上 下
53 / 313
第一部 現実になった異世界生活

現-3. 現世界6日目 うちの家族は大混乱

しおりを挟む
 翌日の日曜日はジェンがうちに遊びに来ることになった。うちの家族に挨拶したいというのと今後の話をもっと詰めるためだ。

 うちの父は一般的なサラリーマンで、母は週に数日スーパーにパートに出ている半専業主婦だ。妹の玲奈は中学2年生で、この年齢にありがちなのか、最近家族との会話も少ない上、特に自分とは口も聞かないレベルになっている。

 ただ家にいるときに食事は一緒に食べるというのがルールなので今朝の朝食もみんなでそろって食べる。このときに友人がうちにやってくることを伝える。

「「え?友達?」」

 両親がかなり驚いているのは、中学校以来、自分が友人を家に連れてくることがなかったからだ。

「まさか女の子ってことはないわよね?」

 母の突っ込みが入る。

「いや、女の子だよ。」

 家族全員が固まる。

「なんだよ。俺が女友達を呼ぶのがそんなに変なのか?」

 そのあといろいろと言ってきたが、もうすぐ来るからそのときに見ればいいだろということで話を終える。
 普通だったらすぐに部屋に戻って何かやっている玲奈はなぜかリビングでテレビを見ていた。こいつジェンを見たくてここにいるな。結局紹介することになるからまあいいか。

 約束の10時になったところでもうすぐ着くという連絡が入ったので家の前に出ると、えらく立派なリムジンがやってきた。なんという場違い感!!
 そして頼むから玄関ドアの隙間からのぞくのはやめてくれ、うちの家族~~~っ!!

 迎えはまた連絡すると言ってジェンが車から降りてきた。

 さっそくうちに入ってもらうが、ジェンを見て固まっている家族3人。なんとか3人をリビングに連れて行き紹介をする。

「えっと、紹介するよ。見て分かるように、父と母と妹の玲奈だ。こっちはジェニファー。同じ高校の同級生だ。」

「はじめまして。ジェニファー・クーコといいます。ジェンと呼んでください。純一郎さんの妻となりますのでこれからはお義父、」

「よけいなことをいうんじゃない!!」チョップをかまして言葉を止める。

 ちぇっと舌打ちしてからちゃんと挨拶をしてもらう。

「純一郎さんの同級生で、アメリカからやってきました。日本語は話せるので日本語で大丈夫です。純一郎さんとは仲良くさせていただいています。今後ともよろしくお願いします。」

「ナイストーミートゥー・・・」

「いや日本語でいいから。」

 片言の英語を話そうとしている父に突っ込みを入れる。

「父は日本で言う典型的なサラリーマンだ。土日は大体家にいるが、バイクが趣味なので時々ふらっと出かけたりする。
 母は近くのスーパーで週に数日パートをしている半専業主婦だ。母もバイクが趣味なので父と一緒に出かけたりもしている。
 妹は中学2年生で地元の中学校に通っている。」

 一段落すると、まずは妹が堰を切ったようにジェンに話し出した。

「なんで、なんで?なんでこんな美人がお兄ちゃんと?妻とかいいかけていたけど、彼女?彼女なんですか?」

 収拾がつかないのである程度のところで話をぶった切って部屋に移動。後ろで騒いでいるが、きりがないので部屋には来ないように念押ししていく。


 とりあえず、聞き耳を立てられないようにしてから夕べ考えた今後の考えをジェンと話す。

 やはりこっちの世界では学歴がある程度重要視されるから最低限でも高校は出ておいた方がいいだろう。せっかくなので高校生活を満喫するつもりだ。今更という感じではあるんだけどね。
 そのあと大学に行くかどうかは今のところ不明だし、向こうの知識や道具を使って商売とかを始めるのかもわからない。大学に行く場合は海外で飛び級を狙ってもいいかもしれない。ただ収納したものが取り出せるという時点で正直なところ一生遊んで暮らせるくらいの価値のものがあるんだけどね。

 あとはパスポートをとっておかないといけないな。まだ検証は終わっていないので使えるかわからないけど、もし魔法で移動できるようになったとしても国の移動はそれがないと面倒なことになりそうだ。入国とか出国の手続きってどうやればいいのだろう?

 話をしていると、お昼の準備ができたというので一緒に食事をとることになった。普段ならとっくに出かけて夕方まで帰ってこないはずの玲奈がなぜ家にいるんだ?

 食事の後はうちの家族と色々と話すことになったのは仕方がないか。14時頃に迎えに来てもらって見送りをしたんだが、帰った後も家族の追求が面倒だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強

こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」  騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。  この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。  ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。  これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。  だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。  僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。 「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」 「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」  そうして追放された僕であったが――  自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。  その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。    一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。 「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」  これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ) 安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると めちゃめちゃ強かった! 気軽に読めるので、暇つぶしに是非! 涙あり、笑いあり シリアスなおとぼけ冒険譚! 異世界ラブ冒険ファンタジー!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...