66 / 313
第一部 異世界らしい冒険
54. 異世界244日目 変わった依頼を受けてみる
しおりを挟む
朝起きてからジェンと一緒に朝食へと向かう。朝から魚料理満載というのは港町なのでしょうがないところか。オカニウムの時はここまでなかったんだけどね。
朝食を終えてから荷物の片付けをして、1時に役場へと向かう。まあ荷物の片付けと言っても収納バッグが手に入ってからかなりずぼらになっている。だって片付けなくていいんだからねえ。洗濯もしなくていいから余計にだ。
受付に特別依頼のことを確認すると、4時半頃に依頼主のお店に来てくれないかということで地図を渡された。通常は役場で説明を受けるんだが、久しぶりにこの依頼を受ける人が来たので直接説明をすることになったようだ。
このあと魔獣の生息エリアや種類、素材内容について調べておく。魔獣の種類は全体的にオカニウムと同じくらいの感じ?上階位以上の狩り場となるとやはり遠征しなければならないようだ。
冬になったら少し寒さ対策をすればいいだけだから遠征はしやすいかもしれないな。最低限魔獣よけの魔道具くらいはほしいところだけどね。
一通り調べ物が終わった後、こっちでしばらく滞在するので、まずはカサス商会に話をしておくことにした。お店は本店ほどではないが、思ったよりもお店の規模が大きかった。アーマトの町のお店よりも大きい感じだ。
受付に行って自分の名前とコーランさんの名刺を見せてから、「しばらくこの町に滞在するので何かあれば海鳥の館にいるので連絡をください。」と話すと、しばらくお待ちくださいと言って奥に行ってしまった。
少しして先ほどの受付の女性が戻ってきて「こちらにどうぞ。」と案内してきた。うーん、単に連絡先だけを伝えるだけのつもりだったんだけどなあ。
部屋に案内されて出されたお茶を飲んでいると、年配の女性が入ってきた。
「初めましてだね。ここの店長をしているステファーだよ。よろしく頼むよ。」
どうやらこの女性が店長らしい。こっちの世界で女性が上の方にいるって結構珍しいな。それだけカサス商会が先進的なのかな?
「コーラン坊にいろいろとアイデアを出している若者がいるという話を聞いていたけど、ほんとに若いんだね。それとも見た目がそうなだけなのかい?最近いろいろと新しい商売方法を言ってくるからどうしたのかと思っていたんだよ。いろいろと助言してもらっているみたいですまないね。こういう商売に関してはかなり貪欲だからそのあたりは勘弁してやってくれるかい。」
「あ、はい。」
なんか一気にまくし立ててきて返事をする間もない。
話を聞いてみると、どうやらコーランさんが小さいときからお店で働いていた人で、会長となった今でも頭が上がらない一人のようだ。
しばらくいろいろと話をした後、お店を後にする。すごい人だったなあ。
お昼を食べてから聞いていた鍛冶屋を覗いていく。鍛冶屋は珍しい形の武器とかも置いている。鞭とかもあるけど、現実問題、普通の戦闘に使えるのかねえ。牽制とかにはなるかもしれないけど、致命傷を与えるのは難しいような気もする。ゲームとかではよく出てくる武器だけどね。今のところ武器の買い換えは考えていないので、眺めていくだけだ。
他にも雑貨屋や骨董店を見て回るが、特にめぼしいものは見つからなかった。付与のついたアクセサリーとかはあるが、付与部分が壊れているものは修理しようもないしねえ。
時間になったところで地図に書かれていた商会のカルミーラへとやってきた。カサス商会と変わらない規模の店舗だ。
何代も前から続いている商会で、店舗数は少ないが堅実な商売をしていることで有名なところらしい。ゲームなどの娯楽用品を中心に取り扱っているようだ。
お店に到着して依頼書を見せると、応接室のようなところに通される。出された紅茶を飲みながら待っていると、50歳くらいの男性が現れた。頭は白くなっているが、しっかりとしている。
