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冒険の旅
妖狐
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宿をチェックアウトした私は、未だ早朝だが、ある場所へと足を運んだ。
勿論、お世話になった師匠の鍜治場だ。
実はあの後、どうなったのかが気に成って居た私は、偵察ナノマシンを放って監視させて居たんだよね、一寸趣味悪いから本当はやりたくは無かったんだけど、あの煮え切らない魔法使い君はちょっとさ、ちゃんと筆卸ぐらいやって貰わないとねぇ・・・
女性も知らずに何時までも居れる筈も無し、同性愛者でもあるまいに。
そんな糞真面目は本当にクソだ、いつか破綻する、パンクしたら最後、暴走車のように突っ込んで壊れておしまいだ。
単独で済めば良いけど周りを巻き込んで人身事故なんて洒落にも成らない。
そんな事に成らない為にも、彼にはここで是非女の味ってのを覚えて欲しいからこそ、あんなお店に連れてったんだしね。
って事で、移動しながら電脳で録画を再生中。
うんうん、ちゃんと連れ出したんだねぇ、偉い偉い。
で、どんなお部屋だった訳よ?
え??マジっすか?
こんなもん拷問部屋じゃ無いのよ!
って、ご主人様ちゃうんかぁ~い!
縛られる方でやんの(汗)
うは~!顔面騎乗とかそう言うのやっちゃうか・・・
あかん、Mだったのかよ!
これ以上は見てもしゃぁねぇ、っつーか未来がねぇぞ、これ・・・
女王様好きだったとは。
これって後継ぎは期待出来そうな気がしないんすけど。
いや、これがきっかけで嫁に成る事もあるかもしれない・・・多分。
って事で動画はここまでにしとく。
「おはようございま~す。」
「おう、恵里衣、良い所に来た。」
「どうしました?師匠。」
「今回打った刀、邑雅だがな、やはりこいつはお前さんのもんじゃ無いかと思ってなぁ。
ほら、持って行け。」
「え、マジで?私に?ここまでの大業物を?」
「ああ、お前さんなら正しく使ってくれそうだしな、若しくはお前さんが信頼できると思う人物に与えてやるが良い。
それに、お前さんとワシで打った刀、言わばお主の処女作品じゃ、持って行くが良い。」
「判りました、師匠がそれで良いと言うなら、異論は有りません。」
「ところで師匠の息子さんは、あれからどうです?」
「ああ、ワシが無理にでもああ言う所に連れて行って遊びを教えてやるべきじゃったかも知れんな、人が変わったようにほれ、あの叩く音を聞いてやってくれ。」
なるほど、師匠に近い良い音が出てると思う、一皮剝けたのは間違い無いね。
「良い音ですね、師匠に近いとても良い響き。」
「じゃろ? 昨日までとは本当に人が変わった様じゃ、これでワシも安心して工場を任せられる。」
「じゃあ、銘を継がせてあげられるって事ですね。」
「ああ、これなら良いじゃろう、お主にもワシの銘は継いで貰いたいがな、お主はむしろ、ワシを超えるのは間違いない、ワシを超える銘を付けてやろう。
長船越中守これがワシの打った刀と証明する銘になる。
つまり、竿名は初代長船越中守邑雅、これがお主が持って行く刀じゃ。
普通、ワシの銘を受け継ぐなら、二代長船越中守となる、これは息子に継がせるとしてじゃな。
お主には、初代荒船出雲守でどうじゃろう、出雲は紀伊と並んで高天原の御膝元じゃしな良い名じゃろう?」
「有難うございます、師匠。 師匠から頂いた銘に恥じぬ作を打てるよう精進致します。」
「もう、行くのか?」
「いえ、もう暫く、この平泉の周囲で魔物の傾向など調べて行くつもりですが、そのまま戻らないかも知れないのでご挨拶に伺った迄です。」
「そうか、気を付けて行くのじゃぞ、短い間じゃったが楽しい日々じゃった、孫娘が出来たような良い気分じゃ。」
「そう言って下さるとは光栄です、師匠も、お体お気をつけて。」
息子さんの工房へは、足を踏み入れずに行く事にした。
折角良い音出せるようになったんだから、今は一番楽しいし嬉しいと思う、そんな所に水を挿すのは如何な物かと思ったからだ。
こうして私は、平泉の街の外へと。
すると、私を追いかけて来る一人の女性の姿が有った。
「もし!? 恵里衣様ではありんせんか?」
「ん?ああ、玉藻じゃん、どした?
