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20.学園で王太子殿下と友達になれました
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次の日教室に入ろうとすると、後ろから勢いよく腕を引っ張られてびっくりしたわ、思わず護身術を使って相手を投げ飛ばしそうになったわよ。振り向いたら王太子殿下で、更にびっくりしちゃった…。危なかったわね…。
「何か?」
昨日のこと、まだ怒っているのかしら…。
「昨日はすまなかった。とても自信過剰で恥ずかしい行動だったと思っている。そのことを、指摘してくれたマリー嬢に感謝している。婚約者候補にこんなことを言うのはおかしいとは思うのだが、友達だと思ってシルバーやレッドのように接してもらえないだろうか?」
あれ?!素直でいい人じゃない。自分の過ちを認めて、私に謝ってくれたわよ。
「私も言い過ぎました。王太子殿下がよろしければ、婚約者候補兼、お友達でよろしくお願いします。」
「ああ、よろしく頼むよ。実はここだけの話、俺もカエルを捕まえるのは得意なんだ。魚もね。いつか競争しないか?」
「えっ、令嬢なのにいいのでしょうか?」
「そんなの構うものか。これは友達としての話だからね。これからは敬語もなしだ。友達だからね。ルドと呼んでくれ。ただ、これからも表向きはきちんとした王太子殿下を演じなければいけない。これも俺の仕事だからね。それには頼むから付き合ってくれよ。」
「もちろんです…じゃなくて、もちろんよ。私のこともマリーと呼んでね。」
「ありがとう。それじゃあ、防音と目隠しの結界魔法を外すよ。」
「えっ?!」
知らないうちに、そんな結界を張っていたなんて優秀ね。この国は安泰だわ。
「ほら、結界に気付いて、君の優秀なお兄様とアーサー殿が来たよ。」
たしかに、こちらも優秀ね。
「お兄様、それから、アーサー、王太子殿下に結界について講義してもらっていたんです。心配させてごめんなさい。」
「なーんだ、そうだったんだね。王太子殿下は流石ですね。」
お兄様は本当に純粋だわ。きらきらした瞳で王太子殿下を見ているもの。ちょっと、心が痛いわね…。
「王太子殿下、あの程度の結界でしたら、魔力を半分にした方がよろしいですよ。」
アーサーが偉そうなこと言い出したわね、大丈夫かしら?
「こんな感じです。」
「「「えっ!」」」
三人ともびっくりしてしまった。だって、結界って言ったら、王族とか、貴族でも数少ない大人の人(私のお父様とか、攻略対象者の方のお父様とかね)しかできないイメージがあるから……。
たしか、膨大な魔力量と、非常に精密なコントロールと桁違いの魔法の知識が必要なはずだから……。
「びっくりした~。流石は、私の魔法のお師匠様ね。」
私が感動していると、お兄様も、
「アーサーはやっぱり天才だね。僕が魔の森に魔道具で結界を張る時はアーサーも手伝ってくれる?」
「もちろんさ、みんなを幸せにしたいんだろう。」
「うん、それが僕の願いだからね。」
あーお兄様が主人公じゃないのが納得いきません。あれ、王太子殿下、涙目?気のせいよね?!
「僕にも手伝わせてくれるかい?」
「王太子殿下も手伝ってくれるんですか。ありがとうございます。僕頑張りますね。」
「もしよければ、どのような形の魔道具を作ろうとしているのか簡単に説明してもらえるだろうか?折角アーサー殿が結界を張ってくれているし…。」
えっ?アーサーまだ結界張ってたの?よく普通の顔してできるわね。
「もちろんです。えーと、今は王都にある国王陛下の結界に近いものを魔道具で再現しようとしているんです。もう八割方構想はできているんです。全部で六つあってそのバランスを保つためにどうするのが一番良いかを実験中で、それが分かれば、製作自体は難しくないんです。学園を卒業するまでには完成させたいです。」
えっ?今年中ってこと?お兄様そんなこと言って大丈夫なのかしら?
「ただ、魔の森は広いのでぐるっと回るには魔方陣もほとんどないので半年以上かかりますし、最後の微調整にはアーサーのように精密なコントロールができる人が必要なんです。」
「そんなに具体的な段階に進んでいたなんて驚きました。何か僕に手伝えることがあれば言ってください。この国だけではなく、もっと大勢の方が幸せになれる魔道具ですね。」
「そう言ってもらえると僕も嬉しいです。国のことを、国王陛下だけに任せるなんて、おかしいですし、僕だったら、そんな大変なことを任されたら辛くて死にそうです。小さい頃、僕のお父様とお母様が言っていたんです。国王陛下の負担を少しでも減らしてあげたいって、僕もそう思ったんです。」
そう言えば、お父様とお母様は国王陛下とは幼馴染だったわね。やっぱり、友達っていいわね。
「そうでしたか。クライム殿が、ありがとうございます。」
「それでは、そろそろ結界を外しますよ。授業が始まりますから。」
アーサーがそう言って結界を外した。朝からとても素敵な光景を見られたわ。お兄様に感謝感謝ね!