「今回の依頼書を出しているショウバンだ。よろしく。
前はこの商会の会長をしていたが、今は息子に家督を譲って隠居の身だから気にしなくていい。君たちが依頼を受けてくれるということでいいのかな?」
「初めまして。この町に来たのは今回が初めてで、面白そうな依頼があったので受けさせてもらおうと思いました。
自分はジュンイチ、彼女はジェニファーでアースというパーティーを組んでいます。」
「丁寧にありがとう。
私が子供の頃に聞かされた海賊の宝について興味があってな。ある程度自由にできるお金ができたのでせっかくだからと依頼を出したのだよ。
本当は自分でやってみたいところだが、さすがにそこまでの元気もなくてな。」
一通りの挨拶の後、依頼の内容について説明される。
「依頼の報酬額は50万ドール。期限については特に気にしなくてもいいし、辞退する場合の報告も必要がない。依頼の達成条件は話に出てくる宝玉を手に入れることで、宝玉の真偽については私の判断となる。
宝玉を見つけるということは、海賊の宝を見つけたと言うことになるので発見者の保護を考慮して依頼の取り下げはすぐには行わない。その辺りについてはこちらと役場のやりとりとなるので気にしなくていい。
発見した場合には詳細について報告する義務もないし、その内容は他人には伝えないし、こちらで特に調べもしない。ただできる範囲でいいので状況などを説明してほしい。
この内容でいいというのであれば依頼を受けてくれ。依頼を受けるというのであればヒントとなる地図を渡す。」
もちろん断る選択はないので依頼を受けると返事をし、地図のようなものをもらう。地図自体は複製したもののようだ。
地図や説明の書かれた紙を見てみるが、正直よく分からない。地図はかなり適当で、描かれているのはルイサレムの町とその南東方向の島。
そしてその島の下に何やら読めない文字が書いており、翻訳が書き添えられている。文字は古代ライハン語で書かれているようだ。
「いろいろな解釈をする人がいたが、結局は見つかっていない。これまでの解釈が間違っている可能性が高いと思うので、今までの情報は気にせず、自分で考えてもらった方が良いと思う。
なのでこちらが出せる情報はこの地図と地図に書かれている文字の翻訳だけだ。文字の読みは分かっているが残念ながら意味が判明していない。数字については間違っていないはずだ。」
たしかに下手に助言をもらうとそれをもとに考えてしまうかもしれないからなあ。とりあえずはあとで地図を見ていろいろと考えてみることにしよう。
「わかりました。この地図から宝のありかを考えてみます。
ただ、この地図を見る限り宝はどこかの島にあると思われるのですが、船を出してもらう伝がありません。申し訳ありませんが、誰か紹介してもらうことはできるでしょうか?」
「移動が必要な場合はこの紹介状を持って港の事務所に行ってくれ。1日は無料で送迎してくれるように言ってある。
もし依頼を達成できたら、途中でかかった経費は払うので、領収書はもらっておいてくれ。」
「ありがとうございます。」
「おそらくないとは思いますが、もし何か聞きたいことができた場合は役場の窓口に連絡を取ればよろしいでしょうか?」
ジェンが連絡先を聞いてくれた。何かの時の連絡先を聞いておかないといけなかったね。
「そうだな・・・そのときはこの商会に連絡してくれ。都合が良ければすぐに会うことができるだろうし、いない場合は伝言を頼む。
基本的に4時から6時はここにいるはずなのでその時間に来てもらえると助かるな。」
「わかりました。」
あとはないよね?頷き合って確認する。
「それでは依頼が達成できるように頑張ってみます。失礼します。」
