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冒険の旅
番外編9.旅路にて。(ジ・アース)その1
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‐クリス‐
この、バイクって奴さ、本当に凄いよね、鉄の馬と言うか、馬よりずっと速い。
どうやって動いてるか考えると、知らない筈の知識が電脳から流れて来て知ってる事に成っちゃうから難しい事は無いけれど、それにしても凄い技術だと思う。
こんな速く走れる物を作り出してしまうんだから、エリーは本当に凄い人。
山道をずっと上って行くと、急に開けた高原に出た。そしてその高原では、大量の野菜などを育てて居るようで、一面畑になって居た。その畑の真ん中を抜けるように伸びる街道を走って行くと、宿場町と思われる場所に辿り着いた。
わたしは、キースに電脳で話しかけた。
『ねぇキース、私疲れたしお腹も空いたわ、そこの宿場町みたいなのに寄って休もうよ。』
『ああ、そうだな、俺も同じ事考えてた、皆も疲れたろ、今日はこの辺で宿も探して、移動はまた明日にしないか?
急ぐ旅でも無いしな。』
『ああ、俺は賛成だ、』
『私も賛成です。』
『私もぉ~、お尻痛い、割れちゃう。』
『お母さんは黙ってていいよ、すぐ変な方向に持って行こうとする。
お尻は割れてるもんです。』
『もう、相変わらずですね、マカンヌさんは。』
『よし、決定だな、今日はこの辺で休もう。』
そして私達は、その宿場町のように整備されているように見える村へと向かう。
村の入り口への案内板を確認すると、こうあった。『鬼無里』
「へぇ、鬼の無い里だって、何て読むんだろう?」
するとマカンヌさんが。
「これはねぇ~、『きなさ』って読むのよぉ~。」
と教えてくれる、何でこの人はそんな事知ってるんだろう。
「へぇ~、マカンヌさん詳しいんだな。」
「まぁねぇ~、ここはね~、鬼姫伝説の有る所、なんじゃないかしらぁ~?」
「え?どう言う事? 又鬼なの? あの伽梨帝とか言うのも強かったわよねぇ?」
「ん~・・・確かぁ~、鬼女紅葉・・・だったかしらぁ~? そのおにとぉ~、息子の大嶽丸?だったっけ?とかが居たって言う場所だったかなぁ~?」
「まぁ、恐らくそう言うのはアレだろう、魔除けの類で強そうな鬼の名前を使うとかそう言った呪術の一種だろう、気にする事は無い、行こう。」
カイエンさんはそう言うけど、私は嫌な予感しかしなかった。
「ねぇ、キース、カレイラ、何だかイヤな予感しない?」
「ん?俺はそうでも無いけどな。」
「わ、私は嫌な予感します・・・クリスさんに一票。」
「ま、マカンヌさんは?」
「そうねぇ~、私的には、多分この村にぃ~、鬼女紅葉の頭蓋事って言うのが展示されてる博物館が有るって聞いたし、言って見たいけどぉ~、そんな雰囲気でも無いのよねぇ~、確かに、あんまり良い雰囲気じゃァないわよねぇ~。」
「じゃ、じゃあ、私に一票、お願い!」
「ん~・・・私達なら、きっと大丈夫じゃないかしら~?」
「よし、こっちに一票だな、そもそもはじめに此処で休もうって言ったのはクリスだぜ?」
「そうだけどぉ~、マジで嫌な予感するんだってば~、ねぇカレイラ~。」
「そうだよ~、お母さん今からでもこっちに付いてぇ~。」
「ん~、でも疲れたし~。」
「わ・・・判ったわよ、カレイラ、一緒の部屋にしよ、ね?」
「うん、クリスさん、一緒に寝よ。」
「仕方が無いな、では今日はそういう部屋割りだな。」
そう言ってカイエンさんは先頭に立って宿屋らしき建物へ。
暫くして出て来たカイエンさんは。
「3部屋取れたぞ、こんな立派な旅館なのにかなり割安だったぞ、もし料理が物足りないようなら、後で近くで探す事にしよう。」
そう言って私達を旅館へと引き連れて又先頭で入って行った。
旅館の女将さんみたいな人が居て、仲居さん風の人が数人、みんな笑顔で出迎えてくれる。
なんだ、私の思い過ごしかな?
