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冒険の旅

漂流者

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 現在、カーマインファンレイは、その船体を浮上させ、のんびりと航行中。
 と言うのも、カイエンとキースが、釣りをしたいと言うのだ。
 それならばと、私がこんな事もあろうかと作って置いたカーボンロッドと魔動リール、フロロカーボン製のテグスやミスリル製の釣り針等を出してやって、イワシを数匹潰して餌を用意してやった。
 リールの使い方を教えてやって、深瀬釣りの方法を教えてやった。
 釣れた小魚をそのまま深場に落とし込む、落とし込み釣りで大物を狙うも良いだろう。
 もう夏も終わったしバカンスは無いな、なんて思って居たけどここは赤道に程無く近く、良い具合に暑かったので、私を含む女子軍団は、甲板に存在するプールに水を張って、リゾート気分を楽しんで居る。
 それを傍から呆れて見ているのがリョーマさん達商隊軍団だ。
 するとそこに、ファムから電脳通信で連絡が入って来た。
 キースが大物と格闘しているのを視界の隅へ追いやり、私はブリッジへ。
 ズームで問題の映像を拡大すると、そこには二十数名程の遭難者が、船のメインマストの柱と思しき丸太にしがみ付いていた。
 これは助ける必要があるね。
 キースが丁度、400㎏級の突撃マグロをぶっこ抜きで強引に釣り上げた所だったので、すぐさま私は外部スピーカーで全員に艦内に入る様促し、艦首を要救助者の方角へ向けた。
 全員ブリッジへ集合した
「おお、集まったか、遭難者を見つけた、今から救助に向かう。」
「おお、遭難者たちの世話は俺達に任せろ、エリーとクリスは怪我人が居た場合に備えて置いて貰えばいいだろう。」
「うん、流石にカイエンが居ると話が早いな、流石に以前旅をしてただけの事はあるね。」
 甲板を水面から20cmまで下げて、要救助者に近付く、それをカイエンとキースが引き上げ、ザインがトリーシアに蔦で引き上げを手伝わせて次々と遭難者を艦へと上げていく。
 素晴らしい手際の良さで、全員救助する事が出来た。
 そして低体温症になった者は大浴場へ、怪我のある者は医務室へと運び込まれ、クリスと私の二人で治療魔法を施して行った。
「失礼、お嬢さんがこの船の責任者と伺ったのだが間違いありませんか?」
 どうやら要救助者の中に、沈んだ船の船長が居たようだ。
「あ、はいはい、私で間違い無いですよ。」
「いや、驚いたな、本当にお嬢ちゃんなのか、聞きたいのだが、この船は一体何なのだ?」
 まぁそうなるよね~。
「中型潜水空母、ファンレイ型一番艦、カーマインファンレイですよ。」
「潜水空母??」
「ええ、潜水艦です。 そして航空母艦です。 強襲揚陸艦でも有りますけど?」
「ちょっと待ってくれ、何を言って居るのかよく判らん・・・」
「では実際にお見せしますよ。」
 ------
 ブリッジへとやって来た。
 シーグリフォンの他に、艦載機も六機程造ってあったので、そいつは既に格納庫内へとストレージから出してある。
 垂直離着陸型艦載戦闘爆撃機、カメリアガルーダだ。
 超小型サイレントジェットエンジンを2基搭載し、対地対艦対空兼用の高誘導マイクロミサイルを20本、高誘導高火力マイクロボムを10本、完全にウェポンベイに内蔵、メインウェポンの高誘導汎用マイクロミサイルは遠距離型対空マイクロミサイルに、高誘導マイクロボムは高火力型対艦マイクロミサイルに換装可能。
 サブウェポンに、22㎜ガトリングガンを2連内蔵。
 電波吸収塗料とレーダージャマーによるレーダーステルスと光学迷彩を使用して完全に所在を隠せる完全型ステルス。
 とは言ってもレーダーが未だ無いこの世界にレーダー波を掻い潜るステルスはあまり意味が無かったので明らかに私の自己満足でしか無い。
 当然全機、AIによる完全制御が可能だ。
 現在甲板上には誰も居ない事は確認済み。
 後方甲板は左右に展開出来て格納庫が現れる。
 そしてゲートは後方甲板の最後尾が上下に展開して開く。
 ちなみに前方甲板は弾道ミサイルのランチャーになって居る。
 現在ブリッジから眺めているのは後方甲板だ。
 甲板を左右に展開して格納庫を露わにし、そこに整列しているカメリアガルーダ6機が順に垂直発進する。
「何だこれは・・・」
「これはマルチプル戦闘機カメリアガルーダです、これの母艦なんですよ、この船は。」
 デモンストレーション用に的として作ったドローンを飛ばして撃ち落させ、同じく的として作ったボートを撃沈させる。
「どうですか? 大型魔獣も倒せそうでしょう?」
「あ・・・あぁ・・・夢か?俺は夢を見て居るのか?」
 まぁそんな反応になるわな。
 帰って来たガルーダを全機格納完了して甲板を閉じ、次は潜水だ。
 バラスト注水を始めると、徐々に艦が沈んで行く。
「ちょ、沈んでる、おい、どうしたのだ?」
「落ち着いて、この船は潜れると申し上げました、今からそれをするのでどうか落ち着いて。」
「だ・・・大丈夫なのか?」
「ええ、ほら、もう甲板が水中に沈みますよ。」
「本当に何なのだ、この船は。」
 そしてついにブリッジの窓が半分海中に・・・
「凄い、本当に水が入って来ないんだな。」
「ええ、では、艦内施設へ移動しましょう。」
 -----
 艦内施設を案内して周る私。
 とは言っても、歩いてまわれるほど小さい船では無いので、艦内の移動には電動カートが常に使用されている。
 難破船の船長としてはあまりの施設の充実に完全に言葉が無いようだ。
 まぁ、ここまでデカい船も無いだろうしな。
 ある程度まで船体が沈んだので、今回も壁全体に海中の様子を映し出してやると、腰を抜かしたようにへたり込んでしまった。
「何なんだ、どうなってるんだ、一体全体これは現実なのか?
 もしかして俺は既に死んで居るのでは?」
 おいおい、いくらなんでも驚き過ぎじゃ無いのか?
 と考えていると、正面から近づいてきたキースにつき込まれた。
「エリーはやり過ぎなんだよなぁ、さっきまで遭難してて生きた心地がしなかった奴らに対してこれは激しくショックだと思うぞ?」
「そうなのか? 助かったのは事実なのだからそれはそれ、これはこれで素直に受け止めた方が良いと思うんだけどな?」
「あ、いえ。助けて頂いた事は本当に感謝に堪えませんが、俺の常識とこの船の普通が、何と言うかかけ離れ過ぎてて・・・夢でも見てるのかと。」
「夢でも無ければ幻でも無いよ、それに私はただの冒険者で錬金術師だ、あ、そろそろ他の人も集まってるようだから、食堂にでも行くか、何も食べて居なかったのだろ?」
「ああ、もう助かった奴らは全員居るのか?そこに。」
「そうみたいだな、低体温症になった奴らも風呂であったまって意識を戻したようだし、怪我人は既に私とクリスで治して居るから、あとは食事だろ?
 遠慮は要らないから好きな物を食べたらいい。」
「好きなもの? どう言う事です?
 献立は決まっている物では無いのか?」
「ああ、この艦の食堂はオートクッカーが出来る限り何でも作ってくれるので献立など決まって居ないよ、今作れるものは端末に表示されて居るので食べたい物を食べたら良いんだ。」
 頭の上にクエッションマークを5~6個並べたような顔してっけど、見たら判るだろ。
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