてですし、知り合いから聞いた宿はもっと小さなところだったので、ちょっと驚いているだけです。高そうなところですが、大丈夫なのでしょうか?」
結構立派なところだから驚いていたようだ。まあ自分たちがここに泊まって、彼女たちを別の宿というわけにもいかないしね。
「大丈夫ですよ。こう見えてもここに泊まるくらいのお金はあるので気にしないで下さい。」
部屋を確認してツインの部屋を二つ取ってもらう。宿に入った二人はちょっと興奮している感じだ。まあ自分も最初にこのくらいの宿に泊まったときはテンション上がったしなあ。建物の中の移動方法などを確認してからいったん各々の部屋に分かれる。
部屋でいったん休憩を取った後、彼女たちを誘って夕食へと向かう。夕食を食べながらこの後の予定を簡単に話しておく。
「申し訳ありませんが、明日は依頼者に報告に行かなければなりませんので、買い物などをして時間を潰してもらえますか?
朝食と夕食はご一緒するつもりですが、もし6時になっても戻って来られない場合は二人で食事をして下さい。食事をする場所はいくつか候補を挙げておきます。」
「わかりました。ありがとうございます。こんな大きな町に来るのは初めてですので色々と見て回りたいと思います。」
「明後日に役場などに行って今後の対応について相談したいと思っています。移動先が絞り込めれば自分たちが送っていくつもりですので心配しなくていいですよ。」
治安はいいようだが、何かあっても困るのでそのあたりについては注意しておいた。さすがにその点はわかっているらしく、大丈夫そうだ。
夕食を終えた後は部屋に戻り、シャワーを浴びてからゆっくり休むことにした。さすがに移動は疲れるなあ。
~ミルファーside~
少し前までは幸せな生活を送っていました。幼なじみのカルサイオと結婚し、親友のスイートからも祝福されてこれからも幸せが続いていくと信じていました。そしてまもなく商店を立ち上げる資金も貯まりそうだというところで私たちに不幸が襲いかかりました。
友人の結婚式に参加するために使った乗り合いの車が盗賊のものだったようなのです。私たちは盗賊のアジトに連れていかれ、カルサイオは殺されてしまいました。そのあとスイートと二人で毎晩盗賊達の慰み者になってしまいました。
死ぬ勇気はありませんでした。夜に数人の相手をさせられましたが、食事などはちゃんと与えられました。スイートとは空いた時間に話すことができたこともよかったのかもしれませんが、徐々に心が壊れていくように感じられました。
何日かたった頃に盗賊達の悲鳴が聞こえてきました。なにがあったのかと驚いていたところ、冒険者のような格好をした男女がやってきました。助けに来たと言われて、ほっとしたのと同時に本当かなとも思いました。
ジェンと呼ばれている女性が浄化魔法で体を綺麗にしてくれて、そのあと衣類も貸してくれました。もう服もボロボロでしたのでとても助かりました。さすがに100%信用できないと言うことで拘束はされましたが、これは仕方が無いことだと思いましたので素直に拘束されました。私たちも盗賊にだまされてさらわれたのですから、そのくらい慎重になっておかないといけなかったと反省しました。
彼女に「何も悪いことをしていないのにそれで人生を諦めるなんてもったいない」と色々と励まされ、頑張って前向きに生きていこうという気持ちになりました。
彼らはいろいろと世話をしてくれた上、途中の宿泊費まで出してくれて町に戻ることができました。盗賊の持っていたお金を渡してこようとしてくれましたが、さすがにそれは断らせてもらいました。
町に戻り、二人と別れた後、今回のことを両親に話しました。ごまかしようがないことでしたので仕方がありません。両親は「つらかったね。」と抱きしめてくれました。カルサイオは亡くなりましたが、なんとかやり直すことができるのかな?と思っていました。
翌日に買い物に行くとなぜか周りからの視線が変なことに気がつきました。スイートから「彼氏に話したところ、彼氏に別れを告げられ、私たちのことを町中に吹聴された」ということを聞きました。「ごめんなさい。」と謝られましたが、これはスイートのせいじゃありません。なんて男なのでしょうか。
頭に血が上ったまま彼のところに行きましたが、驚いたことに彼から殴られ、罵られました。周りの人たちも白い目で見て助けてくれることはありませんでした。
スイートは両親にも追い出されたというので私の家に来てもらいました。しばらくすれば皆わかってくれるはずという思いもむなしく、嫌がらせはどんどんひどくなっていきました。
両親もその嫌がらせに耐えきれなくなったのか、泣きながら縁を切ると言ってきました。カルサイオの両親もやってきて、「息子を見殺しにしたのか!おまえ達だけ助かって、よく平気だな。」と言われました。
買い物に行っても汚らわしいものをみるような目で見られました。そして柄の悪い人間達に声をかけられ、襲われそうになりました。なんとかその場は逃げて兵士に助けを求めましたが「自分たちから誘ったんじゃないのか?」と言われました。もちろんなにも調査をしてくれませんでした。
家から出るのが怖くなり、「もうこのまま死んでしまった方がいいのでしょうか?」と考えるようになりました。
しばらくした頃に誰かがやってきましたが、怖くて出ることができませんでした。しばらくノックがされ、声が聞こえてきました。あのとき助けてくれたジュンイチさんとジェニファーさんでした。二人に家に入ってきてもらい、事情を話すと、かなり怒り出し、他の町に行こうと提案されました。
「きっと他の町に行けばやり直せる、せっかくの人生をこんなことで終わらせてはだめだ!」といろいろと励ましてくれました。ほんとにやり直せるのでしょうか?スイートととも話して最後にもう一度この二人を信じてみることにしました。
途中にかかる経費を出すと提案されましたのでさすがに断ったのですが、今後色々とお金がかかるはずだし、前にも話した盗賊の拠点から得たお金については使ってもらってかまわないということでしたのでその言葉に甘えることにしました。
途中の町で泊まりながら初めて王都にやってきました。今日はここに泊まると言ってやってきたのはかなり立派なところで驚きました。あとで値段を聞いてさらに驚きました。普通に考えると3倍くらいの値段です。
明日は一日依頼者への報告があるみたいで、自由に買い物するなりしてくれと言われたのでとても楽しみにしています。
スイートと明日の計画を考えているとかなり夜更かしをしてしまいました。ちょっと前までは死のうかと思っていたのに、ジュンイチさん達と数日過ごしたことで大分前向きになっているような感じがします。
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