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110.ヒロインのブロッサとやっとお話しできました

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「マリーこんなところでごめんね。でもルドが大事な話の時はここを使えって言うから…。」
「とんでもないわ。ありがとう。」
図書室の奥にこんなところがあったなんてちょっとびっくりしたけど、こんな秘密の部屋を私にも使わせてもらえて光栄だわ。
「私は遠回しの言い方が苦手だからストレートに聞くけど、マリーって前世日本人であってる?」
「ええ、そうよ。私は高校三年生で大地震で亡くなったの。」
「マリーも、私も同じよ、日本の高校三年の時にあの大地震で亡くなったわ。これってゲームの世界よね?」
「ええ、私の父と母が作ったゲームの世界よ。でも、私はこのバージョンを知らなくて、知らない人ばかりで驚いちゃって。これは期間限定版みたいなの。」
やっぱり、ブロッサも日本人だったのね。嬉しいわ。前世も同い年なら親近感がわいちゃうわね。

「そうなのね。通りで、ラムルやら、予言の女神やら、納得できたわ。」
「私の前世の名前は小林紗理奈よ。たぶん両親が友達ね。」
「私は長谷川真理です。小林って、もしかしてあみちゃんのお姉さん?」
「あみちゃんを知っているの?」
「ええ、私は前世では膝から下がなくて、体も弱くてあまり学校に通えなかったの。でも時々あみちゃんが初代乙女ゲームが好きだからって一緒にやりに来てくれていたわ。たしかにあみちゃんは今日はお姉ちゃんの学校が遅い日で淋しいから来ちゃったって言いながら来てくれていたから間違えないわ。あみちゃんは来ると、いつも、お姉ちゃんの自慢話をして、お姉ちゃんならブロッサになれるとか、ピゴくん最高-って言っていて懐かしいわ。」

「それ、絶対に私の妹のあみちゃんだわ。あみちゃんが私たちをめぐり合わせてくれたのかもしれないわね。」
「私もそんな気がするわ。あみちゃんはずっとお姉ちゃんは優しくて我慢ばっかりしちゃうから真理ちゃんと似ているのって言ってたのよ。」
「私はそんなに、いい子じゃないわ。でも、あみちゃんは私のことはなんでもよく見えちゃうみたいで優しかったの…。」
さっきから、ピゴくんが落ち着かない感じね…。どうしたのかしら?
「ぴっぴーぴぴぴぴ。」
「どうしたの?ピゴくん?」
「ぴっぴ。」
「えーと、ピゴくんは言葉が分かるはずだから、五十音表を作って手でさしてもらったらどうかしら?」
「マリーって天才ね!」

「ありがとう。あみちゃんのお姉さんのブロッサに褒められるなんてすごく嬉しいわ。」
私たちはそれから五十音表を作って、(あいうえおのあれね。)ピゴくんの前に差し出したわ。
「ピゴくんどうぞ。」
「ぴっぴー。」
すごく嬉しそうね。なんて指さすのかしら・楽しみね…。
『わ・た・し・は・あ・み・で・す』
「「ぶっ!」」
転生してから一番の驚きだわ。ブロッサなんて固まって石になっちゃったわよ。そりゃそうよね、大好きな妹が人ではなくて小りすだったんですもの。
「ブロッサ、驚いているのは分かるけど、あみちゃんはピゴくんになれて嬉しそうよ。」
「そうよね。すごく嬉しそうね。」
「ぴっぴ。」
『す・ご・く・し・あ・わ・せ・よ・ぶ・ろ・っ・さ・が・お・ね・え・ち・ゃ・ん・っ・て・わ・か・っ・て・も・っ・と・し・あ・わ・せ』
「あみちゃん、私も嬉しいわ。現世もピゴくんとブロッサとしてよろしくね。」
「ぴっぴ。」
『わ・た・し・は・こ・の・あ・い・だ・て・ん・せ・い・し・て・き・た・ば・か・り・よ』

「もしかして、蛇様が動かなくなった時?」
『そ・う・そ・う・そ・の・と・き・よ・わ・た・し・は・こ・の・げーむ・を・や・っ・た・こ・と・が・あ・る・か・ら・ね・で・も・げーむ・と・ち・が・う・ひ・と・も・い・て・び・く・り・し・た・わ』
「それは、私のせいもあるかもしれないからごめんなさいね。」
「マリーが謝ることないわ。」
「私たちは私たちの意思で生きているんですもの。ここはゲームの世界じゃないわ。」
『お・ね・え・ち・ゃ・ん・カ・ッ・コ・い・い』
「ありがとう。でもこの世界ではブロッサよ。ピゴくん。これからもよろしくね。」
「ぴっぴ。」
「まさか、ラムルも元人間だったりするのかしら?」
私はそっとラムルの前に紙を差し出した。ラムルはきょとんとした後、その上にごろんと寝転んでしまったわ。なんだか安心しちゃったわ。ラムルはラムルなのね。私の作ったキャラクターに誰かが転生なんて悲しすぎるものね。もとは怪獣よ怪獣。それからも沢山、ピゴくんの(前世あみちゃん)話を聞いたわ。あみちゃんは大地震の一年後の余震で亡くなったこと。期間限定のこのゲームもやったけど、話が違い過ぎてよく分からないとのこと。隣国の双子が来ることは知っていたし、サーシャが卒業パーティーにブロッサの魔力を狙って来ることも知っていたとのこと。でもマリーはすごく困った子ですでに自分の黒魔術でお人形さんになっているか、国外追放か、平民になていたとのこと。隣国の双子も本当はブロッサとルドに執着するのだとか…。本当にめちゃくちゃね。
また今度、お菓子をここに持ってきて、三人でお話しをする約束もできたし、楽しかったわ。

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