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第一章
第二話
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私の名前は…一ノ瀬・雫。
夢月・冥の親友であり幼馴染み…。
何時からだろうか大切な友との間に拭いきれない壁が出来たのは。
今から四年ほど前か、ニュース番組で大々的に報道された不可解な自然災害。
死傷者、行方不明者だけでも数百人と言われるもの。
その被害者の中に、幼馴染みとその家族がいた。
彼女は五人家族。
父母と兄は行方不明、妹は身体機能と記憶に障害を残すほどの重傷、そして彼女は、ほぼ無傷だった。
ただし、壊れていた。
私が彼女の元に駆けつけたとき、彼女は病院のベッドで眠る妹の傍らで涙を流し続け、まるで呪詛のように謝罪をし続けていた。
その目に生気はなく、悲痛な後ろ姿だけで。
ただ異様に恐ろしく、私は彼女に声すらかけることも、何も出来なかった。
…これは後悔なのか、報いなのか。
数ヶ月から数年ほどで、彼女は元の彼女に表面上だけは戻っていた。
ただし、私の知る幼馴染みでは無くなっていた。
それでも、私は……彼女の味方で有りたい。
そんな時だ、私達の目の前で何か…理解しがたい化け物同士の戦いが始まりったのは。
そして…偶然か必然か……私達と同じ年齢くらいの少女達が放った光が化け物と共に、私達ごと吹き飛ばしたのだから。
手の届くほどの距離にいたはずの親友が、光の中にのみ込まれて消えていった。
私は手をのばし、その手に何も…何もつかめなかった。
私は爆風と共に吹き飛ばされる、激しい痛みと鈍い音が体から聞こえ、体が転がり壁に激突して止まったときには、意識はもうろうとし、体が急速に冷たくなっていくのを感じていた。
それが、今の状況。
脳裏によぎるのは後悔と謝罪ばかり、そしてほんの僅かな怒り。
涙と共に意識は段々と沈んでいく。
………
……
…
「…ありゃ?、死骸?…」
それは、化け物の一人…いや二人。
人型だ。
まるで科学者のような白衣をきた、何か。
黒く細長い、ひょろい外見なのに、恐ろしく背が高い。
「ふむ?…見たところまだ生きてる…」
「どうした、ですか?」
その、白衣の化け物に声をかける何かがいた。
こちらも人型、それも普通の人間のような…見た目の女の子。
「なに、面白そうなのみつけたからさ」
白衣の化け物はケタケタ笑いながら、血潮の中に倒れ伏し虫の息な少女を摘まみ上げる。
「?それどうする、です?」
小首をかしげ、化け物の女の子が問う。
「そうだねぇ…新しい玩具のパーツ…材料にでも使おうかな。」
白衣の化け物は、またケタケタ笑いながら空を見上げる。
「まだ、がんばってるねぇ」
見上げる先には、ちゃくじつに追い詰められていく魔法少女達、そして物量で空を大地を荒らし回る、化け物共。
「少し様子見でもしてようかな?」
「かしこまり、なのです。」
…………
………
……
…
「しずく……どこにいるの。」
真っ白な見た目の少女が、瓦礫をかき分け辺りを見回し、うつむく。
────悪意が近づいてきよるぞ。
脳内にそう言う声が聞こえると同時に、物陰から肉食の四足獣を適当につなぎ合わせたような見た目の化け物が飛びかかってくる。
「ガアァァァ!!」
その獣は大きな口を開けて、目の前の獲物、真っ白な見た目の少女にむかって襲いかかる。
だか、獣の牙が噛みついた直前、少女は黒い影のように霧散した。
「ガァ?!、?、??」
獣は、わけも分からず辺りを見回すが、そこにいるのは己と同じ化け物だけで、獲物の姿形はどこにもいない。
「……死ね。」
化け物達の影から、そして獣の影から聞こえた声と共に、出てきた何かが、纏わり付きその体を貫いて核を破壊した。
化け物共は叫び声も上げること無く、形が崩れていく。
あとに残ったのは、命の破片…。
「………」
影の中から、現れた真っ白な見た目の少女、冥。
「…これは……影が武器と言うこと?…なのか?」
────のようだな。
冥は、瓦礫を見回して、頭をうつむき加減に呟く。
「……しずく。」
────……どうする?。
また、頭に直接声が響く。
────もし、ただびとを助けたいのなら…悪の、この空間を作り出している親玉を叩かなければ解放されんぞ?
