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部活参観はじまった
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副会長のエドガー・ポーキュリの驚きの発言によって、妾は王宮図書館を調べる必要が出てきた。
とはいえ、学園生活のため、すぐに王宮に戻ることはできない。
「バーミリオン様、一ヶ月後の芋掘り大会のときに宮に戻ることになっていますよ」
寮でヤンヤンに次に王宮に戻れるのはいつか訊ねると、そう返事があった。
他の兄姉もその時期に一度、宮に帰って皇族としての仕事をささっとしているらしい。
妾は特に仕事なんかないが、芋掘り大会は確かに重要案件じゃ。
ちょうどよいので、その時に王宮図書館に行くことに決めた。
ヤンヤンには詳しい話はしていない。
なんとなく呪いについて調べていることは言いにくかったのじゃ。
反対されるやもしれぬ。
呪術同好会に入ることも嫌がっておったからな。
芋掘り大会のついでに王宮図書館で調べるだけじゃ。
一人でもできるじゃろう。
数日は平穏な日々を過ごした。
ホラ研ーーーもとい呪術同好会には、翌日正式に入部したので放課後はシェン君と共に通っている。
今のところ問題はない。
・・・・・・多分、ないじゃろ。
不気味な祭壇はシェン君が撤去させたし、閉めっぱなしのカーテンは開けて室内を明るくしたからの。
棚に髑髏の蝋燭立てやら、うさぎの脚の干物みたいなのや、黒魔術の本が並んでおるが、気にしなければどうということはない。
会長のシルマリア・アレイスターは部室では本を睨みつけていて静かなものじゃ。
副会長のポーキュリはいないことが多かった。
活動内容がよくわからぬ部活じゃ。
「呪い、そして死霊! そういったものに関する知識を得ること。それがわたしたちの研究活動よ」
と会長は言っておったが、妾とシェン君が授業の宿題をしていても、トランプをしていても、お菓子を食べていても興味がないのか放置じゃ。
妾は副会長に王宮図書館で読んだという禁書のことを質問したいのじゃが、あの日以来まったく見かけないし。
困ったものじゃ。
さらに数日が経った頃、突然ホラ研に客が来た。
「うっわ、辛気臭い部屋だな」
ドアをノックして返事も待たずに入ってきたアカネが顔をしかめた。
後ろにはサクラもいる。
「アカネにサクラ、どうしたのじゃ?」
妾はシェン君と魔術理論学の予習をしているところだった。
中等科の一年の学習内容は妾もシェン君もすでに終えていることがわかったので、さらに進めておったのじゃ。
将来ドラゴニア帝国を統べるために学問はやっていて損はないからの。
妾はやるときはやる子なのじゃ。
「あら、二人ともえらいのね~」
「勉強かよ、マジで辛気臭いな」
双子の兄姉がノートを覗き込む。
しかし、部屋を見回したアカネは不満そうじゃ。
「他のやつはいないのか?」
「うむ。今日はアレイスター会長もポーキュリ副会長もいないのじゃ」
会長はシェン君に、部室の鍵を職員室から取ってきて勝手に部活を始めておくようにと指示していた。
最近は会長より妾たちの方が先に部室に来ることが多いからじゃ。
やはり中等科一年と高等科二年では授業量に差があるのじゃろう。
「二人きりなのね」
サクラがなぜか含みを持った様子で言うと、アカネが盛大に舌打ちした。
「おい、おまえ」
「・・・・・・何ですか?」
睨まれたシェン君が面倒そうにノートから顔を上げる。
「わかってるよな」
「・・・・・・」
何の事やらわからぬが、シェン君は嫌そうに黙っている。
今度は妾の方をアカネがジトッと見てきた。
「バーミリオン」
「なんじゃ?」
「会長がいないときは部活はしなくてもいいんじゃないか?」
「どういうことじゃ?」
「おまえたち二人じゃ呪術だっけか? その研究できないんだろ。今も勉強なんかしてるし。寮に戻った方がいいだろ」
妾は首を傾げた。
会長がいようがいまいが部室に来て部活動をしたい。
妾は学園生活を満喫したいのじゃ。
青い春っぽいことをしたい。
部活動はその最たるものだと思っておる。
「いやじゃ。寮に戻っても退屈じゃ」
妾が口をとがらせて反論する。
「で、でもな・・・・・・こんな狭い部屋にふたーーー」
「ねえ、バーミリオン」
アカネの言葉を遮って、今度はサクラが笑いかけてきた。
「せめてドアは開けておきましょう」
「なぜじゃ?」
ドアは閉まっておるが、窓は開いている。
それにドアを開けると体育館の運動部の声がうるさいのじゃ。
「わたしたち、あなたのことが心配になっちゃうから。ドアは開けておいて欲しいのよ」
よくわからぬが、サクラのほんわかした笑顔を見ていると、妾は素直に言うことを聞いてしまうのじゃ。
「うむ。ドアを開けておく」
サクラがいい子いい子と頭を撫でてくれた。
ドアを開けたまま二人が帰ってしまうと、妾はシェン君とまた予習を始めたが、なぜか再び客がやって来た。
「やあ、バーミリオン。本当にここにいるとはね」
なんと、二番目の兄レッカじゃ。
「久しぶりだね、バーミリオン」
「うむ。レッカ兄じゃもお元気そうじゃな」
レッカは二十二才になるが、学園の大学に在籍して何かの研究とか実験をしていると聞いていた。
元々、発明好きで、王宮でもよく自分の宮を爆発させている。
「へえ、変わった部室だなぁ」
きょろきょろと部屋を見回して、棚に置いてある不気味な石仮面を手に取っている。
会長が石仮面に触れると顔に張り付いて取れなくなると言っていたが、平気そうじゃ。
よかったよかった。
それでも妾は絶対、この部屋の変な物には触らないがの。
「これとかこれとか、何の道具なの?」
「知らぬ」
妾に聞かれても答えられるわけがないのじゃ。
レッカは勉強中のノートを見て、妾からペンを取るとささっと間違っている箇所を直してくれた。
そして、あっさり「またね~」と帰って行った。
「変わった兄貴だな」
「だいぶ変わっておるが、マシな方かも」
「おまえの兄姉ってーーー」
急にシェン君の声が途切れたので、ノートから顔を上げると、開いた戸口を見ている。
妾も振り返ってみた。
すると、そこには仁王立ちしている五番目の兄、あのフェニックスがいた。
「なんじゃ、フェニックス兄じゃ。また来たのか」
鼻白んだ顔になるのも仕方あるまい。
前回の登場ではシェン君に乱暴狼藉を働き、妾に鉄槌を出させたのじゃからな。
とはいえ、学園生活のため、すぐに王宮に戻ることはできない。
「バーミリオン様、一ヶ月後の芋掘り大会のときに宮に戻ることになっていますよ」
寮でヤンヤンに次に王宮に戻れるのはいつか訊ねると、そう返事があった。
他の兄姉もその時期に一度、宮に帰って皇族としての仕事をささっとしているらしい。
妾は特に仕事なんかないが、芋掘り大会は確かに重要案件じゃ。
ちょうどよいので、その時に王宮図書館に行くことに決めた。
ヤンヤンには詳しい話はしていない。
なんとなく呪いについて調べていることは言いにくかったのじゃ。
反対されるやもしれぬ。
呪術同好会に入ることも嫌がっておったからな。
芋掘り大会のついでに王宮図書館で調べるだけじゃ。
一人でもできるじゃろう。
数日は平穏な日々を過ごした。
ホラ研ーーーもとい呪術同好会には、翌日正式に入部したので放課後はシェン君と共に通っている。
今のところ問題はない。
・・・・・・多分、ないじゃろ。
不気味な祭壇はシェン君が撤去させたし、閉めっぱなしのカーテンは開けて室内を明るくしたからの。
棚に髑髏の蝋燭立てやら、うさぎの脚の干物みたいなのや、黒魔術の本が並んでおるが、気にしなければどうということはない。
会長のシルマリア・アレイスターは部室では本を睨みつけていて静かなものじゃ。
副会長のポーキュリはいないことが多かった。
活動内容がよくわからぬ部活じゃ。
「呪い、そして死霊! そういったものに関する知識を得ること。それがわたしたちの研究活動よ」
と会長は言っておったが、妾とシェン君が授業の宿題をしていても、トランプをしていても、お菓子を食べていても興味がないのか放置じゃ。
妾は副会長に王宮図書館で読んだという禁書のことを質問したいのじゃが、あの日以来まったく見かけないし。
困ったものじゃ。
さらに数日が経った頃、突然ホラ研に客が来た。
「うっわ、辛気臭い部屋だな」
ドアをノックして返事も待たずに入ってきたアカネが顔をしかめた。
後ろにはサクラもいる。
「アカネにサクラ、どうしたのじゃ?」
妾はシェン君と魔術理論学の予習をしているところだった。
中等科の一年の学習内容は妾もシェン君もすでに終えていることがわかったので、さらに進めておったのじゃ。
将来ドラゴニア帝国を統べるために学問はやっていて損はないからの。
妾はやるときはやる子なのじゃ。
「あら、二人ともえらいのね~」
「勉強かよ、マジで辛気臭いな」
双子の兄姉がノートを覗き込む。
しかし、部屋を見回したアカネは不満そうじゃ。
「他のやつはいないのか?」
「うむ。今日はアレイスター会長もポーキュリ副会長もいないのじゃ」
会長はシェン君に、部室の鍵を職員室から取ってきて勝手に部活を始めておくようにと指示していた。
最近は会長より妾たちの方が先に部室に来ることが多いからじゃ。
やはり中等科一年と高等科二年では授業量に差があるのじゃろう。
「二人きりなのね」
サクラがなぜか含みを持った様子で言うと、アカネが盛大に舌打ちした。
「おい、おまえ」
「・・・・・・何ですか?」
睨まれたシェン君が面倒そうにノートから顔を上げる。
「わかってるよな」
「・・・・・・」
何の事やらわからぬが、シェン君は嫌そうに黙っている。
今度は妾の方をアカネがジトッと見てきた。
「バーミリオン」
「なんじゃ?」
「会長がいないときは部活はしなくてもいいんじゃないか?」
「どういうことじゃ?」
「おまえたち二人じゃ呪術だっけか? その研究できないんだろ。今も勉強なんかしてるし。寮に戻った方がいいだろ」
妾は首を傾げた。
会長がいようがいまいが部室に来て部活動をしたい。
妾は学園生活を満喫したいのじゃ。
青い春っぽいことをしたい。
部活動はその最たるものだと思っておる。
「いやじゃ。寮に戻っても退屈じゃ」
妾が口をとがらせて反論する。
「で、でもな・・・・・・こんな狭い部屋にふたーーー」
「ねえ、バーミリオン」
アカネの言葉を遮って、今度はサクラが笑いかけてきた。
「せめてドアは開けておきましょう」
「なぜじゃ?」
ドアは閉まっておるが、窓は開いている。
それにドアを開けると体育館の運動部の声がうるさいのじゃ。
「わたしたち、あなたのことが心配になっちゃうから。ドアは開けておいて欲しいのよ」
よくわからぬが、サクラのほんわかした笑顔を見ていると、妾は素直に言うことを聞いてしまうのじゃ。
「うむ。ドアを開けておく」
サクラがいい子いい子と頭を撫でてくれた。
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「やあ、バーミリオン。本当にここにいるとはね」
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「久しぶりだね、バーミリオン」
「うむ。レッカ兄じゃもお元気そうじゃな」
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「へえ、変わった部室だなぁ」
きょろきょろと部屋を見回して、棚に置いてある不気味な石仮面を手に取っている。
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「おまえの兄姉ってーーー」
急にシェン君の声が途切れたので、ノートから顔を上げると、開いた戸口を見ている。
妾も振り返ってみた。
すると、そこには仁王立ちしている五番目の兄、あのフェニックスがいた。
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