96 / 123
96.サーシャを捕まえるための作戦を考えます
しおりを挟む
「呪いよ。私が約束を破ったらこの呪いの蛇が私の心臓を締め付けて私は死ぬわ。あと三日でサーシャが魔道具を取りに来るの。その時に私が魔道具を渡さなければ呪いが発動するわ。」
「なんて恐ろしい、ブロッサ呪いを解いてあげて。」
「それはだめです。」
「リック様、どうしてですか?」
「呪いは解いたらすぐに術者にばれてしまいます。裏切ったとみなされれば、男爵家の者が殺される可能性があります。解くにしても、サーシャを捕まえてからにしないと…。ですがこの色の呪いの蛇ならそれほど強くはないので、魔道具を渡しさえすれば呪いは自然に解けますけどね。」
流石、魔法学の先生だわ。でも魔道具は渡せないし…。
「そうなんですね。では、どうすれば。」
「そんなの簡単よ。魔道具を作って渡しちゃいなさい。私は大丈夫だから。ついでに居場所が分かる発信機でもつけておいてくれると助かるけど、ルナできる?」
「作れるとは思うけど、三日で作り上げるのは自信がないわ。」
「僕が手伝おうか?」
「マルク様がですか?」
「うん、マリーが学園ではお世話になっていたみたいだね。ありがとう。」
「ありがとうございます。マルク様のお知恵をいただけるなら、大丈夫だと思います。」
「ルナがうらやましいわ。私も一緒にやりたい…。」
「ブロッサは魔道具に詳しくないだろう。時間が無いんだ、邪魔はするなよ。」
「たしかにルドが言う通りね。ルナ、ごめんなさい。頑張って完成させてね。」
「やっぱり、ブロッサは優しいのね。」
「そうよ、ブロッサは、本当に素敵なんだから。」
「だからどうして、マリーが自分のことでもないのに自慢しているのよ。」
「あら、ごめんなさい。嫌だった?」
「別に本当のことだからいいけど、病み上がりのマリーは今回は休んでいなさいよ。」
「ありがとう、ブロッサ。でも手伝いたくても何も出来そうにないわ。」
「そうね。今度は私とルドで十分だからそれでいいのよ。そうでしょルド?」
「ああ、ブロッサのいう通りだ。先程も言ったが、卒業パーティーまでまだ一年以上ある。その間に学生たちを人質にする計画を逆手にとって、結界で囲んで捕まえればいいだろう。なんなら、ルーサ殿に助言をいただくこともできる。発信機があれば、それまでの行動も分かるからどうやって魔力を貯めていたかも分かるだろう。」
わぁ、ルドが以前より、しっかりして見えるわ。
「学園でのことになるので、リック殿にもお手伝いいただくことになります。結界の方はまたマルク殿やアーサー殿に頼むことになると思いますが、皆さんよろしくお願いします。」
「私にも手伝わせてください。」
「もちろんだ、ルナ、よろしく頼むよ。」
「ありがとうございます。」
「あの、国王陛下、一つ質問をしてもいいですか?」
「もちろんだ、マリー嬢。なんでも聞いておくれ。」
「ありがとうございます。ブローサ様もどうやってこんなに早く魔力を貯めているのかが本当に不思議だと言っていたのです。千年でも今回のサーシャの貯め方は早すぎるようなのです。千年前にブローサ様はサーシャの殆どの魔力を吸い取ったそうなのです。魔の森の瘴気を使っても早すぎると言っていました。何かご存じありませんか?」
「これが関係あるのかは分からないが、チェリー男爵家の地下室に瘴気を貯める魔道具を作らせる部屋とは別にもう一つ異様な部屋があったのだ。こちらは宰相の方が詳しいな。ジルド話してやってくれ。」
「かしこまりました。その部屋は異様な魔力と瘴気の塊のような部屋でした。チェリー男爵はその部屋には神しか入ってはいけないと心底恐れており、その部屋に入ったことはないと言っておりました。その部屋には四人の人間が神の水に体をつけられた状態で横たわっており、魔道具のようなものを胸の所に付けられていたそうです。全く食事を与えないのに死なないのだと…。チェリー男爵の仕事は小窓から一日一回瘴気の魔道具を投げ込むことだったそうです。この仕事は神に頼まれ、代々チェリー男爵がやってきたのだと言っております。昼夜問わずその部屋からはうめき声が聞こえたそうです。」
