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冒険、捜索、情報収集

臨床試験

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「おはよう~。」
「あ、エリーちゃんおはよう。」
 朝っぱらからクリスちゃんの部屋に凸った私は、早速例のローポーションを渡した。
「んっとね、私のジョブが、錬金術師なんだけどね、昨日検証用に余分に採集して来た薬草とかで色々試してたら、こんなの出来ちゃったんだよね、ほんとの偶然だけど。」
「え・・・ナニコレ、この容器のガラス瓶の透明感もちょっとあり得ないけど、それより中身のこれが薬なの? なんで光ってんの?」
「だよね、それがさ、鑑定してみると、ローポーションって名前で、怪我や疲労に効く、瞬時に回復するってなってるんだよね、これ、キース君に飲ませて見たらどうかなって・・・」
「うん、まぁ、鑑定スキルで大丈夫なら死ぬ事は無いだろうし、試してみようか、これ、一個だけしかできてないの?」
「うん、今の所色々試した結果だからこれ一個だけ、もしかするととんでもない発明に成っちゃうかもでどうしたら良いのか分かんないんだ。」
 ちょっとビビり気味な演技をしてみた。
「もしもこれで怪我が消えたら、怪我した冒険者が殺到するだけじゃなくて、貴族とかが黙って無いかもね・・・」
「だよね・・・」
「判ったわ、これは貴女と私達、タイタンズだけの秘密にしておきましょう、当分。」
「うん、秘密ってのもアリと思うんだけど、私思いついちゃったんだけどね、教会で取り扱って貰えたら一番良いのかもって思ったんだけど、どう思う?・・・」
「そうか、教会ね、悪い話では無いかも、信仰心が低い国だけど、神の奇跡だとか言ったら、貴族も手出し出来なくなりそうだし、孤児達も助かるしね、実は私もキースも孤児出身なの、ちょっとその辺りも繋ぎを付けてみるね。」
「うん。」
「「じゃあ、早速。」」
 二人でキース君の部屋に凸る。
 どうせまだ寝てると思い、鍵が掛かって居なかったのを良い事に勢いよく戸を開けて飛び込むと、そこには全裸で体を拭いて居るキース君が居た・・・
「「あ・・・ごめんなさいっ!!」」
「なんだお前ら、逆夜這いにでも来たか?いや朝だから朝這い?」
「んなわけ有るかいっ!」
 つい突っ込み入れちゃった。
 クリスちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしゃがみ込んじゃってる。
「ってかマジごめんね、ちょっと緊急の用が有ってさ。」
 と私が開き直って話を始める。
「っつーかお前、男の裸見ても何ともねぇの?」
「ん?何で?私は研究者だって言ったでしょう?そんな程度のモノぶら下がってても何とも思わないわよ?」
 これにはキース君がへこんだ。
「な・・・ひでぇ・・・」
 涙目になってるので少しは自信が有ったのを木っ端微塵に打ち砕かれたと言う所か。
「あ、ごめん、今のは言い過ぎたわ、只単に見慣れてるって意味だからね、っつーか早くなんか履いて、クリスちゃんが頭に血が上りすぎて血管切れて脳梗塞になって倒れても知らないよ?」
「あ、わりぃ、途中から意味不明だが、そうだな。」
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「で?クリス、用ってのは?」
「はーい、まずは私の方から、良いかな?」
 クリスちゃんよりも先に私の方から先に経緯を説明しようとしたが、
「あ、いい、私が話す。」
 何とかショックから立ち直ったらしい。
「うん、わかった。」
「ふう・・・えっとね、事の発端は、エリーちゃんが持って居るジョブとスキルが少し問題なのよ。」
「ほう、それはどんな?」
「私も初めて聞いたジョブなんだけど、サイエンスアルケミストって言う、上級の錬金術師なんだって、でね、スキルがどう問題かって言うと、普通よりもずっと高等な鑑定を持ってるって事と、色々見た事ないような物も作れちゃうらしい規格外錬成スキルらしいのよ。」
「へぇ、高等の鑑定持ちか、少ないっちゃ少ないけど珍しい程じゃ無いだろ?
