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24.カサブランカ公爵領に行きます
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「さぁ!頑張るわよ。」
「お嬢様大きな声を出さないでください。」
「すみません…。」
サリーったら、そんなに怖い顔しなくてもいいじゃない。ちょっと、緊張してきたからカサブランカ公爵家の馬車を待ちながら気合を入れていただけなのに。
サリーもついてきてくれるって言うからすごく安心したんだけど、小言が多いのよね。
そこへお兄様とアーサーが見送りに来てくれた。
「マリー僕の天使、頼むから無理はしないでおくれよ。サリー、マリーのことを頼むよ。」
「はい、マルク様、常に目を光らせております。」
「サリー、私が悪いことでもすると思っているの?」
「いえ、マリー様は良いことをしても、大変なことになるのが常ですので。」
「ふふふ、サリーがいれば安心だね。」
お兄様まで。
「マリーおはよう。緊張しているかと思って心配していたけど、大丈夫そうで安心したよ。」
そう言って軽く抱きしめてくれた。明日の夜まで会えないから淋しいなって思っていたから嬉しい。私も軽く、くっついてみた。アーサーあったかいなー。いい匂いもする。
「お嬢様、馬車が見えてきましたよ。」
もう、サリーたら、いいところでしょうが!でもさっきまでの緊張は無くなったわね。
「もしかしてサリーは私の緊張を取ってくれたのかしら?」
「たぶんそうだよ。サリーも素直じゃないよね。」
本当に分かりにくくて、全然気づかなかったわよ。そう思ったら小言も嫌じゃなくなるわ。サリーありがとう。
この馬車すごいわ。全く揺れないもの。流石、カサブランカ公爵家の馬車ね。頼めばお兄様が作ってくれるかも。
「この馬車、全く揺れないのね。」
「魔法で振動が伝わらないようになっているんだよ。今日は朝食を食べることになっていたから、この馬車にしたんだよ。部屋の中にいるみたいでしょ。」
「ええ、真ん中にテーブルもあるから本当にお部屋でお茶会でもしているみたい、素敵だわ。」
「気に入ってもらえたようで嬉しいよ。それでは食べようか。我が家のシェフのサンドウィッチは美味しいよ。」
「わぁ、すごく美味しい!肉汁がじゅわ~って出てきて、シンプルな塩コショウの味付けだけど、千切りキャベツとの相性がばっちりだわ。パンもふわふわで、美味しい~。」
「うん、いつ食べてもシルバーの家のホットサンドは美味しいね。王宮のも美味しいけど、こんなに軟らかくないんだよ。」
「この飲み物は何?」
「アップルティーだよ。麦のお茶にリンゴの皮が入っているんだよ。苦みが無くて飲みやすいと思うよ。」
「本当だ。香りだけじゃなくて甘い気がする。」
基本この世界は日本と同じものが多いのだけど、進化でもしているのかしら?麦茶のアップルティー?私が知らないだけで、日本にもあったのかしら?
「魔法は体力を使うからしっかり食べてね。」
「ええ、ありがとう。」
私がお言葉に甘えて美味しくいただいていると、左から感じる視線が段々強くなってきた。無視して食べよう。
でも耐えきれなくて見てしまった。
「ひっ!」
いつの間に用意しておいたのか、サリーが、テーブルの下で腹八分と書いた紙を持って微笑んでいた。目が笑ってなくて怖いのよ。もう一つだけ食べたらやめるから…。
その後も小さな紙で話し方だの、返事だの、やっぱりサリーの小言はうんざりだわ。そんなことを思っていたら、
「二時間ほど走ったから休憩しようか。ここは景色も綺麗だからね。」
シルバーに言われて馬車を降りると絵本に出てきそうな綺麗な湖が広がっていた。
「わぁ、綺麗な湖。」
「そうでしょ。」
「鏡みたいに木や空が映っているわ。よく見ると、魚もいるのね。あっカエル。」
「マリーどっちが早くカエルを捕まえられるか競争しようか!」
ルドの馬鹿。それ、サリーの前で絶対いっちゃいけないやつなのに!
