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22.不思議な夢を見ました
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私はあれから三日間も高熱を出して寝込んでしまった。今まで病気などしたことがなかったので、はやり病にかかったのではと、アーサーがプチパニックになり、学園で聞いたはやり病のことをみんなに話してしまった。おかげで、はやり病のことは王都の人の知るところとなって…。実際には、私の熱は知恵熱と診断され、私はアーサーのせいで非常に恥ずかしい思いをした。アーサーの馬鹿、でも心配してくれてありがとう。
私が熱を出して二日目、タイミング悪く魔の森の入り口で魔獣が出て、村人を避難させたとお父様の所に魔の森の入り口近くにある第一騎士団から知らせが入った。今回は魔力の強い魔獣がいなかったのと数も少なかったため、お父様たち魔術師騎士団の出番はなく、第一騎士団だけで、討伐できたとか。アーサーから聞いた話だと、魔獣をやっつけるには魔力の核を壊せばいいそうで、騎士団の人は特殊な剣を持っていて、その剣に魔力を込めて魔力の核を突けば十分なのだとか。だけど、厄介な魔法を使ってくる魔獣にはお父様たち魔術師騎士団が必要になるらしい。
お兄様は予想通りというか、試作品を持って魔獣の出た魔の森の入り口に結界を張る実験をやりに行きたいと言ったらしい。しかし、アーサーが今の試作品では足手まといになるだけだから我慢しようと説得してくれて一応納得したらしい。それを聞いた時は、今回がお兄様がはやり病にかかるタイミングだったのだと思い、震えあがった。それなのに、お兄様は平民街の話をしても、心配性だな~と言っていたとか。お兄様に教えられるものなら、お兄様はそこで亡くなっていたんですよっていつか伝えたいわね。本当に危なかったわ。
これからもアーサーにはお兄様をしっかり見張ってもらわないと。
高熱を出して四日目の朝、やっと熱が下がり、症状が落ち着いてきた頃、私は不思議な夢を見た。
真っ白なカサブランカの花が辺り一面に咲いており、風に揺れている。そのカサブランカの甘い香りが辺り一面に広がっている。そこに小さなテーブルがあり、私がガラスの瓶に魔法で水を入れている。よく見ると、その瓶にはカサブランカの花びらが一枚入っていて、魔法で入れた水がその瓶の八分目くらいの所まできた時、水の色が淡いピンクに変わった。
そこで目が覚めた。これはどういうことかしら?ただの夢ではない気がするわ。
カサブランカの花は前世のカサブランカの花と形は似ているけど、とにかく大きい。二倍はあると思う。そのせいか、香りも強い気がする。いい匂いだったわね。夢なのに不思議ね。カサブランカと言えばシルバーよね。
すっかり熱も下がり、気分もいいし、今日学園に言って、シルバーに聞いてみようかしら?
私にできることがあるなら平民街の人たちを助けたい。
とりあえず、アーサーに話してみよう。
アーサーに話すと、
「マリーの気持ちは分かったけど、まだ病み上がりで心配だから今日の学園は休んで、その代わり、僕がきちんとシルバー殿に聞いてくるから。」
そう言ってアーサーが、私のおでこに優しくキスをしてくれた。
こ、これは、我が邸ではよくある挨拶のようなもの。だけど、アーサーからは初めてで、私は真っ赤な顔になり、また熱が上がってきてしまったような感覚になりながら、アーサーに何度も頷くことしかできなかった。
結局この日も眠ってはいなかったけど、ベッドの上で横になって過ごした。。魔力のブレスレットの山をぼーっと見ながら、アーサーのことを思い出して、一人でにやにやしたり、時々感情が抑えられず、変なうめき声を上げ、サリーに心配されながらアーサーが帰って来るまで待っていた。
やっと帰ってきたアーサーは予想外のお客様を連れて帰ってきた。
「マリーただいま。」
「アーサーお帰りなさい。」
「熱は出なかった?」
「ええ、ずっと平熱だったから、もうすっかり大丈夫みたいよ。心配してくれてありがとう。」
「そう、安心したよ。実はシルバー殿にマリーの夢の話をしたら、僕よりも、もっと適任の人がいるからって言われてね。今、客室にシルバー殿と、王太子殿下が来てくれているんだよ。僕も客室で待っているから着替えたらおいで。」
「たかが、夢の話よ?!いいのかしら?」
「マリーの夢のだよ、絶対に意味があるに決まってるよ。」
アーサーはそう言ってくれるけど、アーサーは私のことを天才だと勘違いしているところがあるし、私のことを女神とか言ってくるから大丈夫かしら?でも、シルバーと王太子殿下も無理やり連れて来られた訳ではなさそうだし、友達になったのだから大丈夫よね。
「分かったわ。着替えたらすぐに行くわ。」
「うん、待っているよ僕の女神。」
やっぱり、少しだけ心配になってきたわ。
それから、着替えるだけのつもりが、サリーに睨まれて……フルスピードで体を磨かれ、髪もアップされて公爵令嬢らしく綺麗な状態で客室に行けた。よく考えたら、三日もお風呂に入っていなかったから、臭かったのね。ありがとうサリー!