 でも、どの程度に高等かってとこは気になるかな。」
「うん、その鑑定が問題ありでね、元々エリーちゃんの持ってる知識とリンクしてるらしくて普通判らない事まで見えてるみたいなのよ。」
「試しにキース君の事鑑定してみようか?」
「え?・・・あ、ああ、いいぜ?」
 許可が下りたので鑑定してみる
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 キース Lv.25 job:剣士
 HP:2235/3250vi MP:100%
 体力 :180
 腕力 :220/275
 守備力:190/230
 速力:180/220
 保有スキル
 剣術 LV.4 身体強化 LV.3 
 状態;異常:左腕の裂傷・出血中・痛み・左腕運動神経の一部断裂・全治1か月
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「こんなん出ちゃいました・・・」
「え、怪我、こんなに酷かったの?」
 青ざめるクリスちゃん、ショックが隠し切れないキース君。
 クリスちゃんがショックでこれ以降の説明が出来そうも無いので結局私が話す事になる。
「こんな事が判っちゃう私の鑑定スキルで、昨日採集して居た薬草を鑑定してたら、雑草のナズナと痛み止めになる根治草と薬草の三種は全く同じ物だと判ったので、余分に採集した薬草、根治草、ナズナを昨日宿に戻ってから徹底的に調べてたら、偶然にあるものに行き着いたからね、それを錬成して見たら、とんでもない物が出来た訳、それが・・・クリスちゃん?」
「あ、ええ、私が預かってるんだった、これよ。」
「なんだ?これ・・・ちょっと光ってるように見えるんだが。」
「エリーちゃんの鑑定結果は聞いたんだけど、疑った訳じゃなく私も鑑定してみたの、そしたら、これは怪我や疲労がすぐに回復するローポーションって言う薬らしいの。」
「なんだ、それ、マジで言ってる?」
「うん、大マジ、だからね、キースに飲ませてあげたいって、持って来たんだ。」
「こ、これが、奇跡みたいな薬なんだな?」
「私もたまたま偶然に出来上がってしまったもんで、未だ誰にも試した訳じゃ無いんだけど、鑑定が嘘を教えるなんて事は無いと思うんだよね。」
「判った、俺が実験台になってやるよ。」
 キース君はそう言ってポーションを飲み干した。
「あ!」
 止めようとしたクリスちゃんが突然のキース君の迷いのない行動に一瞬たじろいだ。
 次の瞬間、キース君の体全体がぼんやりとひかり、その光もすぐに治まる。
「うん?おお、痛くねぇぞ! それに、古傷もなんだか痛みが無くなった気がする!」
 さっき全裸を見てるから、私はキース君があちこち傷だらけなのは見ていたが、それすら消えた可能性が有るって事か。
 でもそこまでの性能でもローポーションなんだ?ミドルやハイポになったらどうなっちゃうんだろう・・・
「背中見せろ!」
 試しに背中に会った大きめの傷がどうなったか気になった私はキース君の上着を無理やり脱がそうとすると
「ちょ!待て待て、おい!」
 とキース君に阻止されたので、背中の傷を見せろと言うと、素直に見せてくれた、驚いた事に傷跡はまだ残ってはいるものの、半分くらいの大きさになって居た。
「で、この薬、どうするつもりだ?こんなぶっ壊れ性能の薬、やべぇなんてもんじゃねぇぞ?」
「うん、目の当たりにして私も驚いた、だからやっぱりさっき二人で話してた方向で行くしかなさそうだよね、クリスちゃん。」
「うん、そうね、教会で扱って貰おうと思うの。」
「教会で?」
「そう、教会で、まぁ但し、それと同じ方法でいくつも作れる事が判れば、だけど。
 この国は信仰心が低すぎるし、その上で教会の地位も低く蔑まされ過ぎてる気がする、だけど、ここで神の啓示が有ってこのポーションが生まれたとか言ったら、どう?
 神様が一枚かんで居れば貴族もうかつに手出しは出来ないと思うし、信仰も増えてポーションも売れたら孤児たちの為にもなると思うの。」
 クリスちゃんが必死の形相でキース君に訴える。
「そう、だな、教会は、俺たち、孤児出身の冒険者が守ってやれるしな、それが一番いいのかも知れない。」
 こうして、製法を教会へ、教会から流通させる方針が決定、ザインちゃんにも話すと、やっぱり私を拝むようにして「ハイエルフ様。」と一言くれました、はいはい、もうあなたの中で私はハイエルフで良いですよ、まったく。
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