11 / 53
1、戦国時代へ
11
しおりを挟む
部屋の中に入ると、敏之は座って読書をしていた。ぐるっと見渡すと、この部屋には沢山の本が置いてある。こちらを見た敏之に、二郎丸の肩を掴み前に押し出して言う。
「人を侵入者扱いだよ、こいつ」
「うろうろしていて怪しかったからだ!」
「まあまあ2人とも、落ちついて。もう知り合ってるなら話が早いや。突然で申し訳ないけれど、頼みたいことがあって。真人、二郎丸に算学を教えてくれない?」
「算学? 俺が?」
「うん、真人って確か算学ができたよね? できたらでいいんだけどそれを二郎丸に教えて欲しくて」
「別にいいけど。敏之は?」
「私はある程度出来るし、真人にいてもらうから大丈夫。二郎丸、いい?」
二郎丸はえぇ……と言いながらも断らない。敏之の言うことは聞くらしい。
「あ、そういえばさ、さっきの広間で初めて敏之のああいう口調と態度聞いたけど、違和感がありすぎた」
「兄上はいつもしっかりしてるぞ!」
「でも、あの小屋で会ってた時はもっとくだけた口調だったよな。広間でも少しくだけてたけど、やっぱ次期当主だからか?」
「あ、それも聞いたんだ。うん、ああいうところはあまり迂闊なことは言えないしね。次期当主としてしっかりした態度を見せていないと、足元をすくわれるから」
「やっぱり大変なんだな武将って」
「今まではね。これからは真人がいるから」
「え、でも俺ずっと居るかはわからないよ? しかもプレッシャーがすごい」
「ぷれっしゃー? うんわかってるよ。でも居てくれるだけでも嬉しいから」
「二郎丸は兄上がいてくれて嬉しいです!」
敏之は二郎丸の頭を撫でながら本を片付ける。片付けを終えたところで、
「よし、2人とも夕餉は? 今日はここで食べる?」
「はい! ここで食べます!!」
「あ、いいのか。じゃあ俺も」
後は楽しく夕食の時間だった。やっぱりここはご飯もおいしいね! 三杯もおかわりしちゃったよ。二郎丸も張り合ってきたけど、途中でお腹を押さえウンウン唸りながら諦めていた。食べすぎ。
「ねえ明日は城下町に行かない? 真人って今日が見たの初めてだよね?」
「あぁ、いいなそれ」
「俺も行きたいです!」
「二郎丸は稽古があるでしょ?」
「はは、ドンマイ!」
「どんまい? 真人ってたまによくわからない言葉しゃべるよね」
「あ…あ、そうか?つい口に出ちゃって」
横文字が伝わらないって結構不便じゃね? 二郎丸に算学教えるついでに一緒に教えてやろうかね。
それにしても城下町かぁ。通り過ぎただけだったけど、賑やかだったなあ。
「あ、俺お金持ってない」
「それは平気。今回は俺が出すよ。なんなら雰囲気を楽しむだけでも楽しいし」
「いいのか?」
「うん、友達と城下町に行くのは初めてだから! 行くとしてもじいか、政成だったから。あ、でも誰にも言っちゃだめだよ」
「って抜け出すのかよ! 小屋にも抜け出してきているみたいだったし、ここ警備ゆるいのか!?」
「抜け穴知ってるから。それに私が抜け出すのはいつものことだし」
「次期当主がいいのかよそれで……」
敏之の脱走癖に驚きながらも、明日を楽しみにわいわいとしながら夕食を終えたのだった。
「人を侵入者扱いだよ、こいつ」
「うろうろしていて怪しかったからだ!」
「まあまあ2人とも、落ちついて。もう知り合ってるなら話が早いや。突然で申し訳ないけれど、頼みたいことがあって。真人、二郎丸に算学を教えてくれない?」
「算学? 俺が?」
「うん、真人って確か算学ができたよね? できたらでいいんだけどそれを二郎丸に教えて欲しくて」
「別にいいけど。敏之は?」
「私はある程度出来るし、真人にいてもらうから大丈夫。二郎丸、いい?」
二郎丸はえぇ……と言いながらも断らない。敏之の言うことは聞くらしい。
「あ、そういえばさ、さっきの広間で初めて敏之のああいう口調と態度聞いたけど、違和感がありすぎた」
「兄上はいつもしっかりしてるぞ!」
「でも、あの小屋で会ってた時はもっとくだけた口調だったよな。広間でも少しくだけてたけど、やっぱ次期当主だからか?」
「あ、それも聞いたんだ。うん、ああいうところはあまり迂闊なことは言えないしね。次期当主としてしっかりした態度を見せていないと、足元をすくわれるから」
「やっぱり大変なんだな武将って」
「今まではね。これからは真人がいるから」
「え、でも俺ずっと居るかはわからないよ? しかもプレッシャーがすごい」
「ぷれっしゃー? うんわかってるよ。でも居てくれるだけでも嬉しいから」
「二郎丸は兄上がいてくれて嬉しいです!」
敏之は二郎丸の頭を撫でながら本を片付ける。片付けを終えたところで、
「よし、2人とも夕餉は? 今日はここで食べる?」
「はい! ここで食べます!!」
「あ、いいのか。じゃあ俺も」
後は楽しく夕食の時間だった。やっぱりここはご飯もおいしいね! 三杯もおかわりしちゃったよ。二郎丸も張り合ってきたけど、途中でお腹を押さえウンウン唸りながら諦めていた。食べすぎ。
「ねえ明日は城下町に行かない? 真人って今日が見たの初めてだよね?」
「あぁ、いいなそれ」
「俺も行きたいです!」
「二郎丸は稽古があるでしょ?」
「はは、ドンマイ!」
「どんまい? 真人ってたまによくわからない言葉しゃべるよね」
「あ…あ、そうか?つい口に出ちゃって」
横文字が伝わらないって結構不便じゃね? 二郎丸に算学教えるついでに一緒に教えてやろうかね。
それにしても城下町かぁ。通り過ぎただけだったけど、賑やかだったなあ。
「あ、俺お金持ってない」
「それは平気。今回は俺が出すよ。なんなら雰囲気を楽しむだけでも楽しいし」
「いいのか?」
「うん、友達と城下町に行くのは初めてだから! 行くとしてもじいか、政成だったから。あ、でも誰にも言っちゃだめだよ」
「って抜け出すのかよ! 小屋にも抜け出してきているみたいだったし、ここ警備ゆるいのか!?」
「抜け穴知ってるから。それに私が抜け出すのはいつものことだし」
「次期当主がいいのかよそれで……」
敏之の脱走癖に驚きながらも、明日を楽しみにわいわいとしながら夕食を終えたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
204
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる