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第零章
第四話 トンデモ博士
しおりを挟む「四月一日です」
「IDをお通し下さい」
ピッーーー
おぉ、警備員とのこのやり取りは想像の通りだ。凡な高校生には刺激的である。
「相問です」
「はい?愛犬?」
「あぁ、この子はバイトの相問答真君で私達の研究のお手伝いをしてもらいます」
「そうでしたか。では、お通りください」
「まぁ愛犬のようではあるけどね」
何、それは良い。彼女のペットはさぞ幸せなのだろう。食事に散歩に公園遊び、夜はひとつ屋根の下。いや待てよ。これを人間に置き換えた場合それは彼氏なのではないか。彼女と交際をすることはそれすなわちペットになることだとでも言うのか。
「ここからははぐれないようにしっかりと着いてきてね。いい?」
「ワン!間違えました、はい!」
「よろしい」
いつの間にか飼い慣らされてしまったがこれで良い。彼女のペット気分があじわえたのでこれで良いのだ。
それにしても外装然り内装然り研究所とは言えどもやはりそこらの会社と大差はないと思われる。白衣を着てる人も居ないようだ。しかし、何やら部屋数が多い。きっと扉を開ければ僕には理解できないような機械がずらりと並んでいるに違いない。
ガチャーーー
「博士、おはようございます」
「おはよう四月一日さん」
どうやらこの人が博士らしい。中肉中背のスーツ姿。見たところ至って普通のおじさんだ。
「あ、初めまして相問答真です。よろしくお願いします」
「よろしくね。ん?どうかした?」
「あ、いや、てっきり博士ってのは白い髭でも生やしてるもんだと思ってました」
「なははは、そうだね白髭ではないね」
「答真君は漫画が好きなのね」
確かに漫画のイメージが強い。固定観念は捨てねば。
「それで僕は何をすれば良いのでしょうか」
「あっ、そうだね、じゃあまずこのアンケートと書いてみて」
「はい」
博士から紙を受け取る。健康状態についての問いがいくつか有るが僕は健康そのものだ。誰かから貴方にとって健康とは、と問われたらそれは僕のことですと即答出来るくらいには健康である。それよりもなんだか嫌な予感がするのだが。
「うん、健康状態も問題なさそうだね。それでは答真君には実験体になってもらいたい」
予感的中。
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