「…分かってる」
────なら、行け。
「……」
冥は、迷いを振り払うように駆け出す。
この空間を作り出している化け物を殺せば、一般人は怪我をしているかもしれないけれど、生き残っている者は現実世界に戻ることが出来る、ただ何らかの事故に巻き込まれたというふうに認識して、現実世界でもそうなっている。
冥は影から影へ隠れ、化け物共を始末していく。
時折一般人の姿を見るので、かなりの規模がのみ込まれているのかもしれない。
冥がそんなふうに、思考を回転させ廃墟のビル。
その屋上のような場所に出ると、瓦礫と廃墟だらけの、魔法少女と化け物共の戦場を見回す。
「…魔法少女……化け物共は多数。」
視線の先は歪んだ空間の地形を利用してかなりの範囲を巻き込んでいく戦闘の嵐。
おかしい、私はあの化け物を知らない。
何所に属する化け物共か
どうすれば良い。
あの魔法少女共に加勢して戦うか。
…いや、そもそも私は、奴らの味方じゃ無い。
化け物の方には殺意しか湧かない。
だが、見える範囲に親玉は見つかっていない。
この規模の化け物共だ。
それを指揮するやつがどこかにいるはず。
どこだ。
どこにいる。
冥の意思のもと、力がその最も最適な形へと変化している、足下の影が蠢き、立ち上がる。
「行け。」
冥はそう呟く。
すると、蠢く影がいっせいに辺りに散らばっていく。
「…」
………
……
…
魔法少女達は迫り来る化け物を屠り、潰し、浄化する。
「くっ、敵が多すぎますわ!」
そう叫ぶのは、魔法少女ミラージ、最近ツキきが無いとふて腐れ気味。
道化師には逃げられるし、お気に入りの鯛焼き屋さんは定休日だし、タンスの角に小指をぶつけて悶絶するし。
と言うことらしい。
どうでも良いわ!
「うるさいですよ、ミラージ!」
そう言って荒ぶるのは、魔法少女モニカ、武器は棘球体のメイス、モーニングスター。
その破壊力は化け物を数匹まとめて殴り潰すほどだ。
「専攻しすぎです、フォローするこっちのみにもなれってんですよ!」
上空で杖のような物を構えて、光の砲撃を撃ちまくる魔法少女ラック・バレット。
「守りと癒しはお姉さんに任せなさい。」
そう言うのは、見た目だけならこの四人の中で一番幼い外見の一番年上の魔法少女ヴラーチ。
この四人の魔法少女意外にも、その他数名が広範囲にわたって持久戦のように戦い続けていた。
ただ、化け物共の雑魚ならどれほどの数が多くとも対応できる。
たが、時折化け物共の中にやたらと強力な、それこそ各魔法少女達の力の特性と相反する強敵がいるために、互いに背中合わせで戦い続けることしかできない。
たとえば、魔法少女ミラージの力は、言うなれば一点突破。
だがその分、防御はあれども回避が鈍い…そのため速度と数で囲まれると途端に動きが悪くなる。
他の魔法少女達も、特性は違えど似たり寄ったり。
互いの弱点をカバーすることでこの戦闘を、継続しているはず、なのだがそれでも魔力は心許なく。
息も荒く、その顔は苦虫をかみつぶしたようなもの。
その時、影が蠢いた。
まるで、黒い腕…それが目の前の化け物共を鷲づかみ、縛り、雑魚に至っては握り潰す。
「何…コレ。」
「分からないわ」
魔法少女達は、目の前の光景に呆然とする。
「あれは…黒い手みたいな、鎖?何んだろ…でも…私達と同じ…魔力?」
そう言うのは、最も全体を見渡せる、魔法少女ヴラーチ。
黒い影の手は、所から来るのか分からないが自分たちを助けてくれたと考えて良いのかもしれない。
それに、あの影は魔法少女の力と酷似した、魔力の光を感じる。
その時だった、足下に黒影で出来た…蜘蛛が現れた。
「……い…ヤァァァァ!!」
それは絶叫。
自分の足下に、妙にリアルな大きな蜘蛛が影から生えてくるのだから。
「「「……」」」
「くく…くも、くもがぁ!」
涙目である。
『…私は…貴女たちと同じ魔法少女の一人…よろしく?』
その蜘蛛は、冥の影の力であり、使い魔のような何か。
「蜘蛛が、喋った!!」
「落ち着きなさいヴラーチ」
「何というか」
「蜘蛛…以外でお願いできません?……鳥…とか。」
だが、魔法少女達にこの見た目の受けは良くなかったらしい。
『…鳥………』
影の蜘蛛がぐにゃりと蠢き、黒い色の鳩がいた。
「…鳩?」
「く、くもがぁ!!」
「あぁ!もう、うるさい!」
ゴン!!