ちょっとテンションを上げながらお店を出る。宝の地図って、地球ではほぼあり得ないことだからなあ・・・。埋蔵金とかいう話は時々テレビとかで見るけど、見つかったという話はほとんどないからね。
とりあえず海賊の宝と言うことなのでこの辺りの海賊に関する伝記でもないかと図書館に行って探してみることにした。
少しくらいと思っていたんだが、思ったよりいっぱい出ていたのでジェンと二人がかりで見ていく。絵本みたいなものから長編の小説までいろいろとあり、視点は色々とあるが、大筋は同じ感じだった。
~海賊物語の要約~
150年ほど前、この辺りを縄張りにした海賊がいました。百人を超える配下を持ち、多くの商船を襲い、財宝を集めていました。
都度都度海軍の討伐隊が組織されましたが、なかなか捕まりません。海賊の本拠地もなかなか見つかりません。
海賊の持つお宝には虹色に輝く宝玉がありました。この宝玉はどこに行けばいいのかを示す力を持ち、海賊達は逃げおおせたと言われています。
あるとき海賊の本拠地の情報がもたらされ、討伐隊がその島に向かいました。しかしその島には海賊の本拠地と思われるものはありませんでした。
多くの討伐隊が本拠地に向かっている間に、討伐隊が拠点としている町が海賊達により襲撃されました。そして多くの人々の命が奪われました。
さらに討伐隊も町に戻る途中に待ち伏せされほとんどの兵士はなくなりました。
ここまでされては国の威信に関わります。海軍の名将ステーファンにより討伐隊が組織されました。
先に島の情報をもたらしたものから海賊が襲撃しようとしている場所の情報を得ました。そして海賊を無事に討伐しました。
残念ながら最後の最後にその海賊の頭であったヘンリーバッハを取り逃しました。とどめを刺す直前に姿が消えてしまったのです。
それ以後、海賊の姿は見なくなりました。海賊の頭は実は悪魔で、倒すとともに消滅したのではないかと言われました。
生き残った海賊達から本拠地の場所を得ようとしましたが、詳細を知っているものもなく、見つけることができませんでした。
多くの島々のどこかに海賊の財宝が今も眠っているかもしれません。
~~~
海賊を退治したけど、宝が見つかっていないので海賊の宝というのが伝説になっているのだろう。海賊視点で書かれていたり、名将視点で書かれていたりするが、大筋は同じような内容だ。
情報をもたらしたものだけが海賊の手下だったとする視点や、殺された親族の敵討ちのためにスパイとして活躍したとかいろいろと解釈がされている。最後は処刑されたとか、町から追放されたとか、英雄としてたたえられたとかいろいろあった。
海賊についての本を一通り読んでから、夕食へと向かう。
宿の近くにある魚専門のお店に行ってみるが、やはり刺身は置いていなかった。生の魚は食べないのか聞いてみたところ、漁師達は食べるみたいだが、それ以外ではあまり食べないらしい。
特に毒があるとかいう訳ではないが、種類によっては寄生虫がいることもあるので魚は選ばないといけないらしい。
新鮮な魚と醤油があるのか聞いたところ、あるみたいだったので見せてもらう。鯛のような魚だったので、保険として浄化の魔法をかけてから薄くスライスしてもらった。
残念ながらわさびは置いていないようだったので醤油につけて食べてみる。周りからは奇異な目で見られているが気にしないでおこう。
うん、おいしい。
これは十分に食べられるな。残りの魚の半分もさばいてもらい、半分は煮付けにしてもらった。ジェンも地球にいるときに何度か食べたことはあったみたいで手を出してきた。うん、おいしいなあ。なんでこれが普及していないのか分からん。
周りの目を気にすることもなく、刺身を堪能する。これでわさびがあれば完璧なんだけどね。やはりちょっとだけ生臭い。魚も市場で直接仕入れたらもっとおいしいものになるかなあ?
