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列車でゴーゴゴー
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なんとか予定時刻の前に駅に着いた妾たちは、馬車から大量の荷物を下ろしていた。
そこに三人の男女が近づいてくる。
「ひめ様~!」
喜びを爆発させた侍女のミンミンが駆け寄ってきて、妾をぎゅむっと抱きしめた。
「お会いしたかったです」
でっかい二つのメロンに顔を押し付けられ、呼吸困難じゃ。
それにそういう言葉は彼Pに言って欲しい。
妾がミンミンの胸でばたついておると、ヤンヤンが荷物を運びながら「いいからあなたも手伝いなさい」と冷たく言った。
そうじゃった。
急がねば列車に乗り遅れてしまう。
とはいえ、まずは妾の護衛にやって来た二人の騎士が礼儀に則って挨拶する。
「我らが帝国の燃え盛る炎、バーミリオン殿下。この度の旅程の護衛を仰せつかりました。ドラゴニア帝国第九騎士団が所属、副長フリード・シュミットとーーー」
「ゼキス・クラウゼンです」
大きなガタイの男二人に傅かれる。
二人の着ている濃い臙脂色の騎士用の外套は、妾の宮の者だという証じゃ。
第九騎士団は妾の宮、そして妾自身を守護するために在る。
「うむ。久しぶりじゃの。二人とも元気そうで何よりじゃ」
もちろん妾は二人のことを見知っておる。
第九騎士団の全員はわからぬが、おそらく半数は名前と顔が一致する。
全部で百名はいるから覚えきれぬが、身近に置く者たちを知っておくことは自分自身を守ることだと教えられている。
「確かシュミットは三人目の子どもが生まれたばかりではなかったか?」
特に体格の良い方のあごひげの騎士に訊ねると、シュミットは笑った。
「よくご存知で。恥ずかしながら三人目は双子でしたので、子どもが四人になりました」
嬉しそうに話すので、妾も微笑んだ。
隣のクラウゼンにも話しかける。
「クラウゼンも久しいの。腕の怪我は治ったのか?」
「はい、殿下。すっかり良くなりました。支障はございません。何なりとお申し付けください」
クラウゼンは真面目な好青年で、騎士二年目だったはずじゃ。
稽古中に怪我をしたと聞いたのは半年ほど前だった。
第九騎士団では絶対にパワハラ、イジメは許されない。
でもクラウゼンは平民出なので裏で嫌がらせを受けていたらしい。
やったヤツは団長が放逐したので、騎士団は平穏になったと聞く。
騎士になって一年目にして怪我をしたクラウゼンを、妾は一度見舞ったのでよく覚えていた。
「しかし、副長が来るとは思わなんだぞ」
驚いている妾にシュミットが「何を仰るのですか」と反論した。
「バーミリオン殿下の供をする機会などそうそう無いことなので、騎士団では誰が行くか揉めに揉めたのですよ」
「大げさな・・・・・・」
「本当です」
今度はクラウゼンが真顔で頷く。
「副長は権力を振りかざしてズルをしましたが、わたしは正当なクジの結果、護衛任務を勝ち取りました」
何なの、この人たち。
暇なの?
怖いんじゃが・・・・・・。
挨拶が終わる頃には、馬車の荷物は到着していた列車に載せられ、全員がガヤガヤと駅のホームに移動した。
列車の二両目、一等席の個室に案内され、妾とミンミン、ヤンヤン、それにジョーが座った。
隣の個室にはシェン君とサイファ。
列車の通路に二人の護衛騎士。
これから帝国領の境までこの列車で八時間。
さらにヘデス王国に入って馬車で移動する。
席についたものの、妾は辺りを見回し、椅子の横に付いたテーブルを引っ張り出してみたり、窓のカーテンを開いたり閉じたり、リクライニングを目一杯倒してみたりした。
「ひめ様、落ち着いてください。もう何度も列車に乗ったことがあるでしょう」
ヤンヤンに叱られたのじゃ。
でも、隣のミンミンも同じことをしていた。
「さすが一等席ですね~」
座席のクッションが三等席とは全然違うと喜んでおる。
ヤンヤンは「まったく」と呆れていたが、ワクワクが抑え切れない時もあるのじゃ。
そして、窓側に座った妾の向かいには、ジョーが少し不満げに口を尖らせていた。
理由は明白じゃ。
ヤンヤンとミンミンに、モモちゃんの籠は個室に入れないでと言われたからじゃ。
列車の下部にある荷物置き場はさすがにかわいそうなので、モモちゃんは通路に置かれている。
騎士が二人いるし、大丈夫だと言ったのじゃが、ジョーは一緒にいたかったらしい。
妾は馬車でこりごりだったので、ホッとしたのじゃ。
発車のベルが鳴り、ついに列車が動き出した。
北方の雪国へ。
雪国といえば、まいたけーーーではなく、トンネルーーーでもなく、白銀の世界じゃ。
妾はたくさんの雪はまだ見たことがない。
流れ始めた窓の外の景色を見ながら、これからの休暇に胸が高鳴っていた。
そこに三人の男女が近づいてくる。
「ひめ様~!」
喜びを爆発させた侍女のミンミンが駆け寄ってきて、妾をぎゅむっと抱きしめた。
「お会いしたかったです」
でっかい二つのメロンに顔を押し付けられ、呼吸困難じゃ。
それにそういう言葉は彼Pに言って欲しい。
妾がミンミンの胸でばたついておると、ヤンヤンが荷物を運びながら「いいからあなたも手伝いなさい」と冷たく言った。
そうじゃった。
急がねば列車に乗り遅れてしまう。
とはいえ、まずは妾の護衛にやって来た二人の騎士が礼儀に則って挨拶する。
「我らが帝国の燃え盛る炎、バーミリオン殿下。この度の旅程の護衛を仰せつかりました。ドラゴニア帝国第九騎士団が所属、副長フリード・シュミットとーーー」
「ゼキス・クラウゼンです」
大きなガタイの男二人に傅かれる。
二人の着ている濃い臙脂色の騎士用の外套は、妾の宮の者だという証じゃ。
第九騎士団は妾の宮、そして妾自身を守護するために在る。
「うむ。久しぶりじゃの。二人とも元気そうで何よりじゃ」
もちろん妾は二人のことを見知っておる。
第九騎士団の全員はわからぬが、おそらく半数は名前と顔が一致する。
全部で百名はいるから覚えきれぬが、身近に置く者たちを知っておくことは自分自身を守ることだと教えられている。
「確かシュミットは三人目の子どもが生まれたばかりではなかったか?」
特に体格の良い方のあごひげの騎士に訊ねると、シュミットは笑った。
「よくご存知で。恥ずかしながら三人目は双子でしたので、子どもが四人になりました」
嬉しそうに話すので、妾も微笑んだ。
隣のクラウゼンにも話しかける。
「クラウゼンも久しいの。腕の怪我は治ったのか?」
「はい、殿下。すっかり良くなりました。支障はございません。何なりとお申し付けください」
クラウゼンは真面目な好青年で、騎士二年目だったはずじゃ。
稽古中に怪我をしたと聞いたのは半年ほど前だった。
第九騎士団では絶対にパワハラ、イジメは許されない。
でもクラウゼンは平民出なので裏で嫌がらせを受けていたらしい。
やったヤツは団長が放逐したので、騎士団は平穏になったと聞く。
騎士になって一年目にして怪我をしたクラウゼンを、妾は一度見舞ったのでよく覚えていた。
「しかし、副長が来るとは思わなんだぞ」
驚いている妾にシュミットが「何を仰るのですか」と反論した。
「バーミリオン殿下の供をする機会などそうそう無いことなので、騎士団では誰が行くか揉めに揉めたのですよ」
「大げさな・・・・・・」
「本当です」
今度はクラウゼンが真顔で頷く。
「副長は権力を振りかざしてズルをしましたが、わたしは正当なクジの結果、護衛任務を勝ち取りました」
何なの、この人たち。
暇なの?
怖いんじゃが・・・・・・。
挨拶が終わる頃には、馬車の荷物は到着していた列車に載せられ、全員がガヤガヤと駅のホームに移動した。
列車の二両目、一等席の個室に案内され、妾とミンミン、ヤンヤン、それにジョーが座った。
隣の個室にはシェン君とサイファ。
列車の通路に二人の護衛騎士。
これから帝国領の境までこの列車で八時間。
さらにヘデス王国に入って馬車で移動する。
席についたものの、妾は辺りを見回し、椅子の横に付いたテーブルを引っ張り出してみたり、窓のカーテンを開いたり閉じたり、リクライニングを目一杯倒してみたりした。
「ひめ様、落ち着いてください。もう何度も列車に乗ったことがあるでしょう」
ヤンヤンに叱られたのじゃ。
でも、隣のミンミンも同じことをしていた。
「さすが一等席ですね~」
座席のクッションが三等席とは全然違うと喜んでおる。
ヤンヤンは「まったく」と呆れていたが、ワクワクが抑え切れない時もあるのじゃ。
そして、窓側に座った妾の向かいには、ジョーが少し不満げに口を尖らせていた。
理由は明白じゃ。
ヤンヤンとミンミンに、モモちゃんの籠は個室に入れないでと言われたからじゃ。
列車の下部にある荷物置き場はさすがにかわいそうなので、モモちゃんは通路に置かれている。
騎士が二人いるし、大丈夫だと言ったのじゃが、ジョーは一緒にいたかったらしい。
妾は馬車でこりごりだったので、ホッとしたのじゃ。
発車のベルが鳴り、ついに列車が動き出した。
北方の雪国へ。
雪国といえば、まいたけーーーではなく、トンネルーーーでもなく、白銀の世界じゃ。
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