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47.次の日、突然、国王陛下に呼ばれました①
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「突然呼び出してすまない。まずはクライム、マリー嬢、シルバー。ルドを手伝ってはやり病を終息させてくれてありがとう。感謝している。」
「陛下、貴族として当たり前のことをしたまで、それよりも今日は他の要件があるのではないですか?マルクとアーサーまで呼び出しているんですから。」
お父様、いくら幼馴染でも不敬ですよ。お願いですからこれ以上じゃべらないで。
「ああ、すまない。この間ルドから結界の魔道具の話を聞いた。どのくらい進んでいるのか聞きたかったのもあるが、なるべく急いで欲しい理由ができてしまった。ラムルのたまごが確認されたと、隣国より報告があったのだ。ラムルのたまごは実際にはたまごではなく、千年前の初代予言の女神様の虹色のたまご型の結界のようなものなのだが、とにかくラムルはその中に閉じ込められて眠っている。その虹色のたまごが見えるようになったということは、女神様の魔力もあと半年もつかどうかだ。たまごが割れる日が近い。ラムルが再び生まれれば、魔の森の魔獣たちはおそらく大混乱を起こし、多くの魔獣が、我が国や他国にも被害をもたらすのは明らかだ。他国からも結界の魔道具を求める声が高まっている。学生の立場の君たちにこのような責任を押し付けて申し訳ないが、どうか頼む、第一騎士団と合流し、ラムルが生まれる前に結界を張ってくれないだろうか。」
「話は分かりました。結界の魔道具はあと微調整するだけなので、陛下が協力してくださればすぐですよ。今してもいいですか?」
「はっ?今か?」
「はい、陛下の結界と同じ魔力を出せるものを作ったつもりですが、全く同じかは分からないので、この水晶に陛下の魔力を流してもらい、この魔道具が同じ色になれば大丈夫です。その微調整はアーサーにしかできないので、あとはアーサーお願いね。微調整ができれば誰の魔力でもこの魔道具に流してさえくれれば、勝手に結界を張り続けてくれます。」
「すごいな。これに流せばいいのか?」
「少しでいいですよ。」
陛下の緊張した顔とか初めて見たわ。少しずつ少しずつ水晶がピンク色に変わってきたわね。この色、まぼろしの薬と同じじゃない。シルバーもルドも同じことを思っているみたいね。
「アーサー頼むよ。」
「うん。」
今度はアーサーが水晶の上に片手を置き、もう片方の手を今は透明な星形の魔道具の上に置いた。徐々にピンク色になってきて見た目は全く同じになった。
「陛下一度王都の結界を解いてください。」
「アーサー???」
思わず声が出ちゃったわ。だって毒を飲まされて苦しんでいる時でも張り続けた結界よ。そんなことして大丈夫なの?
「お前ができるのか?」
アーサーは全く表情を変えることなく頷いているけど。
「大丈夫ですよ、陛下。この子も私の子同然です。私が保証します。」
「クライム…。」
「ルド、お前にもできるのか?」
「できないことはないと思いますが、父上と同じ強さのものはまだ僕には無理です。」
「そうか…。」
「アーサー結界を解くぞ。」
アーサーは強く頷いた。何が起こっているのか、凡人の私には全く分からない。でもみんなが集中しているのは分かるから静かにしておこう。
「これは参ったな。クライムお前の息子たちはすごいな。」
「当たり前です。あなたの負担を減らそうと常に努力し、すべての国民の平和を真剣に考える優しい息子たちですから。」
うまくいったみたいで良かった。陛下もお父様も涙目ね。そりゃ嬉しいわよね。
「お兄様、アーサーおめでとうございます。」
「マリーありがとう。でもね、これからが大変なんだよ。魔の森は、王都の百倍くらいの広さがあるからね。その周りをこの魔道具でぐるりと囲わないと意味がないんだ。魔の森の周囲は魔力が複雑だから一つずつ魔道具を調整して最低六箇所は置いて来ないといけない。どんなに急いでも一か月に一箇所が精一杯だろうから、ラムルが生まれる半年後はぎりぎりだろうね。もちろんアーサーにもついてきてもらわないと無理だし、マリーの魔力が貯めてある魔道具も沢山欲しい。最初に結界を張る時にはかなりの魔力がいるからね。」
「もちろん、私にできることは何でもしますが、もしかして六か月も会えなくなるのですか?」
「そうなるね…。流石に僕の通信用の魔道具でも魔の森のすぐそばでは、うまく機能しないだろうからね。僕の天使、お兄様に会えなくて寂しいと思うけど我慢しておくれ。」
いいえお兄様、私はアーサーに会えないのが耐えられないのですよ。
「マリー嬢、すまないが君の大切な兄上をこの陛下に貸してくれないか。」
はいどうぞって言いそうになったわね。でもアーサーは嫌。でもみんなが死んじゃうのはもっと耐えられない。そうよね。これは私たち三人の願いでもあったのだから。
「はい、陛下、子供のようなことを言ってすみませんでした。」
「マリー、お前はまだ子供だよ。つらい時はつらい、寂しい時は寂しいと言っていいんだよ。」
「お父様ありがとうございます。」
思わずみんなの前で泣いちゃったじゃないの、だって本当はすごく心配で淋しいんだもの。
お兄様とアーサーは本当に時間が無いようで、お別れの挨拶をする暇もなく行ってしまった。
絶対に二人とも無事に帰って来てくださいね。
「陛下、貴族として当たり前のことをしたまで、それよりも今日は他の要件があるのではないですか?マルクとアーサーまで呼び出しているんですから。」
お父様、いくら幼馴染でも不敬ですよ。お願いですからこれ以上じゃべらないで。
「ああ、すまない。この間ルドから結界の魔道具の話を聞いた。どのくらい進んでいるのか聞きたかったのもあるが、なるべく急いで欲しい理由ができてしまった。ラムルのたまごが確認されたと、隣国より報告があったのだ。ラムルのたまごは実際にはたまごではなく、千年前の初代予言の女神様の虹色のたまご型の結界のようなものなのだが、とにかくラムルはその中に閉じ込められて眠っている。その虹色のたまごが見えるようになったということは、女神様の魔力もあと半年もつかどうかだ。たまごが割れる日が近い。ラムルが再び生まれれば、魔の森の魔獣たちはおそらく大混乱を起こし、多くの魔獣が、我が国や他国にも被害をもたらすのは明らかだ。他国からも結界の魔道具を求める声が高まっている。学生の立場の君たちにこのような責任を押し付けて申し訳ないが、どうか頼む、第一騎士団と合流し、ラムルが生まれる前に結界を張ってくれないだろうか。」
「話は分かりました。結界の魔道具はあと微調整するだけなので、陛下が協力してくださればすぐですよ。今してもいいですか?」
「はっ?今か?」
「はい、陛下の結界と同じ魔力を出せるものを作ったつもりですが、全く同じかは分からないので、この水晶に陛下の魔力を流してもらい、この魔道具が同じ色になれば大丈夫です。その微調整はアーサーにしかできないので、あとはアーサーお願いね。微調整ができれば誰の魔力でもこの魔道具に流してさえくれれば、勝手に結界を張り続けてくれます。」
「すごいな。これに流せばいいのか?」
「少しでいいですよ。」
陛下の緊張した顔とか初めて見たわ。少しずつ少しずつ水晶がピンク色に変わってきたわね。この色、まぼろしの薬と同じじゃない。シルバーもルドも同じことを思っているみたいね。
「アーサー頼むよ。」
「うん。」
今度はアーサーが水晶の上に片手を置き、もう片方の手を今は透明な星形の魔道具の上に置いた。徐々にピンク色になってきて見た目は全く同じになった。
「陛下一度王都の結界を解いてください。」
「アーサー???」
思わず声が出ちゃったわ。だって毒を飲まされて苦しんでいる時でも張り続けた結界よ。そんなことして大丈夫なの?
「お前ができるのか?」
アーサーは全く表情を変えることなく頷いているけど。
「大丈夫ですよ、陛下。この子も私の子同然です。私が保証します。」
「クライム…。」
「ルド、お前にもできるのか?」
「できないことはないと思いますが、父上と同じ強さのものはまだ僕には無理です。」
「そうか…。」
「アーサー結界を解くぞ。」
アーサーは強く頷いた。何が起こっているのか、凡人の私には全く分からない。でもみんなが集中しているのは分かるから静かにしておこう。
「これは参ったな。クライムお前の息子たちはすごいな。」
「当たり前です。あなたの負担を減らそうと常に努力し、すべての国民の平和を真剣に考える優しい息子たちですから。」
うまくいったみたいで良かった。陛下もお父様も涙目ね。そりゃ嬉しいわよね。
「お兄様、アーサーおめでとうございます。」
「マリーありがとう。でもね、これからが大変なんだよ。魔の森は、王都の百倍くらいの広さがあるからね。その周りをこの魔道具でぐるりと囲わないと意味がないんだ。魔の森の周囲は魔力が複雑だから一つずつ魔道具を調整して最低六箇所は置いて来ないといけない。どんなに急いでも一か月に一箇所が精一杯だろうから、ラムルが生まれる半年後はぎりぎりだろうね。もちろんアーサーにもついてきてもらわないと無理だし、マリーの魔力が貯めてある魔道具も沢山欲しい。最初に結界を張る時にはかなりの魔力がいるからね。」
「もちろん、私にできることは何でもしますが、もしかして六か月も会えなくなるのですか?」
「そうなるね…。流石に僕の通信用の魔道具でも魔の森のすぐそばでは、うまく機能しないだろうからね。僕の天使、お兄様に会えなくて寂しいと思うけど我慢しておくれ。」
いいえお兄様、私はアーサーに会えないのが耐えられないのですよ。
「マリー嬢、すまないが君の大切な兄上をこの陛下に貸してくれないか。」
はいどうぞって言いそうになったわね。でもアーサーは嫌。でもみんなが死んじゃうのはもっと耐えられない。そうよね。これは私たち三人の願いでもあったのだから。
「はい、陛下、子供のようなことを言ってすみませんでした。」
「マリー、お前はまだ子供だよ。つらい時はつらい、寂しい時は寂しいと言っていいんだよ。」
「お父様ありがとうございます。」
思わずみんなの前で泣いちゃったじゃないの、だって本当はすごく心配で淋しいんだもの。
お兄様とアーサーは本当に時間が無いようで、お別れの挨拶をする暇もなく行ってしまった。
絶対に二人とも無事に帰って来てくださいね。
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