未だ日が落ちる時間では無かったので、チェックインを済ませた私達は、周囲の散策に出た。
それにしても寂しい村だね、ここ。
温泉宿が有る宿場町と思えない程閑散としてる。
鮎と言う川魚を焼いているお店で、それを買って食べて見た、美味しい!
きっと嫌な予感は私の気のせいだったのね、そんな気がして来た。
結局、他には工芸品みたいな物とかしか無かったので、少し早いかと思ったけど宿へと戻った私達は、早めに温泉に浸かってのんびりした後、部屋が3部屋に分かれて居た為に宴会場での食事になった。
「それにしてもこの宿の部屋って、鍵も無いのよね、大丈夫なのかなぁ?」等と言いながら宴会場へ移動した私達。
何だか私達が居なくなって部屋に泥棒が入るんじゃ無いかなんて気になって、何を食べたのか美味しかったのかとか、あんまり覚えていない。
部屋に戻ると、何も取られた物は無いみたいだけど、旅館の人が入ったのは事実、お布団が敷いてあった。
まぁいっか~・・・大丈夫みたいだしね。
今日はもう寝る事にした。
--------------
---深夜・・・---
不吉な気配を感じた私は、電脳通信でクリムゾンスパイダーを全機、この村の周囲に光学迷彩を発動させたままで待機させる事にして、警戒をしていた。
そして、隣で寝ているカレイラをそっと起こす。
「カレイラ、起きて、なんか変な気配がしない?」
「ん~・・・クリスさん? どうしたの?」
「なんか変な気配がして目が覚めたのよ、やっぱりここ、おかしい。」
「・・・言われてみれば、本当ですね、どうします?」
「今、クリムゾンスパイダーを集めて周囲に配置してあるの、脱出しても良いし、もしもの時はスパイダーで一斉攻撃すれば私達だけでも負けはしないでしょう。」
「流石クリスさん、じゃあ、私がおとりになるので、キースさんを起こしに行って下さい。」
「ちょ、大丈夫なの? それにカイエンさん達はどうするのよ。」
「大丈夫です、私だってこう見えて素早さには自信が有ります、それに、お父さん達は、全身義体だから何が起こったってどうにでもなるでしょう?」
「成程、判ったわ、じゃあ、2号機が村の入り口を抑えてるからそこで集合ね。」
「はい、じゃあ、クリスさん、気を付けて、私が先に出ます。」
「うん、カレイラも気を付けてね、無理はしないで困ったらスパイダーを使っちゃって良いから。」
「はい、任せて下さい。 行きます。」
カレイラが勢いよく宿を飛び出して行くと、5~6程の気配がそれを追うのが判る、やっぱり私の勘は当たってたわね。
急いで隣の部屋に居るキースを起こしに行くと、キースは既に警戒態勢になって居た。
「キース!!」
「おう、クリス、悪かった、お前の勘を信じるべきだったな。」
「今はそんな事言ってる場合じゃ無いわ、カレイラがおとりになって宿から飛び出して行ったの、1人で6人も相手にするのは流石に難しい筈よ。」
「解った、俺がカイエンさん達を起こしに行くからクリスはカレイラの後を追いかけてやれ、クリスなら対処出来るだろ、頼んだぞ。」
「うん、わかった、キースも気を付けてね、未だこの宿の周囲に20ぐらいの気配を感じるから。
それと、もし困ったら、既にスパイダーは配置してあるから指示すればいつでも砲撃出来る。
行って来るね、キース。」
「おお、助かるよ、クリスもキツかったらいつでも電脳通信で呼べよ、カイエンさん達は最悪全身義体だから殺される事は無いだろうからな。
クリスの為ならいつでも行ってやる。」
「後でね。」
「ああ、後で。」
私は急いでカレイラを追う。
それにしても、カレイラは本当に足が速い、もうすぐ2号機の待つ村の門に到着しそうだ。
でも、相手もかなりの手練れみたいだ。
既に二つの気配が回り込んでいる。
ちなみに気配と言っては居るけど、エリー曰はくナノマシンデータリンクのレーダー機能と言ってたな・・・確かにエリーの言う通りで、カレイラやキースは味方の色で感じていて、敵は皆敵の色、何方でも無さそうなのは白に色分けされて感じる。
何でそんな事が出来るのかは良く判んないけど、きっとナノマシン達の通信機能を使って網を張ってるんだろう、と思う、って考えたら頭の中で正解の電子音が鳴った。
『ピンポンピンポンピンポン。』
エリーのおふざけで作った機能だろうな、コレ
『ピンポンピンポンピンポン。』
ちょっとウザいと思った。
やっと見つけた、カレイラだ、戦闘が始まってる。
剣に水を纏わせたカレイラが、躍るように剣を揮う。
その剣先から飛び出す水の刃が、敵を切り刻んで居た。
綺麗だな、この子・・・とても綺麗だ。
キースを取られないようにしなきゃいけないな・・・
そんなことしないと思って居るのに、そんな気持ちになった。
私も身体強化を発動して、高くジャンプした。
そして、高角度からの蹴りを放つ。
そしたら、電脳がエリーの声で、『ライダーキーック。』
とかほざいた、何だかイラっとした。
カレイラの背後に廻りかけていた一体を蹴り飛ばした私は、すぐさまその一体の胸座を掴み、無理やり起こした。
仲居の一人だった。
ただ、問題は、髪を纏める為につけていると思って居た三角巾が外れたその額には、小さいながらも角が2本生えていた。
「な!? 貴方、オーガなの?」
でもオーガにしては角が小さすぎる。
返答は返って来ないので、そのまま意識を刈り取り、もう一体を鉄斬功で弾き飛ばす。
カレイラは剣を仕舞い、もう一つの得意武器、トンファーに切り替えてそれに岩属性の魔法を付与して打撃に切り替えている。
「クリスさん、キースさんは?」
「大丈夫、もう起きて警戒してたから、あっち任せて来た。」
「おかげで助かりました、この人達オカシイです、水刃で切っても大したダメージが無いみたい。」
「でしょうね、私が倒した人で確認したけど、角が有る、オーガの亜種か何かかしらね?」
「じゃあ、手加減は要らないですね。」
「それも待って? 一応会話が出来るのは確かなんだから、皆意識刈り取って縛り上げるわよ。」
「判りました! トンファーにして正解、お任せ~。」
又も踊る様にトンファーを揮って殴りつけて行くカレイラは、やっぱり綺麗だった。
「私も私の戦い方で行かなきゃ・・・ねっ!」
ローリングソバットで倒した一体の脚を掴んでジャイアントスイング。 周囲を巻き込んで倒す。
振り回してたのが意識を失ったので放り投げ、その反動を使って私は反対側に飛び、フライングクロスチョップ。
倒れ掛かるその一体の背後に回り込んでその勢いを利用してジャーマンスープレクス。
気が付くと、敵の数が増えて10体程が周囲を固めていたけど、負ける気がしない。カレイラもかなりの数を倒してるけど、敵の数は続々増えている。
もしかしたらこの村全員がこれなのかもしれない・・・
私も攻撃魔法が使えればなァ・・・と思った次の瞬間、魔法では無いけど、電脳が反応した。
なにこれ、波〇拳???
これ使えるようになったって事?やってみよう、面白そうだ。
「はぁ~っ! 〇動拳っ!」
両手を右脇に溜め、前に向かって打ち出すと、マナの塊が光弾に成って飛んで行って、一体を倒した、なにこれ凄い!
威力もかなりある。
他には何か無いのかな?って考えたら、もう一つ出て来た・・・
今度は・・・何よこれ。
サイコナイトメアから、サイコクラッシャーアタックって、凄くヤバそうなネーミング・・・
これは無し無し!
でも一回だけ試して見よう・・・
挑発ポーズで?頭の中でサイコナイトメアと唱える・・・
うわ、何この禍々しいオーラ、私を魔王にしたいの?
まぁ良いわ、一回だけやってみよう、この状態から、フライングクロスチョップみたいに飛んで?サイコクラッシャーアタック、とこれで良いのかな?
ぐ、ヤバい、この急激な加速、この速度・・・こんなの避けれないでしょう?
一気に3体を倒してしまった・・・ダメだこれ、危なすぎ。
やっぱ私はプロレス技よね・・・ん?ヴァーチカルローリング?
プロレス技よね?
やってみよう。
発動させたらとんでもない物だった、これもダメ、普通の人にやったら確実に死んじゃう!