っつーか出て来たんだね、座敷牢から。」
「はい、貴方様の強さに惚れ申した、私の本体をお救い願いたく・・・」
ん?本体?私みたいに並列存在か何かなのか?
まさかねぇ・・・
「本体ってどう言う事?」
「わたくしは、所謂九尾の狐と言われる妖狐の尻尾の一本。
言わば分身のような物で御座います。
本体は、何者かに操られるようにして、凶悪な魔物と化してしもうたので、我ら八姉妹、各地へと散り、本体である母を止める事の出来そうなお方を探して居る次第でありんした。」
「へぇ、って事は、あんたも人、イヤ亜人では無くて上位種の魔物、魔人のような存在と言う事?」
「はい、そのような認識で概ね間違って居りませぬ。」
「そうなんだ、で?その各地へ散って居るアンタの姉妹達とは連絡の取り用は有るの?」
「いえ、居場所がわかる程度でありんす、ですが、ここから北へ5里程行った所に一人、他に、西へ行くと最近強い方々に遭遇して死に掛けたのが一人居ります。」
「成程、んじゃあ姉妹達を集めながら本体を止める為の手伝いをして欲しいと、そしてそれに同行させて欲しい、そう言う事で良いのかな?」
「はい、本体を助けて元の姿に戻りとう御座います。」
「しかし・・・会話が出来る魔物ともなると、最上位と考えても良いのでは無いだろうか? 分身体でこれだしな。
分身体って事は本体はお前よりもずっと強いのだろ?」
「勿論そうなんどすが、貴女様ほどの強さは無いと思とります。」
「そうなの? 大した強さじゃねーんじゃん?」
シーサーペント戦以来、自己評価は徹底的に低く見繕うエリーだった。
それじゃこれからこの付近の魔物の生息域とかの調査で狩りするから、手伝ってくれる?
「わっちに同族殺しをしろと?」
あ、成程、キツネの魔物が多いのかな?
「いや、何も殺して持って来いなんて言わねぇって、生け捕り可能ならそうして。
私も美味しそうな猪系とか鹿系の魔物とか以外は話しても良いかなと思ってるから。
ただ、あんまり狩り過ぎても生態系崩れるからその辺も考慮してるから安心しなさいね。」
で・・・だ。
何なのこのとんでもない兎は・・・
鑑定するとさ、一角大兎とか言う名前だったんだけど、デカいにも程が有るだろ!?
ちなみに切り落とした角だけで2m近いんだよ、どうなんだ、この巨大さ加減。
これ、何故か既に肉食で兎とは言い切れないんだけどな、草食だったら一羽で森食いつくすだろ!?
狐が逃げまどってるってどう言う状況なんだよ!しかし、この世界、毎度何処に行っても思うんだけど、魔素の影響か何だか知らんが、森とかの再生速度が異常に早いんだよね。
私があの熊さんと大立ち回りしたあの谷もさ、一週間位で周辺の木々の倒れてたのとか、ほぼ元通りになってるんだわ、すげぇよね、植物の成長速度が全部竹並なの。
兎に角調査はまだ続く。
角兎だけに・・・とか言ったらドン引きされそうだけど。
森の中を突き進んで行くと、オーガの亜種みたいなのが居た。
鑑定したら、なまはげだって。
わりーこはいねか~って奴っすな?
黒曜石削ったような不格好な包丁っぽいの持ってウロウロしてたので、取り合えず一体、ホーリー・レイで仕留めてストレージに入れといた。
生体を調べるには解体するに限る、とは言ってもナノマシン入れて調べるので本当に解剖する訳じゃ無いわよ?
調べたらこう言う系の魔物は売れる所以外は焼却処分です。
玉藻が色々狩って戻って来た。
「はぁ、はぁ、こんなもんでええどすか?」
うん、良いんじゃ無いかな?
「よし、こんなもんか、じゃあ、北の姉妹とやらに会いに行きますか。
いでよクリムゾンスパイダー!」
とか叫んでストレージから取り出す私。
いやぁ、やっぱ移動徒歩でも良いけど途中の宿とかになるとお風呂入れないのは嫌な訳よ、やっぱ旅は快適じゃなくちゃ、って事で作っちゃったのよ、新8号機。
本体には内緒でな。
勿論、お世話になった師匠の鍜治場だ。
実はあの後、どうなったのかが気に成って居た私は、偵察ナノマシンを放って監視させて居たんだよね、一寸趣味悪いから本当はやりたくは無かったんだけど、あの煮え切らない魔法使い君はちょっとさ、ちゃんと筆卸ぐらいやって貰わないとねぇ・・・
女性も知らずに何時までも居れる筈も無し、同性愛者でもあるまいに。
そんな糞真面目は本当にクソだ、いつか破綻する、パンクしたら最後、暴走車のように突っ込んで壊れておしまいだ。
単独で済めば良いけど周りを巻き込んで人身事故なんて洒落にも成らない。
そんな事に成らない為にも、彼にはここで是非女の味ってのを覚えて欲しいからこそ、あんなお店に連れてったんだしね。
って事で、移動しながら電脳で録画を再生中。
うんうん、ちゃんと連れ出したんだねぇ、偉い偉い。
で、どんなお部屋だった訳よ?
え??マジっすか?
こんなもん拷問部屋じゃ無いのよ!
って、ご主人様ちゃうんかぁ~い!
縛られる方でやんの(汗)
うは~!顔面騎乗とかそう言うのやっちゃうか・・・
あかん、Mだったのかよ!
これ以上は見てもしゃぁねぇ、っつーか未来がねぇぞ、これ・・・
女王様好きだったとは。
これって後継ぎは期待出来そうな気がしないんすけど。
いや、これがきっかけで嫁に成る事もあるかもしれない・・・多分。
って事で動画はここまでにしとく。
「おはようございま~す。」
「おう、恵里衣、良い所に来た。」
「どうしました?師匠。」
「今回打った刀、邑雅だがな、やはりこいつはお前さんのもんじゃ無いかと思ってなぁ。
ほら、持って行け。」
「え、マジで?私に?ここまでの大業物を?」
「ああ、お前さんなら正しく使ってくれそうだしな、若しくはお前さんが信頼できると思う人物に与えてやるが良い。
それに、お前さんとワシで打った刀、言わばお主の処女作品じゃ、持って行くが良い。」
「判りました、師匠がそれで良いと言うなら、異論は有りません。」
「ところで師匠の息子さんは、あれからどうです?」
「ああ、ワシが無理にでもああ言う所に連れて行って遊びを教えてやるべきじゃったかも知れんな、人が変わったようにほれ、あの叩く音を聞いてやってくれ。」
なるほど、師匠に近い良い音が出てると思う、一皮剝けたのは間違い無いね。
「良い音ですね、師匠に近いとても良い響き。」
「じゃろ? 昨日までとは本当に人が変わった様じゃ、これでワシも安心して工場を任せられる。」
「じゃあ、銘を継がせてあげられるって事ですね。」
「ああ、これなら良いじゃろう、お主にもワシの銘は継いで貰いたいがな、お主はむしろ、ワシを超えるのは間違いない、ワシを超える銘を付けてやろう。
長船越中守これがワシの打った刀と証明する銘になる。
つまり、竿名は初代長船越中守邑雅、これがお主が持って行く刀じゃ。
普通、ワシの銘を受け継ぐなら、二代長船越中守となる、これは息子に継がせるとしてじゃな。
お主には、初代荒船出雲守でどうじゃろう、出雲は紀伊と並んで高天原の御膝元じゃしな良い名じゃろう?」
「有難うございます、師匠。 師匠から頂いた銘に恥じぬ作を打てるよう精進致します。」
「もう、行くのか?」
「いえ、もう暫く、この平泉の周囲で魔物の傾向など調べて行くつもりですが、そのまま戻らないかも知れないのでご挨拶に伺った迄です。」
「そうか、気を付けて行くのじゃぞ、短い間じゃったが楽しい日々じゃった、孫娘が出来たような良い気分じゃ。」
「そう言って下さるとは光栄です、師匠も、お体お気をつけて。」
息子さんの工房へは、足を踏み入れずに行く事にした。
折角良い音出せるようになったんだから、今は一番楽しいし嬉しいと思う、そんな所に水を挿すのは如何な物かと思ったからだ。
こうして私は、平泉の街の外へと。
すると、私を追いかけて来る一人の女性の姿が有った。
「もし!? 恵里衣様ではありんせんか?」
「ん?ああ、玉藻じゃん、どした?
っつーか出て来たんだね、座敷牢から。」
「はい、貴方様の強さに惚れ申した、私の本体をお救い願いたく・・・」
ん?本体?私みたいに並列存在か何かなのか?
まさかねぇ・・・
「本体ってどう言う事?」
「わたくしは、所謂九尾の狐と言われる妖狐の尻尾の一本。
言わば分身のような物で御座います。
本体は、何者かに操られるようにして、凶悪な魔物と化してしもうたので、我ら八姉妹、各地へと散り、本体である母を止める事の出来そうなお方を探して居る次第でありんした。」
「へぇ、って事は、あんたも人、イヤ亜人では無くて上位種の魔物、魔人のような存在と言う事?」
「はい、そのような認識で概ね間違って居りませぬ。」
「そうなんだ、で?その各地へ散って居るアンタの姉妹達とは連絡の取り用は有るの?」
「いえ、居場所がわかる程度でありんす、ですが、ここから北へ5里程行った所に一人、他に、西へ行くと最近強い方々に遭遇して死に掛けたのが一人居ります。」
「成程、んじゃあ姉妹達を集めながら本体を止める為の手伝いをして欲しいと、そしてそれに同行させて欲しい、そう言う事で良いのかな?」
「はい、本体を助けて元の姿に戻りとう御座います。」
「しかし・・・会話が出来る魔物ともなると、最上位と考えても良いのでは無いだろうか? 分身体でこれだしな。
分身体って事は本体はお前よりもずっと強いのだろ?」
「勿論そうなんどすが、貴女様ほどの強さは無いと思とります。」
「そうなの? 大した強さじゃねーんじゃん?」
シーサーペント戦以来、自己評価は徹底的に低く見繕うエリーだった。
それじゃこれからこの付近の魔物の生息域とかの調査で狩りするから、手伝ってくれる?
「わっちに同族殺しをしろと?」
あ、成程、キツネの魔物が多いのかな?
「いや、何も殺して持って来いなんて言わねぇって、生け捕り可能ならそうして。
私も美味しそうな猪系とか鹿系の魔物とか以外は話しても良いかなと思ってるから。
ただ、あんまり狩り過ぎても生態系崩れるからその辺も考慮してるから安心しなさいね。」
で・・・だ。
何なのこのとんでもない兎は・・・
鑑定するとさ、一角大兎とか言う名前だったんだけど、デカいにも程が有るだろ!?
ちなみに切り落とした角だけで2m近いんだよ、どうなんだ、この巨大さ加減。
これ、何故か既に肉食で兎とは言い切れないんだけどな、草食だったら一羽で森食いつくすだろ!?
狐が逃げまどってるってどう言う状況なんだよ!しかし、この世界、毎度何処に行っても思うんだけど、魔素の影響か何だか知らんが、森とかの再生速度が異常に早いんだよね。
私があの熊さんと大立ち回りしたあの谷もさ、一週間位で周辺の木々の倒れてたのとか、ほぼ元通りになってるんだわ、すげぇよね、植物の成長速度が全部竹並なの。
兎に角調査はまだ続く。
角兎だけに・・・とか言ったらドン引きされそうだけど。
森の中を突き進んで行くと、オーガの亜種みたいなのが居た。
鑑定したら、なまはげだって。
わりーこはいねか~って奴っすな?
黒曜石削ったような不格好な包丁っぽいの持ってウロウロしてたので、取り合えず一体、ホーリー・レイで仕留めてストレージに入れといた。
生体を調べるには解体するに限る、とは言ってもナノマシン入れて調べるので本当に解剖する訳じゃ無いわよ?
調べたらこう言う系の魔物は売れる所以外は焼却処分です。
玉藻が色々狩って戻って来た。
「はぁ、はぁ、こんなもんでええどすか?」
うん、良いんじゃ無いかな?
「よし、こんなもんか、じゃあ、北の姉妹とやらに会いに行きますか。
いでよクリムゾンスパイダー!」
とか叫んでストレージから取り出す私。
いやぁ、やっぱ移動徒歩でも良いけど途中の宿とかになるとお風呂入れないのは嫌な訳よ、やっぱ旅は快適じゃなくちゃ、って事で作っちゃったのよ、新8号機。
本体には内緒でな。
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