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冒険の旅

番外編16.地龍無双・・・

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 中型犬位のサイズの、地龍がキースの新たな戦力となって居た。
 この地龍、まだ小さい癖に異様に強かった。
 そりゃそうだろうけどな、ヨルムンガンドなんて名前つけちゃダメだと思うよ、私も。
 とは、電脳通信でエリーに報告した時に返って来た返信だ。
 例の、特大の角兎、あれが現れたかと思った次の瞬間に、瞬間的に飛び出して行って、真下から兎の顎を狙い、ブレス一閃、頭を吹き飛ばされればそりゃ一溜りも無く、一撃で瞬殺だった。
 お陰で、ジ・アースは、何もしなくても食材に困らない状態になって居た。
 現在キース達の居る場所は、琵琶湖と言う水平線が有る程の巨大な湖を北から迂回する為に訪れて一泊した宿場町の近く。
 そこで、宿場の探索者ギルドに依頼を受けた、サンダーガルーダと言う怪鳥の討伐の為に、住処の在る山岳部への道程を進んでいた。
「ねぇ、キース、私達、先に行ってていいかしら?」
 ヨルムンガンドの余りの強さに、クリスまで呆れてこのざまである。
 ちなみにサンダーガルーダとか聞くと、雷を操るスキルか雷魔法を使うと思われそうなのだが、ただ単に雷の激しい夜に狩りをすると言うのだ、しかしそんな事は無いと思うのできっと雷の時にしか目撃されない理由がある筈なのだった。
 そしてそのサンダーガルーダが住処にして居るのが山の頂上では無いかと言うのが今回の探索者組合からの情報で、それを見つけ、討伐して欲しいと言う物だった。
 サンダーガルーダは、雷雨の夜に、雷と雨、そして闇に紛れて家畜のヤギなどを攫って行くと言う。
 そんな雷雨の夜には普通家畜は畜舎に入れておくものだと思うのだけど、その辺りが今一つこの依頼に対して持って居た不信感と言うか、どうにも歯がゆい思いをしている、ジ・アースの面々だった。
 そもそも雷も雨も来そうに無いこんな良い天気に住処と思われる山頂を目指してどうしろと言うのだろうか。
 それこそ、脳筋のキースにすらそんな風に思われていたが、探索者組合のたってのご要望なので仕方が無かった。
「まぁ、仕方無いじゃない、受けるだけ受けて、やって見てさ、どうにも成らなさそうだったらエリーに知恵を貸して貰おうよ、私達だって電脳化してるから、何とかなるって、いい知恵浮かぶと思うから、やるだけやってみよう。」
 と言うクリスの前向きな一言に、最近クリスをかなりリスペクトして居るカレイラが賛同した事で、この依頼を受けて見る事に成ったのである。
 しかし・・・もう探索初めて3~4日目、住処と思われる山だってもう3か所目だ、そろそろ何か手掛かりが有ったって良いんだけどな。
 やはり眉唾だったんじゃねぇか?
 と思い始めて居るキースは、なんか出て来る魔物を狩って回るだけと言うか、普通のC級冒険者でも倒すのが難しいレベルの魔獣が多数現れるこのエリアの脅威の掃討を遠回しにさせられているだけなんじゃ無いかと言う気に成って来て居た。
 そんな時、突然エリーからのメールが電脳に届いた。
『へぇ~、キースにしちゃ早く気が付いたな。
 多分、脅威の掃討って言う名目の依頼だと余計に褒賞払わなくちゃならなくなるからって事で当たりだと思うぞ?
 それにしても、お前面白いもん連れてるな、何したんだ?w
 ちなみにそいつな、5年後にはお前を背に乗せて走るようになるんじゃない?w』
 なっ!?
 マジかっ!あいつら覚えてろよ~?
 それにしてもエリーって何でもお見通しなんだな、ある意味怖え。
『ああ、ちなみに私の並列存在の一人がこの大陸の捜索の名目で旅してるんだが、もう3日もするとその近くにいくかも知れん、何なら合流してみ?探索者組合に一泡吹かせられるんじゃね?』
 うわぁ・・・エリーって、やっぱ味方で良かったわ~・・・
 探索者組合は、もしかすると一番敵に回しちゃいけない人に敵認定されるかもしれんな、これは・・・
 あまりの恐ろしさに身震いをするキースだった。
 さて一行は、目的地の山の中腹辺りまで上がって来て居る。
 が、ここで又、厄介な魔獣に遭遇した。
 マンティコアであった。
 大変厄介な魔獣だ。
 マカンヌの術札はエアブレスで散らされ、届く事は無い。
 接近戦に持ち込もうにも、音波攻撃で、強制的に耳鳴りを起こされ近寄りがたい苦痛を受ける。
 接近したら接近したで、厄介な爪と牙、そして尻尾の蛇による独牙嚙みつき攻撃と言う三重の攻撃をかわして戦わねばならない。
 しかし、今のジ・アースには、強い味方が居る。
 そう、地龍ヨルムンガンドだ。
 カイエンがおとりになって気を引く、カイエンがターゲットを外されると今度はキース。
 マカンヌは隙を着いて術札や手裏剣で牽制。
 マカンヌにターゲットが移ると、それをクリスとカレイラがカバーに入る。
 こうしている内に地中から近づいたヨルムンガンドが、真下から飛び出して噛みつく、そのまま、ブレスで一閃した。
 まさにヨルムンガンドありきの戦略だった。
 羽虫系の魔獣が来ようとも、ヨルムンガンドのブレスで一掃出来てしまうと言う、まさに地龍無双だった。
 ヨルムンガンドの加わったジ・アースにはまさに死角無しと言う状態だった。
 未だ子供のヨルムンガンドはレベルの上りは早かったが、スタミナがまだ余り無い為に、どうしても休ませる時間が増える、そこだけがネックだった。
 あ、いや、もう一つ、食料自給率に少々難があった。
 すげぇ食うんだよ、成長期のドラゴンって。
 この体の何処にこれが入るって言う量の肉を食っちゃう。
 今倒したマンティコアにしても、ヨルムンガンドの5倍はあるような大きな魔獣であるにも拘らず、間もなく内臓を含めた全ての肉がヨルムンガンドの胃に収まりつつあった。
 まぁ、マンティコアの肉は、肉自体が毒なので、人間には食う事は出来ない、ヨルムンガンドだけはドラゴンの特性として毒が一切効かないので丁度いい獲物ではあった
 .『亜竜とは違うのだよ、亜竜とは。』
 エリーのそんな声が聞こえて来そうだと思いながら、ヨルムンガンドの食事を見つめる一行だった。
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