「サリーさんと言ったっけ。僕の内緒の楽しみなんだよ。こっそりやらせてはもらえないだろうか?」
流石、ルド、あのサリーが何も言わずに頭を下げて馬車の方に行ったわ。それなら話は別よ。
「私、手加減しないからね。負けても泣かないでよね。」
「望むところだね。」
「何だか分からないけど楽しそうだね。五分だけだよ。やるなら、こっちの浅い池だけね。」
「分かったわ。シルバー審判やって。」
「分かったよ。では、捕まえたカエルはこの容器にそれぞれ入れてね。あと、二人とも服が汚れないようにこの魔道具持って。さあ始めるよ。五秒前、四、三、二、一、スタート!」
私の方法は例の心臓を一瞬凍結しちゃう方法だけど、ルドの方がもっとすごかった。カエルのそばの水が手の形になって、そのままカエルが持ち上げられて、容器の中に入っていく。(すごいわ。カエルたち、たぶん捕まえられたことにも気づいてないわ。)たまたま泳ぎ出したカエルがいて、水の手が慌てて追いかけていくのは面白かったわね。
結果は五対五の引き分け。あー楽しかった。馬車の中ではサリーがいるからカエルの話は封印して、カサブランカ公爵領のお話を聞いて、お昼前にはカサブランカ公爵領についた。
「お嬢様大きな声を出さないでください。」
「すみません…。」
サリーったら、そんなに怖い顔しなくてもいいじゃない。ちょっと、緊張してきたからカサブランカ公爵家の馬車を待ちながら気合を入れていただけなのに。
サリーもついてきてくれるって言うからすごく安心したんだけど、小言が多いのよね。
そこへお兄様とアーサーが見送りに来てくれた。
「マリー僕の天使、頼むから無理はしないでおくれよ。サリー、マリーのことを頼むよ。」
「はい、マルク様、常に目を光らせております。」
「サリー、私が悪いことでもすると思っているの?」
「いえ、マリー様は良いことをしても、大変なことになるのが常ですので。」
「ふふふ、サリーがいれば安心だね。」
お兄様まで。
「マリーおはよう。緊張しているかと思って心配していたけど、大丈夫そうで安心したよ。」
そう言って軽く抱きしめてくれた。明日の夜まで会えないから淋しいなって思っていたから嬉しい。私も軽く、くっついてみた。アーサーあったかいなー。いい匂いもする。
「お嬢様、馬車が見えてきましたよ。」
もう、サリーたら、いいところでしょうが!でもさっきまでの緊張は無くなったわね。
「もしかしてサリーは私の緊張を取ってくれたのかしら?」
「たぶんそうだよ。サリーも素直じゃないよね。」
本当に分かりにくくて、全然気づかなかったわよ。そう思ったら小言も嫌じゃなくなるわ。サリーありがとう。
この馬車すごいわ。全く揺れないもの。流石、カサブランカ公爵家の馬車ね。頼めばお兄様が作ってくれるかも。
「この馬車、全く揺れないのね。」
「魔法で振動が伝わらないようになっているんだよ。今日は朝食を食べることになっていたから、この馬車にしたんだよ。部屋の中にいるみたいでしょ。」
「ええ、真ん中にテーブルもあるから本当にお部屋でお茶会でもしているみたい、素敵だわ。」
「気に入ってもらえたようで嬉しいよ。それでは食べようか。我が家のシェフのサンドウィッチは美味しいよ。」
「わぁ、すごく美味しい!肉汁がじゅわ~って出てきて、シンプルな塩コショウの味付けだけど、千切りキャベツとの相性がばっちりだわ。パンもふわふわで、美味しい~。」
「うん、いつ食べてもシルバーの家のホットサンドは美味しいね。王宮のも美味しいけど、こんなに軟らかくないんだよ。」
「この飲み物は何?」
「アップルティーだよ。麦のお茶にリンゴの皮が入っているんだよ。苦みが無くて飲みやすいと思うよ。」
「本当だ。香りだけじゃなくて甘い気がする。」
基本この世界は日本と同じものが多いのだけど、進化でもしているのかしら?麦茶のアップルティー?私が知らないだけで、日本にもあったのかしら?
「魔法は体力を使うからしっかり食べてね。」
「ええ、ありがとう。」
私がお言葉に甘えて美味しくいただいていると、左から感じる視線が段々強くなってきた。無視して食べよう。
でも耐えきれなくて見てしまった。
「ひっ!」
いつの間に用意しておいたのか、サリーが、テーブルの下で腹八分と書いた紙を持って微笑んでいた。目が笑ってなくて怖いのよ。もう一つだけ食べたらやめるから…。
その後も小さな紙で話し方だの、返事だの、やっぱりサリーの小言はうんざりだわ。そんなことを思っていたら、
「二時間ほど走ったから休憩しようか。ここは景色も綺麗だからね。」
シルバーに言われて馬車を降りると絵本に出てきそうな綺麗な湖が広がっていた。
「わぁ、綺麗な湖。」
「そうでしょ。」
「鏡みたいに木や空が映っているわ。よく見ると、魚もいるのね。あっカエル。」
「マリーどっちが早くカエルを捕まえられるか競争しようか!」
ルドの馬鹿。それ、サリーの前で絶対いっちゃいけないやつなのに!
「サリーさんと言ったっけ。僕の内緒の楽しみなんだよ。こっそりやらせてはもらえないだろうか?」
流石、ルド、あのサリーが何も言わずに頭を下げて馬車の方に行ったわ。それなら話は別よ。
「私、手加減しないからね。負けても泣かないでよね。」
「望むところだね。」
「何だか分からないけど楽しそうだね。五分だけだよ。やるなら、こっちの浅い池だけね。」
「分かったわ。シルバー審判やって。」
「分かったよ。では、捕まえたカエルはこの容器にそれぞれ入れてね。あと、二人とも服が汚れないようにこの魔道具持って。さあ始めるよ。五秒前、四、三、二、一、スタート!」
私の方法は例の心臓を一瞬凍結しちゃう方法だけど、ルドの方がもっとすごかった。カエルのそばの水が手の形になって、そのままカエルが持ち上げられて、容器の中に入っていく。(すごいわ。カエルたち、たぶん捕まえられたことにも気づいてないわ。)たまたま泳ぎ出したカエルがいて、水の手が慌てて追いかけていくのは面白かったわね。
結果は五対五の引き分け。あー楽しかった。馬車の中ではサリーがいるからカエルの話は封印して、カサブランカ公爵領のお話を聞いて、お昼前にはカサブランカ公爵領についた。
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