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冒険の旅
緊急裁判
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ここは王宮の、謁見室の反対側にある、元老院裁判宮
「王太子殿下、御出座~。」
「皆の者、面を上げよ。」
王太子は、何故寄りによって父が病床に臥せっている緊急時の今になってこうも立て続けに面倒事が続くのかと頭を抱えながら、裁判宮の玉座に腰を降ろす。
宰相が、罪状を読み上げる。
「かの者達は、犯罪ギルドなどと言う集団を構成、暗躍し、様々な犯罪行為に加担して居た悪質な集団、並びに、騎士団長でありながら、そのような者達と関係を持ち、裏で繋がり暗躍をして居ったコアーク、総勢36名で相違ないな?」
「お待ち下さい、私コアークは、誓ってそのような事はしておりません、個人的に捜査をしており、ようやく見つけた奴らのアジトへ侵入した所をこのような目に合って居ります、むしろこの怪しげな出立の小娘どもこそがこの盗賊共と繋がって居たと思われます。」
宰相はこう続けた。
「それは間違い無いのか?」
「は、間違い御座いません、騎士団長の私目を信じずにこのような怪しげな出立の者達の話を鵜呑みにする事こそ過ちであると。」
宰相が、今度はザイン達に向かって声を掛ける。
「このように申して居るが、其方達には何か証拠となるようなものが有るのか?
万一、証明出来ぬと申すと、永代では無いとは言え騎士爵は一応貴族であるから、お主たちは死罪と言う事となるが。」
「ん、任せて、証人、呼ぶ。」
「な!?証人が居るだと?そんな者が何処に居ると言うのだ?」
コアークが少し挙動不審になりつつも反論するが。
「待って、今、呼ぶ。」
「そんな者何処に居ると「黙って。」・・・くっ。」
「風よ集わん、我の元へ、我が名はあなたの友 ザイデリュゥス、顕現し賜え、其方の名はレジーナ。」
白く光るオーブが集まって行き、レジーナがその姿を現す。
『ザイン、さっきぶり!』
「ん、さっきぶり。」
「な!頭に直接声が響く!これは精霊・・・なのか?」
「ん、風の上位精霊、レジーナ。」
『人イッパイ居るね、レジーナです、よろしくね~。』
「し、証人とは、この精霊と言う事でよろしいか?」
宰相は少々驚きを隠せないで居る様だ。
「国王の名代として、証人と認める、精霊は嘘を付かぬと言うからな。」
「は、かしこまりました、では、レジーナ殿でよろしいかね?
この者達の繋がりを証明して頂きたい。」
『は~い、今からこの人達のお話を再生するね~。』
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「おいおい、良いのかよ、騎士団長様が直接こんな所に来るなんてよ、誰かに見られたら不味いんじゃねぇのか?」
「ふん、そんなヘマするかよ、俺がどんな手段で騎士団に潜り込んだと思ってやがる、俺をなめるな?」
「はははは、そりゃそうだな、元お頭、コアークさんよぉ、で、今日は何の用だ?」
「お前達に消して欲しい奴がいてな、冒険者のエリーって女だ。」
「ほぉ、女か、そいつはどんななんだ?」
「まだ子供だが、容姿は悪くねぇ、実力は有るみたいで生意気になっちまってるからな、殺したく無いならきっちり調教してやって欲しいんだ。」
「ふっふっふっふ、面白そうじゃねぇか、そう言うのにうってつけの奴が数人は居るからな、拉致して立派な肉人形に仕立ててやったら良いんだろ?任せな。」
「じゃあ、頼んだぜ、報酬はいつも通り、受け渡し場所で。」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
『以上でーす。』
呆然とするコアーク。
開いた口が塞がらない宰相と王太子、そして周囲の裁判官席に座る元老院議員達。
「完璧、ぶい。」
満面の笑みを浮かべるザインとマカンヌ、そして楽しそうなレジーナ。
はっと我に返る王太子。
「あい分かった、これはもう、申し開くの余地は無いな。
騎士コアーク、お前には騎士爵のはく奪と、鉱山労働40年を申し渡す。
そして犯罪ギルド殺人疑惑の有る者は死罪、盗み、及び脅迫、詐欺の前科の有る者は一律、労働奴隷15年を申し渡す物である。」
はっと我に返ったコア―クがようやく口を開く。
「お、お、お、お、お待ち下さい! 40年では我が息子までが鉱山奴隷になってしまいます! ご再考を!私は悪く無いんだぁぁぁ~~~!!!
