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学園編
侯爵令嬢の恋煩い
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侯爵令嬢であるローズマリアは傲慢である。
誰もが羨むほどの美貌と権力。
性格は高飛車でありながらも、多くの男性が社交界の華と呼ばれる彼女に惹かれており、まるで夜蛾のように群がってくる。
彼女が社交界に出た時の衝撃は大きなものであったろう。
金髪縦ロールの巻き髪に美しい髪飾り。そして深紅のドレスに身を包み、美しい宝石たちは彼女の美しさをなお引き立たせた。
すっぴんでも美しいのに化粧をすればさらに磨きがかかる。
口紅やアイシャドウもしっかりと彼女の造形を美しく引き立たせる。
まるで昔の少女漫画、いや宝◯歌劇団のメイクよりもすごかった。
当然のことながら多くの男性は彼女に釘付けとなり、彼女へのダンスの申し込みには長蛇の列ができるほどであった。
現在彼女は学園の最上級生である。取り巻きも数多く、一見すると悪役令嬢にしか見えない。
第一王子アレクと同じ歳であれば彼女が有力な婚約者となっていたことだろう。
(彼女が受け入れることが出来ればのことだが)
オーホッホッホ!
いかにも悪役令嬢といった笑い方をするローズマリアだが、多くの男性に言い寄られながらも淑女としての立ち振る舞いはしっかりとしていた。
美しさに磨きをかけながら己の価値を高めてしっかりとした嫁ぎ先をゲットする。
いつかは両家で決められた相手と結婚することもローズマリアは受け入れていた。
もちろん多くの男性に言い寄られていたし、そのうちの誰かとお付き合いすることも出来たであろうが学園生活で醜聞を残してはいけないと彼女の両親は心配し、彼女の側使いや護衛騎士が常に目を光らせた万全の警備体制によってローズマリアの純潔はしっかりと守られていたのである。
また多くの男性が自分のために争う姿を見て彼女は「困ったわ」と言いながらもそうした嫉妬に狂い猛獣のように迫ってくる男たちの様を醜いものとして見ていた。
幼い頃からそうした経験が多かったためか同年代の男性に対してはつい軽蔑した目で見てしまい、恋愛感情や興味を一切持つことがなかったのである。
かといって壮年の男性を好きになるわけでもなかった。
しかし、ある日のこと。
友人である伯爵家の令嬢からいつになく積極的にお茶会に誘われたため、仕方なく行くことにした。
話を聞けば、そこに参加する人達はほとんどが女性で男性は少ないということだったので、ローズマリアも喜んで参加することにしたのだ。
そしてお茶会に参加したローズマリアは衝撃を受ける。
そこには天使がいたのだ。
愛くるしさと聡明さを兼ね揃えた逸材。
そして侯爵令嬢にとっても上位の存在。
イスタル第二王子であった。
「んんんまぁぁぁあ!!」
ローズマリアは初めて恋に落ちるという経験をした。
そして初めて異性に対して興奮した。
アドレナリン全開である。
な、なんて美しいのでしょう!
触ってもいいかしら・・・。
ローズマリアは手を震わせながらイスタルのもとに近づいていく。
その様は怪しいとしか言えなかったが、彼女は周囲の反応に気づきもせずイスタルのみ視界に入れてその存在を愛でていた。
彼女の両目にはしっかりと♡マークがついている。
彼女の友達がイスタルに近づこうとするローズマリアを見て驚き、慌ててイスタル王子に挨拶しに行った。
「イ、イスタル王子様、この度はようこそ我が家にお越しくださいました。是非ごゆっくりお過ごしくださいませ!」
そしてローズマリアを目配せをしてしっかりとサポートする。
ローズマリアも正気に戻ったのか、身を整えてから改めてイスタル王子に挨拶した。
「これはこれはイスタル王子様♡私はギルガメッシュ侯爵令嬢のローズマリアと申します♡本日はイスタル王子にお逢いできて本当に嬉しく思いますわ♡」
明らかな反応の違いから友人の伯爵令嬢はローズマリアの変貌に驚きつつ、「えっ?このひとショタだったの?」と狼狽えていた。
まさに衝撃的な出会い。
ローズマリアは恋の矢を眉間に撃ち抜かれるぐらい強烈な、いや苛烈な恋に落ちたのである。
それからというものローズマリアは夜の社交界にはほとんど顔を出さずにイスタル王子の出るお茶会には必ず姿を現し、ほぼイスタルの隣でイスタルを可愛がるのであった。
他の令嬢は驚きつつも冷静に対処していたが、イスタル王子を狙う小さな令嬢たちは影では「あの年増が!」と悔しがっていた。
イスタル王子もローズマリアの母性が心地良かったのかローズマリアがいると側に来てローズマリアに愛でてもらうのである。
まるでペットのようだ。
そんなものだから貴族界ではローズマリアのショタコン説の噂は瞬く間に広がった。
当然のごとく父であるクラウス・ギルガメッシュ侯爵はローズマリアを叱った。
「お前はイスタル王子との年齢差を考えておるのか!?どれほど私が恥ずかしい思いをしたことか!!」
ローズマリアも負けてはいない。
「あら、でもお父様。イスタル第二王子が王太子になれば私もいずれ王妃になれますのよ?何故この機会を逃さなくてはならないの?」
「う!そ、それは・・・」
「どうせ第一王子は王太子になれないのでしょう?なら私がイスタル王子の婚約者となり、侯爵家の為にも婚姻を結ぶことは良いのでは?」
「お前は本気でそれを望むのか?」
「ええ、もちろんですわ!」
「んーんんん、よし!わかった!私も腹を括ろう!お前が本気だと言うのであれば私も協力するしかない」
「まあ!お父様!ありがとうございますわ!」
「ただ、母さんにはお前から伝えるのだぞ?」
「ええ、わかりましたわ」
そうやって周囲の外堀を着実に埋めるローズマリアであった。
「うふふ♡イスタル様♡」
現在、ローズマリアの部屋にはイスタル第二王子の姿絵が病的なほどに沢山飾ってある。
そしてアレク第一王子には今まで中立であったはずの侯爵家という強力な敵が現れたのである。
誰もが羨むほどの美貌と権力。
性格は高飛車でありながらも、多くの男性が社交界の華と呼ばれる彼女に惹かれており、まるで夜蛾のように群がってくる。
彼女が社交界に出た時の衝撃は大きなものであったろう。
金髪縦ロールの巻き髪に美しい髪飾り。そして深紅のドレスに身を包み、美しい宝石たちは彼女の美しさをなお引き立たせた。
すっぴんでも美しいのに化粧をすればさらに磨きがかかる。
口紅やアイシャドウもしっかりと彼女の造形を美しく引き立たせる。
まるで昔の少女漫画、いや宝◯歌劇団のメイクよりもすごかった。
当然のことながら多くの男性は彼女に釘付けとなり、彼女へのダンスの申し込みには長蛇の列ができるほどであった。
現在彼女は学園の最上級生である。取り巻きも数多く、一見すると悪役令嬢にしか見えない。
第一王子アレクと同じ歳であれば彼女が有力な婚約者となっていたことだろう。
(彼女が受け入れることが出来ればのことだが)
オーホッホッホ!
