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第壱章

第十五話 呪い

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夏バテと思い、昨日は静かに過ごした。九時に寝た。それなのにおかしい。全く治らない。寧ろ悪化している。昨日の昼、起きた時に暑苦し感じたのは太陽の所為だけではなかった。どうやら僕は熱があるらしい。今朝計ると体温が三十八度五分まで昇っていた。加えて食欲が無い。寝起きはともかく昼の現在も全く食べる気にならない。

正直立つのも辛い。たった二日ではあるが急激に体重が落ちた気がする。ここまでくると考えずにはいられない。あの夜帰った時既に感じてはいたが、そんな訳がないと自分に嘘をついていた。気が紛れるように。けれどももう確信するしかない。


これは呪いだ。


身が震えた。ただの夏バテであればそれに越したことはないが呪いと考えても不思議なことはない。辻褄すら合う。僕が異変を感じたのは肝試しをしにホテル藤川へ行った夜だ。これが呪いであるならば早急に解かねばならないが、身近に霊能力者なぞいないぞ。どうしたものか。

「隣‼︎」

声に出ていた。隣は大丈夫なのだろうか。ひとまず連絡しよう。

プルルルルーーー

プルルルルーーー

ピッーーー

「もしもし!隣、お前は大丈夫か?」

「え?全然大丈夫だけど?何かあったん?」

「僕…呪われたかもしれない…」

「は?どういうこと?」

「最初は夏バテだと思ったんだけど何かおかしいんだ。熱があるし、体も重い。特に食欲が無いんだ」

「分かった、待ってろ、取り敢えず今からお前ん家行くわ!」

「ありがとう」 

どうやら隣が来てくれるらしい。普段はどこか間の抜けた奴だが、こんな時には一番頼りになる。

しかし、本当に呪いなんて存在するのか。自分で言っておいてなんだが馬鹿げていると思う。きっと第三者からすれば滑稽な話なのだろう。それでも僕は単なる風邪や熱とは違い漠然とした恐怖を感じてしまうのだ。

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