14 / 53
1、『ブックカフェ ラーシャ』
14
しおりを挟む
一歩ずつ、光の中を歩き進める。夜ではないのに、下から光が当たっているような設計になっていて面白い。
モデルのランウェイを意識して、背筋を伸ばし顎を引く。目線は真正面に。指定された位置まで来ると、ワンピースの裾を広げくるっと回る。そしたらまた来た道を戻り幕の中へ入っていった。
1分ほどの短い時間だったが、大勢の人に注目されていた。お兄様やお姉様たちとは違い、あまりパーティーでも人前に出たことがない。こんな景色を見ていたのかとまだドキドキする胸を押さえる。
するとノーラさんが私のところへ走ってきた。
「サラちゃん、すごくよかったわよ。モデルがあなたで本当によかった!!後は、他のモデルが歩き終わったら人気投票をして終わりよ。うまくいけば1位を狙えるわ!」
テンション高く私に抱きついてくる。うまくできていたようで安心した。2人で他のモデルさんがショーをしているのを楽しんでから、人気投票に移った。
「それではファッションショーの結果を発表したいと思います! 多くの素晴らしい衣装とそれを着こなすモデルさん達が魅力的でしたね! ではまず3位から!」
司会者がテンション高く進行する。ジャジャーンと効果音がなり、3位になったデザイナーとモデルが発表された。
「まず3位……カーラさんとジュリさんのペアです! おめでとうございます! シンプルだけど肩を出すと言うセクシーで斬新なファッションが評価されたみたいですね。」
歓声の上がる中、名前を呼ばれた2人組が前に出て行く。観客に手を振って2人で喜んでいる。
「それでは次。2位の肩の発表です! ……2位はシェリーさんとマリーさんの双子ペアです!おめでとうございます! ポップな印象で元気ハツラツなデザインが好評だったみたいです」
双子のペアだったんだ。確かに顔が同じだ。ハイタッチをして2人でキャーキャー言っている。それを見て微笑ましく思っていると、司会者が話し始めた。
「そして栄えある第1位の発表をしたいと思います。このペアは2位のペアと大差をつけての圧勝でした。それでは……」
ジャジャジャジャーン!
今までよりも大きく効果音がなる。そして、会場の雰囲気も高まったところで、司会者が発表した。
「……1位は、サラさんとノーラさんのペアです! おめでとうございます! 洗練されたデザインのワンピースでふんわりとしたスカートが好評でした。模様により、体の線が美しく見えるのも若い女性に人気が出たようです」
「え?」
呼ばれた名前にびっくりして呆然としていると、ノーラさんが飛びついてきた。キャーッといいながら抱きしめてくる。
「サラちゃん、私たちが優勝よ! 何回もコンテストに出場してきたけど初めてだわ! 本当にありがとう……」
私の肩に水滴が落ちる。ノーラさんの背中に手を回すと、体が震えていた。
「こちらこそありがとうございます。素晴らしい衣装を着させてもらって、しかも優勝なんて……。すごく素敵な体験でした」
優勝なんて驚いたけど、すごく嬉しい。泣いているノーラさんと抱き合って喜びを噛み締める。
その後、軽く表彰式がありコンテストが終わった。
「入賞者が出揃ったところで、このコンテストを終了したいと思います! 皆さん、ありがとうございました! 入賞したデザイナーさんのお店はこれから忙しくなること間違いなしですね! それではまた来年お会いしましょう」
司会者がステージから降りていく。私たちはビートとトマさん達を見つけようと混雑する人混みの中を歩いた。衣装は、宣伝のためにくれるらしい。最低でも今日1日は着ることが条件のようだ。
やっと人混みを抜けると肩車をしてもらっているヒナを見つけた。背が小さくて見えないから、ビートがしてくれたのかな。
4人を見つけたノーラさんがテンション高く歩いて行った。私も置いていかれないように小走りでついていく。
「ねぇ、私たち優勝しちゃった!」
「見てたぞノーラ。おめでとう。サラちゃんも、すごい綺麗だったよ」
「ありがとうございます、トマさん」
「あのね、キラキラ光って綺麗だったの!」
「ヒナは1番騒いでいたよな」
やっぱり女の子だからかわいい服に興味があるみたいだ。ビートからヒナを受け取り、優勝商品のティアラを頭に乗せる。
「うわあ、きれい! ヒナがつけていいの?」
「うん、とても似合ってるよ。かわいい。ね、ビート」
ビートにも同意を得ようと振り返った。しかし、また私と目を合わせようとしない。
またか、とため息をつきながら少し屈んで無理やり目を合わせた。
モデルのランウェイを意識して、背筋を伸ばし顎を引く。目線は真正面に。指定された位置まで来ると、ワンピースの裾を広げくるっと回る。そしたらまた来た道を戻り幕の中へ入っていった。
1分ほどの短い時間だったが、大勢の人に注目されていた。お兄様やお姉様たちとは違い、あまりパーティーでも人前に出たことがない。こんな景色を見ていたのかとまだドキドキする胸を押さえる。
するとノーラさんが私のところへ走ってきた。
「サラちゃん、すごくよかったわよ。モデルがあなたで本当によかった!!後は、他のモデルが歩き終わったら人気投票をして終わりよ。うまくいけば1位を狙えるわ!」
テンション高く私に抱きついてくる。うまくできていたようで安心した。2人で他のモデルさんがショーをしているのを楽しんでから、人気投票に移った。
「それではファッションショーの結果を発表したいと思います! 多くの素晴らしい衣装とそれを着こなすモデルさん達が魅力的でしたね! ではまず3位から!」
司会者がテンション高く進行する。ジャジャーンと効果音がなり、3位になったデザイナーとモデルが発表された。
「まず3位……カーラさんとジュリさんのペアです! おめでとうございます! シンプルだけど肩を出すと言うセクシーで斬新なファッションが評価されたみたいですね。」
歓声の上がる中、名前を呼ばれた2人組が前に出て行く。観客に手を振って2人で喜んでいる。
「それでは次。2位の肩の発表です! ……2位はシェリーさんとマリーさんの双子ペアです!おめでとうございます! ポップな印象で元気ハツラツなデザインが好評だったみたいです」
双子のペアだったんだ。確かに顔が同じだ。ハイタッチをして2人でキャーキャー言っている。それを見て微笑ましく思っていると、司会者が話し始めた。
「そして栄えある第1位の発表をしたいと思います。このペアは2位のペアと大差をつけての圧勝でした。それでは……」
ジャジャジャジャーン!
今までよりも大きく効果音がなる。そして、会場の雰囲気も高まったところで、司会者が発表した。
「……1位は、サラさんとノーラさんのペアです! おめでとうございます! 洗練されたデザインのワンピースでふんわりとしたスカートが好評でした。模様により、体の線が美しく見えるのも若い女性に人気が出たようです」
「え?」
呼ばれた名前にびっくりして呆然としていると、ノーラさんが飛びついてきた。キャーッといいながら抱きしめてくる。
「サラちゃん、私たちが優勝よ! 何回もコンテストに出場してきたけど初めてだわ! 本当にありがとう……」
私の肩に水滴が落ちる。ノーラさんの背中に手を回すと、体が震えていた。
「こちらこそありがとうございます。素晴らしい衣装を着させてもらって、しかも優勝なんて……。すごく素敵な体験でした」
優勝なんて驚いたけど、すごく嬉しい。泣いているノーラさんと抱き合って喜びを噛み締める。
その後、軽く表彰式がありコンテストが終わった。
「入賞者が出揃ったところで、このコンテストを終了したいと思います! 皆さん、ありがとうございました! 入賞したデザイナーさんのお店はこれから忙しくなること間違いなしですね! それではまた来年お会いしましょう」
司会者がステージから降りていく。私たちはビートとトマさん達を見つけようと混雑する人混みの中を歩いた。衣装は、宣伝のためにくれるらしい。最低でも今日1日は着ることが条件のようだ。
やっと人混みを抜けると肩車をしてもらっているヒナを見つけた。背が小さくて見えないから、ビートがしてくれたのかな。
4人を見つけたノーラさんがテンション高く歩いて行った。私も置いていかれないように小走りでついていく。
「ねぇ、私たち優勝しちゃった!」
「見てたぞノーラ。おめでとう。サラちゃんも、すごい綺麗だったよ」
「ありがとうございます、トマさん」
「あのね、キラキラ光って綺麗だったの!」
「ヒナは1番騒いでいたよな」
やっぱり女の子だからかわいい服に興味があるみたいだ。ビートからヒナを受け取り、優勝商品のティアラを頭に乗せる。
「うわあ、きれい! ヒナがつけていいの?」
「うん、とても似合ってるよ。かわいい。ね、ビート」
ビートにも同意を得ようと振り返った。しかし、また私と目を合わせようとしない。
またか、とため息をつきながら少し屈んで無理やり目を合わせた。
0
お気に入りに追加
2,048
あなたにおすすめの小説
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
あなたには彼女がお似合いです
風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。
妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。
でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。
ずっとあなたが好きでした。
あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。
でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。
公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう?
あなたのために婚約を破棄します。
だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。
たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに――
※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる