上 下
13 / 70

花束をあなたに

しおりを挟む
 妾じゃ!
 空はすっかり五月晴れ。
 庭園にはバラが咲き乱れておる。
 そして、妾はというとーーー。

「バーミリオンさまぁ!!」
「ひめ様どこですかぁ!?」

 かくれんぼ・・・・・・ではないぞ。
 これは前々から考えていた絶対にやらねばならぬ極秘任務なのじゃ。
 今は中庭の垣根に隠れて東洋の忍びのように華麗に侍女たちをいておるわ。
 ゲーマーでもある妾が常日頃メタルギア何某なにがしで磨いた技を駆使して、このように宮から抜け出し、中庭のバラの庭園を潜り抜け、颯爽さっそうと兄姉たちの宮をも通り過ぎ、とある婦人に会いに行くミッション。
 何がなんでも成功させねばならぬ。
 服は地味~な灰色のワンピース。
 頭には深々と黒い帽子。
 本当はオシャレして行きたかったんじゃが、こればかりは仕方がない。
 見つかったら計画はおじゃんになるからの。
 妾がコソコソとこうしておるのも皆が反対するとわかっておるからじゃ。
 妾とて最初は子どものように素直に言うことを聞いておった。

『ひめ様、良い子にしていればすぐ会えますよ』
『バーミリオン様はワガママ言いませんよね』
『寂しくてもみんな我慢しているんですから』

 妾は聞き分けの良い子でいようとした。
 しかし、いつまでじゃ?
 先月もその前の月も、半年前も一年前も。
 会えなくなって三年も経つ。
 このままずっと会えなかったら?
 妾は九つの時に信じた侍女たちの『すぐに会えますよ』が、その場しのぎの詭弁きべんであったと知ったのじゃ。
 もちろん皆は悪意もなかったろうし、本当にそう思っていたのかもしれぬ。
 じゃが、妾はもう十二才じゃ。
 分別もつくし行儀良くもできる。
 つまり、妾が母上に会うのに何の問題があろうか!
 いやない!

 ということで、折しも今日は母の日じゃ。
 妾はお忍びで母上の宮である白薔薇の宮殿ホワイトローズパレスに行く。

        ✴︎

 そう決めて二時間半経過じゃ~~~。
 妾はいま隣の隣の隣の? 宮の庭園にたたずんでおる。
 もし獣人のように立った耳があれば、かなりへんにょりと垂れ下がっておろう。
 母上の宮は王宮の敷地内でも辺鄙へんぴな場所にあるので、幾つもの建物を通り過ぎなければならぬのじゃ。
 でも妾・・・・・・ここが誰の庭園かわからなくなってしもうた(半泣き)。
 右を見ても左を見ても、前も後ろも同じ意匠の庭なんじゃ。
 ちょっと立ち止まったら、どっちから来たかも忘れてしもうた。

「こ、ここはどこなんじゃ~~~!」

 早朝に出発したのにお天道様はもう高くなっておるし、なぜかここの庭は誰もおらぬし。
 どうなっておるんじゃ!?
 せめて庭師でもいたらの。
 こっそりつけて行けばこの厄介な庭園から出られるはずなんじゃが。
 妾はしばし、この庭園をうろうろしたあげく、疲れはててベンチに座り込んだ。
 手には果樹園になっていたりんごを握っておる。
 ぼりぼりとりんごを食べ始める。

「甘いのぉ。しかし、どうしたものか」

 すると、ふいに返事が返ってきた。

「何がですか?」
「何がって、ここから出るにはどうしたらよいのか、を・・・・・・」

 壁のような垣根の向こうから現れたのはーーー。

「んのぉ~~~!」
「なんですか、その下品な言葉づかいは」
「な、な、な、なんでここにおるんじゃ!?」

 妾の宮にいるはずの、侍女たちを束ねるボス、その名もセレスティが不機嫌そうに立っておった。
 侍女頭であるセレスティは、妾の乳母でもある。
 つまり、その・・・・・・妾のもう一人の母のようなものなのじゃ。
 すなわちその・・・・・・妾はセレスティには頭が上がらぬというか、偉そうにはできぬというか、そんな感じなのじゃ。

「バーミリオン様」
「へ、へいっ」
「なんですか、その返事は。ちゃんとなさい」
「は、はい!」
「宮の侍女も侍従も騎士たちも、皆がひめ様を心配して探していますよ。さあ、帰りましょう」
「・・・・・・か、帰らぬ」
「なんと言いました?」
「わ、妾は帰らぬ」

 ボソボソとしか声が出ないのは怖いからではないぞ。
 妾は次代の皇帝になる者。
 侍女頭の一人や二人怖がったりせぬのじゃ。
 まあ、でもちょっとセレスティは不機嫌なようなので、これ以上怒らせるのはやめとくのじゃ。
 妾はセレスティと目を合わさず、ただじっと手にした齧りかけのりんごを見つめる。
 すると、セレスティがため息をついた。

「バーミリオン様、その花束はどうされたのです?」

 ベンチにはカーネーションの花束が置いてある。

「これは・・・・・・」

 妾が言い淀むと、セレスティはそっと花束を手に取った。

「きれいに作ってありますね。庭師に頼んだのですか?」
「う、うむ。ちゃんと支払いもしたぞ。妾の小遣いでな」
「そうですか」

 怒られるかと思うたが、セレスティはじっと花束を見つめている。

「では、バーミリオン様。行きますよ」
「妾、帰らぬぞ。それを渡すまで帰らぬからな」

 今日は決死の覚悟で来たのじゃ。
 絶対絶対この花を母上にーーー。

「誰が帰ると言いました」
「えっ?」
「白薔薇の宮に行くのでしょう」

 セレスティはこともなげにそう言うと、妾の手を掴んだ。

          ✳︎

 白薔薇の宮は、その名のとおり宮殿全体が白い砂で塗られており、今日は暖かい陽の光を浴びて輝いていた。
 妾は迷っていた庭園をようやく抜けて、セレスティと宮殿の正門から中へと入る。
 侍女や侍従、騎士が常駐しているが、宮の中は静かで足音がコツコツと響いているだけじゃ。
 妾とセレスティの前を、この宮の老執事が案内してくれるが、さしもの妾も神妙にしておる。
 真っ白な壁に、静かな廊下。
 妾の宮とは大違いじゃ。
 妾の宮は廊下に色とりどりの花が盛大に飾られておるし、壁には妾の傑作の絵がたくさん飾られて、侍従や侍女がかしましく働いているからの。
 こんなに静かな宮は初めてじゃ。
 屁でもしようものならフロア中に響き渡るじゃろう。
 ここでの生活はきっと落ち着かぬな。

「ここです」

 老執事が立ち止まったのは大きな両開きの扉の前。
 妾はセレスティと目を合わせた。

「ひめ様、礼儀を忘れてはなりませんよ」
「わかっておる」

 花束を抱えた胸がバクバクして心臓が飛び出しそうじゃ。
 老執事がノックをして扉を開くと、まずは妾が部屋に進み出た。
 白い壁、白い天井、開いた窓からの風でレースのカーテンがはためいている。
 部屋はとても広かった。
 妾の寝室よりも広く、明るく、なんだか目がチカチカする。
 基本的に竜族は明るいよりも暗い方を好む。
 じゃが、この部屋は一階にあるからか壁一面が中庭に出られるようにガラス張りになっていて、陽の光が全体を満たしていた。
 そして嗅ぎなれない薬品の匂い。

「マシロ様、お客様がいらっしゃいましたよ」

 老執事の声に女性が答えた。

「あら、誰かしら?」

 セレスティにそっと背中を押され、声の方へと歩いて行く。
 大理石のテーブルが置かれた室内から右手に大きな天蓋てんがい付きのベッドがある。
 天蓋から落ちる布は左右に開かれて、真っ白なシーツに長い髪の女性が横になっていた。

「は、母上・・・・・・」

 ゆっくりと上半身を起こしたマシロ・ヘデス・ドラゴニアは青白い顔でこちらを見た。
 目は落ちくぼんで頬は痩せて、以前に会ったときよりずいぶん歳を取っている。
 妾にそう見えただけかもしれぬが。

「あなたは・・・・・・?」
「わ、妾はその・・・・・・」

 なぜか喉が詰まったようじゃ。
 母上はさらに身体を起こすと、まじまじと妾を見た。

「もしかして、バーミリオンなの?」
「う、うむ」
「まあ」

 驚いたように母上は頬に細い指を当てる。

「なんだか久しぶりな気がするわね」

 久しぶりどころか三年ぶりなのじゃが。

「とりあえず、そんなところに立ってないで。ここに来なさいな」

 ぽんぽんとベッドを叩き、母上は妾を手招いた。
 ギクシャクした足取りで母上のベッドに近づくと、さらにシーツの上に座るように促される。
 妾は言われるままにそうした。

「髪が伸びたのね。陛下と同じ燃えるような焔色。手入れもしているみたいね」
「は、母上の白い髪も綺麗じゃ」
「そう? 年寄りみたいじゃない?」

 妾はブンブンと激しく首を横に振る。
 母上は肌も髪も真っ白な陶器のように美しい。
 目の色は薄いせいでまるで透明な水をたたえたようなのじゃ。
 ドラゴニア皇帝の一族はみな真紅の髪と目をしておるが、母上は北方の出身で白竜の血を引いているので、まるで別の生き物のように美しく感じる。
 妾はちょっとだけ、自分も真っ白ならよかったなと思ったぐらいじゃ。
 ただ皇帝になるには、その血を継いでいることが見てわかるように紅くないといけないので、母上のためにも妾はドラゴニアらしい見た目を誇らなければならぬ。
 妾は抱えていた花束を母上に手渡した。

「は、母上。お祝いの花じゃ」
「あら、ありがとう。でもお祝い? わたし誕生日だったかしら?」
「今日は母の日なのじゃ」
「母の日? そうだったの」

 すっかり忘れておったらしい。
 でも母上は嬉しそうに赤いカーネーションを眺めている。

「ありがとう、バーミリオン。それで、あなた学校はどうなの?」
「学校? どうなのとは?」
「九才なら学校に行っているでしょう。友達はできたの?」

 妾はハッとして言葉に詰まった。

「あ、ああ。学校・・・・・・学校な。大丈夫じゃ。うまくやっておる。友達もたくさんじゃ」
「そう。ならよかったわ」

 にこにこしている母上は、何も不思議に思ってないようじゃ。
 ぎこちない笑顔を返す妾に、離れていたセレスティが声をかけてきた。

「バーミリオン様。そろそろお帰りになる時間です」

 母上が慌てて妾の手を掴んだ。

「まあ、もう帰ってしまうの? もう少しいたらいいのに。バーミリオンもまだ居たいわよね」
「う、うむ・・・・・・」

 しかし、セレスティが心配そうにこちらを見ているので、妾は立ち上がった。

「すまぬ、母上。また近々会いに来るので、今日はこれぐらいで失礼するのじゃ」
「そう・・・・・・」

 母上に退室の挨拶を告げると、妾はセレスティと共に部屋を出た。
 静かな白い廊下を、今度は老執事なしで戻って行く。
 白薔薇の宮を出て、兄姉たちの宮を通り過ぎ、沈黙のまま歩き続ける。
 妾の宮の庭園に入ると、ふいにセレスティが立ち止まった。

「どうしたんじゃ?」
「・・・・・・ひめ様、大丈夫ですか?」

 問われている意味がわからず、妾が首を傾げると、セレスティは白いハンカチを出して妾の顔をごしごし拭き始めた。

「痛いのじゃ!」
「ええ。わかっております」

 それでもセレスティは妾の顔を拭くのをやめなかった。
 びしょびしょになったハンカチを裏返して、今度は妾の鼻をつまむ。

「鼻ぐらい自分でかめる」

 妾はブーーーンと勢いよくかんで、そのままセレスティにハンカチを返した。

「母上は色々と忘れてしまっておるのだな」
「そうですね」
「妾はもう十二才じゃ。学校には行っておらぬし、前に会ったのは三年も前なのに」
「ええ」
「あんなにやつれてしもうて・・・・・・。妾の呪いのせいで母上は苦しんでおる」
「ひめ様のせいではありませんよ」
「妾を産んだせいじゃ」

 セレスティがそれは違うと言うのを、妾は頷きつつも聞いていなかった。

『ドラゴニア皇帝の九番目の子は呪われる』

 しかし、その呪いは本人を苦しめるものではなく、周りにいる者に降りかかる。
 母上は妾を産んだことで最初に呪われた。
 感情をたかぶらせると、妾は無意識に他人の魔力を奪ってしまう。
 母上は妾を身ごもっている間に、何度も呪いを受けてしまった。
 魔力をほとんど失ったせいで、徐々に身体の機能が衰えていき、今ではベッドから離れられない。

「セレスティ、妾決めたぞ」
「何をですか?」

 帰りついた燃え盛る炎ノ宮バーニングパレスは白薔薇の宮とは違い、騒々しかった。
 妾を探して呼ぶ声があちらこちらから聞こえる。
 ここにいれば妾は安心安全かもしれぬが、それでもーーー。

「妾は学校へ行くぞ!」

 セレスティは別段驚きもせず、ただにっこりと微笑んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

王子妃だった記憶はもう消えました。

cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。 元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。 実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。 記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。 記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。 記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。 ★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日) ●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので) ●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。  敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。 ●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

処理中です...