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冒険の旅

休日女子会

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 爽快に目覚めた、昨日はくたくただったから、宿屋に着いたとたん猛ダッシュで露天風呂に浸かり、上がったらそのまま雪崩れ込むようにして爆睡してしまったのだった。
 お陰でと言うか、むっちゃくちゃ爽快である。
 さて、今日はどうしようかな、の~ンびりしたい所なんだけどな。
 市場の露店巡りでもしてみるかな?
 よくよく考えたらこっちの世界に来てから、装備を買った位で、ショッピングとかしてる余裕が無かった、買い食いもして無いな、そう言えば。
 そうだ、服とかも買っておこう。
 よし、プラン決定。
 露店で買い食いしたり、ストックの食材を買って、ストレージに突っ込んだら服屋めぐりして過ごそう。
 なんたってお金はかなりたまってるし、たまには使わないとさ。
 さぁ、今日のプランは決まった。
 女の子同士でキャッキャウフフしながらショッピングと洒落込もうじゃ無いの!
 早速隣のクリスの部屋をノックする。
「クリス、居る?」
 ・・・へんじがない、ただのしかばのねようだ。
 じゃ無くって、もう出かけちゃったかな?
 じゃあ、その隣のザインは?
「ザイン、居る?」
「その声・・・ハイエルフ様?」
「イヤだからハイエルフじゃ無いからね?」
「今度は、火の精霊?」
「じゃ無くてね、今日はのんびりと皆でお買い物でもどうかなぁと思って。」
「行く! ハイエルフ様とでぇと♡」
「いや違うから!」
 すっげぇ気合い入れて出てきたザインちゃんだった。
 確か、昨日、オーブもここの宿屋にしてたよね、上の階だったかな?
 まぁでもあの子来るとややこしいからまぁ良いか。
 食堂のある一階へ降りると、クリスが朝食をとって居た。
「あ、クリス居た居た~。」
「あ、エリー、ザイン、おはよう~。」
「ん、おはよ。」
「おはよう~、今日は皆でのんびりお買い物でもしないかなーと思って、暇だったら行かない?」
「ん~、どうせ今日辺りはキースは寝てるんだろうし、行こっかな。」
「んじゃ決まりね~。」
「あぁっ!? 師匠!アタイ仲間外れなのかにゃ?」
 突然背後からオーブが。
「おわっ!? あ、おはよう、オーブ。」
「師匠~、やっとアタイの名前呼んでくれたにゃぁ~。」
「そうだっけ?もう呼んでた気がするんだけど?」
「気分だけっすかにゃ?酷いにゃぁ~。」
「んじゃ4人でお買い物行こう。」
「賛成~。」
「ん、決まり。」
「やったにゃぁ! 師匠に認められたにゃぁ!」
「認めて無いから、師匠じゃ無いし!」
「えぇ~、それは酷いにゃぁ~!」
 って事で、当初私の描いたプラン通り、今日は皆でお買い物です。
 皆で軽く朝食を頂いた後、皆で揃って宿を出発。
「ってさ、皆それしか服持って無い訳?」
「ん、無い。」
「そう言うエリーだって、初めて会った時の服じゃない?それ。」
「アタイは何もかも捨てて来たんだから仕方ないにゃ。」
 ああ、そうだったね、あんたに関しては。
 んで、私達が市場街を歩いたりすると・・・
「お!聖女様方! うちの串焼き食ってってよ!お代は要らねぇよ!」
 とか、
「雪原の魔女様じゃ無いか! うちの肉食ってってよ! お代は良いから宣伝しとくれ!」
 とか・・・
 もう勝手に付けられた二つ名が広まってるのねぇ~・・・
 全く誰だよ変な二つ名付けた上に伝説みてぇに高らかに公表した奴ぁ~!
 ってかどうせあの飲んだくれ連中だろうけどね・・・はぁ。
「にゃぁ・・・アタイは声掛けられにゃい・・・」
「あんたは敵側だったんだからしょうがないでしょ、拳聖ちゃん。」
「け、拳聖・・・ちゃん?・・・ちゃんて。」(ブツブツ)
 今のクリスの一言はショックだったらしい。
 まぁしゃぁネェわな、自分の土俵で戦って手も足も出なかったんだから。
「クリス、今のはちょっと酷い、一応オーブの方が年上だからね?」
「そ、そこ!? 師匠~~~酷い~!」
 え、私なんか酷い事言った?
 まぁいいや。
「師匠じゃないっつーの。」
「エリーのとどめが利いてるね。尻尾下がっちゃったよ?」
「あ~あ、流石ハイエルフ様。」
「ハイエルフじゃ無いっつーの。」
 傍から見たら賑やかな集団だろうな、私達。
 良いね、予定通りキャッキャウフフ出来てるよ!
 この子達とこうやって遊ぶのちょっと楽しみだったんだ。
「ところでクリスは、スキンケアとかどうやってる?」
「スキンケアって?」
 そこからかいっ!ってか、ゼンッゼンしてねぇっつーこったよね。
「お肌のお手入れ、何もやって無いのね・・・お化粧もしてないみたいだし。」
「お化粧はエリーもして無いでしょう?」
「してるよ?ナチュラルメイクだけど。 身嗜みは大事にしないと~。」
「僕も、してない。」
 エルフに関してはあれだよね、ずっと長く生きてるくせに老けないんだよね、こないだ背中の流しっこした時に気が付いたけど、お肌スベスベもっちもちだったよ?
 93歳とか言ってたけど、ハッキリ言って15歳未満のお肌だったんだよね、あれは反則だわ、マジで。
「アタイは一応お化粧してるにゃ。」
 お、意外な返答が返って来たな。
「よし、じゃあ化粧品買いに行こう!」
 こんな具合で会話を楽しみながら市場で食材を買い漁って収納しつつ、次の良き先が決まった。
 って事でやってきました、この世界、化粧品は雑貨屋さんなんだね、私は自分で作って使ってるから買った事無いんだよ。
 コスメコーナーみたいな所の一角に色んなメーカーが売ってるみたいだけど・・・セマっ。
 どれどれ、どんなメーカーが有るのかなっと。
 〇いじめっ子令嬢もこれを贈れば懐柔。
 更生化粧品・・・こっちの言葉だから音的には違うけど、これってコーセー化粧品のパクリだよな?
 〇亜人用化粧品 もふれ
 ・・・チフレちゃうんか?
 絶対この化粧品ってアレだよな、メーカー違うように見せてるけど一人の転生者が作ってるだろ?
 他には?・・・・
 〇カネモウ化粧品
 ”カネモウ”迄は音的に完全に日本語だ、しかも明らかにぼったくりですと言わんばかりの名前。
 ・・・悪ふざけしすぎだろ、これ。
 〇サンセイドウ
 リザードマンの鱗のシミもこんなにキレイに。
 ・・・資生堂のパクリだな、そしてサンセイドウって、漢字にしたら多分、酸性堂、だろ、これ、リザードマンの鱗のシミが落ちるって、サンポールかっ!?
 良く見ると隅の方に、混ぜるな危険て書いてあった、やっぱりかよ!
 はぁ、ここまで当てに成らん化粧品しかネェとは思わんかった。
「これ良いんじゃない? サンセイドー?」
「それ絶対ダメな奴な、クリス。」
「え~、でもシミが消えるって。」
「それ、リザードマン専用だわ。」
「どう言う事?」
「下手に人間が使ったら、お肌火傷に成るぞ。」
「何それ怖い。」
「ダメダメ、これだったら私が作って分けてあげるから買わないっ!」
「えぇ~、師匠、これは良いと思うにゃよ?」
 オーブが手に取って居るのはもふれだった。
 アンタはそれで良いなら良いにしとくわ・・・
 犬猫用のにしか見えなくなったけどな。
 ------
 雑貨屋を後にした私達は、服を買う為に貴族や商家の御用達のお店へと向かって居た。
 ・・・のだけど・・・
 なんかすっげぇ尾行されてるんだよね~。
 さっきの雑貨屋辺りから、ずっと。
「ねぇ、エリー、何だかずっと視線を感じるんだけど。」
 流石に拳聖を倒した女だ、良く気付いたな、クリス。
「うん、知ってる、雑貨屋からずっとついて来てるよ。」
「ストーカー?」
 ザイン、何処でその言葉憶えた? っつーかむしろアンタが私のストーカーっぽくなってるよ?最近。
「誰のだよ。」
「にゃはは、きっとアタイのファンにゃ。」
 能天気だなお前。
「絶対違うから。」
 ってか、私はこの気配に心当たりがあった。
 ので、軽く撒いて逆に背後に廻ってやろうと思った。
「ってか、皆も知ってる人だから、一回走って撒くよ?
 背後を取りたいからぐるっと回ってここ集合ね。」
 小声で指示を出し、走り出した。
 そして・・・実は走ったように見せたが私自身は光学迷彩で隠れてナノマシンに作らせた投影を走らせていた。
「あっ!」
 と、声を上げた追跡者が慌てて走り出す。
 それを私はすぐさま追いかけ、背後から確保。
「ん~~~~!!」
 暴れる追跡者、でも私からは逃れられませんよ。
 皆が集まって来る。
「あぁ~! 誰かと思ったら~。」
「ん、意外だけど納得。」
「にゃ、おみゃーはぁっ!・・・誰にゃ?」
「でしょ?」
「あぁ~ん、皆私を置いて女子会なんてずるいわぁ~。」
 ってずるいと言われるほど親しいかと言うとそうでも無いと思うのだけど・・・
「で、何で後付けてたの?マカンヌさん。」
「だってぇ~ン、こんな可愛い子達大勢でお出かけしたなんて聞いたら、じっとしてられないじゃな~い。」
 やっぱこの人の変態性はかなりのレベルだ。
 淫乱でM女で女王様で挙句にロリコンレズの気まであるとか、無いわ~・・・
「あのね、マカンヌさん、私達みんなでお出かけ用の良い服作って貰いに行こうとしてるのね、だけどね、マカンヌさんはこれから私に全身義体作って貰いたいっつって借金背負う人でしょう?
 一緒に成って服作ってる余裕なんか無いっしょ?」
「ねぇ、エリー、なんか可哀そうになって来たからその辺にして許してあげたら?」
 一番迷惑そうにしてたクリスからそんな言葉が出るくらいお説教してしまった。
 でもマカンヌさん、私にお説教されながらイっちゃいそうな顔してんだよな、怖いよこの人。
 なんか時折ビクンビクン妙な痙攣してたし・・・マジで私に説教されてイってたんじゃねぇの?
 変態、コワイ・・・
 オーブなんかザインの後ろに隠れて震えながらもシャーって威嚇してるし。
 そこまで怖がるのもどうかとは思うけどな。
 -------
 で、結局だが、クリスがマカンヌさんの仕立て代を立て替えると言う形で5人で服を作りに来たけど・・・なんだかゴージャスなドレス以外は無茶苦茶パッとしねぇのよ、これが。
「如何で御座いましょうか、聖女様方。」
「えっとね、私たち別に貴族でも無けりゃお茶会に御呼ばれした訳でも無いのでこんなド派手なドレスは要らないんですけど・・・」
「ですが聖女様方でしたらいつお茶会への招待状が届いても良いようにご用意されておくのが良いと思いますが。」
「私達基本的に冒険者なので貴族の生活とかには興味ないですから、お茶会に出席するつもりも一切ありませんから。」
「左様で御座いますか、でもあまり無碍にされると貴族の方々は機嫌を損ねられますよ?」
「その辺も大丈夫、降りかかる火の粉位はここに居る全員片手間に振り払える実力者ばっかりだから。
 もしも私を害そうとか思ったらその貴族が親類縁者もろとも消え失せる事に成るしね。」
「左様で御座いますか・・・ では、此方のお召し物などは如何でしょうか。」
「あらぁ~、私はこれ素敵だと思うわぁ~。」
 成程、マカンヌさんには似合いそう。
 この変態、中身はどうであれ、見た目は清楚な深窓令嬢っぽいと言うか・・・雰囲気だけはそんな感じなんだよな。
「じゃあマカンヌさんは決まりだね。 店員さん、この人の分は色合わせして採寸お願いします。」
「はい、かしこまりました、そちらの亜人の方は如何しますか?」
「アタイはぁ~、こう言うひらひらしたのは苦手にゃ~。」
 なんかつまんなそうだし、こいつはよ・・・
「仕方ない、私が作るか・・・結局買うより作る方が早いんだよね、まったく。」
 で、ザインとクリスはと言うと、作り置きの規制品コーナーでキャッキャと楽しんでる。
 私もあっち行こうかな、楽しそう。
 と思って居ると、「ハイエルフ様も、こっち楽しい。」
 むしろ私から行く前に呼ばれた。
「今行くね~。」
 と言って上手く店員を交わす事に成功した、いい仕事してくれるね、ザインちゃん。
 その後、散々既製品の可愛い服を楽しんだ私達だったが、この服はこの辺がもっとこうだった方が、とか、この服は可愛いけどこの変がイマイチ気に入らないとかの意見が多々あったので、様々な生地を買い付けて私が作っちゃるってな方向に成ってしまった、つい世話焼きたくなっちゃうんだよね。
 夕食の支度をしないといけないマカンヌさんはここまで。
 早速このお店で生地を大量購入、5人でジャイアントクルーザーに。
 何でジャイアントクルーザーに乗り込むかって―と、生地とか糸だけ用意してあれば、採寸も立体裁断も立体縫製も全てオートでやってくれる便利な機能が有って、今そのテーラーズルームに居るのである。
 後はモニターに映した完成予想図を弄ってフリル付けたり襟のサイズをかえたりとデザインを変更できるのだ。
 まぁ、当然この位は2700年代後半頃から始まって当たり前になって行ったことだから、私にとっては普通だけどね。
「凄い、エリーもっと早く言ってよ~、いっぱい服作りたい!」
 はいはい、今はクリスもお金あるので冒険者ギルドで依頼受けないでも食うに困らないから時間もいっぱいあるし好きなだけ作りなさいな。
「流石、ハイエルフ様。」
 そこはハイエルフ関係無いと思うよ、ハイエルフじゃ無いしな。
「にゃは~、師匠はアタイの服も作れる魔道具を持ってるなんてすごいのにゃ~。」
 師匠じゃねーっつーのに。
 そして夜更けまで、彼女達は思う存分服を作り続けたのであった。
 デザインも自分に似合う物をモニターで確認して作れるんだからそりゃ斬新でしょうとも。
 そしたら意外なデザインに夢中になってる奴が一人いた。
 ザインちゃんである。
 どう言う訳か、彼女だけは振袖や夏祭りなどに着て行く用の華やかな浴衣に興味を示した。
 ああ、ザイン、それは今買って来た生地では作れないでしょう?
「うん、残念。」
「これは生地自体を作らないとダメだね~・・・」
 ん?待てよ?出来ないこたぁね―かな?
 実の所、私が熊さん退治の後に気に入って通って居たあの泉の周りには割とクロウラー系の魔物が多かった、そして、繭を作るタイプを数種見つけて、繭をいくらか確保して置いたのだ。
 と言ってもでけぇクロウラーと言う魔物の繭なので、一個もあったら多分反物の一本も作れるのでは無いかと言うサイズだ。
 暫く考えた私は、そう言えば染料に使えそうな草木や鉱石も入ってたなぁ、なんて思い至った。
「よし、ザイン、試しにこの素材を私が提供してみようじゃないか。素材収納庫オープン。」
 そして繭と鉱石、染料用に回収して居た草木や花を突っ込む。
 すると・・・
「流石ハイエルフ様!」
「お、発注できるようになったか?」
「出来た!」
「おー、おめでとう! この際だから全員一着づつは作って見るか、着物。」
 そうして、ザイン、クリス、私、オーブの4人分の、とても華やかな一張羅が完成したのであった。
 しかも、実は着付けも出来るのだ、この部屋は。
 そして全員で着物に着替えてジャイアントクルーザーの食堂で晩酌をすると言う贅沢な時間を過ごしたのである、当然大浴場も利用して全員で洗いっこしたさ。
 読者諸君うらやましかろう?
 そしてすっかり深夜に、と言うかむしろ薄っすら白み始める頃まで楽しんでしまった為、まさか今から宿に戻る訳にも行かず、ジャイアントクルーザーの部屋で泊まったのであった。
 当然パジャマパーティーさっ。
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