かなり満足してから宿に戻り、宿で海賊関係の本を読み返してみる。
しかしどれも海賊の本拠地については、詳細は書かれていない。行ってみたが建物も港もなく、戻る途中に襲撃を受けたというものや、本拠地を見つけたがそこで反撃に遭って全滅したとかだけだ。全滅したのに何でその辺りの話が伝わっているんだ?という話もあるしね。
この情報提供者が嘘をついていたのか、それともわかりにくいように隠されていたのか。それでもかなりの人数で捜索したはずだから見つからないというのも変だと思うんだが・・・。
朝食を終えてから荷物の片付けをして、1時に役場へと向かう。まあ荷物の片付けと言っても収納バッグが手に入ってからかなりずぼらになっている。だって片付けなくていいんだからねえ。洗濯もしなくていいから余計にだ。
受付に特別依頼のことを確認すると、4時半頃に依頼主のお店に来てくれないかということで地図を渡された。通常は役場で説明を受けるんだが、久しぶりにこの依頼を受ける人が来たので直接説明をすることになったようだ。
このあと魔獣の生息エリアや種類、素材内容について調べておく。魔獣の種類は全体的にオカニウムと同じくらいの感じ?上階位以上の狩り場となるとやはり遠征しなければならないようだ。
冬になったら少し寒さ対策をすればいいだけだから遠征はしやすいかもしれないな。最低限魔獣よけの魔道具くらいはほしいところだけどね。
一通り調べ物が終わった後、こっちでしばらく滞在するので、まずはカサス商会に話をしておくことにした。お店は本店ほどではないが、思ったよりもお店の規模が大きかった。アーマトの町のお店よりも大きい感じだ。
受付に行って自分の名前とコーランさんの名刺を見せてから、「しばらくこの町に滞在するので何かあれば海鳥の館にいるので連絡をください。」と話すと、しばらくお待ちくださいと言って奥に行ってしまった。
少しして先ほどの受付の女性が戻ってきて「こちらにどうぞ。」と案内してきた。うーん、単に連絡先だけを伝えるだけのつもりだったんだけどなあ。
部屋に案内されて出されたお茶を飲んでいると、年配の女性が入ってきた。
「初めましてだね。ここの店長をしているステファーだよ。よろしく頼むよ。」
どうやらこの女性が店長らしい。こっちの世界で女性が上の方にいるって結構珍しいな。それだけカサス商会が先進的なのかな?
「コーラン坊にいろいろとアイデアを出している若者がいるという話を聞いていたけど、ほんとに若いんだね。それとも見た目がそうなだけなのかい?最近いろいろと新しい商売方法を言ってくるからどうしたのかと思っていたんだよ。いろいろと助言してもらっているみたいですまないね。こういう商売に関してはかなり貪欲だからそのあたりは勘弁してやってくれるかい。」
「あ、はい。」
なんか一気にまくし立ててきて返事をする間もない。
話を聞いてみると、どうやらコーランさんが小さいときからお店で働いていた人で、会長となった今でも頭が上がらない一人のようだ。
しばらくいろいろと話をした後、お店を後にする。すごい人だったなあ。
お昼を食べてから聞いていた鍛冶屋を覗いていく。鍛冶屋は珍しい形の武器とかも置いている。鞭とかもあるけど、現実問題、普通の戦闘に使えるのかねえ。牽制とかにはなるかもしれないけど、致命傷を与えるのは難しいような気もする。ゲームとかではよく出てくる武器だけどね。今のところ武器の買い換えは考えていないので、眺めていくだけだ。
他にも雑貨屋や骨董店を見て回るが、特にめぼしいものは見つからなかった。付与のついたアクセサリーとかはあるが、付与部分が壊れているものは修理しようもないしねえ。
時間になったところで地図に書かれていた商会のカルミーラへとやってきた。カサス商会と変わらない規模の店舗だ。
何代も前から続いている商会で、店舗数は少ないが堅実な商売をしていることで有名なところらしい。ゲームなどの娯楽用品を中心に取り扱っているようだ。
お店に到着して依頼書を見せると、応接室のようなところに通される。出された紅茶を飲みながら待っていると、50歳くらいの男性が現れた。頭は白くなっているが、しっかりとしている。
