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41.クライムside ~会議室にて男性陣の極秘の会話とは~

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「今から最高レベルの結界を張る。王太子殿下、陛下と通信機で会話ができるようにして欲しい。」
「ええ、僕もそのつもりでした。蛇のことも、クライム殿が気付いてくださったプラスアルファーの気配の手がかりも欲しいですからね。シルバー準備してくれるかい。」
「ええ、もちろん、あとは簡単なセットをするだけですよ。」
「君たちは本当に優秀だね。」


「父上聞こえますか?」
「ああ、聞こえている、ルドどうした?」
「また映像用の魔道具を使用してください。あと結界も強めでお願いします。今回はかなり重要な話になると思いますので。」
「分かった。これでいいぞ。今回はクライムもいるのか、どうした?」

「どうしたじゃありません。とりあえず陛下、記憶の水晶を見てください…。」
「分かったからクライム、そんな怖い顔をするな。」
「娘が危険な目にあったら、怖い顔くらいじゃすまないですからね。」
それから、黄金の蛇にブロッサ嬢が作ったまぼろしの薬を飲ませて、元気になった蛇が、ブロッサ嬢のところに迷うことなく行き、小りすに変わり、ブロッサ嬢が連れて帰るまですべて見てもらった。それからブロッサ嬢が作ったまぼろしの薬に感じるプラスアルファーの気配についても説明した。

「私からは以上です。プラスアルファーの気配と、黄金の蛇について知っていること、関係があると思われること、すべて言いなさい。」
「クライム、私は一応陛下だぞ。」
「知っています。だから、聞いているのです。」

「そうではなくて。まぁよい。まずはプラスアルファーの気配とクライムが言っていることについてだが、昔隣国にあった古代魔法に魅了というものがある。これはとても危険で今は無くなったとされている。しかし、魔方陣も使わずに魅了の魔法を使える者がいるとは聞いたことがない。どんな魔法かというと、要は惚れ薬だ。口にするものに魔法をかけて食べさせるらしい。食べた者は術者のことが好きになるわけだ。」
「そんな恐ろしい魔法をブロッサ嬢は魔方陣も使わずにやってのけたのか。」

「次に蛇だが、こちらも同じ隣国から贈られたもので、魅了を防ぐための魔道具のようなものだ。実際には感情もあるので魔獣に近いのかもしれない。姿形は自由に変えられる。そしてもともとは予言の女神様のペットのような存在の魔道具であったようだが、偶然予言の女神様の血が一滴落ちたことで知恵や感情を持つようになり、魅了を感知できるようになったらしい。だから魔道具と言うよりは魔獣に近い存在になったわけだ。普段は魔力を餌にしているが魅了を感知すると動かなくなり、魅了の術者のところへ導いてくれる。もしも魅了が復活してしまった時の為に魔女が私に預けてくれたわけだが。そうか、黄金の蛇にその薬を飲ませたのか。ははは、それならもう心配いらないな。」

「どういう意味です?」
「魅了というのは相当強い魔法らしい。黄金の蛇がその者から離れることは一生ないであろう。そして本来なら私の指示のもと魅了の魔力を食らうはずだが、蛇自体が魅了にかかっているのなら、無意識に出す魅了を一滴も残すことなく食べてくれるはずだ。今は小りすであったな。私から学園でも常に共にいることを許可しておこう。近々チェリー男爵から話があるだろうからな。他にも何かあるか?」

「父上、はやり病は、あと数日で完全に終息できると思います。」
「そうか、素晴らしい成果だな。」
「はいこれも、クライム殿とマリー嬢のおかげです。」

「うむ、クライムありがとう。お前は流石だな。知っているとは思うがいつも頼りにしている。そしてシルバー、君もいつも息子を支えてくれてありがとう。」
どうして陛下はいつもそんな恥ずかしいセリフを面と向かって言えるのだ。恥ずかしくはないのか。子供の頃から変わらんな。
「頼りにされているのは知っている…。」
「クライム…。」
陛下、それ以上の言葉を私に期待するな。

「国王陛下、ありがとうございます。」
「シルバー、君はいい奴だな。それでは、数日後にまた会おう。」
そこで、通信機は切れた。

「さてと、我が娘にこの話をどこまで伝えるかだが。二人の意見を聞かせてもらえるだろうか?」
「僕は父上の話からとりあえず、ブロッサ嬢は危険ではないと判断しました。なので、マリー嬢には伝えない方が良いかと思っています。」

「僕もです。マリー嬢にはこれ以上精神的にも負担を掛けたくないので、たぶん、プラスアルファーの気配について聞いてくるとは思いますが、まだよく分からないことにするか、黄金の輝きが増す効果があるかもしれないと言えばマリー嬢なら納得してくれるでしょうから。」
「シルバーいくら何でも、それで納得してくれるか?」
「はい、マリー嬢は貴族令嬢と思えないくらい純粋で綺麗な心をお持ちですから。」
「そ、そうか…。それはそれで心配だが。とりあえず、伝えない方向でいこう。」

「あとは、マリーのまぼろしの薬を作るスピードだが、重症患者にはすでに飲ませてあるから、大丈夫だとは思うのだが。」
「はい、大丈夫です。材料がある分だけ、こちらで作っていただいて、足りなければ、あとは王都で十分かと。」
「よく分かった。こんな大変な仕事をまだ十五歳の我が娘がやっているのかと思うと親として変わってやれないのが情けないが、その分他のところでできるフォローはすべてやってやりたいと思う。」
「「もちろんです。」」
「ありがとう。では、結界を外す。」

いたずら好きで、お転婆で、勉強嫌いだったはずの娘が、こんなに急に成長するなんて。もう少しゆっくりと成長して欲しいものだな。


※読んでいただきありがとうございます。誤字脱字や、口調がおかしくなっている所が度々あるのに、おおらかな気持ちで読んでいただき、すごく嬉しいです!やっと三分の一くらい話が終わりました。あと三分のニも、よろしければお付き合いください。miyoko
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