3 / 53
1、『ブックカフェ ラーシャ』
3
しおりを挟むバタバタと店内を走り回る。
カランカラーン
「いらっしゃいませ! お好きなお席にどーぞ!」
「サラ! おお、予想以上に繁盛してるな。アイス食べに来た。」
「あ、ビート! ちょうどよかった!!アイスと食事も用意するから手伝ってくれない!?」
「え、俺が? いいけどよ。俺作れねーよ?」
「大丈夫! 私がキッチンにいるから、できた物をお客さんの席に置いていってくれない?」
「よし、わかった」
不安そうにしていたが、お願いすると手伝う準備を始めてくれた。
少し前まで暇になったら本を読もうと思って机の上に読みたい本準備してたのに! トマさんとビートに改装工事のお礼と宣伝も込めてアイスを食べてもらったら、予想以上に効果があったらしい。
おかげで初日からてんてこ舞いだ。
「あら、これおいしいわね」
「ほんと。甘くて喉をすうっと通っていくのがいいわね。少し暑かったけど、これ食べたらひんやりしてきたわ」
「お、うめーなこれ! おい、こっち食べてみろよ!」
「親父は食べすぎなんだよ。」
トマさんは開店と同時に知り合いを連れアイスを注文してくれて、おかわりまでしてくれている。そんなトマさんに接客中のビートが文句を言っているが、おいしいと言われるとやっぱり嬉しい。
殆どのお客さんがテーブル席だけど、カウンター席にもちらほらいる。カウンターの方が本棚にも近いため、本を読みたい人に人気みたい。この国では、図書館のようなものはあっても、カフェなどで本などを置いているところはないらしい。
「ビート、これもお願い」
「はいよ」
ビートとは同い年なことと、引っ越した時からの付き合いだから大分仲良くなれたと思う。まるで、クラスの隣の席にいる男子みたいな軽い雰囲気で話しやすい。
「ふぅ、少し落ち着いてきたね。後は本を読んでいるお客さんが大半かな。もう1人でも大丈夫そうだから、終わりにしていいよ」
「ああ、そうだな。はー、疲れた! でも初日からこんなに人がくるとは幸先いいな!」
「手伝ってくれてありがとう。うん、そうだといいな。今用意して来るけど、サンドイッチとアイスで大丈夫?」
「お、やったぜ! ボリュームたっぷりでよろしく!」
「ふふ、わかった」
手伝ってくれた感謝も込めて、ボリュームたっぷりのサンドイッチをつくる。それに麦茶を添えて持っていく。
「お待たせ」
「じゃあさっそく」
そういうと、ビートはサンドイッチを食べ始める。トマさんに連れられて普段は大工仕事をしており、豪快に食べる。見た目がまだそこまで大きくはないけれど、やっぱり食べ方は男らしい。この調子だとすぐに食べ終わりそうだとアイスの準備を始める。
0
お気に入りに追加
2,054
あなたにおすすめの小説
婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。
白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?
*6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」
*外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
にゃんということでしょう
基本二度寝
恋愛
侯爵令嬢キアティーヌは、目覚めとともに違和感を感じた。
見慣れているはずの自室が、全体的に広く、そして大きく感じる。
(にゃんですかこれはー!!!)
寝台から飛び降りて姿見の前で絶叫した。
鏡に映るのは、キアティーヌの毛色と瞳の色はそのままで、だがしかし猫になった姿だった。
※全三話
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる