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80.ブルサンダー公爵家の人たちを助けます①
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アーサーをペットにするですって、リック様がどれだけ苦しかったか…。許さない。絶対に許さない。まずはリック様の治療をしないと。
「アーサー、リック様に触れてはだめよ。絶対にだめだからね。」
「マリーごめんね、僕に助けさせて。僕の兄上なんだ。僕思い出したんだ。僕の二歳の誕生日の朝にこっそり僕の部屋に来て僕の髪を撫でてくれたんだ。綺麗な髪だねって。アーサーは魔獣の子じゃないよって。僕の弟だからねって。アーク殿のことは何となく覚えていたけど、リック殿のことはいまのいままですっかり忘れていたんだ。今度は僕が助けなきゃ。」
「アーサー絶対にだめよ。リック様の苦労が水の泡になるかもしれないのよ。」
「マリー、僕は母上なんかに負けないよ。ペットになんか絶対にならないよ。」
「アーサーは本当に頑固ね、分かったわ、ルーサ様がみえたら一緒に中に入りましょう。」
「ありがとうマリー。」
「後ろにいるよ。」
「ルーサ様。」
「すべて理解したけどね、これはかなりまずいよ。よーく聞くんだよ。まずはアーサー、中に入ってリックに触れた瞬間、マリーのことも何もかも分からなくなるよ。心が破壊されるからね。」
「マリーのことも…。」
「そうさ、でも、アーサーがリックに触れなければ、リックの心が壊れるね。」
「酷すぎるわ。」
「そうさ、だから言っただろう。これはかなりまずい状態だって、そこでだ、マリーの出番だ。リックの黒魔法を一時的に吸い取っておやり。」
「私にできるんですか?」
「ああ、マリーならね。マリーは本来、黒魔法が一番適している体質なんだよ。」
「へなちょこなのに、ちょっと、信じられませんね。」
「まぁ、役に立つんだから贅沢言うんじゃないよ。それからその黒魔法をアーサーにかけるんだ。」
「絶対に嫌です。」
「大丈夫だよ。忘れたのかい、マリーの黒魔法はちょろちょろしか出ないだろうが。」
「ああ、そうでした…。」
「そうしたらたぶんリックのアンクレットは外れるよ。アーサーもそんなへなちょこ黒魔法なんてなんともないし、リックの苦痛も綺麗に消えるさ。もちろんマリーにも、被害はないよ。」
「流石、ルーサ様です。急いで行います。アーサー行きましょう。」
「うん、マリーよろしくね。」
私はルーサ様に言われた通り、まずはリック様の黒魔法を吸い取った。たしかにちっとも苦しくないわね。リック様の顔色は少しだけ戻ってきたけど、まだ、アンクレットはやっぱり外れない。私はアーサーの手を握って、
「アーサー黒魔法をいれるわよ。」
「うん、お願い。」
偉そうに言ったけど、魔法はやっぱりへなちょこで、ちょろちょろ出るだけ。
「マリーもうちょっといいよ。」
って、アーサーに言われてカッコ悪かったわ。全く遠慮なんてしていません。
でも、アーサーに魔法をかけ続けること約五分、やっとアンクレットがぱりんと二つに割れてくれた。成功したのかしら?リック様も意識を戻したし…。でもどうしてアーサーをじっと見つめたまま誰もしゃべらないのかしら?あれ、私の手首のブレスレットが今、反応したような?
「ちっ、二重魔法かい。手の込んだことをしてくれるね。」
「ルーサ様なにが起こったんですか?」
「アーサーの魔力が半分くらい消えたんだよ。」
「アーサーの魔力が。」
「もちろんマリーは悪くないよ。誰かに取られたんだ。でも全部は取れなかったみたいだね。」
「そんな…。」
「大体こんなアンクレットを普通の貴族が手に入れられる訳がないんだよ。どうやらお前たちの母親もずっと操られていたのかもしれないね。魔女のサーシャに。アンクレットが割れた時にはっきりとあの子の魔力を感じたよ。」
「魔女のサーシャ?」
「もっと、早く気付くべきだったね。本当に同じ魔女として申し訳ないよ。ここまで力に執着していたとはね。どうやらアーサーはサーシャに目をつけられてしまったんだね。魔女は赤ん坊が生まれる前から大体の魔力量や魔力の質が分かるんだよ。お前たちの母親が変わったのはその頃ではないかい?」
明らかにアーク様の顔色が変わった。
「母上が変わったのはたしかにアーサーがお腹にいるようになってからです。それまでは僕にも優しい母上でした。僕はそれまで実の母だと思っていましたから…。」
「それでは、僕の記憶の中にいる母上は…。」
リック様の目に涙が溜まっている。
「操られる前の本当の姿だろうね。」
「アーク、リック、アーサーすまない。夫である私が気付いてやるべきだったのに…。」
「それは無理だね。魔女の私ですら無理だったんだ。普通の人間に分かるはずがないよ。」
こんなに緊張感漂う会話の最中に、私とアーサーは黒魔法をかけていた状態のまま放置されていたため、手を繋いだままなのだけど、その繋いでいる所に丁度あるブレスレットから上半身だけが出ているたぶんブローサ様?が、軽い感じで話しかけてきている。なんだか魔法のランプの妖精さんみたいね。
「アーサーにも見えているよね。」
「うん、マリーがびっくりしていないってことは知り合い?」
「たぶん、夢の中で一度お会いしているわ。初代予言の女神様、ブローサ様よ。」
