愛されたくて悪役令嬢になりました ～前世も今もあなただけです～

98.久しぶりにブラックリリー公爵家に帰ってきました

「ただいま帰りました。」
「マリー、マリーがしゃべっている。」
お父様が号泣しちゃったわ。心配かけてしまったわね。
「アーサー、マリーを私に抱かせてくれ。」
お父さんに渡された私は苦しいくらいに抱きしめられた。
「本当に体が動かないのだね。」
「いまだけですから、安心してください。」

あら、お母様も泣いているわ。
「マリー、あなたはお転婆で我がままで困った子だったけど、時には以前のように我がままを言ってもいいのよ。お母様はどんなマリーでも大好きですからね。」
「お母様…。」
「お父様、私、そろそろ自分の部屋で休みたいです。」

「そうか、マリー安心しなさい。お父様がマリーの為にそこら中に転移陣を作っておいたから。」
「まずは、部屋だね。」
そう言ってお父様がピンクの輪が書いてあるところに乗ると、あっという間に私の部屋の中についた。すごいわ、流石お父様ね。転移陣は、二十個ほどあるらしい。他にも色々と作ったには、作ったらしいけど、すべてお母様に気持ちが悪いと却下されたらしいわ。動くスプーンとかフォークとか椅子とか…色々、お母様ありがとうございます。

「まずはゆっくりしなさい。」
そう言って、サリー以外はみんな外に出て行ってくれたので、サリーに湯あみをしてもらい、遠慮なく眠らせてもらうことにしたわ。だって、みんなの前で話すのも緊張したけど、本当はずっとアーサーに抱っこされていたから、アーサーの息が私の首筋にかかるし、ずっと間近で見つめられるし、どきどきしっぱなしで限界だったの。もしかしてこれが超ラブラブモード？私の心臓、大丈夫かしら？とりあえずいまはぐっすり寝ましょう。私は久しぶりに自分の部屋で安心したのか、すぐに眠りについたわ。

えっ？…。この状況はどういうことかしら？どうして私の横でアーサーが寝ているの？私ったらまだ寝ぼけているのかしら？でも顔しか動かせないからやっぱり、現実の世界よね…。アーサーのまつ毛って、前から思っていたけどすごく長いわね。あの髪に触りたい…。ちょっとだけ癖のあるアーサーの髪、黒色だから硬そうに見えるけどそんなことないのよね。触りたいのに手が動かないわ。

「あれ、マリー起きていたの？やっぱり手を繋いで寝ないと気づけないね。」
「アーサー何を言っているの？なんで私のベッドで一緒に寝ているのよ。」
「約束したでしょ。マリーが寝ている間、僕はずっとそばにいるから安心してって。」
アーサーがこれ以上の幸せはないってくらい嬉しそうに微笑んでくれているけど、この誤解は解かないと、私の心臓がもたないわ。
「アーサー、あの時はサーシャのことやラムルのことでくたくたになっていたから、アーサーに抱っこしてもらって眠ってしまったし、たしかに、アーサーがずっとそばにいるって聞いて安心して眠れたわ。でも家の中では、添い寝はしなくても大丈夫なのよ。」

「そうなの？迷惑だった？マリーはまだ動けないんだよ。起きた時にトイレに行きたくなったらどうするの？」
「ひっ、そういう恥ずかしいことをどうしてはっきり聞くのよ！でもどうしたら良いのかしら？」
「そうだろう。だから僕と手を繋いで寝ようよ。」
「それとも僕以外の誰かがいい？マルクやサリーの方がいい？」
サリーの方がいいって言いたいけど言いづらいわね。ちょっと待って、別に声で知らせればいいんじゃないかしら？
「アーサー、私、起きたら声は出るんだからサリーを呼ぶわ。サリーは隣の部屋じゃない。」

「お嬢様よく気付きましたね。その通りです。私を呼んでください。ただ、ずっとお嬢様が眠り続けたせいで、アーサー様はかなり神経質になられております。どちらかというとアーサー様がお嬢様の隣でないと熟睡できないのではないでしょうか？」
「それは大変じゃないの。アーサー寝れないの？」
「うん、たぶん、マリーの寝顔を見ていないと僕は心配で寝れないよ。横で寝るだけだから許して。」
「もしかして、私が眠り続けている時もそうしていたの？」
「うん、ごめんね。最初はサリーだけが添い寝していたんだけど、それだとサリーはずっとぐっすり寝れないだろう？だからたまに交代させてもらってたんだ。」

「それは仕方ないことだものね。」
「でも僕はマリーに怒られると思ってキスもしてないからね。」
「アーサー、キ、キ、キッスって当たり前です。大体お父様たちには、なんて言うのよ。」
「父上は、添い寝だけならいいって許してくれたよ。」
「えっ？聞いたの？ていうか、父上？」
「マリーの婚約者になる時に父上と呼ぶようにって言ってくださったんだ。だからいまは、父上に母上って呼んでいるんだよ。」

「そうなのね。それはなんだか嬉しいわ。」
「母上は、別に来年学園を卒業して落ち着いたら、すぐに結婚して夫婦になるんだから節度ある接し方なら何でもいいわよって言ったくれたよ。」
「結婚…夫婦…サリー私はまだ夢の中なのかしら？」
「お嬢様そう何度も夢の中に入ったままにならないでください。」
「そうね、ごめんなさい。私としてはまだ学園にこの間入学したばかりのような気がして…。」

「お嬢様がのんびりしていらっしゃるから一二年生はお嬢様には残念ながら無くなりましたね。最後の三年生も頑張らないと間に合うか分かりませんよ。」
「そんなの嫌よ。絶対に間に合わせるわ。」
だって、せっかく、ゲームの強制力も無くなったって聞いたから私にはやりたいことが沢山あるのよ。

①ヒロインと攻略対象者の恋愛をこの目に焼き付けるのよ。もう悪役令嬢だってびくびくしなくていいんだもの。
②ヒロインと仲良くなって、ヒロインの癒しのマイナスイオンをいっぱい浴びたいわ。うふふ。
③他にも沢山お友達を作って学園生活を楽しむの。学園祭にも参加したいわ。
④アーサーと堂々とデートができるんですものデートもしたいわね。

私にはこんなに沢山の野望があるんですからね。リハビリ頑張るわよ。