宇宙戦争時代の科学者、異世界へ転生する【創世の大賢者】

赤い獅子舞のチャァ

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冒険の旅

旅路にて。2

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「では、始めます。
 骨格再生・・・筋肉再生・・・皮膚形成・・・」
 患部周囲が、高濃度の魔素と闇魔法によって発生した黒い霧に覆われ、患部が高速の再生エネルギーで輝く。
「え?え?え? 貴女は一体??」
「ああ、私の事は気にしないでね、すぐに治るから安心して。」
 気にしないでと言われてもそうは行かないんだろうけどねw
「え?えぇ?あの・・・そ、その・・・」
 骨格はもうほぼ完成した、徐々に筋肉組織や神経組織も再生が進んで行く。
 時間にして凡そ4分半程で、概ね腕が元通りに再生した。
 後は皮膚が完成すればコンプリートだ、とそんな時、私や、助けを求めに来たこの患者の奥様の背後から、この患者を襲ったと思われるオオカミが複数体で襲い掛かって来た。
 でもそれは、電脳化された私には通用しない。
 フレイムウォールを発生させて、飛び掛かって来た狼達を一網打尽に黒炭へと変えた。
 あのシーサーペントの一件で、油断は禁物だと学習した電脳が自動警備をナノマシンに指示して居るのだから見えない背後も見えているのと同じように、手に取る様に認識出来て居る。
 瞬時に魔法を放つ事だって造作も無い事だった。
 ようやく腕の再生が終わった。
「よし、終わったよ、後はさっき渡した薬の残りを飲ませてあげれば大丈夫、意識が戻るまで、私が一緒に居て護衛してあげるよ。」
「あ・・・あぁ・・・有難う御座います、有難う御座います。」
 未だ夢でも見て居るかのような、熱に浮かされたような顔をしながらもお礼を連呼して居る奥様だった。
 その後、狼共は流石に恐れをなしたようで現れなかった。
「う、ううん・・・」
「お、意識が戻りつつあるみたいだね。」
「本当に何とお礼を言えばいい事か・・・」
「良いって良いって、困った時はお互い様でしょ、旅の空で逢った者同士、助けを求められたら助けてあげるのが世の情けってものなんだから、もう気にしないでね。」
「ここは? あの世か?」
 旦那さんが目を覚ましたようだ。
「貴方、何を言ってらっしゃるのです、ちゃんと生きてますよ?」
「馬鹿な! わしは腕を食いちぎられ! ・・・腕を・・・? あれ??? 有る、有るぞ、腕が。」
「此方のお方が助けて下さいました、貴方の食いちぎられた腕を元通りにして下さったのです、天女様よ、きっと。」
 はぁ!? 天女様って何を言いますかこの人はぁ?
「なんと、天女様にお助け頂いたと?」
「ちょ、二人とも待って待って、私はそんな大それたもんじゃ無いよ、ほら、この耳見て? 私はハイエルフなの、だから腕を再生する位は魔法の力でどうとでもなるんだから、ね?」
 と、弁解をして見たものの、そう言えばこの大陸にハイエルフなんて居んのかなぁ?
 それ以前にハイエルフだから魔法が使えるなんて道理も無い気がするんだけどね・・・
「神様・・・はっ!さっき火を出して居た気もする、きっと火加具土命様の化身! おありがたや!!」
 何だかどげさみたいな状態になってしまった夫婦・・・
 やりにくいよぉ・・・
 面倒だから逃げちゃうか。
 近くにあった大きな木の太い枝に転移で移動し上から様子を見る事にした。
 顔を上げた旦那さんが、驚いて声を上げる。
「消えた!? やはり火加具土命様の化身! おありがとうございます!」
 と、又誰も居ない、元私が立って居た方に向かって三つ指揃えてお辞儀をして居た・・・何度も・・・・
 ああ~、又やらかした気がする~・・・
 まぁやっちまったもんは仕方ない、気を取り直して旅を続けよう。
 東と言っても、私の居た所も東海岸っぽい海岸線だったのだからだんだん北に行く形になるのだけどね、実際今は道もほぼ真北の方角に伸びている。
 暫く、真北の方に続く道を歩いて行くと、目の前に大きな湖が見えて来た。
 良いね良いね~、旅の醍醐味だよねぇ、こう言う絶景は。スッゴク綺麗な湖が、背後の山を綺麗に映して居た。
 思ったよりも湖までの距離があったみたいで、さっき絶景を見た丘から湖畔へたどり着いたのは、普通の速度で歩いて居たもんだから、2時間程掛かってしまって、湖畔に付いた時には既に日が落ちかけていた。
 どこかに宿屋が有りそうだよね、湖畔って言うシチュエーションだしな。
 事実、湖畔の街には、温泉もある様だった。
 良かった、温泉宿でのんびりできそう。
「いらっしゃいませ。」
「一部屋開いてますか?」
「ええ、お泊りに成れますよ。」
「それでは、二泊程お願いします。」
「畏まりました、二泊で御座いますね、朝晩のお食事付きで一泊六〇文、二泊なので割引を入れまして一両です。」
 おお、二〇文も値引きに成るのか、悪く無いね、これで丸一日この辺の美味しいものを散策できる。
「じゃあそれでお願い、前金で一両払っとくよ。」
 そう言って私は小判を一枚支払った。
「ありがとう御座います、ごゆっくりお過ごしください、お夕食はいつ頃お持ち致しましょうか?」
「そうね、お風呂に入って来てからにしたいので一刻程後にお願いします。」
 こんな言い回しで良いかな?
「畏まりました。 ごゆっくり。」
 仲居さんがお部屋に案内をしてくれる。
 通された部屋は、それは素晴らしい景観の部屋だった、けどそろそろ日が落ちて来た為に、電脳の暗視モードで見ないと見えないんだけどねw
 そんで、ストレージにすべての荷物、と言っても、旅してるように見えるように持ってるだけの荷物だけどな・・・、を、ストレージにしまって、お風呂、大浴場へ。

 結論から言います・・・・混浴だった。orz
 まぁ良いけどさぁ、見られたって減るもんじゃ無いし。
 って言うか、私しかいなかったけどな。
 多分この時間は皆ご飯中なんだと思う。
 篝火の様な火を炊いた証明にうっすらと照らされた紅葉がとても幻想的で美しい、ヒノキの良い香りに包まれながら、この半露天風呂になって居る湯船にゆっくりと浸かり、グーっと伸びをすれば、最高の気分だ。
 本体も今頃は、屋敷の地下の温泉で伸びしてるかもしれないね。
 こう言う所は旅に出る方になった者の役得かも知れない、色んな温泉入ってやろう。
 那須塩原温泉と言う奴だったのは後で知ったのは秘密だ。
 兎に角どんなのでも良いから温泉に浸かってのんびりしたかったのでなんて温泉だかなんか二の次だったから良いじゃん!
 私は前世でもあんまり胸大きく無かったから良く判んなかったけど、Dに達して居る今だから解る・・・オッパイって浮くんだよ。
 うん、肩にのしかかってた重量が軽減されて一層開放感が大きい、温泉最高!
 ひとしきり堪能して部屋に戻ると、仲居さんが部屋の外で待ってた。
「お客様、お食事のご用意が出来ました。」
「ああ、ごめんね、お風呂気持ち良くてのんびりしすぎちゃったね。
 ありがとう。」
 と、部屋に入ると、仲居さんが二人掛かりで夕食を運び込んでくれた、凄い豪華だ。
 夕食の品書きはこうだ。
 茶碗蒸し 牛肉の香味焼き 川海老の素揚げ藻塩掛け 脱皮沢蟹の甘露煮 卯花 桜占地と鹿肉の水炊き 松茸ご飯 蜆の味噌汁
 おお、しじみの味噌汁!
 この地になら有るんじゃ無いかと思ってたけどやっぱ有ったか。
 しかし、松茸ご飯! 松茸かぁ~、私の生きてた時代には松茸って絶滅して居て食べた事無かったのよ、まぁ私の当時の状況ではもしも絶滅して無くても、高い物らしいから多分食べる事は無かったと思うけどね、どんなお味なのか楽しみ~。
 秋で良かった。
 先ずは、茶わん蒸しから頂く事にしたんだけど、この中に既に松茸が入って居るらしい、初松茸頂きまーす!
 美味しい~、香りがすごく良いのね、このきのこ。
 次は川海老に興味が有る。
 川海老は、私の星で捕れたし美味しいのは知ってるけど、素揚げと言う調理法は思いつかなかったな~。
 素材の味を最大限に生かせる調理法かも知れないね。
 一口頂くと、大変美味しい物でした、この世界に来て私の作った物以外で一番おいしいんじゃ無いかなって程美味しい、このお宿最高です。
 箸休めに卯花を一口、優しい味だ。
 そしたら、牛肉の香味焼きいって見よう。
 うん、これは素晴らしいね、茗荷、紫蘇、山椒の香りが食欲をそそる。そして葱味噌で味を調えてある。 絶品です、今度私の味付けで再現してみよう。
 松茸ご飯とまた合うね、これは。
 次は桜占地と鹿肉の水炊き行って見よう。
 橙を使ったポン酢しょうゆで頂くらしい。
 桜占地って言うのは、淡い桜色掛かった笠が特徴的な占地系きのこだ。
 一見結構な色合いなので毒キノコを疑うけど、薄紫占地と間違えなければ美味しいキノコでこれが又絶品だった。
 鹿肉も、橙ポン酢との相性も良く、ごはんのおかずにぴったりだった。
 で、問題はこれだ、脱皮沢蟹の甘露煮・・・
 沢蟹を食べる事が出来るのは知ってたけど、大概は揚げて食べるもんなんだよ。
 高い温度で揚げる事で殻がカリカリになってお煎餅のような食感になるんだよね。
 でも、今回は脱皮沢蟹と有る、つまり脱皮した沢蟹の甲羅が固まる前に料理して居ると言う事に成る訳なんだけど、甘露煮か、沢蟹を甘露煮って、初めてだね。
 一口にぱくっといって、その不安は一瞬で消えるものだった、無茶苦茶うめぇ!
 ご飯も進むわ、ってか松茸ご飯はおかわり出来るから良いけどさ、他の美味しいお料理が食べきれなくなっちゃいそうなので、あんまりご飯ばっかり食べないように心掛けて頂く。
 しかし、本当に何も考えずにお風呂入りたいとだけ思ってて何も考えずに決めた宿だったけど、大当たりだ。
 温泉も良かったしね。
 もう、お風呂良し、ご飯良しで言う事の無い良い旅館だ。
 さぁ、明日はこの周辺散策するぞ~。
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