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番外編
ヒポディアの街④
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あれからトラヴィスが本格的に暴れ出してうるさかったので、急いで兄さんと一緒に観覧席から出て行った。
兄さんに清浄の魔法をかけてから人目を避け地下二階へ移動する。空き部屋に入り、魔法で目と髪の色を変えると、やっと人心地がついた。
「もう隠し部屋を発見しているとは。さすがルカだ」
「ほとんど偶然だけどね」
探知の魔法で気配を探るが、トラヴィスの反応はない。彼を待つ間、兄さんに気になったことを尋ねてみた。
「なんで武器を変えたの?」
「賭けの倍率を偏らせるためだ。わざと弱く見せるなら武器を変えるのが有効だと思ってな。対戦前にキマイラを見せてもらって、勝てると確信したからそうした」
昨日の「トラヴィスの全財産失わせる」って発言は本気だったのか。それで過去最高倍率になったんだから、作戦大成功だ。
配当金がいくらになったのか想像するだけでわくわくする。僕も全財産賭ければよかった。
「トラヴィスは一級品の化け物って言ってたけど?」
「たしかに獅子の身体能力と、三つ頭がそれぞれ魔法攻撃を仕掛けるのは厄介だったが、野生のキマイラのほうが強いと思うぞ」
「そうなの?」
さすが元兵士。僕はキマイラを見たことないけど、兄さんは討伐した経験があるようだ。
「あいつの強みは獅子頭の鬣で急所の首が守られていて、山羊の胴体で木や崖での活動が可能で、蛇の尻尾で背後からの攻撃を封じるところだ」
「あの改造キマイラは胴体も尻尾も獅子だったよね」
「そうだ。尻尾に噛みつかれることもないし、獅子の胴体だと足をついて立つことも難しいからな。おかげで背中に乗れば攻撃し放題だ。背中から棘でも生やせるなら多少苦戦したかもしれないが、事前に聞いたらそんな能力はないと言われて余裕だと思った」
たぶんそれで余裕だと思うのは極一部の強者だけな気がするけど、さすが兄さんだ。
「そんなことより」
「兄さん顔が怖いって」
兄さんが険しい顔で僕の髪に触れた。一部だけ短くなっている部分を優しく摘む。
「これはどういうことだ?」
「あー、トラヴィスに触られてさ。思わず風斬撃で切り離しちゃった」
「あいつの指もちゃんと斬ったか?」
「ごめん。自分の髪だけかな」
兄さんの目が怖すぎる。この状況でトラヴィスの発言を伝えたらどうなるんだろう。
「あいつに変なこと言われてないか?……言われたんだな」
兄さんの気迫に表情を取り繕うことができなかった。被害者であるはずの僕は、トラヴィスに同情しながら観覧席での出来事を話すことにした。
「というわけで、最後の方に兄さんの死体の前で犯してやるって言われた時は、気持ち悪すぎて泣きそうになっちゃった」
話し始めると止まらなくなった。今気づいたけど、話の途中から兄さんが相槌を打っていないような。
「ルカ、俺のせいで辛い思いをさせてすまなかった」
「兄さんのせいじゃないよ」
兄さんが悲痛な面持ちで僕に謝罪した。その真摯な態度に心が痛むと思っていたら、兄さんが表情を一変させて満面の笑みになった。
「それで、いつトラヴィスを殺そうか?」
「えっ!いや、罪を償わせる方向がいいと思うな」
「万死に値する」
「兄さん、落ち着いて」
「それに」
先ほどの激昂が嘘のように、兄さんが静かに呟いた。
「ルカヘの狼藉もそうだが、他にも思うところがある。あいつは絶対許さん。死よりも恐ろしい目にあわせてやる」
「兄さん?」
