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103.【シルバーside】魔道具作りを手伝う
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【シルバーside】
僕はルナとマルク殿に魔道具作りを手伝わせてもらえないかとお願いした。もちろん僕にも魔装具のことなら何か手伝えることがあると思ったからだけど、それよりも何かしていないと落ち着かなかった事も理由の一つだと思う。二人ともすごく喜んでくれたから僕の方がありがたかった。場所はなんと王宮の魔法省の建物の中だった。そこには、すでにマルク殿の部屋があって…。そう言うと語弊があるかもしれないが、あれは研究室という名のマルク殿専用の部屋で間違いないと思う。だって、普通にマルク殿が自分専用のカギを持っていて普通に開けて入って行ったからね。それからしばらくは、ルナの説明を聞き、仕組みを理解したマルク殿がそれにつけても疑われない発信機を作り出し、試作品は半日もかからずにできたと思う。それから少し改良を加えて、僕も手伝って一つ目を完成させたのがその日の夕方だった。久しぶりに楽しかった。やっぱりマルク殿は最高にカッコいい。頭もいいし、優しいし、妥協を許さないところもすべて尊敬できる。流石、マリーの兄上だと思った。休憩時間にマルク殿は、少しマリーを見てくるねと言って一時間くらい出て行ってしまったけど、その間は僕とルナでマルク殿のすごいところを言い合って楽しかった。ルナもマルク殿のことを師匠のように尊敬しているのだと言っていた。僕もその気持ちはよく分かる。まさかこんなにも話が合う令嬢がいるなんて思わなかった。それからマリーの話になり、ささやき草のことを思い出して二人で笑ったり、アンナを助けて倒れたマリーを思い出し涙ぐんだりした。ルナにシルバーはマリーのことが好きなんだねと言われて、返事に困っていたら、マリーのことが嫌いな人なんていないよ、私も大好きだものと言ってくれた。僕もそうだねとだけ答えた。ルナは私たちが尊敬するマルク様の妹だもの当たり前よって威張って笑わしてくれた。ありがたかった。
二日目、僕たちは頑張ってなんとかすべてを完成させた。ルナは何度もお礼を言っていた。マルク殿はいまのマリーは少しだけ指が動かせるようになっていると僕たちに教えてくれた。嬉しかった。ルナもマリーが頑張っているなら私も頑張らなくっちゃと言っていた。そして無事にサーシャに発信機がばれることなく渡せて呪いが解けたら一緒にマリーに会いに行くと約束をした。あれから二日経つ。ルナはサーシャに魔道具を渡し終え、無事に呪いを解くことに成功した。そして今日ルナからびっくりする話を聞かされた。魔力爆発で亡くなったと思われていた両親が生きていたと…。本当なら喜ぶ話なのに、とても喜べる話ではなかった。もともとルナは両親のことを恐れていたし、生きていたと言っても、魔力を吸収する道具としてサーシャに使われているのだった。そして自分が作った魔道具がそのために使われると…。聞いているだけで耐えがたい内容だった。マリーもそうだけど、どうしてこんなにもいい子にばかりつらいことがおきるのだろう。神様は何をお考えなのか…。でもルナは負けないわと僕に笑顔を見せた。明日一緒にマリーに会いに行こうと言ってくれた。
マリーが動いている?ブラックリリー公爵邸について目の前の光景が信じられなかった。マリーがこちらに向かって歩いてくる。でもにっこり笑った瞬間、がくんと力が抜けたように倒れていった。もちろんアーサー殿が隣で支えてくれているが、びっくりした。マリーはアーサー殿にマリー気を抜いちゃだめでしょうと注意されていたが、全く気にしていないようで僕たちに向かってすごいでしょと言ってきた。やっぱりまだ好きだ。こんなに前向きでいつも笑顔で綺麗な瞳で微笑んでくれて…。僕のことを忘れないでいてくれてありがとう。一年三か月で目覚めてくれてありがとう。友達一号にしてくれてありがとう。僕は心の中で沢山お礼を言った。でも口からは、自分を大切にするって約束したのにさようならは酷くないって言っていた。マリーは青ざめてごめんなさいと言っていた。アーサー殿もマリーが死のうとしていたと知って、流石にマリーを叱っていた。ルナにも散々怒られていた。ちょっと可哀想だったかな。でもこれくらいしてもマリーは誰かが危険になったら結局助けるんだろうな。だからマリーのそばにいるのは僕ではだめなんだ。アーサー殿じゃないと…。アーサー殿はたぶん一番強いと思う。魔力量も魔法の技術も、知識もすべてにおいてずば抜けている。もしかしたらマリーの為に頑張ってきたのかもしれない。
それから約半年経った。もうすぐ僕たちは最高学年になる。そしてマリーが学園に帰って来る。今度はアーサー殿とマルク殿も一緒だから少し楽しみだ。実はあれから僕とルナは毎日のようにマルク殿の魔道具を作る部屋にお邪魔させてもらっていた。これが想像以上に楽しい時間で、マルク殿のことをもっと尊敬するようになった。それにルナと話している時はそのままの自分でいられる気がする。ルナはマルク殿のことをお師匠様と呼んでいる。その気持ちはよく分かる。マルク殿は同じ人間とは思えないくらい何でも生み出してしまうから。こんなに気の合う友ができるとは思いもしなかった。
いつも読んで下さりありがとうございます。長かったお話も、あと二十話で完結となります。もし良ければもう少しだけお付き合い下さい。
僕はルナとマルク殿に魔道具作りを手伝わせてもらえないかとお願いした。もちろん僕にも魔装具のことなら何か手伝えることがあると思ったからだけど、それよりも何かしていないと落ち着かなかった事も理由の一つだと思う。二人ともすごく喜んでくれたから僕の方がありがたかった。場所はなんと王宮の魔法省の建物の中だった。そこには、すでにマルク殿の部屋があって…。そう言うと語弊があるかもしれないが、あれは研究室という名のマルク殿専用の部屋で間違いないと思う。だって、普通にマルク殿が自分専用のカギを持っていて普通に開けて入って行ったからね。それからしばらくは、ルナの説明を聞き、仕組みを理解したマルク殿がそれにつけても疑われない発信機を作り出し、試作品は半日もかからずにできたと思う。それから少し改良を加えて、僕も手伝って一つ目を完成させたのがその日の夕方だった。久しぶりに楽しかった。やっぱりマルク殿は最高にカッコいい。頭もいいし、優しいし、妥協を許さないところもすべて尊敬できる。流石、マリーの兄上だと思った。休憩時間にマルク殿は、少しマリーを見てくるねと言って一時間くらい出て行ってしまったけど、その間は僕とルナでマルク殿のすごいところを言い合って楽しかった。ルナもマルク殿のことを師匠のように尊敬しているのだと言っていた。僕もその気持ちはよく分かる。まさかこんなにも話が合う令嬢がいるなんて思わなかった。それからマリーの話になり、ささやき草のことを思い出して二人で笑ったり、アンナを助けて倒れたマリーを思い出し涙ぐんだりした。ルナにシルバーはマリーのことが好きなんだねと言われて、返事に困っていたら、マリーのことが嫌いな人なんていないよ、私も大好きだものと言ってくれた。僕もそうだねとだけ答えた。ルナは私たちが尊敬するマルク様の妹だもの当たり前よって威張って笑わしてくれた。ありがたかった。
二日目、僕たちは頑張ってなんとかすべてを完成させた。ルナは何度もお礼を言っていた。マルク殿はいまのマリーは少しだけ指が動かせるようになっていると僕たちに教えてくれた。嬉しかった。ルナもマリーが頑張っているなら私も頑張らなくっちゃと言っていた。そして無事にサーシャに発信機がばれることなく渡せて呪いが解けたら一緒にマリーに会いに行くと約束をした。あれから二日経つ。ルナはサーシャに魔道具を渡し終え、無事に呪いを解くことに成功した。そして今日ルナからびっくりする話を聞かされた。魔力爆発で亡くなったと思われていた両親が生きていたと…。本当なら喜ぶ話なのに、とても喜べる話ではなかった。もともとルナは両親のことを恐れていたし、生きていたと言っても、魔力を吸収する道具としてサーシャに使われているのだった。そして自分が作った魔道具がそのために使われると…。聞いているだけで耐えがたい内容だった。マリーもそうだけど、どうしてこんなにもいい子にばかりつらいことがおきるのだろう。神様は何をお考えなのか…。でもルナは負けないわと僕に笑顔を見せた。明日一緒にマリーに会いに行こうと言ってくれた。
マリーが動いている?ブラックリリー公爵邸について目の前の光景が信じられなかった。マリーがこちらに向かって歩いてくる。でもにっこり笑った瞬間、がくんと力が抜けたように倒れていった。もちろんアーサー殿が隣で支えてくれているが、びっくりした。マリーはアーサー殿にマリー気を抜いちゃだめでしょうと注意されていたが、全く気にしていないようで僕たちに向かってすごいでしょと言ってきた。やっぱりまだ好きだ。こんなに前向きでいつも笑顔で綺麗な瞳で微笑んでくれて…。僕のことを忘れないでいてくれてありがとう。一年三か月で目覚めてくれてありがとう。友達一号にしてくれてありがとう。僕は心の中で沢山お礼を言った。でも口からは、自分を大切にするって約束したのにさようならは酷くないって言っていた。マリーは青ざめてごめんなさいと言っていた。アーサー殿もマリーが死のうとしていたと知って、流石にマリーを叱っていた。ルナにも散々怒られていた。ちょっと可哀想だったかな。でもこれくらいしてもマリーは誰かが危険になったら結局助けるんだろうな。だからマリーのそばにいるのは僕ではだめなんだ。アーサー殿じゃないと…。アーサー殿はたぶん一番強いと思う。魔力量も魔法の技術も、知識もすべてにおいてずば抜けている。もしかしたらマリーの為に頑張ってきたのかもしれない。
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