上 下
52 / 123

52.夢の中?金色のブレスレットを拾いました

しおりを挟む
ここはどこかしら?真っ白な何もない空間。よく見ると少し遠くに私にそっくりな女の子がいる。
「私ここに来たことがあるわ。」
あの子はゲームの中のマリーね。教えてあげたいわ。お兄様はあなたのおかげで助かったのよって。えっ!こっちを振り向いた?目が合った気がする。私のことが見えるの?ゲームの中のマリーの口が動いた。
「あ・り・が・と・う・マリー」

可愛らしい微笑みを浮かべてこちらを見ている。私のこと、ちゃんと見ていてくれたのね…。私もゲームの中のマリーに向かってお礼を言った。
「あなたのおかげで、お兄様を助けることができたわ。ありがとう。」
ゲームの中のマリーは優しく優しく微笑んで、きらきらと輝き出した。後ろに誰かいるわ?誰か迎えに来たの?

えっ、ふわふわのピンクの髪?ゲームの中のブロッサなの?眩しすぎてはっきり見えなかったけど、声だけは、はっきり聞こえたわ。
「また会いましょう。マリーちゃん。」
「えっ、あなたは誰ですか?」
返事は無く、二人が立っていたところには金色のブレスレットが落ちていた。そう言えば、ブロッサの目が金色に光っていたような、ブロッサじゃないのかしら?少し大人びていた気がするし、眩しかったから見間違えたのかしら?マリーとブロッサが仲良しというのもおかしな気がするし…。

金色のブレスレットを拾い上げると急に胸の辺りが燃えるように熱くなり、さっきまで止まりかけていた鼓動が動き出したのが自分でも分かった。すると急に辺りがうるさくなって、
「マリー、死なないで、目を開けて。」
シルバーの必死な声が聞こえてきた。私助かったんだわ。
「シルバー心配かけてごめんなさい。」
シルバーが泣きそうな顔で私を見ている。
「謝るのは僕だよ。僕が無理をさせてしまったんだ。」
「そんなことないわ。」
「マリーごめんね。私のせいで。」
アンナの目が真っ赤だわ。かなり泣いちゃったのね。本当に心配かけてごめんなさいね。
「アンナ、心配しないで悪いのはレッドでしょ。」
冗談で言ったつもりだったけど、よく見たらレッドの右頬が真っ赤だわ。

「レッド、ほっぺたどうしたの?」
「アンナに叩かれた。」
「かみつき草より痛そうね。」
思わずほっとしてそんなことを言いうと、クラスのみんなが笑ってくれた。良かった、ほんとにみんなが笑顔になってくれたわ。でも流石に疲れたわね。

「マリーあのな…。」
「レッド、どうかした?私疲れてるんだけど。」
「そうだよな。でも俺、間違ってないと思うのに叩かれたんだよな。」
「どういう事。」

「俺、アンナのことが好きみたいなんだ。アンナも俺のことを好きなんじゃないかって思ったんだけど…。」
「はぁー、当たり前でしょ。レッドの代わりに噛みつき草に噛まれてくれる人なんて、アンナ以外、一生現れてくれないわよ。」
「そうだよな。でも、叩かれたんだ。」

「一応聞いてあげる。私がレッドのせいで、死にそうになっている時に、アンナのことが好きって気づいたレッドはアンナに何て言ったの?」
「俺のこと好きだろって言った。」
「お馬鹿、そこは俺はアンナのことが好きだ、だけでいいのよ。」
「そうか、ごめん。アンナ、俺お前のことがめちゃくちゃ好きだ。」

ばちーん!あれ?違ったのかな?すごい音がしたけど…。レッドまた叩かれちゃったみたいね。まぁーいいわよね、もう限界よ。すごーく疲れたもの。
「マリー、フルーツジュースだよ少し飲む?」
「シルバーありがとう。」
たしかに、甘いものが欲しい感じはしていたのよね。

寝ちゃうと忘れちゃうかな。さっきの不思議な話どっかにメモっときたいのに疲れすぎて体が動かないわね。仕方ないから、シルバーに言っておこう。
「シルバー不思議な夢を見たの。忘れそうだから覚えておいてくれる?」
「もちろん。」

私はブロッサらしき女の子の話だけすることにした。
「真っ白な空間に、ピンクのふわふわの髪の女の子が現れて、眩しすぎて顔はよく見えなくて、でも、目が金色に見えたの。その子にまた会いましょうって言われたの。すぐにその子は消えちゃって、金色のブレスレットがそこに落ちていて、拾ったら、急に胸が熱くなって目が覚めたの。」

「不思議な夢だね。何か意味がありそうだね。ちゃんと僕が覚えているから安心して。」
「シルバーありがとう。私、すごく眠くって寝てもいい?」
「ああ、もちろんだよ。」
その時、突然手首を掴まれた。

「マリー大丈夫か?」
「ルド?」
「ああ、俺だ。」
あれ、何か手首がきらきらしてる?

「ごめんね、ルド、私眠くて、もう限界なの。おやすみなさい…。」
「えっ、おやすみ?」
ルドが、私の顔を覗き込んでびっくりした顔をした気がしたけど、気のせいよね。そこから慌ててばたばたと、どこかへ連れて行かれた気はしたけど。医務室かな。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴方といると、お茶が不味い

わらびもち
恋愛
貴方の婚約者は私。 なのに貴方は私との逢瀬に別の女性を同伴する。 王太子殿下の婚約者である令嬢を―――。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

【完結】悪役令嬢エヴァンジェリンは静かに死にたい

小達出みかん
恋愛
私は、悪役令嬢。ヒロインの代わりに死ぬ役どころ。 エヴァンジェリンはそうわきまえて、冷たい婚約者のどんな扱いにも耐え、死ぬ日のためにもくもくとやるべき事をこなしていた。 しかし、ヒロインを虐めたと濡れ衣を着せられ、「やっていません」と初めて婚約者に歯向かったその日から、物語の歯車が狂いだす。 ――ヒロインの身代わりに死ぬ予定の悪役令嬢だったのに、愛されキャラにジョブチェンしちゃったみたい(無自覚)でなかなか死ねない! 幸薄令嬢のお話です。 安心してください、ハピエンです――

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

完結 この手からこぼれ落ちるもの   

ポチ
恋愛
やっと、本当のことが言えるよ。。。 長かった。。 君は、この家の第一夫人として 最高の女性だよ 全て君に任せるよ 僕は、ベリンダの事で忙しいからね? 全て君の思う通りやってくれれば良いからね?頼んだよ 僕が君に触れる事は無いけれど この家の跡継ぎは、心配要らないよ? 君の父上の姪であるベリンダが 産んでくれるから 心配しないでね そう、優しく微笑んだオリバー様 今まで優しかったのは?

私はただ一度の暴言が許せない

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。 花婿が花嫁のベールを上げるまでは。 ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。 「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。 そして花嫁の父に向かって怒鳴った。 「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは! この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。 そこから始まる物語。 作者独自の世界観です。 短編予定。 のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。 話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。 楽しんでいただけると嬉しいです。 ※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。 ※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です! ※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。 ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。 今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、 ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。 よろしくお願いします。 ※9/27 番外編を公開させていただきました。 ※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。 ※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。 ※10/25 完結しました。 ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。 たくさんの方から感想をいただきました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、 今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきます。

処理中です...