「いまはその四人の方はどうされているのですか?」
「チェリー男爵を捕らえた時はすでに誰もいなかったのです。ですがこの話が真実だとすると、四人の方は、人間ではなく魔族だと思われます。」
「魔族…。」
「そして、神の水と言っていたのはたぶん瘴気の泉でしょう。マリー嬢が眠っていたように、大量の瘴気で深い眠りにつかせながら、もしかすると、サーシャは魔力を吸収しているのかもしれません。」
「なんて恐ろしい…。」
「国王陛下、サーシャに私が頼まれている魔力を貯める魔道具は強力で、無理やり吸収するタイプのものです。それも四つです。その時にサーシャが魔道具が古くて吸収が悪いと言っていたのを聞きました。」
「どうやら当たりのようだな。でもどうして、ルーサ殿でもその場所を感知できなかったのか?」
「これは私の推測ですが、瘴気が強すぎて感知できなくしているか、直接魔力の核から吸収することで、外に魔力が漏れ出ないようにしているのかもしれません。直接魔力の核から魔力を抜かれるのは拷問だと聞きます。相当その方々は苦しんでいるはずです。ですが、サーシャなら平気でやるでしょう。」
私たちは全員何も言えなくなってしまった。しばらくして話し出したのは意外にもレッドだった。
「俺、その場所分かるかも知れません。」
「「「はぁ?」」」レッドって本当に時々びっくりすること言い出すのよね。ある意味天才だわ。
「なんて恐ろしい、ブロッサ呪いを解いてあげて。」
「それはだめです。」
「リック様、どうしてですか?」
「呪いは解いたらすぐに術者にばれてしまいます。裏切ったとみなされれば、男爵家の者が殺される可能性があります。解くにしても、サーシャを捕まえてからにしないと…。ですがこの色の呪いの蛇ならそれほど強くはないので、魔道具を渡しさえすれば呪いは自然に解けますけどね。」
流石、魔法学の先生だわ。でも魔道具は渡せないし…。
「そうなんですね。では、どうすれば。」
「そんなの簡単よ。魔道具を作って渡しちゃいなさい。私は大丈夫だから。ついでに居場所が分かる発信機でもつけておいてくれると助かるけど、ルナできる?」
「作れるとは思うけど、三日で作り上げるのは自信がないわ。」
「僕が手伝おうか?」
「マルク様がですか?」
「うん、マリーが学園ではお世話になっていたみたいだね。ありがとう。」
「ありがとうございます。マルク様のお知恵をいただけるなら、大丈夫だと思います。」
「ルナがうらやましいわ。私も一緒にやりたい…。」
「ブロッサは魔道具に詳しくないだろう。時間が無いんだ、邪魔はするなよ。」
「たしかにルドが言う通りね。ルナ、ごめんなさい。頑張って完成させてね。」
「やっぱり、ブロッサは優しいのね。」
「そうよ、ブロッサは、本当に素敵なんだから。」
「だからどうして、マリーが自分のことでもないのに自慢しているのよ。」
「あら、ごめんなさい。嫌だった?」
「別に本当のことだからいいけど、病み上がりのマリーは今回は休んでいなさいよ。」
「ありがとう、ブロッサ。でも手伝いたくても何も出来そうにないわ。」
「そうね。今度は私とルドで十分だからそれでいいのよ。そうでしょルド?」
「ああ、ブロッサのいう通りだ。先程も言ったが、卒業パーティーまでまだ一年以上ある。その間に学生たちを人質にする計画を逆手にとって、結界で囲んで捕まえればいいだろう。なんなら、ルーサ殿に助言をいただくこともできる。発信機があれば、それまでの行動も分かるからどうやって魔力を貯めていたかも分かるだろう。」
わぁ、ルドが以前より、しっかりして見えるわ。