兄さんは拳を固く握りしめて、押し寄せる激情に耐えているようだった。兄さんの拳にそっと手を重ねて詳しく話を聞こうと口を開いた瞬間、地下二階に降りていくトラヴィスの気配を探知の魔法が察知した。
「トラヴィスが隠し部屋に向かってる」
「どうやって侵入する?」
「この部屋の壁と、隠し部屋に向かう通路が隣接してるから壊そうかなと」
「音でバレないか?」
「防音魔法があるから大丈夫。壁も土魔法で適当に修復するし」
兄さんに説明した通りに魔法を発動させると、音もなく壁が崩れ隠し部屋へ続く通路が現れた。
「すごいな。音が一切聞こえなかった」
「昨日たくさん使ったからいい練習になったよ。先導するからついてきて」
通路を抜けると無機質な空間が目に飛び込んだ。扉が等間隔で三つ並んでいるだけで、身を隠すところが全くない。
どうやら真ん中の部屋をメインで使っているらしい。魔力の痕跡が濃い。とりあえず痕跡が一番薄い部屋に入る。ここは物を保管する倉庫のようで、いくつか木箱が積まれていた。
「身を隠すにはちょうどいいが、これではトラヴィスの様子がわからないな」
「壁の向こうは僕が透視できるから大丈夫。問題は声だけど」
魔力を巡らせて隣の部屋の様子を探る。すると壁一面に絵画などが飾られていることがわかった。
隠し部屋もゴテゴテに飾ってあるなんて、トラヴィスの派手好きも筋金入りだ。そのおかげで助かったけど。
「壁に穴を開けて魔法で音を拾うことにする」
「さすがに気づかれると思うが」
「物でごちゃごちゃしてるからわからないと思う」
ちょうど絵画や壺やらが密集している箇所に穴を開ける。これなら大丈夫だろう。
壁に手をつかないと透視ができないので、壁際ギリギリに土魔法で木箱のような物を作る。
「狭い」
「さすがに男ふたりはキツいね」
大きすぎると誰かがこの部屋に入った時に一発でバレるから、これ以上大きくできない。木箱を二つにしたら、いざという時身動きが取りづらいから一箇所に固まっていたいし。
「俺が無駄に場所を取ってるな。すまない」
「兄さんは身体が大きいから仕方ないよ。でもなんか、ドキドキするね」
普段はこれ以上に密着してるくせに、特殊な状況だと妙に緊張する。
僕の言葉にワンテンポ遅れて兄さんが返事をした。
「今煽るのは勘弁してくれ」
キマイラとの戦いで見せた勇ましい姿から程遠い弱々しい声に、笑いが込み上げる。
笑いを堪えるため、兄さんの腕に自分の腕を絡めて寄り添う。「全部終わったら覚悟しとけ」と耳元で囁かれて、つい笑みが溢れた。
それから少しして、トラヴィスと一人の男が隣の豪華な部屋に入室した。
トラヴィスは激昂した様子で、荒々しく椅子に腰掛ける。
「クソッ!あの化け物め!この興行始まって以来の大赤字だ!あんなイカれた……どうかしてる」
「あれはなぁ、運が悪かったと思うしかないぜ。旦那」
トラヴィスが荒々しい口調で兄さんの悪口を言い放つ。痛快っていうのはこういう感情をいうのだろうか。
悪口には腹が立つけど、それだけ兄さんが彼らにダメージを与えたということだろう。
トラヴィスはある程度兄さんの文句を言って気が済んだのか、長い息を吐くと再び口を開いた。
「あの商品に損失を穴埋めさせよう」
「本当に大丈夫なんですか?もし足がついたら」
「元はといえばお前達が四日前にヘマしたせいだろうが!面倒事を持ちこみやがって」
「それは!あんなところにいるガキがまさか」
「言い訳はよせ。いいから計画を進めろ」
「はいはい。ま、あれを誘拐したことがバレたら旦那も俺たちもおしまいですからね。せいぜい頑張りますよ」
男が出ていくと、トラヴィスは隠し部屋の棚をスライドさせ、隠し金庫にある冊子に目を通し始めた。
「あれを売れば……アメリアにも協力を……損失分はあそこから……」