私が熱を出して二日目、タイミング悪く魔の森の入り口で魔獣が出て、村人を避難させたとお父様の所に魔の森の入り口近くにある第一騎士団から知らせが入った。今回は魔力の強い魔獣がいなかったのと数も少なかったため、お父様たち魔術師騎士団の出番はなく、第一騎士団だけで、討伐できたとか。アーサーから聞いた話だと、魔獣をやっつけるには魔力の核を壊せばいいそうで、騎士団の人は特殊な剣を持っていて、その剣に魔力を込めて魔力の核を突けば十分なのだとか。だけど、厄介な魔法を使ってくる魔獣にはお父様たち魔術師騎士団が必要になるらしい。
お兄様は予想通りというか、試作品を持って魔獣の出た魔の森の入り口に結界を張る実験をやりに行きたいと言ったらしい。しかし、アーサーが今の試作品では足手まといになるだけだから我慢しようと説得してくれて一応納得したらしい。それを聞いた時は、今回がお兄様がはやり病にかかるタイミングだったのだと思い、震えあがった。それなのに、お兄様は平民街の話をしても、心配性だな~と言っていたとか。お兄様に教えられるものなら、お兄様はそこで亡くなっていたんですよっていつか伝えたいわね。本当に危なかったわ。
これからもアーサーにはお兄様をしっかり見張ってもらわないと。
高熱を出して四日目の朝、やっと熱が下がり、症状が落ち着いてきた頃、私は不思議な夢を見た。
真っ白なカサブランカの花が辺り一面に咲いており、風に揺れている。そのカサブランカの甘い香りが辺り一面に広がっている。そこに小さなテーブルがあり、私がガラスの瓶に魔法で水を入れている。よく見ると、その瓶にはカサブランカの花びらが一枚入っていて、魔法で入れた水がその瓶の八分目くらいの所まできた時、水の色が淡いピンクに変わった。
そこで目が覚めた。これはどういうことかしら?ただの夢ではない気がするわ。
カサブランカの花は前世のカサブランカの花と形は似ているけど、とにかく大きい。二倍はあると思う。そのせいか、香りも強い気がする。いい匂いだったわね。夢なのに不思議ね。カサブランカと言えばシルバーよね。
すっかり熱も下がり、気分もいいし、今日学園に言って、シルバーに聞いてみようかしら?
私にできることがあるなら平民街の人たちを助けたい。
とりあえず、アーサーに話してみよう。
アーサーに話すと、
「マリーの気持ちは分かったけど、まだ病み上がりで心配だから今日の学園は休んで、その代わり、僕がきちんとシルバー殿に聞いてくるから。」
そう言ってアーサーが、私のおでこに優しくキスをしてくれた。
こ、これは、我が邸ではよくある挨拶のようなもの。だけど、アーサーからは初めてで、私は真っ赤な顔になり、また熱が上がってきてしまったような感覚になりながら、アーサーに何度も頷くことしかできなかった。
結局この日も眠ってはいなかったけど、ベッドの上で横になって過ごした。。魔力のブレスレットの山をぼーっと見ながら、アーサーのことを思い出して、一人でにやにやしたり、時々感情が抑えられず、変なうめき声を上げ、サリーに心配されながらアーサーが帰って来るまで待っていた。
やっと帰ってきたアーサーは予想外のお客様を連れて帰ってきた。
「マリーただいま。」
「アーサーお帰りなさい。」
「熱は出なかった?」
「ええ、ずっと平熱だったから、もうすっかり大丈夫みたいよ。心配してくれてありがとう。」
「そう、安心したよ。実はシルバー殿にマリーの夢の話をしたら、僕よりも、もっと適任の人がいるからって言われてね。今、客室にシルバー殿と、王太子殿下が来てくれているんだよ。僕も客室で待っているから着替えたらおいで。」
「たかが、夢の話よ?!いいのかしら?」
「マリーの夢のだよ、絶対に意味があるに決まってるよ。」
アーサーはそう言ってくれるけど、アーサーは私のことを天才だと勘違いしているところがあるし、私のことを女神とか言ってくるから大丈夫かしら?でも、シルバーと王太子殿下も無理やり連れて来られた訳ではなさそうだし、友達になったのだから大丈夫よね。
「分かったわ。着替えたらすぐに行くわ。」
「うん、待っているよ僕の女神。」
やっぱり、少しだけ心配になってきたわ。
それから、着替えるだけのつもりが、サリーに睨まれて……フルスピードで体を磨かれ、髪もアップされて公爵令嬢らしく綺麗な状態で客室に行けた。よく考えたら、三日もお風呂に入っていなかったから、臭かったのね。ありがとうサリー!
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