「学園でのことになるので、リック殿にもお手伝いいただくことになります。結界の方はまたマルク殿やアーサー殿に頼むことになると思いますが、皆さんよろしくお願いします。」
「私にも手伝わせてください。」
「もちろんだ、ルナ、よろしく頼むよ。」
「ありがとうございます。」
「あの、国王陛下、一つ質問をしてもいいですか?」
「もちろんだ、マリー嬢。なんでも聞いておくれ。」
「ありがとうございます。ブローサ様もどうやってこんなに早く魔力を貯めているのかが本当に不思議だと言っていたのです。千年でも今回のサーシャの貯め方は早すぎるようなのです。千年前にブローサ様はサーシャの殆どの魔力を吸い取ったそうなのです。魔の森の瘴気を使っても早すぎると言っていました。何かご存じありませんか?」
「これが関係あるのかは分からないが、チェリー男爵家の地下室に瘴気を貯める魔道具を作らせる部屋とは別にもう一つ異様な部屋があったのだ。こちらは宰相の方が詳しいな。ジルド話してやってくれ。」
「かしこまりました。その部屋は異様な魔力と瘴気の塊のような部屋でした。チェリー男爵はその部屋には神しか入ってはいけないと心底恐れており、その部屋に入ったことはないと言っておりました。その部屋には四人の人間が神の水に体をつけられた状態で横たわっており、魔道具のようなものを胸の所に付けられていたそうです。全く食事を与えないのに死なないのだと…。チェリー男爵の仕事は小窓から一日一回瘴気の魔道具を投げ込むことだったそうです。この仕事は神に頼まれ、代々チェリー男爵がやってきたのだと言っております。昼夜問わずその部屋からはうめき声が聞こえたそうです。」
「いまはその四人の方はどうされているのですか?」
「チェリー男爵を捕らえた時はすでに誰もいなかったのです。ですがこの話が真実だとすると、四人の方は、人間ではなく魔族だと思われます。」
「魔族…。」
「そして、神の水と言っていたのはたぶん瘴気の泉でしょう。マリー嬢が眠っていたように、大量の瘴気で深い眠りにつかせながら、もしかすると、サーシャは魔力を吸収しているのかもしれません。」
「なんて恐ろしい…。」
「国王陛下、サーシャに私が頼まれている魔力を貯める魔道具は強力で、無理やり吸収するタイプのものです。それも四つです。その時にサーシャが魔道具が古くて吸収が悪いと言っていたのを聞きました。」
「どうやら当たりのようだな。でもどうして、ルーサ殿でもその場所を感知できなかったのか?」
「これは私の推測ですが、瘴気が強すぎて感知できなくしているか、直接魔力の核から吸収することで、外に魔力が漏れ出ないようにしているのかもしれません。直接魔力の核から魔力を抜かれるのは拷問だと聞きます。相当その方々は苦しんでいるはずです。ですが、サーシャなら平気でやるでしょう。」
私たちは全員何も言えなくなってしまった。しばらくして話し出したのは意外にもレッドだった。
「俺、その場所分かるかも知れません。」
「「「はぁ?」」」レッドって本当に時々びっくりすること言い出すのよね。ある意味天才だわ。
0
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】悪役令嬢エヴァンジェリンは静かに死にたい
小達出みかん
恋愛
私は、悪役令嬢。ヒロインの代わりに死ぬ役どころ。
エヴァンジェリンはそうわきまえて、冷たい婚約者のどんな扱いにも耐え、死ぬ日のためにもくもくとやるべき事をこなしていた。
しかし、ヒロインを虐めたと濡れ衣を着せられ、「やっていません」と初めて婚約者に歯向かったその日から、物語の歯車が狂いだす。
――ヒロインの身代わりに死ぬ予定の悪役令嬢だったのに、愛されキャラにジョブチェンしちゃったみたい(無自覚)でなかなか死ねない! 幸薄令嬢のお話です。
安心してください、ハピエンです――
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる