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1、戦国時代へ
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しおりを挟むなんだこれ。頭がガンガンする。
だるい身体を無理矢理起き上がらせ、自転車を直そうとする。
(あーそういえば水溜りでビショビショ
だわ。さっさと帰ろ)
そう思い、自転車をつかもうとするが見当たらない。しかもなんだか周りが明るい。
目がおかしくなったかと頭を振ってしっかり辺りを見回すが、今度は自分の頭がおかしくなったのかと思った。
アスファルトの道路にいたはずが、自然豊かな土の上に座っている。しかも遠くには林のようなものが見える。ここら辺は少し閑散としているが住宅街だったはずだ。
「は…………?」
景色を見て呆然と地面に座っていると、向こうから誰かが歩いてきた。昔の人の旅装束のような格好をしてなにやら大きな荷物を担いでいる。
「なにあの格好……」
訝しく思いながらも、混乱した頭を整理しようと話しかけることにした。
「あのーー‼︎すみませーーん‼︎」
立ち上がりながら大声を上げると、あちらも気づいたようだ。ちょっと小走りしながら近づいていたが、はっきり見えてくるうちにだんだんと足が止まる。
「え、草履? 本物?」
違和感がじわじわと出てくる。さっきは遠くからでわからなかったが、まるでその服で生活をしているみたいだ。
去年、修学旅行で見た着物や、昔の町の風景はスタッフさんも清廉されていて衣装もピシッとしていた。
この人も宣伝でもしているのかと思ったのだが、どう見てもおかしい。草履は少し擦り切れ、服は肩のところに何かの染みが付いている。
マジマジと観察していると、声を掛けられた。
「おめぇ、こんなところで何してんだ。奇妙な格好をしているが、かぶき者かい?」
「え、いや制服ですけど……。おじさんは何してるんですか?なんかリアルですね」
「りある?せいふくってなんだい。これから城下町にいくんだよ。ちょいと用があって西の方に行ってたんだがやっと帰ってこれたのさ」
「城下町?」
「そうさ。斎賀のお殿様が治めておられる。工芸に力を入れてくれたおかげで、わしら職人の待遇が良くてな」
そう言ってガッハッハッと笑っているが、俺はそれどころではなかった。
心臓がバクバクしている。城下町?お殿様?何言ってんだよ。そう言いたいが、おかしいのは自分だと薄々気づき始めてもいる。
生活感のある服、制服を知らない、城下町。お殿様。何より周りの景色……。信じたくなくて俯いていると何か勘違いしたのか、
「さぼってねーで、日が暮れると危ないから早く家に帰れよ!気をつけろよ!」
そういって背中をバシバシ叩いて歩いて行った。
残された俺は、しばらくそこから動けなかった。
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