余談だけど、私はアーサーが結界を張った時も、外した時も何かしたよねー……くらいしか集中しても分かりませんでした。これは練習で分かるようになるのかしら?
「何か?」
昨日のこと、まだ怒っているのかしら…。
「昨日はすまなかった。とても自信過剰で恥ずかしい行動だったと思っている。そのことを、指摘してくれたマリー嬢に感謝している。婚約者候補にこんなことを言うのはおかしいとは思うのだが、友達だと思ってシルバーやレッドのように接してもらえないだろうか?」
あれ?!素直でいい人じゃない。自分の過ちを認めて、私に謝ってくれたわよ。
「私も言い過ぎました。王太子殿下がよろしければ、婚約者候補兼、お友達でよろしくお願いします。」
「ああ、よろしく頼むよ。実はここだけの話、俺もカエルを捕まえるのは得意なんだ。魚もね。いつか競争しないか?」
「えっ、令嬢なのにいいのでしょうか?」
「そんなの構うものか。これは友達としての話だからね。これからは敬語もなしだ。友達だからね。ルドと呼んでくれ。ただ、これからも表向きはきちんとした王太子殿下を演じなければいけない。これも俺の仕事だからね。それには頼むから付き合ってくれよ。」
「もちろんです…じゃなくて、もちろんよ。私のこともマリーと呼んでね。」
「ありがとう。それじゃあ、防音と目隠しの結界魔法を外すよ。」
「えっ?!」
知らないうちに、そんな結界を張っていたなんて優秀ね。この国は安泰だわ。
「ほら、結界に気付いて、君の優秀なお兄様とアーサー殿が来たよ。」
たしかに、こちらも優秀ね。
「お兄様、それから、アーサー、王太子殿下に結界について講義してもらっていたんです。心配させてごめんなさい。」
「なーんだ、そうだったんだね。王太子殿下は流石ですね。」
お兄様は本当に純粋だわ。きらきらした瞳で王太子殿下を見ているもの。ちょっと、心が痛いわね…。
「王太子殿下、あの程度の結界でしたら、魔力を半分にした方がよろしいですよ。」
アーサーが偉そうなこと言い出したわね、大丈夫かしら?
「こんな感じです。」
「「「えっ!」」」
三人ともびっくりしてしまった。だって、結界って言ったら、王族とか、貴族でも数少ない大人の人(私のお父様とか、攻略対象者の方のお父様とかね)しかできないイメージがあるから……。
たしか、膨大な魔力量と、非常に精密なコントロールと桁違いの魔法の知識が必要なはずだから……。
「びっくりした~。流石は、私の魔法のお師匠様ね。」
私が感動していると、お兄様も、
「アーサーはやっぱり天才だね。僕が魔の森に魔道具で結界を張る時はアーサーも手伝ってくれる?」
「もちろんさ、みんなを幸せにしたいんだろう。」
「うん、それが僕の願いだからね。」
あーお兄様が主人公じゃないのが納得いきません。あれ、王太子殿下、涙目?気のせいよね?!
「僕にも手伝わせてくれるかい?」
「王太子殿下も手伝ってくれるんですか。ありがとうございます。僕頑張りますね。」
「もしよければ、どのような形の魔道具を作ろうとしているのか簡単に説明してもらえるだろうか?折角アーサー殿が結界を張ってくれているし…。」
えっ?アーサーまだ結界張ってたの?よく普通の顔してできるわね。
「もちろんです。えーと、今は王都にある国王陛下の結界に近いものを魔道具で再現しようとしているんです。もう八割方構想はできているんです。全部で六つあってそのバランスを保つためにどうするのが一番良いかを実験中で、それが分かれば、製作自体は難しくないんです。学園を卒業するまでには完成させたいです。」
えっ?今年中ってこと?お兄様そんなこと言って大丈夫なのかしら?
「ただ、魔の森は広いのでぐるっと回るには魔方陣もほとんどないので半年以上かかりますし、最後の微調整にはアーサーのように精密なコントロールができる人が必要なんです。」
「そんなに具体的な段階に進んでいたなんて驚きました。何か僕に手伝えることがあれば言ってください。この国だけではなく、もっと大勢の方が幸せになれる魔道具ですね。」
「そう言ってもらえると僕も嬉しいです。国のことを、国王陛下だけに任せるなんて、おかしいですし、僕だったら、そんな大変なことを任されたら辛くて死にそうです。小さい頃、僕のお父様とお母様が言っていたんです。国王陛下の負担を少しでも減らしてあげたいって、僕もそう思ったんです。」
そう言えば、お父様とお母様は国王陛下とは幼馴染だったわね。やっぱり、友達っていいわね。
「そうでしたか。クライム殿が、ありがとうございます。」
「それでは、そろそろ結界を外しますよ。授業が始まりますから。」
アーサーがそう言って結界を外した。朝からとても素敵な光景を見られたわ。お兄様に感謝感謝ね!
余談だけど、私はアーサーが結界を張った時も、外した時も何かしたよねー……くらいしか集中しても分かりませんでした。これは練習で分かるようになるのかしら?
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