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第1章 Reborn

第5話 2555日

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成瀬に代わり、渡辺が資料について説明し出した。
「では説明を代わらせていただきます」
二人は一礼し、渡辺が説明を続ける。
「資料の様に、このOSにはAIサポートプログラムを導入しており、山本様の視覚・聴覚・音声・感情表現等も、そのAIがサポートしてくれている訳です。
 因みにこのブレインマシンインターフェース(BMI)の成功例は山本様が最初となります」

渡辺が、画面を切り替えると、そこに人型のモデルが映し出され、『CATEGORY_SS PROTOTYPE-0000』と記載されていた。
「先程、第一フェーズは完了致しました。次の第二フェーズでは、このスーツと山本様を接続させて頂きます。
 此方のスーツには、我が社のロボット研究の最高機密の技術が詰まっており、山本様は、このスーツを接続する事で、今まで通り歩いたり、会話等の自由な生活を、取り戻すことが出来ます」

渡辺から成瀬にバトンが渡され説明を続ける。
「勿論、義足の様に、リハビリには少しお時間がかかるかもしれませんが、確実に普段の生活に戻ることが可能です。
 スーツ、OSに関しても、山本様側での操作は一切不要です。我々システム側で24時間体制でモニターチェックをしております。
 アップデート等、必要なときは全て遠隔で我々が行いますので心配ご無用で御座います」

美鈴はモニターを見ていた。
ふーん。よく出来ている。あれを私が使うのか。
24時間体制でチェックとは。大変そうだ。
美鈴は、何となく渡辺が気になって探すと、またPCの前にいる。
ははーん。私のデータをモニターしているのか。なるほど、だから私の感情とかも判るんだな。
てか、気持ち悪いな。
渡辺がこっちに視線を変える。
やべ。しかし丸裸ってのもな。落ち着かないもんだ。

>ダミー数値を転送シマスカ? YES/NO
ん? さっきから、なんだ?

これは、ちょっと聞いてみようか。
「ひとつ質問宜しいでしょうか」
成瀬がどうぞとジェスチャーする。
「では、その、なんたらOSが、直接私に何か聞いてきたりすることは、ありますか?」

成瀬が渡辺の方を一回見て、こちらに視線を移す。
「全く無いですよ。ご安心ください。何か御座いましたか?」
これは、さっきの『検索』と同じって事だな。何とか誤魔化そう。
「いや、私コンピューターとか苦手で。なんか操作しろ、とか怖いなーとか」

成瀬の表情が戻る。
「あぁ、そういう事でしたか。全く御座いません。弊社のスーツをご使用いただければ普通の人間の生活と一緒ですから」
「ありがとうございます」

美鈴は少し不安になった。
でもなぁ、こっちはOSの声が聞こえるんだけどな、大丈夫だろうか。
美鈴は自分の脳を見て考えた。
今の私はあれだ。下手な事を言って、やり直し! とかでバラバラにされるのは嫌だし。
うん、聞こえてない聞こえてない。
害もなさそうだし、大丈夫!
美鈴はこの件に関して、暫くほっておくことにした。

>ダミー数値を転送シマスカ? YES/NO
あ、回答してなかったね。ごめんごめん。YESで

>外殻用ダミーデータ構築シマス

画面上のスーツの図面を見上げる。とりあえずサイボーグになるって事だろう。
確かに今の時代、義足や義手もあるし。全く不思議でも無い。

桜庭が、また割って入ってきた。
「って事だ、これでまたバリバリ働けるな、頑張れよ!
 あと、この件は極秘案件だからな。マスコミなんぞに嗅ぎ付かれたら、エライ事になる。
 まぁ、篠原専用施設で、暫くリハビリを続けることになるから、外部との接触は大丈夫とは思うが。あと、復帰後は俺の直下の部署で、特別任務に就いてもらう事になる。しっかりリハビリしてこい」

桜庭は手を振って出口の方向へ移動しながら
「お前が帰ってきてくれて、嬉しいぜ。頑張ってこい」

はいはい。
まぁ、嬉しいんだろ。ここは素直に受け入れるか。
「はい! 頑張ります!」

桜庭は、くるっと振り返って
「あと! くれぐれも言っておくが、お前が追っていたヤマは解決済みだ。首は突っ込むな。命令だ。以上!」

桜庭はまた出口の方へ振り向いた

美鈴は混乱した。
解決した?
ちょっと待て、色々説明が合わない。

「桜庭警視監! ひとつ質問を宜しいでしょうか!」
桜庭は足を止める。
「なんだ」
「すみません。私、どれぐらい死んでいました?」

渡辺と成瀬の顔が、少し困っている。
「警視監! 今日は何年の何月ですか」

>カレンダーツールインストール中――成功シマシタ

桜庭は深く息を吐いた。
「今日は20**年**月**日、お前の七回忌だ。さっき墓参りいってたんだよ」
なんと!

まじか。だから正装だったのか。
はー七年、
そらサイボーグも現実になるわな。

>『山本美鈴ノ命日』カレンダー記念日ニ記録シマシタ
そこは記録しなくていいのよ。君
今はそこじゃないから。

渡辺が成瀬に指示を出している。
成瀬が私の近くに駆け寄る。
「ちょっとCPUの負荷が大きいので、今日はここ迄にしましょう。それではシャットダウンしますね。
 次起きたときは、あのスーツに接続されているので、楽しみにして下さいね」
成瀬が笑顔を作っている。
「あ、ちょっと待って。まだ聞きたい事があるの!」
駄目だ。なんだろう、意識が遠のく。
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