モーニングスターによる一撃で、頭を抱えうずくまるヴラーチ。
「えっと、助けてくれてありがとう、で…良いのかな?私はバレット。」
『私は……ゼッル』
コレが、後に善と悪の全面対決における、最初のメンバー、その出会いだった。
夢月・冥の親友であり幼馴染み…。
何時からだろうか大切な友との間に拭いきれない壁が出来たのは。
今から四年ほど前か、ニュース番組で大々的に報道された不可解な自然災害。
死傷者、行方不明者だけでも数百人と言われるもの。
その被害者の中に、幼馴染みとその家族がいた。
彼女は五人家族。
父母と兄は行方不明、妹は身体機能と記憶に障害を残すほどの重傷、そして彼女は、ほぼ無傷だった。
ただし、壊れていた。
私が彼女の元に駆けつけたとき、彼女は病院のベッドで眠る妹の傍らで涙を流し続け、まるで呪詛のように謝罪をし続けていた。
その目に生気はなく、悲痛な後ろ姿だけで。
ただ異様に恐ろしく、私は彼女に声すらかけることも、何も出来なかった。
…これは後悔なのか、報いなのか。
数ヶ月から数年ほどで、彼女は元の彼女に表面上だけは戻っていた。
ただし、私の知る幼馴染みでは無くなっていた。
それでも、私は……彼女の味方で有りたい。
そんな時だ、私達の目の前で何か…理解しがたい化け物同士の戦いが始まりったのは。
そして…偶然か必然か……私達と同じ年齢くらいの少女達が放った光が化け物と共に、私達ごと吹き飛ばしたのだから。
手の届くほどの距離にいたはずの親友が、光の中にのみ込まれて消えていった。
私は手をのばし、その手に何も…何もつかめなかった。
私は爆風と共に吹き飛ばされる、激しい痛みと鈍い音が体から聞こえ、体が転がり壁に激突して止まったときには、意識はもうろうとし、体が急速に冷たくなっていくのを感じていた。
それが、今の状況。
脳裏によぎるのは後悔と謝罪ばかり、そしてほんの僅かな怒り。
涙と共に意識は段々と沈んでいく。
………
……
…
「…ありゃ?、死骸?…」
それは、化け物の一人…いや二人。
人型だ。
まるで科学者のような白衣をきた、何か。
黒く細長い、ひょろい外見なのに、恐ろしく背が高い。
「ふむ?…見たところまだ生きてる…」
「どうした、ですか?」
その、白衣の化け物に声をかける何かがいた。
こちらも人型、それも普通の人間のような…見た目の女の子。
「なに、面白そうなのみつけたからさ」
白衣の化け物はケタケタ笑いながら、血潮の中に倒れ伏し虫の息な少女を摘まみ上げる。
「?それどうする、です?」
小首をかしげ、化け物の女の子が問う。
「そうだねぇ…新しい玩具のパーツ…材料にでも使おうかな。」
白衣の化け物は、またケタケタ笑いながら空を見上げる。
「まだ、がんばってるねぇ」
見上げる先には、ちゃくじつに追い詰められていく魔法少女達、そして物量で空を大地を荒らし回る、化け物共。
「少し様子見でもしてようかな?」
「かしこまり、なのです。」
…………
………
……
…
「しずく……どこにいるの。」
真っ白な見た目の少女が、瓦礫をかき分け辺りを見回し、うつむく。
────悪意が近づいてきよるぞ。
脳内にそう言う声が聞こえると同時に、物陰から肉食の四足獣を適当につなぎ合わせたような見た目の化け物が飛びかかってくる。
「ガアァァァ!!」
その獣は大きな口を開けて、目の前の獲物、真っ白な見た目の少女にむかって襲いかかる。
だか、獣の牙が噛みついた直前、少女は黒い影のように霧散した。
「ガァ?!、?、??」
獣は、わけも分からず辺りを見回すが、そこにいるのは己と同じ化け物だけで、獲物の姿形はどこにもいない。
「……死ね。」
化け物達の影から、そして獣の影から聞こえた声と共に、出てきた何かが、纏わり付きその体を貫いて核を破壊した。
化け物共は叫び声も上げること無く、形が崩れていく。
あとに残ったのは、命の破片…。
「………」
影の中から、現れた真っ白な見た目の少女、冥。
「…これは……影が武器と言うこと?…なのか?」
────のようだな。
冥は、瓦礫を見回して、頭をうつむき加減に呟く。
「……しずく。」
────……どうする?。
また、頭に直接声が響く。
────もし、ただびとを助けたいのなら…悪の、この空間を作り出している親玉を叩かなければ解放されんぞ?