スクリューパイルドライバー・・・これも危険な香りが・・・
使うのやめよう。
「ふう、片付きましたね、クリスさん。」
あ、ホントだ、いつの間に。
すごいなカレイラ。
全員、エリーが編んでストレージに入れといてくれたフロロカーボン製の縄で全員縛り上げて宿へと戻ると、そこにはキースとカイエン、マカンヌの三人の鬼神のような大暴れが展開して居た、どっちが鬼だかわかんないわね、これ・・・
この、バイクって奴さ、本当に凄いよね、鉄の馬と言うか、馬よりずっと速い。
どうやって動いてるか考えると、知らない筈の知識が電脳から流れて来て知ってる事に成っちゃうから難しい事は無いけれど、それにしても凄い技術だと思う。
こんな速く走れる物を作り出してしまうんだから、エリーは本当に凄い人。
山道をずっと上って行くと、急に開けた高原に出た。そしてその高原では、大量の野菜などを育てて居るようで、一面畑になって居た。その畑の真ん中を抜けるように伸びる街道を走って行くと、宿場町と思われる場所に辿り着いた。
わたしは、キースに電脳で話しかけた。
『ねぇキース、私疲れたしお腹も空いたわ、そこの宿場町みたいなのに寄って休もうよ。』
『ああ、そうだな、俺も同じ事考えてた、皆も疲れたろ、今日はこの辺で宿も探して、移動はまた明日にしないか?
急ぐ旅でも無いしな。』
『ああ、俺は賛成だ、』
『私も賛成です。』
『私もぉ~、お尻痛い、割れちゃう。』
『お母さんは黙ってていいよ、すぐ変な方向に持って行こうとする。
お尻は割れてるもんです。』
『もう、相変わらずですね、マカンヌさんは。』
『よし、決定だな、今日はこの辺で休もう。』
そして私達は、その宿場町のように整備されているように見える村へと向かう。
村の入り口への案内板を確認すると、こうあった。『鬼無里』
「へぇ、鬼の無い里だって、何て読むんだろう?」
するとマカンヌさんが。
「これはねぇ~、『きなさ』って読むのよぉ~。」
と教えてくれる、何でこの人はそんな事知ってるんだろう。
「へぇ~、マカンヌさん詳しいんだな。」
「まぁねぇ~、ここはね~、鬼姫伝説の有る所、なんじゃないかしらぁ~?」
「え?どう言う事? 又鬼なの? あの伽梨帝とか言うのも強かったわよねぇ?」
「ん~・・・確かぁ~、鬼女紅葉・・・だったかしらぁ~? そのおにとぉ~、息子の大嶽丸?だったっけ?とかが居たって言う場所だったかなぁ~?」
「まぁ、恐らくそう言うのはアレだろう、魔除けの類で強そうな鬼の名前を使うとかそう言った呪術の一種だろう、気にする事は無い、行こう。」
カイエンさんはそう言うけど、私は嫌な予感しかしなかった。
「ねぇ、キース、カレイラ、何だかイヤな予感しない?」
「ん?俺はそうでも無いけどな。」
「わ、私は嫌な予感します・・・クリスさんに一票。」
「ま、マカンヌさんは?」
「そうねぇ~、私的には、多分この村にぃ~、鬼女紅葉の頭蓋事って言うのが展示されてる博物館が有るって聞いたし、言って見たいけどぉ~、そんな雰囲気でも無いのよねぇ~、確かに、あんまり良い雰囲気じゃァないわよねぇ~。」
「じゃ、じゃあ、私に一票、お願い!」
「ん~・・・私達なら、きっと大丈夫じゃないかしら~?」
「よし、こっちに一票だな、そもそもはじめに此処で休もうって言ったのはクリスだぜ?」
「そうだけどぉ~、マジで嫌な予感するんだってば~、ねぇカレイラ~。」
「そうだよ~、お母さん今からでもこっちに付いてぇ~。」
「ん~、でも疲れたし~。」
「わ・・・判ったわよ、カレイラ、一緒の部屋にしよ、ね?」
「うん、クリスさん、一緒に寝よ。」
「仕方が無いな、では今日はそういう部屋割りだな。」
そう言ってカイエンさんは先頭に立って宿屋らしき建物へ。
暫くして出て来たカイエンさんは。
「3部屋取れたぞ、こんな立派な旅館なのにかなり割安だったぞ、もし料理が物足りないようなら、後で近くで探す事にしよう。」
そう言って私達を旅館へと引き連れて又先頭で入って行った。
旅館の女将さんみたいな人が居て、仲居さん風の人が数人、みんな笑顔で出迎えてくれる。
なんだ、私の思い過ごしかな?
未だ日が落ちる時間では無かったので、チェックインを済ませた私達は、周囲の散策に出た。
それにしても寂しい村だね、ここ。
温泉宿が有る宿場町と思えない程閑散としてる。
鮎と言う川魚を焼いているお店で、それを買って食べて見た、美味しい!
きっと嫌な予感は私の気のせいだったのね、そんな気がして来た。
結局、他には工芸品みたいな物とかしか無かったので、少し早いかと思ったけど宿へと戻った私達は、早めに温泉に浸かってのんびりした後、部屋が3部屋に分かれて居た為に宴会場での食事になった。
「それにしてもこの宿の部屋って、鍵も無いのよね、大丈夫なのかなぁ?」等と言いながら宴会場へ移動した私達。
何だか私達が居なくなって部屋に泥棒が入るんじゃ無いかなんて気になって、何を食べたのか美味しかったのかとか、あんまり覚えていない。
部屋に戻ると、何も取られた物は無いみたいだけど、旅館の人が入ったのは事実、お布団が敷いてあった。
まぁいっか~・・・大丈夫みたいだしね。
今日はもう寝る事にした。
--------------
---深夜・・・---
不吉な気配を感じた私は、電脳通信でクリムゾンスパイダーを全機、この村の周囲に光学迷彩を発動させたままで待機させる事にして、警戒をしていた。
そして、隣で寝ているカレイラをそっと起こす。
「カレイラ、起きて、なんか変な気配がしない?」
「ん~・・・クリスさん? どうしたの?」
「なんか変な気配がして目が覚めたのよ、やっぱりここ、おかしい。」
「・・・言われてみれば、本当ですね、どうします?」
「今、クリムゾンスパイダーを集めて周囲に配置してあるの、脱出しても良いし、もしもの時はスパイダーで一斉攻撃すれば私達だけでも負けはしないでしょう。」
「流石クリスさん、じゃあ、私がおとりになるので、キースさんを起こしに行って下さい。」
「ちょ、大丈夫なの? それにカイエンさん達はどうするのよ。」
「大丈夫です、私だってこう見えて素早さには自信が有ります、それに、お父さん達は、全身義体だから何が起こったってどうにでもなるでしょう?」
「成程、判ったわ、じゃあ、2号機が村の入り口を抑えてるからそこで集合ね。」
「はい、じゃあ、クリスさん、気を付けて、私が先に出ます。」
「うん、カレイラも気を付けてね、無理はしないで困ったらスパイダーを使っちゃって良いから。」
「はい、任せて下さい。 行きます。」
カレイラが勢いよく宿を飛び出して行くと、5~6程の気配がそれを追うのが判る、やっぱり私の勘は当たってたわね。
急いで隣の部屋に居るキースを起こしに行くと、キースは既に警戒態勢になって居た。
「キース!!」
「おう、クリス、悪かった、お前の勘を信じるべきだったな。」
「今はそんな事言ってる場合じゃ無いわ、カレイラがおとりになって宿から飛び出して行ったの、1人で6人も相手にするのは流石に難しい筈よ。」
「解った、俺がカイエンさん達を起こしに行くからクリスはカレイラの後を追いかけてやれ、クリスなら対処出来るだろ、頼んだぞ。」
「うん、わかった、キースも気を付けてね、未だこの宿の周囲に20ぐらいの気配を感じるから。
それと、もし困ったら、既にスパイダーは配置してあるから指示すればいつでも砲撃出来る。
行って来るね、キース。」
「おお、助かるよ、クリスもキツかったらいつでも電脳通信で呼べよ、カイエンさん達は最悪全身義体だから殺される事は無いだろうからな。
クリスの為ならいつでも行ってやる。」
「後でね。」
「ああ、後で。」
私は急いでカレイラを追う。
それにしても、カレイラは本当に足が速い、もうすぐ2号機の待つ村の門に到着しそうだ。
でも、相手もかなりの手練れみたいだ。
既に二つの気配が回り込んでいる。
ちなみに気配と言っては居るけど、エリー曰はくナノマシンデータリンクのレーダー機能と言ってたな・・・確かにエリーの言う通りで、カレイラやキースは味方の色で感じていて、敵は皆敵の色、何方でも無さそうなのは白に色分けされて感じる。
何でそんな事が出来るのかは良く判んないけど、きっとナノマシン達の通信機能を使って網を張ってるんだろう、と思う、って考えたら頭の中で正解の電子音が鳴った。
『ピンポンピンポンピンポン。』
エリーのおふざけで作った機能だろうな、コレ
『ピンポンピンポンピンポン。』
ちょっとウザいと思った。
やっと見つけた、カレイラだ、戦闘が始まってる。
剣に水を纏わせたカレイラが、躍るように剣を揮う。
その剣先から飛び出す水の刃が、敵を切り刻んで居た。
綺麗だな、この子・・・とても綺麗だ。
キースを取られないようにしなきゃいけないな・・・
そんなことしないと思って居るのに、そんな気持ちになった。
私も身体強化を発動して、高くジャンプした。
そして、高角度からの蹴りを放つ。
そしたら、電脳がエリーの声で、『ライダーキーック。』
とかほざいた、何だかイラっとした。
カレイラの背後に廻りかけていた一体を蹴り飛ばした私は、すぐさまその一体の胸座を掴み、無理やり起こした。
仲居の一人だった。
ただ、問題は、髪を纏める為につけていると思って居た三角巾が外れたその額には、小さいながらも角が2本生えていた。
「な!? 貴方、オーガなの?」
でもオーガにしては角が小さすぎる。
返答は返って来ないので、そのまま意識を刈り取り、もう一体を鉄斬功で弾き飛ばす。
カレイラは剣を仕舞い、もう一つの得意武器、トンファーに切り替えてそれに岩属性の魔法を付与して打撃に切り替えている。
「クリスさん、キースさんは?」
「大丈夫、もう起きて警戒してたから、あっち任せて来た。」
「おかげで助かりました、この人達オカシイです、水刃で切っても大したダメージが無いみたい。」
「でしょうね、私が倒した人で確認したけど、角が有る、オーガの亜種か何かかしらね?」
「じゃあ、手加減は要らないですね。」
「それも待って? 一応会話が出来るのは確かなんだから、皆意識刈り取って縛り上げるわよ。」
「判りました! トンファーにして正解、お任せ~。」
又も踊る様にトンファーを揮って殴りつけて行くカレイラは、やっぱり綺麗だった。
「私も私の戦い方で行かなきゃ・・・ねっ!」
ローリングソバットで倒した一体の脚を掴んでジャイアントスイング。 周囲を巻き込んで倒す。
振り回してたのが意識を失ったので放り投げ、その反動を使って私は反対側に飛び、フライングクロスチョップ。
倒れ掛かるその一体の背後に回り込んでその勢いを利用してジャーマンスープレクス。
気が付くと、敵の数が増えて10体程が周囲を固めていたけど、負ける気がしない。カレイラもかなりの数を倒してるけど、敵の数は続々増えている。
もしかしたらこの村全員がこれなのかもしれない・・・
私も攻撃魔法が使えればなァ・・・と思った次の瞬間、魔法では無いけど、電脳が反応した。
なにこれ、波〇拳???
これ使えるようになったって事?やってみよう、面白そうだ。
「はぁ~っ! 〇動拳っ!」
両手を右脇に溜め、前に向かって打ち出すと、マナの塊が光弾に成って飛んで行って、一体を倒した、なにこれ凄い!
威力もかなりある。
他には何か無いのかな?って考えたら、もう一つ出て来た・・・
今度は・・・何よこれ。
サイコナイトメアから、サイコクラッシャーアタックって、凄くヤバそうなネーミング・・・
これは無し無し!
でも一回だけ試して見よう・・・
挑発ポーズで?頭の中でサイコナイトメアと唱える・・・
うわ、何この禍々しいオーラ、私を魔王にしたいの?
まぁ良いわ、一回だけやってみよう、この状態から、フライングクロスチョップみたいに飛んで?サイコクラッシャーアタック、とこれで良いのかな?
ぐ、ヤバい、この急激な加速、この速度・・・こんなの避けれないでしょう?
一気に3体を倒してしまった・・・ダメだこれ、危なすぎ。
やっぱ私はプロレス技よね・・・ん?ヴァーチカルローリング?
プロレス技よね?
やってみよう。
発動させたらとんでもない物だった、これもダメ、普通の人にやったら確実に死んじゃう!
スクリューパイルドライバー・・・これも危険な香りが・・・
使うのやめよう。
「ふう、片付きましたね、クリスさん。」
あ、ホントだ、いつの間に。
すごいなカレイラ。
全員、エリーが編んでストレージに入れといてくれたフロロカーボン製の縄で全員縛り上げて宿へと戻ると、そこにはキースとカイエン、マカンヌの三人の鬼神のような大暴れが展開して居た、どっちが鬼だかわかんないわね、これ・・・
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貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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