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第壱章
第八話 掛橋隣
しおりを挟む悪友兼親友、隣こと掛橋隣とは中学時代からの付き合いになる。とは言ってもよく話すようになったのは高校からだ。中学の頃の印象はとにかく明るいヤツ。世間において交友関係は大抵広く浅くか狭く深くかの二択に分類されるが奴は違った。奴の場合は広く深くだ。そんな芸当ができるのも隣の性格があってこそだ。僕が真似しようものなら支えを無くしたジェンガの如くその関係を崩壊させるに違いない。
ピンポーン、というインターホンの音はないままガチャ、という無作法な音が聞こえてきた。どうやら奴が来たようだ。
「ハロハロー!お邪魔しまーす!答真居るー?」
「お前はいつでも元気だな」
「あれ、答真君居ますかー?」
「いや、目の前にいるけど」
「相間さん相間答真さんいらっしゃいませんかー?」
「はーい!今行きます!って僕は幽霊じゃないし、お前は病院の受付嬢かよ!」
「いやー、鋭い。今日もキレッキレだね。硬い南瓜でもスパッと切れそうだ。でも、お高いんでしょう?」
「それが驚き9800円!もう一丁お付けしてお値段半額9800円での販売です!ってどこの声高め系ネットショッピングだ!」
「あははは、ほんと面白いなあ。こんな良い奴が1万円で買えるなら安いもんだよ」
「それはどうも。ただその例えのままいくと僕が2人になるぜ」
「2人はいいや!1人で十分満腹だよ」
それは褒め言葉なのか貶し言葉なのか。ここは取り敢えず良い意味で捉えよう。
「それより、そのビニール袋なに?」
「ああこれ?来る時に近所のばあちゃんにジュース貰ったんだよ。暑いからこれでも飲みなさいって」
「隣は本当に顔が広いよ」
「俺の顔そんなにでかい?」
「物理的の方じゃない」
「ああそっちね。答真が暑さでおかしくなっちゃったのかと思った。俺は小顔のナイスガイだからな」
今のやり取りで思い出したが隣が明るく、人間関係が豊かなのはこの馬鹿さの助けもある。この間の抜けた雰囲気が親しみやすさを生んでいるのだ。つまり愛すべき馬鹿なのである。
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