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第1章 プロローグ + ルフェンベルク編

第20話 きっかけ!(過去編)

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 いつも夢川が接客中に酒場で行っているミニライブ。
 それはあくまでも”接客の一環”であり、”アイドル・夢川椎菜”はそこには存在していなかった。
 つまり本番のライブとは全くの別物なのだ。

 同時にそれは別の事を意味している。
 そう、酒場の常連でさえも夢川の本気のパフォーマンスはまだ見ていないという事だ。

「聞いてください、KIRA☆KIRAの証明」

 静まり返っていた酒場に、夢川の曲紹介が響く。
 実を言うと、俺はこの瞬間が好きだ。夢川のオーラに”底知れない何か”を感じた客が息をゴクっと飲む、この瞬間が大好きなんだ。

 気付けば俺も、引き慣れたピアノの鍵盤にそっと指を置いていた。

————————
————————

「はぁ、やっと終わった……」

 俺は小野神太。
 先日まで日本一の5人組アイドルグループPerfect・Sceneパーフェクトシーンのマネージャー兼プロデューサーをやっていた。

 なぜ”やっていた”という過去系なのか。
 単純な話だ。1週間前にPerfect・Sceneのセンター前原好が失踪した責任を取って辞めたのだ。

”誰かが責任をとらなければいけない”

 クソッタレな大人の事情ってやつだ。
 そもそも前原が失踪した件に関しては、俺は全くもって寝耳に水だった。
 事前に悩み相談とかも受けてはいなかったし、忙しかったとはいえ充実した日々を送っているように見えていた。

 今思えば”見えていた”だけだったのかもしれないが、もう事務所を辞めた今となってはどうでもいいとすら思っている。
 メディアは死亡説も語り始めているが、できれば生きていて欲しい。

 けどそれ以上は何も思わない。
 きっと俺は芸能界に入って冷たくなったんだと思う。
 もはやこの事件のことを考えるのすら面倒くさいんだから。
 テレビなんて、変わりがいくらでもいるしな……。

「はぁ……」

 あぁ、なんかもう3日振りに家に帰るのも面倒くさくなってきたな。
 仕事探さないといけないけど、なんか”働く”ってのが分からなくなっちまった。

 あれ?

「あ、ダメだ」

 急に何かがプツンと切れた。
 今まで正常に機能していた脳回路が、突然機能しなくなったっぽい。
 あれ、ここってどこだ?もうどこでもいいか。

 あ、ヤバ、立てない。

【ドサッ……】

 足に力が入らない。
 あー、これ本気でヤバいやつだ。
 何か雨も降ってきたし、もう今日はここで寝るか。
 普通の道だけど、夏だし死なないだろ。
 あれ、死にたいのか俺?

「しんど。もうどういでもいいや」

 俺は雨で冷えていく体を震わせながら、そっと目を閉じた。

————————

【ザァアアアアア…………パラパラパラパラッ……】

 確かあの時、薄れる意識の中で雨の音が変わったような気がしていた。
 雨が何かに当たって弾けるような音だ。

「お兄さん、大丈夫ですか!?こんな所で寝たら風邪引きますよー!!?」
「…………」
「あれ、もしかして……死んでる!?だとしたら私が犯人に疑われちゃうってコト!?」
「……あっ…」
「わぁ!?ビックリしたぁあ!!生きてたんですね、良かったぁああ!!アハハハハハ!!!」

 彼女の笑顔を視界に入れた俺の体は、なぜか少しだけ温もりを取り戻していたっけ。
 そしてその理由は、鑑定能力を手に入れた未来の俺になら分かる。

————————
夢川椎菜

【歌唱力 446/999】
【ダンス力 471/999】
【表現力 624/999】
【トーク力 306/999】
【向上心 974/999】
【精神力 997/999】
【学力 207/999】

●特殊スキル
SSS「時代の牽引者」・・・その世界において1人にしか保有が許されない能力。全てのアイドル及び関係者がこの能力保有者を中心として動くようになり、保有者が頂点になるようなピラミッドが自然と形成されていく。なお保持者が引退、または死亡した場合、新たな”時代の牽引者”が産まれる。

SSS「THE・SUN」・・・このスキル保有者の発言や言葉が現実で起こる可能性が非常に高くなる。ただしマイナスな発言は例外であり、ポジティブな発言のみが適用される(THE・SHADOWの対スキル)

SS「聖女の誘い」・・・このスキル保有者の笑顔を見た者は、身体的・精神的苦痛から一時的に逃れられる。継続的に見続ければ、大抵の病も完治する。なお画像越しでも効果は発揮される。

S「ライブの牽引者」・・・観客10人以上のライブ時、全ての能力値が2倍になる。

S「努力の結晶」・・・通常よりも努力に対する苦痛を感じにくく、挫折しにくい。

S「独り占めの視線」・・・ライブ時に全ての観客の視線は、強制的にスキル保有者へと向けられ、2秒以上視線が外れる事がなくなる。ただしグループで活動している場合でもスキル保有者のみに視線が集まってしまうので、グループ活動には向かない。

A「吸心力」・・・他人に魅力が伝わりやすく、実力以上の評価をされやすい。強く願わずとも、人の助けが得やすくなる。

A「天真爛漫」・・・正確に曇りがなく、他人から好かれやすくなる。ただし悪意に気づきにくい。

———以降、Aランク以下のスキル多数———

「???」・・・【表現力999】到達で解放 ※基礎ステータスに限る
「???」・・・【ダンス力700】突破で解放 ※基礎ステータスに限る
「???」・・・観客1,000人以上の前でのパフォーマンスで解放
「???」・・・観客5,000人以上の前でのパフォーマンスで解放
「???」・・・観客10,000人以上の前でのパフォーマンスで解放
「???」・・・観客50,000人以上の前でのパフォーマンスで解放
「???」・・・以降【特殊イベント】経験での解放が多数
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