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39.いよいよ結婚します
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お母様が着たウエディングドレスは驚くことに私にピッタリのサイズで、私はあえてお母様と同じ髪型にしてもらって、髪に付ける花はお母様とは違って、カール様の瞳のスミレのような小花を沢山つけてもらったわ。
「綺麗…。ありがとう、エマ。」
「こちらこそ、お嬢様のそばでずっとお嬢様をお支え出来てエマは幸せでございますわ。」
「これからもよろしくね。」
「もちろんですわ。」
「ところで、ガゼルとはいつ結婚するの?」
「・・・お嬢様は何を仰っておられるのですか?」
「違うの?」
「違いません。」
「ガゼルさん…。」
「お嬢様、今、エマさんを口説いているところなのでもう少しお待ちください。」
「まぁ、まだそんな状況だったのね。」
「焦らせちゃってごめんなさいね。でも出来れば私たちが新婚旅行から帰ってきたら決まっていたら嬉しいわ。」
ちょっとむちゃぶりしすぎちゃったかしら?そんなことを思っているとドアがノックされてお父様が入って見えたわ。
「お父様、私もお母様のドレスが着れましたわ。」
「ああ、ロザリー、綺麗だよ。ロザリーは私たちの自慢の娘だ。」
「ありがとうございます。お父様、これからも甘えん坊の私をどうかよろしくお願いしますね。」
「ああ、もちろんだよ。結婚したからって、カルロスくんだけのロザリーじゃないからね。ロザリーはずっと私の可愛い娘だから甘えておくれ。」
バージンロードをお父様にエスコートされて、カール様が待つ神父様の前まで歩いて行く途中、懐かしいお母様の香りが一瞬したの、お父様も気付いたみたいで私たちは思わずニッコリ微笑んだわ。本当にお母様が来てくださっているんだわ。カール様は緊張しすぎているのか、鋭い眼差しが五割増になっていて神父様の顔が引きって、足元も震えているみたい。神父様、少しだけ頑張ってくださいね。私はそんな気持ちで神父様に微笑んだの。すると神父様はなにかを悟られたような表情をされて…それ以降、カール様を見ることはなく若干私の方を向いて無事に式を終えることが出来たの。流石プロね。あんなに鋭い眼差しのカール様が近くにいてもちゃんと最後まで式をやりきってくださったわ。こうして式を無事に終えた私たちは参列者の皆さんとゆっくり話すこともなく公爵家の離れに戻って来たの。本当はもっと色々な方とゆっくりお話ししたかったのだけど、エマに今日は早く帰ったほうがいいですわって言われたの。私だって分かっているわよ。今から本当の夫婦になるのよね。そう思っていたのになぜか体をピカピカに磨かれて、スケスケの服を着せられて?疲れて眠くなってきちゃったわ。体力をとっておかなくていいのかしら?私がウトウトしていると、ドアをノックする音がして、カール様が入って見えたわ。
「カール様、私、少し眠くなってしまって、ごめんなさい。」
「安心してくれ。明日から新婚旅行だ。。今日はこのまま寝よう。」
「でも、今日は本当の夫婦になる日ではないのですか?」
「・・・では、少ししたら起こしてもいいかい?」
「もちろんですわ。よろしくお願いしますわ。」
しばらくして、カール様に優しく起こしていただいた私は、艶っぽい声だけでは終われずに、涙も流しながらついにカール様のすべてを受け入れることが出来たの。ことばの通りですわ。自分のお腹がポコリしたのがハッキリと分かるくらいの圧が凄くて苦しくて痛くて泣いてしまいましたの。でもこの涙の半分は嬉し涙だと私は思っていますわ。ただ申し訳ないことに、新婚旅行の日程は一日ずらしてもらうことになりましたの。どうやっても腰に力が入らなくて痛くて動けなかったのです。
あれから一年が経とうとしています。新婚旅行から帰ってきたらエマとガゼルが結婚すると報告をしてくれましたわ。そして今、私のお腹には赤ちゃんがいるの。どちらに似ているのでしょうか?カール様にそっくりな男の子だったら嬉しいのですが…カール様は私にそっくりな女の子が欲しいそうです。天国のお母様、私ももうすぐお母様になるのですよ、見守っていてくださいね。
麗しのご令嬢と猛獣の結婚はその後、演劇や本にまでなって、誰もが知るところとなりました。そしてロザリーが産んだ子どもはなんと、ロザリーそっくりの可愛らしい女の子とカルロス様そっくりな男の子の双子だったことから、美女と猛獣の組み合わせは珍しいものではなくなり、その後、この国の男性が必死に筋肉をつけようとしたことはまた別のお話です。
完