あのエリーとか言う小娘がぁぁぁ!!!」
えらく理不尽な恨み言を言いながら連れて行かれたのだった。
---
※良く、異世界転生モノのアニメ等では、労働奴隷が一番重い罪のようになって居る事が多く、殺人の罪の者に、死ぬより苦しい苦痛を与える為の労働奴隷落ちと言う風になって居る事が多いが、それは奴隷紋等の魔法陣や呪い等で縛って主人に対して反抗出来ない様に縛れるからであり、そんなものが存在して居なかったこの世界では殺人は死刑である。
尚、以前犯罪ギルドの頭目であった事が発覚したコアークであるが、騎士爵を持って居た事で刑が軽減されたと思われるが、鉱山奴隷になると、基本脱走は不可能とされている。
手枷足枷を付けたままの鉱山労働になるので、基本的に労働奴隷の中でも最も重い罪の者に与えられるとされる。
更に40年となると、平均寿命50歳~60歳と言われるこの世界では正直に言ってほぼ死刑と同等の重みを持ち、途中で死んだ場合、その息子も捕らえられて父の罪を償わねば成らないのである。※
---
「さて、氷結の魔女ザイデリュース殿、並びに勇者の奥方、マカンヌ殿、お主達には褒美を、何か望みは有るか?」
「ん、パーティーメンバー全員、エリーと一緒に旅しても良い?」
「良かろう、認めよう、では旅に必要になろう、渡航費用を用意致そう。」
「私めは、ん~・・・私も旦那と一緒にエリーの旅に同行したいわぁ~。」
「そうか、良かろう、では、この両名に金貨200枚づつを用意いたす、これにて閉廷。」
「王太子殿下、御出座~。」
「皆の者、面を上げよ。」
王太子は、何故寄りによって父が病床に臥せっている緊急時の今になってこうも立て続けに面倒事が続くのかと頭を抱えながら、裁判宮の玉座に腰を降ろす。
宰相が、罪状を読み上げる。
「かの者達は、犯罪ギルドなどと言う集団を構成、暗躍し、様々な犯罪行為に加担して居た悪質な集団、並びに、騎士団長でありながら、そのような者達と関係を持ち、裏で繋がり暗躍をして居ったコアーク、総勢36名で相違ないな?」
「お待ち下さい、私コアークは、誓ってそのような事はしておりません、個人的に捜査をしており、ようやく見つけた奴らのアジトへ侵入した所をこのような目に合って居ります、むしろこの怪しげな出立の小娘どもこそがこの盗賊共と繋がって居たと思われます。」
宰相はこう続けた。
「それは間違い無いのか?」
「は、間違い御座いません、騎士団長の私目を信じずにこのような怪しげな出立の者達の話を鵜呑みにする事こそ過ちであると。」
宰相が、今度はザイン達に向かって声を掛ける。
「このように申して居るが、其方達には何か証拠となるようなものが有るのか?
万一、証明出来ぬと申すと、永代では無いとは言え騎士爵は一応貴族であるから、お主たちは死罪と言う事となるが。」
「ん、任せて、証人、呼ぶ。」
「な!?証人が居るだと?そんな者が何処に居ると言うのだ?」
コアークが少し挙動不審になりつつも反論するが。
「待って、今、呼ぶ。」
「そんな者何処に居ると「黙って。」・・・くっ。」
「風よ集わん、我の元へ、我が名はあなたの友 ザイデリュゥス、顕現し賜え、其方の名はレジーナ。」
白く光るオーブが集まって行き、レジーナがその姿を現す。
『ザイン、さっきぶり!』
「ん、さっきぶり。」
「な!頭に直接声が響く!これは精霊・・・なのか?」
「ん、風の上位精霊、レジーナ。」
『人イッパイ居るね、レジーナです、よろしくね~。』
「し、証人とは、この精霊と言う事でよろしいか?」
宰相は少々驚きを隠せないで居る様だ。
「国王の名代として、証人と認める、精霊は嘘を付かぬと言うからな。」
「は、かしこまりました、では、レジーナ殿でよろしいかね?
この者達の繋がりを証明して頂きたい。」
『は~い、今からこの人達のお話を再生するね~。』
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「おいおい、良いのかよ、騎士団長様が直接こんな所に来るなんてよ、誰かに見られたら不味いんじゃねぇのか?」
「ふん、そんなヘマするかよ、俺がどんな手段で騎士団に潜り込んだと思ってやがる、俺をなめるな?」
「はははは、そりゃそうだな、元お頭、コアークさんよぉ、で、今日は何の用だ?」
「お前達に消して欲しい奴がいてな、冒険者のエリーって女だ。」
「ほぉ、女か、そいつはどんななんだ?」
「まだ子供だが、容姿は悪くねぇ、実力は有るみたいで生意気になっちまってるからな、殺したく無いならきっちり調教してやって欲しいんだ。」
「ふっふっふっふ、面白そうじゃねぇか、そう言うのにうってつけの奴が数人は居るからな、拉致して立派な肉人形に仕立ててやったら良いんだろ?任せな。」
「じゃあ、頼んだぜ、報酬はいつも通り、受け渡し場所で。」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
『以上でーす。』
呆然とするコアーク。
開いた口が塞がらない宰相と王太子、そして周囲の裁判官席に座る元老院議員達。
「完璧、ぶい。」
満面の笑みを浮かべるザインとマカンヌ、そして楽しそうなレジーナ。
はっと我に返る王太子。
「あい分かった、これはもう、申し開くの余地は無いな。
騎士コアーク、お前には騎士爵のはく奪と、鉱山労働40年を申し渡す。
そして犯罪ギルド殺人疑惑の有る者は死罪、盗み、及び脅迫、詐欺の前科の有る者は一律、労働奴隷15年を申し渡す物である。」
はっと我に返ったコア―クがようやく口を開く。
「お、お、お、お、お待ち下さい! 40年では我が息子までが鉱山奴隷になってしまいます! ご再考を!私は悪く無いんだぁぁぁ~~~!!!
あのエリーとか言う小娘がぁぁぁ!!!」
えらく理不尽な恨み言を言いながら連れて行かれたのだった。
---
※良く、異世界転生モノのアニメ等では、労働奴隷が一番重い罪のようになって居る事が多く、殺人の罪の者に、死ぬより苦しい苦痛を与える為の労働奴隷落ちと言う風になって居る事が多いが、それは奴隷紋等の魔法陣や呪い等で縛って主人に対して反抗出来ない様に縛れるからであり、そんなものが存在して居なかったこの世界では殺人は死刑である。
尚、以前犯罪ギルドの頭目であった事が発覚したコアークであるが、騎士爵を持って居た事で刑が軽減されたと思われるが、鉱山奴隷になると、基本脱走は不可能とされている。
手枷足枷を付けたままの鉱山労働になるので、基本的に労働奴隷の中でも最も重い罪の者に与えられるとされる。
更に40年となると、平均寿命50歳~60歳と言われるこの世界では正直に言ってほぼ死刑と同等の重みを持ち、途中で死んだ場合、その息子も捕らえられて父の罪を償わねば成らないのである。※
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「さて、氷結の魔女ザイデリュース殿、並びに勇者の奥方、マカンヌ殿、お主達には褒美を、何か望みは有るか?」
「ん、パーティーメンバー全員、エリーと一緒に旅しても良い?」
「良かろう、認めよう、では旅に必要になろう、渡航費用を用意致そう。」
「私めは、ん~・・・私も旦那と一緒にエリーの旅に同行したいわぁ~。」
「そうか、良かろう、では、この両名に金貨200枚づつを用意いたす、これにて閉廷。」
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