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34.男性陣は会議室・その頃私は……
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【男性陣は会議室にて…】
会議室から娘のマリーが出て行った。
「クライム殿もう一度結界を張ってもらえますか?」
「王太子殿下、承知した。」
「クライム殿もご存じのように、王家には『千年に一度の魔獣(ラムル)現る時予言の女神現る』と言い伝えられており、その予言の女神はまぼろしの薬を唯一作れる者とされています。しかし、詳しい情報はなく、なぜ予言の女神と言われているのかもわかりません。ラムルに関しても全体画はありますが、こちらも子供の落書きのようなもので公にできるようなものではありません。特徴は尻尾が三本あることと、金色をしていることと、人の二倍位の大きさがあることくらいです。まぁそんな魔獣は今まで見たことがないので、それで十分な気もしますが、能力が全く分からないのが恐ろしいところです。」
「私は娘を魔獣とかかわらせる気はない。」
「もちろんです。マリー嬢が魔力を少しずつしか放出できないことは父上にも伝えてあります。」
「王太子殿下、声を荒げてすまなかった。」
「いえ、構いません。それよりも、一つご報告したいことがあります。」
「何だね。」
「先程の続きにもなりますが、まぼろしの薬は光魔法が使えなければ作れません。そして光魔法の使い手がもう一人、昨日から現れました。名前はブロッサ、平民です。歳は十五歳で、昨日から救護院で光魔法を使い、重傷者を完治させています。魔力量も多く、コントロールも素晴らしいそうです。平民からはすでに、救世主様と呼ばれているようです。容姿も初代女神様と同じピンクの髪にピンクの瞳です。」
「今日は驚かされることばかりだな。」
「はい。そこで提案ですが、彼女にもまぼろしの薬を作ってもらったらどうかと思うのですが、クライム殿はどう思われますか?」
「たしかに、ブロッサが予言の女神である可能性は高いな。一度作ってもらう価値はあるだろう。王太子殿下、陛下に急いで許可を取ってもらえるだろうか?」
「もちろんです。実は明日にでも、チェリー男爵が、彼女を養女にしようとしているらしいのです。そうなる前に、こちらも動きたいと思っていました。」
「それはまずいな。今日中に殿下に許可を取り、遅くとも明日の午前中には、まぼろしの薬が作れるか試したいところだな。」
「私もそう思います。ブロッサの身分が貴族になると、何かと、ややこやしい手続きが増えますし、能力を隠されることもありますから。」
「王太子殿下、それなら一度、僕と一緒に今から王宮に戻りませんか?僕もまぼろしの薬の材料をもう少し取りに戻りたいし、王太子殿下も国王陛下と直接話した方が話が早いのでは?」
「そうだな、クライム殿、明日の朝には必ず帰ってきますのでよろしいでしょうか?」
「もちろん、こちらからお願いしたいくらいだ。マリーには私から伝えておくから、よろしく頼む。それから、仮に、ラムルが現れるとしても、今、息子が必死になって魔獣の為の結界用魔道具を作っている。あの子は天才だ。そして、努力を惜しまない。必ず完成させると信じている。このことを陛下に伝えて欲しい。」
「その話なら私も直接マルク殿から聞きました。僕も信じています。父上にも必ず伝えます。」
その後、ルドと、シルバーは、急いで王宮に向かった。
【その頃私は…】
自分の部屋に戻ってきた私は、
「ハートを握って名前を呼ぶんだったわよね。アーサー聞こえる?」
「うん、マリー聞こえるよ。」
「わぁ~簡単に繋がったわ。アーサー私、薬師のおばあさんに変装用魔道具で変装しているんだけど、ちゃんとマリーに見えるかしら?」
「マリーに見えるよ。マルクの魔道具は完璧だからね。」
「流石お兄様。やっぱり、王家よりすごいのね。」
「当たり前だよ。マルクが王家なんかに負けるわけないでしょ。」
そこまで言うとまずいんじゃないかしら。
「アーサー、私の作った薬がちゃんと効いたのよ。それから、王家のまぼろしの薬と私の作ったまぼろしの薬の成分が全く同じだったの。」
「それはみんなびっくりしただろうね。それよりマリー、色々大事な話をしているけど、結界は大丈夫なの?」
「ええ、お父様がこの部屋に結界を常にかけてくれているから大丈夫よ。」
「それなら安心だね。」
「それから、ついにヒロインを見たの。遠くからだったけど、光魔法で治療中で、ピンクの髪がきらきら輝いていて、とても可愛らしい女の子だったのよ。話はできなかったけど、感動しちゃったわ。」
「そう、じゃあ、はやり病も早く終息するかもしれないね。」
「ええ、アーサー、私を平民街に送り出してくれてありがとう。私頑張って、絶対にアーサーのところに帰るから、うんと褒めてね。」
「うん、もちろんだよ。でも今からも褒めさせてね。魔力が少しずつしか出せないのに、諦めずにまぼろしの薬を作って、身分に関係なく人を助けたいと思えるマリーを僕は誇りに思うよ。容姿も綺麗だけど心も世界で一番綺麗な女性だよ。それから…」
「アーサーちょっと待って、もう大丈夫褒めすぎ…。」
「何言ってるの、それからね…。」
アーサーは私を褒めて褒めて褒めちぎってくれて。
私は恥ずかしくて耐え切れなくなり、もう十分と言って通信機を手から離しちゃった。すごく恥ずかしかったけど、心がふわふわして今はとても幸せな気分だわ。今ならまぼろしの薬がぽんぽんできそうね。
……本当にぽんぽん作れちゃった…。
もしかして、本当に恋のパワーとかあるのかしら。このゲームのタイトルは『ラブリー魔法学園のハッピーマジック』だったわよね。もしかしてハッピーな気持ちが魔法にマジック(不思議な力)を与えちゃうとか?ありえそうよね。
おかげで、まぼろしの薬も、回復薬も、頭がすっきりする薬もとりあえず十分に作れたわ。そろそろ、お腹も空いたし、食堂にでも行こうかしら。
会議室から娘のマリーが出て行った。
「クライム殿もう一度結界を張ってもらえますか?」
「王太子殿下、承知した。」
「クライム殿もご存じのように、王家には『千年に一度の魔獣(ラムル)現る時予言の女神現る』と言い伝えられており、その予言の女神はまぼろしの薬を唯一作れる者とされています。しかし、詳しい情報はなく、なぜ予言の女神と言われているのかもわかりません。ラムルに関しても全体画はありますが、こちらも子供の落書きのようなもので公にできるようなものではありません。特徴は尻尾が三本あることと、金色をしていることと、人の二倍位の大きさがあることくらいです。まぁそんな魔獣は今まで見たことがないので、それで十分な気もしますが、能力が全く分からないのが恐ろしいところです。」
「私は娘を魔獣とかかわらせる気はない。」
「もちろんです。マリー嬢が魔力を少しずつしか放出できないことは父上にも伝えてあります。」
「王太子殿下、声を荒げてすまなかった。」
「いえ、構いません。それよりも、一つご報告したいことがあります。」
「何だね。」
「先程の続きにもなりますが、まぼろしの薬は光魔法が使えなければ作れません。そして光魔法の使い手がもう一人、昨日から現れました。名前はブロッサ、平民です。歳は十五歳で、昨日から救護院で光魔法を使い、重傷者を完治させています。魔力量も多く、コントロールも素晴らしいそうです。平民からはすでに、救世主様と呼ばれているようです。容姿も初代女神様と同じピンクの髪にピンクの瞳です。」
「今日は驚かされることばかりだな。」
「はい。そこで提案ですが、彼女にもまぼろしの薬を作ってもらったらどうかと思うのですが、クライム殿はどう思われますか?」
「たしかに、ブロッサが予言の女神である可能性は高いな。一度作ってもらう価値はあるだろう。王太子殿下、陛下に急いで許可を取ってもらえるだろうか?」
