上 下
5 / 266
序章

序章2

しおりを挟む
「これはお久しぶりですな、ナカムラ技術開発局長殿、ゆぐどらしるの戦術予報は素晴らしいですね、お陰様で御覧の通り完全に優勢に戦局が展開して居ますよ。」
 社交辞令的にその場を流す気持ちで返答を返しては居るが、実際に彼の生み出したこのゆぐどらしるのお陰でほぼ人的損耗はゼロで帰還出来そうだ、男女ともに母星に配偶者や恋人を残して来て居る者も多いので有り難い事である。
 あ、自己紹介が遅れました、私は当艦の艦長、ルーデリヒ・フォン・バルデス少将です。
 天皇陛下より階位と爵位を賜り、勲三等正三位伯爵です、以後お見知り置きを、・・・とは言っても恐らく私の登場は恐らく今回だけな気がします。
「ほほぅ、それは重畳、それでは”ゆぐどらしる”は各艦隊の旗艦に搭載しても良さそうだね、早速量産体制を確立しようじゃないか。」
 ”ゆぐどらしる”、その名の通り、おとぎ話に出て来るらしい世界樹と言う意味であるが、この戦術予報AIは、樹木の細胞を利用した生体コンピューターであるらしい、言って居る私にもどのような物なのかサッパリ解らん、と言うかむしろ樹木に演算処理が出来るとは到底思えないし想像すら付かんのだ。
 天才の考える事は誰にも理解出来るものでは無いと思うし、理解出来なくても良い、むしろ理解したくない、そんな物が理解出来る脳細胞は持ち合わせないので致し方無い事だろう。
 まさに彼はその天才という人種だろう。
 大気だけで増殖して鉄やアルミと言った金属を生み出すという全く理解出来ない生態を持つバクテリアを生み出したのも彼だ、しかしそのお陰でこのような巨大な宇宙戦艦を建造出来るのも事実なのだが。
 ちなみにそれらのバクテリアはナノマシンらしく、この艦にも寄生させてあり、小破程度のダメージであれば1時間もすれば完全に修復されてしまう。
 知れば知る程どこまでも出鱈目なマッドサイエンティストである。(あ、しまった、本音がぽろっと)
 実際その恩恵には幾度と無く助けられて居るので頭が上がる存在では無い。
 もうね、凄すぎてまだまだ紹介したい彼の発明はごまんと有るのだがあまりにも多すぎて紹介等し切れるものでは無い。
 なんせ700年間に渡って様々な技術を確立させて居るのだからしょうがないね、だんだん言葉が雑になって来た気がするが地が出て来ただけなので気にするな。
「報告します、敵艦隊損耗60%、退却始めました。」
「よし、残敵掃討、小惑星帯から離脱、全砲門開け、アーマドラグーン部隊全機帰還せよ。」
「「「「ワカヤビタン!!」」」」
「うん流石だね、手際が良い、”ゆぐ”をこの艦で試験運用したのは間違って居なかったな、では私はこれで失礼しよう。」
 博士が帰って行く、帰ると言ってもこの艦に搭載されて居る遠隔義体の充電設備に戻るだけ、そもそもがあの義体は中身が空っぽのただの人形で遠隔で動いて居るだけなのだろうから・・・
 しかし本当に変な所に妙なこだわりのある人であるな、”ゆぐどらしる”の調子が知りたいだけならばわざわざ遠隔義体の並列存在など使わずともバックドアでモニタリング位出来る筈なのだ。
 他人との接触を嫌わないと言う科学者らしからぬ所がある彼らしいと言えば彼らしい律儀な所とも言えるが。
 -------------------------
 ―数か月後―
 あれっきり彼を見ない、又”ゆぐどらしる”の調子や新型過電粒子砲の調子を見に来る頃のはずだが・・・
 と、思って居た矢先、彼が亡くなったと言う悲報が舞い込んで来た。
 どうやら、脳神経系を維持する為に定期的に十年周期で投薬が必要だったらしいのだが、その時期を彼自身開発にかまけて失念して居たようだ、”ゆぐどらしる”の量産化に向けて最終調整に勤しんでいて突然こと切れたらしい。
 今度本星へ寄港した折には、大富豪の彼のおごりでうまい酒が飲めると思って居たのに、残念だ。
 本星へと帰還すると同時に休暇を取った、彼が気に入って私産で購入し、研究施設を作り永住して居た惑星、ネオオガサワラまで、葬儀に間に合わなかった彼の墓に線香の一本でも備えてやる積りである。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 この作品は、カクヨムさんで投稿を始めた作品でして、カクヨムの運営公式のレビューを頂いた自信作なのですが、この度こちらにも投稿してみようと言う流れになりましたので、毎日一話づつアップして行くつもりです。
 現在200話以上のストックが有るので当分大丈夫と思いますw
 皆さんのご意見、ご感想など、何処が気に入らないとか言う話でも構いませんのでドシドシ感想を頂けるとありがたいと思って居ます。
 今後、他の作品も投稿して見たいとも思って居ますのでよろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

箱庭から始まる俺の地獄(ヘル) ~今日から地獄生物の飼育員ってマジっすか!?~

白那 又太
ファンタジー
とあるアパートの一室に住む安楽 喜一郎は仕事に忙殺されるあまり、癒しを求めてペットを購入した。ところがそのペットの様子がどうもおかしい。 日々成長していくペットに少し違和感を感じながらも(比較的)平和な毎日を過ごしていた喜一郎。 ところがある日その平和は地獄からの使者、魔王デボラ様によって粉々に打ち砕かれるのであった。 目指すは地獄の楽園ってなんじゃそりゃ! 大したスキルも無い! チートも無い! あるのは理不尽と不条理だけ! 箱庭から始まる俺の地獄(ヘル)どうぞお楽しみください。 【本作は小説家になろう様、カクヨム様でも同時更新中です】

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

(完)なにも死ぬことないでしょう?

青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。 悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。 若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。 『亭主、元気で留守がいい』ということを。 だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。 ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。 昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...