「…分かってる」
────なら、行け。
「……」
冥は、迷いを振り払うように駆け出す。
この空間を作り出している化け物を殺せば、一般人は怪我をしているかもしれないけれど、生き残っている者は現実世界に戻ることが出来る、ただ何らかの事故に巻き込まれたというふうに認識して、現実世界でもそうなっている。
冥は影から影へ隠れ、化け物共を始末していく。
時折一般人の姿を見るので、かなりの規模がのみ込まれているのかもしれない。
冥がそんなふうに、思考を回転させ廃墟のビル。
その屋上のような場所に出ると、瓦礫と廃墟だらけの、魔法少女と化け物共の戦場を見回す。
「…魔法少女……化け物共は多数。」
視線の先は歪んだ空間の地形を利用してかなりの範囲を巻き込んでいく戦闘の嵐。
おかしい、私はあの化け物を知らない。
何所に属する化け物共か
どうすれば良い。
あの魔法少女共に加勢して戦うか。
…いや、そもそも私は、奴らの味方じゃ無い。
化け物の方には殺意しか湧かない。
だが、見える範囲に親玉は見つかっていない。
この規模の化け物共だ。
それを指揮するやつがどこかにいるはず。
どこだ。
どこにいる。
冥の意思のもと、力がその最も最適な形へと変化している、足下の影が蠢き、立ち上がる。
「行け。」
冥はそう呟く。
すると、蠢く影がいっせいに辺りに散らばっていく。
「…」
………
……
…
魔法少女達は迫り来る化け物を屠り、潰し、浄化する。
「くっ、敵が多すぎますわ!」
そう叫ぶのは、魔法少女ミラージ、最近ツキきが無いとふて腐れ気味。
道化師には逃げられるし、お気に入りの鯛焼き屋さんは定休日だし、タンスの角に小指をぶつけて悶絶するし。
と言うことらしい。
どうでも良いわ!
「うるさいですよ、ミラージ!」
そう言って荒ぶるのは、魔法少女モニカ、武器は棘球体のメイス、モーニングスター。
その破壊力は化け物を数匹まとめて殴り潰すほどだ。
「専攻しすぎです、フォローするこっちのみにもなれってんですよ!」
上空で杖のような物を構えて、光の砲撃を撃ちまくる魔法少女ラック・バレット。
「守りと癒しはお姉さんに任せなさい。」
そう言うのは、見た目だけならこの四人の中で一番幼い外見の一番年上の魔法少女ヴラーチ。
この四人の魔法少女意外にも、その他数名が広範囲にわたって持久戦のように戦い続けていた。
ただ、化け物共の雑魚ならどれほどの数が多くとも対応できる。
たが、時折化け物共の中にやたらと強力な、それこそ各魔法少女達の力の特性と相反する強敵がいるために、互いに背中合わせで戦い続けることしかできない。
たとえば、魔法少女ミラージの力は、言うなれば一点突破。
だがその分、防御はあれども回避が鈍い…そのため速度と数で囲まれると途端に動きが悪くなる。
他の魔法少女達も、特性は違えど似たり寄ったり。
互いの弱点をカバーすることでこの戦闘を、継続しているはず、なのだがそれでも魔力は心許なく。
息も荒く、その顔は苦虫をかみつぶしたようなもの。
その時、影が蠢いた。
まるで、黒い腕…それが目の前の化け物共を鷲づかみ、縛り、雑魚に至っては握り潰す。
「何…コレ。」
「分からないわ」
魔法少女達は、目の前の光景に呆然とする。
「あれは…黒い手みたいな、鎖?何んだろ…でも…私達と同じ…魔力?」
そう言うのは、最も全体を見渡せる、魔法少女ヴラーチ。
黒い影の手は、所から来るのか分からないが自分たちを助けてくれたと考えて良いのかもしれない。
それに、あの影は魔法少女の力と酷似した、魔力の光を感じる。
その時だった、足下に黒影で出来た…蜘蛛が現れた。
「……い…ヤァァァァ!!」
それは絶叫。
自分の足下に、妙にリアルな大きな蜘蛛が影から生えてくるのだから。
「「「……」」」
「くく…くも、くもがぁ!」
涙目である。
『…私は…貴女たちと同じ魔法少女の一人…よろしく?』
その蜘蛛は、冥の影の力であり、使い魔のような何か。
「蜘蛛が、喋った!!」
「落ち着きなさいヴラーチ」
「何というか」
「蜘蛛…以外でお願いできません?……鳥…とか。」
だが、魔法少女達にこの見た目の受けは良くなかったらしい。
『…鳥………』
影の蜘蛛がぐにゃりと蠢き、黒い色の鳩がいた。
「…鳩?」
「く、くもがぁ!!」
「あぁ!もう、うるさい!」
ゴン!!
モーニングスターによる一撃で、頭を抱えうずくまるヴラーチ。
「えっと、助けてくれてありがとう、で…良いのかな?私はバレット。」
『私は……ゼッル』
コレが、後に善と悪の全面対決における、最初のメンバー、その出会いだった。
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