「もちろんです。実は明日にでも、チェリー男爵が、彼女を養女にしようとしているらしいのです。そうなる前に、こちらも動きたいと思っていました。」
「それはまずいな。今日中に殿下に許可を取り、遅くとも明日の午前中には、まぼろしの薬が作れるか試したいところだな。」
「私もそう思います。ブロッサの身分が貴族になると、何かと、ややこやしい手続きが増えますし、能力を隠されることもありますから。」
「王太子殿下、それなら一度、僕と一緒に今から王宮に戻りませんか?僕もまぼろしの薬の材料をもう少し取りに戻りたいし、王太子殿下も国王陛下と直接話した方が話が早いのでは?」
「そうだな、クライム殿、明日の朝には必ず帰ってきますのでよろしいでしょうか?」
「もちろん、こちらからお願いしたいくらいだ。マリーには私から伝えておくから、よろしく頼む。それから、仮に、ラムルが現れるとしても、今、息子が必死になって魔獣の為の結界用魔道具を作っている。あの子は天才だ。そして、努力を惜しまない。必ず完成させると信じている。このことを陛下に伝えて欲しい。」
「その話なら私も直接マルク殿から聞きました。僕も信じています。父上にも必ず伝えます。」
その後、ルドと、シルバーは、急いで王宮に向かった。
【その頃私は…】
自分の部屋に戻ってきた私は、
「ハートを握って名前を呼ぶんだったわよね。アーサー聞こえる?」
「うん、マリー聞こえるよ。」
「わぁ~簡単に繋がったわ。アーサー私、薬師のおばあさんに変装用魔道具で変装しているんだけど、ちゃんとマリーに見えるかしら?」
「マリーに見えるよ。マルクの魔道具は完璧だからね。」
「流石お兄様。やっぱり、王家よりすごいのね。」
「当たり前だよ。マルクが王家なんかに負けるわけないでしょ。」
そこまで言うとまずいんじゃないかしら。
「アーサー、私の作った薬がちゃんと効いたのよ。それから、王家のまぼろしの薬と私の作ったまぼろしの薬の成分が全く同じだったの。」
「それはみんなびっくりしただろうね。それよりマリー、色々大事な話をしているけど、結界は大丈夫なの?」
「ええ、お父様がこの部屋に結界を常にかけてくれているから大丈夫よ。」
「それなら安心だね。」
「それから、ついにヒロインを見たの。遠くからだったけど、光魔法で治療中で、ピンクの髪がきらきら輝いていて、とても可愛らしい女の子だったのよ。話はできなかったけど、感動しちゃったわ。」
「そう、じゃあ、はやり病も早く終息するかもしれないね。」
「ええ、アーサー、私を平民街に送り出してくれてありがとう。私頑張って、絶対にアーサーのところに帰るから、うんと褒めてね。」
「うん、もちろんだよ。でも今からも褒めさせてね。魔力が少しずつしか出せないのに、諦めずにまぼろしの薬を作って、身分に関係なく人を助けたいと思えるマリーを僕は誇りに思うよ。容姿も綺麗だけど心も世界で一番綺麗な女性だよ。それから…」
「アーサーちょっと待って、もう大丈夫褒めすぎ…。」
「何言ってるの、それからね…。」
アーサーは私を褒めて褒めて褒めちぎってくれて。
私は恥ずかしくて耐え切れなくなり、もう十分と言って通信機を手から離しちゃった。すごく恥ずかしかったけど、心がふわふわして今はとても幸せな気分だわ。今ならまぼろしの薬がぽんぽんできそうね。
……本当にぽんぽん作れちゃった…。
もしかして、本当に恋のパワーとかあるのかしら。このゲームのタイトルは『ラブリー魔法学園のハッピーマジック』だったわよね。もしかしてハッピーな気持ちが魔法にマジック(不思議な力)を与えちゃうとか?ありえそうよね。
おかげで、まぼろしの薬も、回復薬も、頭がすっきりする薬もとりあえず十分に作れたわ。そろそろ、お腹も空いたし、食堂にでも行こうかしら。
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