※最後まで読んで下さりありがとうございましたm(_ _)mロザリーちゃんもカール様も作者も喜んでおります。番外編で、書けたら、ロザリーちゃんたちのその後の様子を書きたいなーなんて思っております。その時はよろしくお願いしますm(_ _)m
「綺麗…。ありがとう、エマ。」
「こちらこそ、お嬢様のそばでずっとお嬢様をお支え出来てエマは幸せでございますわ。」
「これからもよろしくね。」
「もちろんですわ。」
「ところで、ガゼルとはいつ結婚するの?」
「・・・お嬢様は何を仰っておられるのですか?」
「違うの?」
「違いません。」
「ガゼルさん…。」
「お嬢様、今、エマさんを口説いているところなのでもう少しお待ちください。」
「まぁ、まだそんな状況だったのね。」
「焦らせちゃってごめんなさいね。でも出来れば私たちが新婚旅行から帰ってきたら決まっていたら嬉しいわ。」
ちょっとむちゃぶりしすぎちゃったかしら?そんなことを思っているとドアがノックされてお父様が入って見えたわ。
「お父様、私もお母様のドレスが着れましたわ。」
「ああ、ロザリー、綺麗だよ。ロザリーは私たちの自慢の娘だ。」
「ありがとうございます。お父様、これからも甘えん坊の私をどうかよろしくお願いしますね。」
「ああ、もちろんだよ。結婚したからって、カルロスくんだけのロザリーじゃないからね。ロザリーはずっと私の可愛い娘だから甘えておくれ。」
バージンロードをお父様にエスコートされて、カール様が待つ神父様の前まで歩いて行く途中、懐かしいお母様の香りが一瞬したの、お父様も気付いたみたいで私たちは思わずニッコリ微笑んだわ。本当にお母様が来てくださっているんだわ。カール様は緊張しすぎているのか、鋭い眼差しが五割増になっていて神父様の顔が引きって、足元も震えているみたい。神父様、少しだけ頑張ってくださいね。私はそんな気持ちで神父様に微笑んだの。すると神父様はなにかを悟られたような表情をされて…それ以降、カール様を見ることはなく若干私の方を向いて無事に式を終えることが出来たの。流石プロね。あんなに鋭い眼差しのカール様が近くにいてもちゃんと最後まで式をやりきってくださったわ。こうして式を無事に終えた私たちは参列者の皆さんとゆっくり話すこともなく公爵家の離れに戻って来たの。本当はもっと色々な方とゆっくりお話ししたかったのだけど、エマに今日は早く帰ったほうがいいですわって言われたの。私だって分かっているわよ。今から本当の夫婦になるのよね。そう思っていたのになぜか体をピカピカに磨かれて、スケスケの服を着せられて?疲れて眠くなってきちゃったわ。体力をとっておかなくていいのかしら?私がウトウトしていると、ドアをノックする音がして、カール様が入って見えたわ。
「カール様、私、少し眠くなってしまって、ごめんなさい。」
「安心してくれ。明日から新婚旅行だ。。今日はこのまま寝よう。」
「でも、今日は本当の夫婦になる日ではないのですか?」
「・・・では、少ししたら起こしてもいいかい?」
「もちろんですわ。よろしくお願いしますわ。」
しばらくして、カール様に優しく起こしていただいた私は、艶っぽい声だけでは終われずに、涙も流しながらついにカール様のすべてを受け入れることが出来たの。ことばの通りですわ。自分のお腹がポコリしたのがハッキリと分かるくらいの圧が凄くて苦しくて痛くて泣いてしまいましたの。でもこの涙の半分は嬉し涙だと私は思っていますわ。ただ申し訳ないことに、新婚旅行の日程は一日ずらしてもらうことになりましたの。どうやっても腰に力が入らなくて痛くて動けなかったのです。
あれから一年が経とうとしています。新婚旅行から帰ってきたらエマとガゼルが結婚すると報告をしてくれましたわ。そして今、私のお腹には赤ちゃんがいるの。どちらに似ているのでしょうか?カール様にそっくりな男の子だったら嬉しいのですが…カール様は私にそっくりな女の子が欲しいそうです。天国のお母様、私ももうすぐお母様になるのですよ、見守っていてくださいね。
麗しのご令嬢と猛獣の結婚はその後、演劇や本にまでなって、誰もが知るところとなりました。そしてロザリーが産んだ子どもはなんと、ロザリーそっくりの可愛らしい女の子とカルロス様そっくりな男の子の双子だったことから、美女と猛獣の組み合わせは珍しいものではなくなり、その後、この国の男性が必死に筋肉をつけようとしたことはまた別のお話です。
完
※最後まで読んで下さりありがとうございましたm(_ _)mロザリーちゃんもカール様も作者も喜んでおります。番外編で、書けたら、ロザリーちゃんたちのその後の様子を書きたいなーなんて思っております。その時はよろしくお願いしますm(_ _)m
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