「今回の依頼書を出しているショウバンだ。よろしく。
前はこの商会の会長をしていたが、今は息子に家督を譲って隠居の身だから気にしなくていい。君たちが依頼を受けてくれるということでいいのかな?」
「初めまして。この町に来たのは今回が初めてで、面白そうな依頼があったので受けさせてもらおうと思いました。
自分はジュンイチ、彼女はジェニファーでアースというパーティーを組んでいます。」
「丁寧にありがとう。
私が子供の頃に聞かされた海賊の宝について興味があってな。ある程度自由にできるお金ができたのでせっかくだからと依頼を出したのだよ。
本当は自分でやってみたいところだが、さすがにそこまでの元気もなくてな。」
一通りの挨拶の後、依頼の内容について説明される。
「依頼の報酬額は50万ドール。期限については特に気にしなくてもいいし、辞退する場合の報告も必要がない。依頼の達成条件は話に出てくる宝玉を手に入れることで、宝玉の真偽については私の判断となる。
宝玉を見つけるということは、海賊の宝を見つけたと言うことになるので発見者の保護を考慮して依頼の取り下げはすぐには行わない。その辺りについてはこちらと役場のやりとりとなるので気にしなくていい。
発見した場合には詳細について報告する義務もないし、その内容は他人には伝えないし、こちらで特に調べもしない。ただできる範囲でいいので状況などを説明してほしい。
この内容でいいというのであれば依頼を受けてくれ。依頼を受けるというのであればヒントとなる地図を渡す。」
もちろん断る選択はないので依頼を受けると返事をし、地図のようなものをもらう。地図自体は複製したもののようだ。
地図や説明の書かれた紙を見てみるが、正直よく分からない。地図はかなり適当で、描かれているのはルイサレムの町とその南東方向の島。
そしてその島の下に何やら読めない文字が書いており、翻訳が書き添えられている。文字は古代ライハン語で書かれているようだ。
「いろいろな解釈をする人がいたが、結局は見つかっていない。これまでの解釈が間違っている可能性が高いと思うので、今までの情報は気にせず、自分で考えてもらった方が良いと思う。
なのでこちらが出せる情報はこの地図と地図に書かれている文字の翻訳だけだ。文字の読みは分かっているが残念ながら意味が判明していない。数字については間違っていないはずだ。」
たしかに下手に助言をもらうとそれをもとに考えてしまうかもしれないからなあ。とりあえずはあとで地図を見ていろいろと考えてみることにしよう。
「わかりました。この地図から宝のありかを考えてみます。
ただ、この地図を見る限り宝はどこかの島にあると思われるのですが、船を出してもらう伝がありません。申し訳ありませんが、誰か紹介してもらうことはできるでしょうか?」
「移動が必要な場合はこの紹介状を持って港の事務所に行ってくれ。1日は無料で送迎してくれるように言ってある。
もし依頼を達成できたら、途中でかかった経費は払うので、領収書はもらっておいてくれ。」
「ありがとうございます。」
「おそらくないとは思いますが、もし何か聞きたいことができた場合は役場の窓口に連絡を取ればよろしいでしょうか?」
ジェンが連絡先を聞いてくれた。何かの時の連絡先を聞いておかないといけなかったね。
「そうだな・・・そのときはこの商会に連絡してくれ。都合が良ければすぐに会うことができるだろうし、いない場合は伝言を頼む。
基本的に4時から6時はここにいるはずなのでその時間に来てもらえると助かるな。」
「わかりました。」
あとはないよね?頷き合って確認する。
「それでは依頼が達成できるように頑張ってみます。失礼します。」
ちょっとテンションを上げながらお店を出る。宝の地図って、地球ではほぼあり得ないことだからなあ・・・。埋蔵金とかいう話は時々テレビとかで見るけど、見つかったという話はほとんどないからね。
とりあえず海賊の宝と言うことなのでこの辺りの海賊に関する伝記でもないかと図書館に行って探してみることにした。