いかにも悪役令嬢といった笑い方をするローズマリアだが、多くの男性に言い寄られながらも淑女としての立ち振る舞いはしっかりとしていた。
美しさに磨きをかけながら己の価値を高めてしっかりとした嫁ぎ先をゲットする。
いつかは両家で決められた相手と結婚することもローズマリアは受け入れていた。
もちろん多くの男性に言い寄られていたし、そのうちの誰かとお付き合いすることも出来たであろうが学園生活で醜聞を残してはいけないと彼女の両親は心配し、彼女の側使いや護衛騎士が常に目を光らせた万全の警備体制によってローズマリアの純潔はしっかりと守られていたのである。
また多くの男性が自分のために争う姿を見て彼女は「困ったわ」と言いながらもそうした嫉妬に狂い猛獣のように迫ってくる男たちの様を醜いものとして見ていた。
幼い頃からそうした経験が多かったためか同年代の男性に対してはつい軽蔑した目で見てしまい、恋愛感情や興味を一切持つことがなかったのである。
かといって壮年の男性を好きになるわけでもなかった。
しかし、ある日のこと。
友人である伯爵家の令嬢からいつになく積極的にお茶会に誘われたため、仕方なく行くことにした。
話を聞けば、そこに参加する人達はほとんどが女性で男性は少ないということだったので、ローズマリアも喜んで参加することにしたのだ。
そしてお茶会に参加したローズマリアは衝撃を受ける。
そこには天使がいたのだ。
愛くるしさと聡明さを兼ね揃えた逸材。
そして侯爵令嬢にとっても上位の存在。
イスタル第二王子であった。
「んんんまぁぁぁあ!!」
ローズマリアは初めて恋に落ちるという経験をした。
そして初めて異性に対して興奮した。
アドレナリン全開である。
な、なんて美しいのでしょう!
触ってもいいかしら・・・。
ローズマリアは手を震わせながらイスタルのもとに近づいていく。
その様は怪しいとしか言えなかったが、彼女は周囲の反応に気づきもせずイスタルのみ視界に入れてその存在を愛でていた。
彼女の両目にはしっかりと♡マークがついている。
彼女の友達がイスタルに近づこうとするローズマリアを見て驚き、慌ててイスタル王子に挨拶しに行った。
「イ、イスタル王子様、この度はようこそ我が家にお越しくださいました。是非ごゆっくりお過ごしくださいませ!」
そしてローズマリアを目配せをしてしっかりとサポートする。
ローズマリアも正気に戻ったのか、身を整えてから改めてイスタル王子に挨拶した。
「これはこれはイスタル王子様♡私はギルガメッシュ侯爵令嬢のローズマリアと申します♡本日はイスタル王子にお逢いできて本当に嬉しく思いますわ♡」
明らかな反応の違いから友人の伯爵令嬢はローズマリアの変貌に驚きつつ、「えっ?このひとショタだったの?」と狼狽えていた。
まさに衝撃的な出会い。
ローズマリアは恋の矢を眉間に撃ち抜かれるぐらい強烈な、いや苛烈な恋に落ちたのである。
それからというものローズマリアは夜の社交界にはほとんど顔を出さずにイスタル王子の出るお茶会には必ず姿を現し、ほぼイスタルの隣でイスタルを可愛がるのであった。
他の令嬢は驚きつつも冷静に対処していたが、イスタル王子を狙う小さな令嬢たちは影では「あの年増が!」と悔しがっていた。
イスタル王子もローズマリアの母性が心地良かったのかローズマリアがいると側に来てローズマリアに愛でてもらうのである。
まるでペットのようだ。
そんなものだから貴族界ではローズマリアのショタコン説の噂は瞬く間に広がった。
当然のごとく父であるクラウス・ギルガメッシュ侯爵はローズマリアを叱った。
「お前はイスタル王子との年齢差を考えておるのか!?どれほど私が恥ずかしい思いをしたことか!!」
ローズマリアも負けてはいない。
「あら、でもお父様。イスタル第二王子が王太子になれば私もいずれ王妃になれますのよ?何故この機会を逃さなくてはならないの?」
「う!そ、それは・・・」
「どうせ第一王子は王太子になれないのでしょう?なら私がイスタル王子の婚約者となり、侯爵家の為にも婚姻を結ぶことは良いのでは?」
「お前は本気でそれを望むのか?」
「ええ、もちろんですわ!」
「んーんんん、よし!わかった!私も腹を括ろう!お前が本気だと言うのであれば私も協力するしかない」
「まあ!お父様!ありがとうございますわ!」
「ただ、母さんにはお前から伝えるのだぞ?」
「ええ、わかりましたわ」
そうやって周囲の外堀を着実に埋めるローズマリアであった。
「うふふ♡イスタル様♡」
現在、ローズマリアの部屋にはイスタル第二王子の姿絵が病的なほどに沢山飾ってある。
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