「流石、マリーちゃん、そう、その通りよ。他の人には聞こえていないのかしらね。もしもーし、誰も悪くないわよ。あのね、そこで泣いているリック君、アーサーの魔力は大丈夫だから、も~聞いてちょうだい。急いでいるのよ。」
「アーサー、リック様に触れてはだめよ。絶対にだめだからね。」
「マリーごめんね、僕に助けさせて。僕の兄上なんだ。僕思い出したんだ。僕の二歳の誕生日の朝にこっそり僕の部屋に来て僕の髪を撫でてくれたんだ。綺麗な髪だねって。アーサーは魔獣の子じゃないよって。僕の弟だからねって。アーク殿のことは何となく覚えていたけど、リック殿のことはいまのいままですっかり忘れていたんだ。今度は僕が助けなきゃ。」
「アーサー絶対にだめよ。リック様の苦労が水の泡になるかもしれないのよ。」
「マリー、僕は母上なんかに負けないよ。ペットになんか絶対にならないよ。」
「アーサーは本当に頑固ね、分かったわ、ルーサ様がみえたら一緒に中に入りましょう。」
「ありがとうマリー。」
「後ろにいるよ。」
「ルーサ様。」
「すべて理解したけどね、これはかなりまずいよ。よーく聞くんだよ。まずはアーサー、中に入ってリックに触れた瞬間、マリーのことも何もかも分からなくなるよ。心が破壊されるからね。」
「マリーのことも…。」
「そうさ、でも、アーサーがリックに触れなければ、リックの心が壊れるね。」
「酷すぎるわ。」
「そうさ、だから言っただろう。これはかなりまずい状態だって、そこでだ、マリーの出番だ。リックの黒魔法を一時的に吸い取っておやり。」
「私にできるんですか?」
「ああ、マリーならね。マリーは本来、黒魔法が一番適している体質なんだよ。」
「へなちょこなのに、ちょっと、信じられませんね。」
「まぁ、役に立つんだから贅沢言うんじゃないよ。それからその黒魔法をアーサーにかけるんだ。」
「絶対に嫌です。」
「大丈夫だよ。忘れたのかい、マリーの黒魔法はちょろちょろしか出ないだろうが。」
「ああ、そうでした…。」
「そうしたらたぶんリックのアンクレットは外れるよ。アーサーもそんなへなちょこ黒魔法なんてなんともないし、リックの苦痛も綺麗に消えるさ。もちろんマリーにも、被害はないよ。」
「流石、ルーサ様です。急いで行います。アーサー行きましょう。」
「うん、マリーよろしくね。」
私はルーサ様に言われた通り、まずはリック様の黒魔法を吸い取った。たしかにちっとも苦しくないわね。リック様の顔色は少しだけ戻ってきたけど、まだ、アンクレットはやっぱり外れない。私はアーサーの手を握って、
「アーサー黒魔法をいれるわよ。」
「うん、お願い。」
偉そうに言ったけど、魔法はやっぱりへなちょこで、ちょろちょろ出るだけ。
「マリーもうちょっといいよ。」
って、アーサーに言われてカッコ悪かったわ。全く遠慮なんてしていません。
でも、アーサーに魔法をかけ続けること約五分、やっとアンクレットがぱりんと二つに割れてくれた。成功したのかしら?リック様も意識を戻したし…。でもどうしてアーサーをじっと見つめたまま誰もしゃべらないのかしら?あれ、私の手首のブレスレットが今、反応したような?
「ちっ、二重魔法かい。手の込んだことをしてくれるね。」
「ルーサ様なにが起こったんですか?」
「アーサーの魔力が半分くらい消えたんだよ。」
「アーサーの魔力が。」
「もちろんマリーは悪くないよ。誰かに取られたんだ。でも全部は取れなかったみたいだね。」
「そんな…。」
「大体こんなアンクレットを普通の貴族が手に入れられる訳がないんだよ。どうやらお前たちの母親もずっと操られていたのかもしれないね。魔女のサーシャに。アンクレットが割れた時にはっきりとあの子の魔力を感じたよ。」
「魔女のサーシャ?」
「もっと、早く気付くべきだったね。本当に同じ魔女として申し訳ないよ。ここまで力に執着していたとはね。どうやらアーサーはサーシャに目をつけられてしまったんだね。魔女は赤ん坊が生まれる前から大体の魔力量や魔力の質が分かるんだよ。お前たちの母親が変わったのはその頃ではないかい?」
明らかにアーク様の顔色が変わった。
「母上が変わったのはたしかにアーサーがお腹にいるようになってからです。それまでは僕にも優しい母上でした。僕はそれまで実の母だと思っていましたから…。」
「それでは、僕の記憶の中にいる母上は…。」
リック様の目に涙が溜まっている。
「操られる前の本当の姿だろうね。」
「アーク、リック、アーサーすまない。夫である私が気付いてやるべきだったのに…。」
「それは無理だね。魔女の私ですら無理だったんだ。普通の人間に分かるはずがないよ。」
こんなに緊張感漂う会話の最中に、私とアーサーは黒魔法をかけていた状態のまま放置されていたため、手を繋いだままなのだけど、その繋いでいる所に丁度あるブレスレットから上半身だけが出ているたぶんブローサ様?が、軽い感じで話しかけてきている。なんだか魔法のランプの妖精さんみたいね。
「アーサーにも見えているよね。」
「うん、マリーがびっくりしていないってことは知り合い?」
「たぶん、夢の中で一度お会いしているわ。初代予言の女神様、ブローサ様よ。」
「流石、マリーちゃん、そう、その通りよ。他の人には聞こえていないのかしらね。もしもーし、誰も悪くないわよ。あのね、そこで泣いているリック君、アーサーの魔力は大丈夫だから、も~聞いてちょうだい。急いでいるのよ。」
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