少しくらいと思っていたんだが、思ったよりいっぱい出ていたのでジェンと二人がかりで見ていく。絵本みたいなものから長編の小説までいろいろとあり、視点は色々とあるが、大筋は同じ感じだった。
~海賊物語の要約~
150年ほど前、この辺りを縄張りにした海賊がいました。百人を超える配下を持ち、多くの商船を襲い、財宝を集めていました。
都度都度海軍の討伐隊が組織されましたが、なかなか捕まりません。海賊の本拠地もなかなか見つかりません。
海賊の持つお宝には虹色に輝く宝玉がありました。この宝玉はどこに行けばいいのかを示す力を持ち、海賊達は逃げおおせたと言われています。
あるとき海賊の本拠地の情報がもたらされ、討伐隊がその島に向かいました。しかしその島には海賊の本拠地と思われるものはありませんでした。
多くの討伐隊が本拠地に向かっている間に、討伐隊が拠点としている町が海賊達により襲撃されました。そして多くの人々の命が奪われました。
さらに討伐隊も町に戻る途中に待ち伏せされほとんどの兵士はなくなりました。
ここまでされては国の威信に関わります。海軍の名将ステーファンにより討伐隊が組織されました。
先に島の情報をもたらしたものから海賊が襲撃しようとしている場所の情報を得ました。そして海賊を無事に討伐しました。
残念ながら最後の最後にその海賊の頭であったヘンリーバッハを取り逃しました。とどめを刺す直前に姿が消えてしまったのです。
それ以後、海賊の姿は見なくなりました。海賊の頭は実は悪魔で、倒すとともに消滅したのではないかと言われました。
生き残った海賊達から本拠地の場所を得ようとしましたが、詳細を知っているものもなく、見つけることができませんでした。
多くの島々のどこかに海賊の財宝が今も眠っているかもしれません。
~~~
海賊を退治したけど、宝が見つかっていないので海賊の宝というのが伝説になっているのだろう。海賊視点で書かれていたり、名将視点で書かれていたりするが、大筋は同じような内容だ。
情報をもたらしたものだけが海賊の手下だったとする視点や、殺された親族の敵討ちのためにスパイとして活躍したとかいろいろと解釈がされている。最後は処刑されたとか、町から追放されたとか、英雄としてたたえられたとかいろいろあった。
海賊についての本を一通り読んでから、夕食へと向かう。
宿の近くにある魚専門のお店に行ってみるが、やはり刺身は置いていなかった。生の魚は食べないのか聞いてみたところ、漁師達は食べるみたいだが、それ以外ではあまり食べないらしい。
特に毒があるとかいう訳ではないが、種類によっては寄生虫がいることもあるので魚は選ばないといけないらしい。
新鮮な魚と醤油があるのか聞いたところ、あるみたいだったので見せてもらう。鯛のような魚だったので、保険として浄化の魔法をかけてから薄くスライスしてもらった。
残念ながらわさびは置いていないようだったので醤油につけて食べてみる。周りからは奇異な目で見られているが気にしないでおこう。
うん、おいしい。
これは十分に食べられるな。残りの魚の半分もさばいてもらい、半分は煮付けにしてもらった。ジェンも地球にいるときに何度か食べたことはあったみたいで手を出してきた。うん、おいしいなあ。なんでこれが普及していないのか分からん。
周りの目を気にすることもなく、刺身を堪能する。これでわさびがあれば完璧なんだけどね。やはりちょっとだけ生臭い。魚も市場で直接仕入れたらもっとおいしいものになるかなあ?
かなり満足してから宿に戻り、宿で海賊関係の本を読み返してみる。
しかしどれも海賊の本拠地については、詳細は書かれていない。行ってみたが建物も港もなく、戻る途中に襲撃を受けたというものや、本拠地を見つけたがそこで反撃に遭って全滅したとかだけだ。全滅したのに何でその辺りの話が伝わっているんだ?という話もあるしね。
この情報提供者が嘘をついていたのか、それともわかりにくいように隠されていたのか。それでもかなりの人数で捜索したはずだから見つからないというのも変だと思うんだが・・・。
0
お気に入りに追加
516
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる