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戦争

起動試験と言う名の・・・蹂躙

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「さ、じゃあ搭乗完了したら両手両足をここなんだろうなって位置に合わせて固定してね~、ってか正しい位置に行くと勝手に固定されるから。」
「降りる時はどうすればいいんだ?」
「それは又降りる時で良いでしょう。」
「いやしかし私は未だ公務が。」
「硬い事言わない、さ、ジュドーさん、起動性能試験行こうね。」
「はい、エリー様、セドリック様は根を詰めすぎる気概が強いですのでこんな時位は息抜きに連れ出さないといけませんからな。」
「お前らグルかっ!! 降ろせぇ~!」
 私は身体強化を使い強化装甲の肩に飛び乗り、座って、ジュドーさんに試験実施エリアを指定する。
「じゃあまず、屋敷を出て西門へ行きましょう。 ローラーダッシュ機能は使っちゃダメですよ、すっげースピード出るから屋敷の門壊しちゃう。」
「了解しました、エリー様。」
「お前らマジでいい加減にしろ~!」
「根詰め過ぎるのは良く無いよ~? 私だって延々とデスクワークだけとかしてたらこんな天才になって無いからね。」
 ある程度やって気が削がれたら別な事したりするのは重要なのだ。
 そっちに夢中になっちゃってやるべき事を忘れちゃうのは愚の骨頂だけどね。
「ほっほっほ、セドリック様、今日の所は諦めて付き合って頂きますぞ。」
 ジュドーさんはいたずらっ子の様な笑顔を浮かべて楽しそうだ。
 あんた先代から仕えてるんだから現セドリック伯のお父ちゃんみたいな年齢だよね、そこまで悪戯っ子のような顔をする爺さんに私は初めて出会った気がするぞ?
 これ程に長く生きた記憶を有している私がね。
 余談だがこの世界の平均寿命は60歳程度。
 ジュドーさんは色々お話してみるともう55歳、この平均寿命だったら十分にお爺さんだよね、見た目もそう見える。
 こうしてほぼ強引に拉致する形でセドリック伯を引き釣り出す事に成功した。
 ----------
 -屋敷門前―
「なんだ?この変な振動は。」
「報告します、屋敷の裏の方から巨大なゴーレムのような何かが・・・」
「屋敷から?それは一体どんな冗談だ?」
「いえ、冗談では無く、あ、ほら、見えて来ました。」
 下っ端門兵の指差す方向、屋敷の脇から巨大な人影・・・のような物がゆっくりと。
 その身の丈、凡そ3~4m
 4階建てになって居る屋敷の陰にこそ隠れるものの、3階建ての窓に達しようかと言う身長である。
「な、何だあれは・・・」
 すると休憩室から出て来た新人にして優秀さを買われ、副隊長に任命されていたオスカルが出て来る。
「何事だ?」
「あ、オスカル副隊長、あれを・・・」
「おお、そうかそうか、ついに完成したのだな、エリーめ、流石と言うか何と言うか、どこまで出鱈目な娘なんだ、圧巻だな、これは。」
「え?あの、エリーってあの最近屋敷に通ってくる孤児院の、御屋形様のお気に入りの子ですよね?」
「ん?何勘違いしてるんだ?
 エリーって子はああ見えて錬金術師だ、今こちらに向かってくるあれはエリーが錬成したゴーレムだぞ?
 孤児だの領主様のお気に入りだの言ってると半殺しにされるぞ?あの子無茶苦茶強いからな。」
「ご、ゴーレム?? って、魔物ですよね?」
「いや、違うな、ゴーレムってのはお伽噺に出て来るような、そんなもんでは無くて、あれは動く鉄人形、人型兵器・・・とか言ってたかな?」
「副隊長はあの娘と知り合いなんですか?」
「ああ、ここに取り立てて貰える切っ掛けに成ったと言うか、自分の無力さをつくづく実感させられた相手と言うか、な?」
「最近毎日来ては遅くまで居て暗くなってから帰って行くので夜伽をしてから帰る商売娘かと思ってました、殺されます?俺・・・」
「さあなぁ、黙っててやるから普通にしてろ。」
「はぁ・・・」
 そんなやり取りをしている間にゴーレムは目の前までやって来て居た、のだが・・・
「門を開けよ、しばし散歩に行って参る。」
「セ、セドリック様!? どうされたんですか?」
「うむ、少々この強化装甲の性能を試しに行って来る、留守を頼むぞ。」
「は、かしこまりました。」
 その強化装甲と言われたゴーレムの肩には、噂のエリーがにこやかに手を振って居た。」
(うぐ!怖ぇ、笑ってる・・・)
 平門兵達はその笑顔に恐怖を覚えたと言う。
 エリーはその様子を目の当たりにしてこう思った。
 (もう、こんな可愛らしい私の笑顔見てひきつってる奴いるし、ひどくね?
 天使の笑顔にひきつるなんて・・・解せぬ。)
 っと、そんな事で腹を立ててる場合じゃ無かった。
 今は伯爵の貴重な時間を頂いて強化装甲の性能を確かめに行くんだった。
「では、参りましょうかな?」
 ジュドーさんが玩具買って貰った子供のような笑顔である。
 じいさんなのに・・・(あくまでもここだけは強調)
 さて、屋敷の門から出たばかりなので、これから今度は町の外壁から外に出る為に街の門を出なければなんだけど、ここで私はしくじった事に気が付いた。
 強化装甲の全高は3.65m、ここの門は何でこんなに低いのか知らんけど2.7m、屈まないと通れないんだよね、通り抜けられるかしら・・・
 そしたら、ジュドーさんが教えても居ないローラーダッシュを使って屈んだまま通り抜けると言う離れ業をやってのけたのだった、やっぱこの人只物じゃないよね。
 でも突破する形に成っちゃったから警備兵が追いかけて来てる、追いつく筈もないんだけどね、あ~あ。
 あ、セシルも走ってるわ、正直すまんかった。
 コーナリングする方法も教えて無い筈なんだけどなぁ、何でジュドーさんはちゃんと斜滑降みたいにしてんのかな?
 この人ももしかして異世界人だったり?
 まさかねぇ・・・今度こっそり聞いて見ようかな。
 ---------
 そんなこんなで到着しました、以前に熊さん狩りをした沢を超えて、その先の丘を迂回して越えた谷、ここが目的地だ。
 多分ここで異様に魔物が増えている事がこないだの熊さんラッシュの原因と言われている。
 なので実は、昨日のうちにここの討伐依頼もちゃっかり受けて来て居たりするのだ。
 手始めに現れたのは、オーガ御一行様。
 8体ものオーガが集団でこんにちはです。
 オーガは何気に強く、Bランクの上位に成る。
 あのさ、ギルマスってば、私がこの依頼受けようとした時に止めようともせずにあっさり通したよね?
 私未だC級になって無いんだけど?
 もうすぐだとは思うけどね?
 それがいきなりクエストエリアに着いたとたんに初めからB+ですか。
 何考えてるのやら・・・まぁ私なら平気と思ってるんだろうけどさぁ、一人で行かせるエリアではない気がする、と言うか一人で来て無いけどね。
 しかも一人で来たとしても強化装甲伴ってるから負ける気はしないけどな。
「ジュドーさん、早速ですけどそこのオーガ御一行様に攻撃して見ましょう。」
「了解です、エリー様。」
「ちょ! ジュドー!俺を無視してその命令受諾は何?」
「気のせいで御座います、旦那様。」
 手始めに、強化外装の為に作った一つ目の装備、ショットキャノン。
 ビー玉位のサイズの鉄製の弾が24発入った24ゲージショットシェルと言う一発一発が象撃ち用の1ゲージショットシェルみたいなのが24発出るって凶悪な奴だ。
 この弾一発でも普通の人間が食らったら恐らく吹き飛ぶどころか胴体に大穴開けて事切れるだろうね。
 で、結果から先に言うと、明らかにオーバーキルでした。
 やり過ぎ感が強いけれどもこの性能ならどんな大軍が攻めて来ようとも負けは無いだろう。
 あくまでも戦争の為に作った道具なのだから脅威となる武器は敵の戦意を挫く為に必要なのだ。
 本当ならアーマドラグーンを作ったろかと思ったのだけどこの技術レベルでアレは有っちゃイケナイ気がしたのでやめにして、この強化装甲にしたのだからこれでも私は譲歩している。
 アーマドラグーンならきっとこの世界のリアルなドラゴンともまともに戦えると思う。
 空間破砕砲とか使ったらダメだよね、やっぱ。
 ちなみに空間破砕砲ってどうやって空間を砕いて居るかって言うと、あれは内側に向かって爆発して極小サイズの疑似ブラックホールを形成、文字通り砕いて吸い込んじゃうのだ。
 こんなものを作っちゃうから私は最恐のマッドサイエンティストと言われて居たのだけど・・・それは今は良いじゃんって事でw
 オーガを撃破した私達は続いて更に奥に入って行く。
 次に出て来たのが、狼さんの上位種、ダークウルフの群れだった。この群れ、洒落に成らない数だったのでジュドーさんに換装を指示したんだけどこれが迷わず最適な武器をチョイスしたジュドーさんに又驚く。
 アンタ初めて見る筈の武器をあっさりと選ぶなよ、絶対異世界人だろ、お前。
 右に20㎜マシンガン、見た目はトンプソンのドラムマガジン装備のギャング感あふれる奴。
 左には高周波ブレード、こいつはこの世界の素材を使って再現、ミスリルの刃に高周波振動を与えて何でも切る。
 ミスリルより硬いオリハルコンのインゴットで試して見たのでその切れ味は実証済み。
 オリハルコンがバターのようにスカッと切れる凶悪な代物だ。
 遠い相手にマシンガンぶち込んで近付いて来たら高周波ブレードでぶった切る。
 完璧だ、武器のチョイス・・・
 どんどん奥へと切り込んでいくと、狼の群れを統率して居た個体が現れた、驚いた事にライカーンスロープだった。
 ライカーンスロープってのは、狼とか虎の魔物で人型に進化したヤツだ。
 今回は狼、所謂人狼とか狼男って言われるようなのね。
 こいつの動きが大分早かったけど、ジュドーさんはローラーダッシュにエアスラスター等を駆使して見事なまでに機体を操って、ほぼ瞬殺で撃破してしまった、スゲーなこの爺さん。
 少し見直した、と言うか尊敬までしてしまいそうだ。
 電脳化して反応速度最高に上げてもここまで戦えるのはエース級だと思うのにそれを初めて操ってる爺さんがこれだから恐れ入る。
 もうこの人に特攻させたら戦争終わるんじゃね?
 こんな調子でどんどん奥へと突き進んで蹂躙をし続けると、予想してたけどやっぱり居ました、魔人さん。
「なんだ?この妙なゴーレムは、おい人間、貴様ら何者だ?」
「私はエリー! もうすぐC級の冒険者!」
「わたくしは、シーマ辺境伯の執事、ジュドーですぞ。」
「はぁ・・・私はセドリック・シーマ辺境伯です、ってこの名乗りは何なのだ?」
「ほう、領主自らやって来たのか、殊勝な事であるな。
 私は魔王様の忠実な配下、ゴル「お前の名前なんか聞いて無いよ、ここで終わるんだから大人しくいっぺん死んで見たら良いと思うんだけどどう?」
 私は相手のどうでも良い名前なんか聞く気が無い、と言うかむしろこれで逆上してくれたら戦いやすいのであえてかぶせるようにして言い放った。
「貴様、そんな簡単に私を害せるとでも思って居るのか?」
「別に、魔人なんかお前が初めてじゃ無いしね、えーっとアイツなんつったっけ、名前聞いた気がするけど忘れた!」
「なっ!? まさかバドーをやったのは貴様かっ!?」
「ああ、そんな名前だった気がするわね、あいつ単純だったから秒殺したわよ~?」
 ワザと煽る発言。
「貴様、貴様を探して居たのだ、バドーの仇をなぁ!」
「あ、ジュドーさんは少し下がってて、こいつのステータスだと強化装甲の反応速度では少しきついと思うから私に任せてね~。」
「畏まりました、エリー様。」
 私にの強さを何も疑って居ないようにアッサリ引き下がるジュドーさんはやっぱり鑑定スキルも持ってるんだろう。
 マナをちゃんと扱えていない普通の人には鑑定スキルなんてチートは持ち合わせるはず無いからね、この人異世界人確定だな、こりゃ。
 強化外装の肩から飛び降りた私は、早速新しく作った装備をストレージから取り出す。
 私専用に作った情け容赦無く技術の粋を集めた逸品だ。
 名前は考えて居なかったけど、判りやすく言うと、ライトセイバーとブラスターガン。
 西暦3000年以降になって発明した代物だったので多分これはジュドーさんも知らないだろうと思って居たら、小声で「素晴らしい、ブラスターとライトセイバーで御座いますか、流石ですな・・・」
 とか言ってるの聞こえたんですけど、何者ですかこの人。
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