独り言の内容から察するに、あの冊子は裏帳簿のようなものだろう。すごいな。全部見せてくれるじゃん。おかげで捜索の手間が省けた。
なんか、トラヴィスたちの会話に嫌な予感がする。覚悟を決めて隠し部屋のフロア全体に魔力を巡らせると、奥まったところに人の気配を感じた。
牢屋のような造りの部屋だ。先ほどの会話から推察すると、あの商品とは子どものことを指しているのだろう。違法賭博に加えて人身売買もしているのか。救いようがないな。
それにしても、子どもを誘拐して閉じ込めるなんてひどい話だ。攫ったのが四日前か。ふと、昨日聞いた話を思い出した。まさかね。そんな出来すぎたことあるわけない。
しばらくしてトラヴィスも部屋から出て行った。念のため彼の魔力を追ったが、一直線に地下一階へ向かっていた。今日はもうここに戻ることはないだろう。
「とりあえず裏帳簿を確認しようか」
「そうだな」
豪華な部屋に忍び込み、裏帳簿らしき冊子を開く。符号のようなものが散見されてわかりにくいが、間違いなく違法行為が記載されていた。
この金庫に入っているだけでも数十冊。かなりの量だ。
「どうする?原本を持っていくにしても、盗まれたとわかったらやつらが何をするか。子どもが拘束されていることを考えると、大胆なことはしたくないな」
「僕もそこは悩んでいたけどね。手に取った瞬間、解決策を思いついたよ」
裏帳簿はすべて魔法陣用のインクで書かれていて、うっすらと文字に魔力を感じた。おそらく、第三者がこの部屋から持ち出したら帳簿が燃える仕組みになっているのだろう。
悪事を隠滅するため、あらかじめ証拠を消し去る仕掛けを用意する。いかにも犯罪者の考えそうなことだ。
帳簿に魔紙を押し当てる。成功だ。予想通り、魔紙に帳簿の内容を転写できた。
魔紙はインクではなく魔力で文字を書く魔道具だ。つまり魔力を写し取る鏡のようなものだ。
魔力が少ないせいで文字は薄いが、見る分には問題ない。
「このやり方で転写して自警団に持ち込もう」
「さすがだ。しかし悔しいな。何冊か原本を持ち込めたらよかったが、これでは難しい」
「文字の魔力抜いたら大丈夫だよ。転写が終わったら数冊だけ持ち去ろう」
「魔力を抜く?そんな魔法あったか?」
「あるよ。あんまり知られてないけどね」
その名も聖属性魔法《魔力変換》だ。文字通り相手の魔力を自分の魔力に変換させる魔法だ。魔力変換率が著しく低く、実用性がほとんどないので知られていない。
僕もまさかこんな使い道があるとは思わなかった。全属性適性持ちでよかった。魔法って本当に便利だ。
黙々と帳簿を転写していたら、兄さんが静かに語り始めた。
「興行が始まるまでの間、俺は戦士たちから情報収集をしていた」
「そうだったんだ」
「初戦で片腕の戦士がいただろう?あれは数ヶ月前の興行で魔物に噛みちぎられたらしい。それでも意地で勝ってやったと誇らしげに話してた」
「でも彼は……」
「今日魔物に蹂躙されて死んだ。あいつが腕を失っても最後まで戦い抜いたのは妹のためだ」
「妹の?」
「病気の妹を治療するため違法な金融業者から借金して、ここに売られたらしい」
観覧席で見たトラヴィスの目を思い出した。何の感情もない、冷たい目だった。
「内臓が出ても諦めず魔物にとどめをさした戦士は、村のために自分を売ったと笑っていた。流行病で壊滅的な状況の村を救うため、志願してこの興行に参加したらしい。村のために、一戦でも多く勝ち残ってやると豪語していた」
彼の遺体は清掃作業の一部のように処理された。トラヴィスはそれを笑って見ていた。
「あいつらは、どこにでもいる普通の青年だった。あんな惨たらしい最期を迎えるようなやつらではなかった。俺はトラヴィスを絶対に許さない」
静かな、だけど強い怒りのこもった声だ。僕は兄さんの握りしめられた拳に手を重ねると、そっと力を込めた。
「必ず、トラヴィスに報いを受けさせよう」
「そうだな。ありがとう、ルカ。少し気が楽になった」
兄さんは緊張を解くように一つ息を吐くと、いつもの優しい笑顔に戻った。
帳簿を写し終え、原本も数冊無限収納にしまい部屋から出た。
「これからどうする?」
「とりあえず、拘束されてる子どもの様子を見に行こう」
「そうだな」
場所はわかりにくいが、特に何の仕掛けもなかったのですんなり牢屋まで辿り着いた。
牢屋のドアは、強力な魔法でしっかりと施錠されている。解除に時間をかけるより、自警団に駆け込んだほうが早いだろう。
いかにも育ちのよさそうな子どもが膝を抱えて座っている。頼りない見た目の僕と、圧が強すぎる兄さん。
だめだ。助けを呼ぶから協力してほしいと伝えても、大泣きされて話ができない可能性が高い。
どうしようかと悩んでいたら、この施設を案内された時のことを思い出した。あれを見せたら落ち着いてくれるかもしれない。
兄さんに待機するよう伝え、人目を避けながらある部屋に忍び込む。ちょっと借りるだけなので、これは断じて窃盗ではない。
待機場所に戻り、土魔法で作った檻の中にいる生き物を兄さんに見せる。
「テイルラビットか」
「そうそう。若い女性に見せたら目を輝かせるらしいよ。たぶん子どもも喜ぶでしょ」
「なぜ魔物を見てそんな反応を?」
「可愛いんだって」
「理解できん」
「同感」
まあ、脅威がわからなければそんなものかもしれない。僕たち冒険者からしたら、容赦なく頸部を圧迫してくる生き物を可愛いとは思えないけど。
防音の魔法をかけたあと、静かに子どもに近寄る。
「こんばんは。僕は銀級冒険者のルーク。そっちはアラン」
嫌な予感がしたので偽名を使うことにする。目と髪の色も変えているのでちょうどいい。
最初は警戒されていたが、事情を説明すると子どもは素直に名前を教えてくれた。
予想通り、彼はこの街の領主の息子だった。今年で十歳になるらしい。
テイルラビットを見て年相応に喜んでくれた。苦労したかいがあった。おかげで話がスムーズに進みそうだ。
話し始めると、時間が惜しいから畏まる必要はないと言われた。賢い子どもだ。テイルラビットを見てはしゃいだのは、それだけ彼が緊張状態に置かれていたということだろう。
「ここから出たら、証拠を持って自警団に駆け込む予定。でも時間が足りなくて。君をいち早く保護するためにも、個人を特定できる物が欲しい」
「ではこれを。メイドのシンシアが用意したと言ったら、家の者は納得するから」
領主の息子が差し出したのは、綺麗な色のスカーフだった。よく見たら彼の名前が刺繍されている。
「ありがとう。絶対届けるから」
「頼む。それともう一つだけ……胸を貸してくれないか」
「俺が代わりに貸してやろう。感謝しろ」
「アラン、大人気ないよ」
「ルークがいい」
まさかのご指名だ。兄さんが不機嫌そうだけど、あとでフォローしたらいいだろう。
領主の息子に近づくと、彼は牢越しに抱きついてきた。僕の胸に顔を埋めるようにぎゅっと抱え込んでいる。
「父上……母上……」
すすり泣く声が聞こえる。ずっと我慢していたのだろう。歳の割に落ち着いているとはいえ、彼はまだ十歳の子どもだ。
「思いっきり泣いていいよ。大丈夫だから」
僕たちが自警団に駆け込んだら、彼は領主の私兵に保護されるはずだ。そうなったら、声を上げて泣くことは許されない。それが身分というものだ。
だから、今だけ彼はただの子どもだ。しばらくの間、子どもが親を呼ぶ哀しげな泣き声が牢屋に響いていた。
地下施設を後にして、冒険者ギルドに向かう。目と髪の色は変えたままだ。
最悪の興行が終わってから、かなり時間が経っていたようだ。空が白み始めている。
「ルークってこう、たまに女神みたいな顔になるよな」
「なにそれ。アランはたまに変なこと言うよね」
僕たちが冒険者ギルドに向かっているのは、仲介を頼むためだ。いきなり自警団に駆け込むよりそのほうがいいだろう。
領主に目をつけられる可能性があるため、ルークとアランを名乗る作戦だ。
冒険者ギルドに着いて、ギルド長に面会を頼むと思ったよりすんなりと通された。
獣人の国の闘技大会で優勝したことが影響しているらしい。まさかそんな権威ある大会だとは思わなかった。改めて優勝の喜びを噛み締める。
しばらく待っていると眠そうな顔のギルド長が現れた。事の経緯を説明し、証拠を提出すると、彼は血相を変えて部屋を飛び出していった。
おそらく、これから大きく事態が動くことであろう。
僕と兄さんはギルドの空き部屋で仮眠をとることにした。大丈夫、きっと上手くいくはずだ。
兄さんに抱きつくと、優しく抱き返してくれた。兄さんの香り、すごく安心する。この人がそばにいるなら、どんなことでも乗り越えられる。
兄さんが与えてくれる温もりを感じているうちに、僕は眠りに落ちた。
兄さんに清浄の魔法をかけてから人目を避け地下二階へ移動する。空き部屋に入り、魔法で目と髪の色を変えると、やっと人心地がついた。
「もう隠し部屋を発見しているとは。さすがルカだ」
「ほとんど偶然だけどね」
探知の魔法で気配を探るが、トラヴィスの反応はない。彼を待つ間、兄さんに気になったことを尋ねてみた。
「なんで武器を変えたの?」
「賭けの倍率を偏らせるためだ。わざと弱く見せるなら武器を変えるのが有効だと思ってな。対戦前にキマイラを見せてもらって、勝てると確信したからそうした」
昨日の「トラヴィスの全財産失わせる」って発言は本気だったのか。それで過去最高倍率になったんだから、作戦大成功だ。
配当金がいくらになったのか想像するだけでわくわくする。僕も全財産賭ければよかった。
「トラヴィスは一級品の化け物って言ってたけど?」
「たしかに獅子の身体能力と、三つ頭がそれぞれ魔法攻撃を仕掛けるのは厄介だったが、野生のキマイラのほうが強いと思うぞ」
「そうなの?」
さすが元兵士。僕はキマイラを見たことないけど、兄さんは討伐した経験があるようだ。
「あいつの強みは獅子頭の鬣で急所の首が守られていて、山羊の胴体で木や崖での活動が可能で、蛇の尻尾で背後からの攻撃を封じるところだ」
「あの改造キマイラは胴体も尻尾も獅子だったよね」
「そうだ。尻尾に噛みつかれることもないし、獅子の胴体だと足をついて立つことも難しいからな。おかげで背中に乗れば攻撃し放題だ。背中から棘でも生やせるなら多少苦戦したかもしれないが、事前に聞いたらそんな能力はないと言われて余裕だと思った」
たぶんそれで余裕だと思うのは極一部の強者だけな気がするけど、さすが兄さんだ。
「そんなことより」
「兄さん顔が怖いって」
兄さんが険しい顔で僕の髪に触れた。一部だけ短くなっている部分を優しく摘む。
「これはどういうことだ?」
「あー、トラヴィスに触られてさ。思わず風斬撃で切り離しちゃった」
「あいつの指もちゃんと斬ったか?」
「ごめん。自分の髪だけかな」
兄さんの目が怖すぎる。この状況でトラヴィスの発言を伝えたらどうなるんだろう。
「あいつに変なこと言われてないか?……言われたんだな」
兄さんの気迫に表情を取り繕うことができなかった。被害者であるはずの僕は、トラヴィスに同情しながら観覧席での出来事を話すことにした。
「というわけで、最後の方に兄さんの死体の前で犯してやるって言われた時は、気持ち悪すぎて泣きそうになっちゃった」
話し始めると止まらなくなった。今気づいたけど、話の途中から兄さんが相槌を打っていないような。
「ルカ、俺のせいで辛い思いをさせてすまなかった」
「兄さんのせいじゃないよ」
兄さんが悲痛な面持ちで僕に謝罪した。その真摯な態度に心が痛むと思っていたら、兄さんが表情を一変させて満面の笑みになった。
「それで、いつトラヴィスを殺そうか?」
「えっ!いや、罪を償わせる方向がいいと思うな」
「万死に値する」
「兄さん、落ち着いて」
「それに」
先ほどの激昂が嘘のように、兄さんが静かに呟いた。
「ルカヘの狼藉もそうだが、他にも思うところがある。あいつは絶対許さん。死よりも恐ろしい目にあわせてやる」
「兄さん?」
兄さんは拳を固く握りしめて、押し寄せる激情に耐えているようだった。兄さんの拳にそっと手を重ねて詳しく話を聞こうと口を開いた瞬間、地下二階に降りていくトラヴィスの気配を探知の魔法が察知した。
「トラヴィスが隠し部屋に向かってる」
「どうやって侵入する?」
「この部屋の壁と、隠し部屋に向かう通路が隣接してるから壊そうかなと」
「音でバレないか?」
「防音魔法があるから大丈夫。壁も土魔法で適当に修復するし」
兄さんに説明した通りに魔法を発動させると、音もなく壁が崩れ隠し部屋へ続く通路が現れた。
「すごいな。音が一切聞こえなかった」
「昨日たくさん使ったからいい練習になったよ。先導するからついてきて」
通路を抜けると無機質な空間が目に飛び込んだ。扉が等間隔で三つ並んでいるだけで、身を隠すところが全くない。
どうやら真ん中の部屋をメインで使っているらしい。魔力の痕跡が濃い。とりあえず痕跡が一番薄い部屋に入る。ここは物を保管する倉庫のようで、いくつか木箱が積まれていた。
「身を隠すにはちょうどいいが、これではトラヴィスの様子がわからないな」
「壁の向こうは僕が透視できるから大丈夫。問題は声だけど」
魔力を巡らせて隣の部屋の様子を探る。すると壁一面に絵画などが飾られていることがわかった。
隠し部屋もゴテゴテに飾ってあるなんて、トラヴィスの派手好きも筋金入りだ。そのおかげで助かったけど。
「壁に穴を開けて魔法で音を拾うことにする」
「さすがに気づかれると思うが」
「物でごちゃごちゃしてるからわからないと思う」
ちょうど絵画や壺やらが密集している箇所に穴を開ける。これなら大丈夫だろう。
壁に手をつかないと透視ができないので、壁際ギリギリに土魔法で木箱のような物を作る。
「狭い」
「さすがに男ふたりはキツいね」
大きすぎると誰かがこの部屋に入った時に一発でバレるから、これ以上大きくできない。木箱を二つにしたら、いざという時身動きが取りづらいから一箇所に固まっていたいし。
「俺が無駄に場所を取ってるな。すまない」
「兄さんは身体が大きいから仕方ないよ。でもなんか、ドキドキするね」
普段はこれ以上に密着してるくせに、特殊な状況だと妙に緊張する。
僕の言葉にワンテンポ遅れて兄さんが返事をした。
「今煽るのは勘弁してくれ」
キマイラとの戦いで見せた勇ましい姿から程遠い弱々しい声に、笑いが込み上げる。
笑いを堪えるため、兄さんの腕に自分の腕を絡めて寄り添う。「全部終わったら覚悟しとけ」と耳元で囁かれて、つい笑みが溢れた。
それから少しして、トラヴィスと一人の男が隣の豪華な部屋に入室した。
トラヴィスは激昂した様子で、荒々しく椅子に腰掛ける。
「クソッ!あの化け物め!この興行始まって以来の大赤字だ!あんなイカれた……どうかしてる」
「あれはなぁ、運が悪かったと思うしかないぜ。旦那」
トラヴィスが荒々しい口調で兄さんの悪口を言い放つ。痛快っていうのはこういう感情をいうのだろうか。
悪口には腹が立つけど、それだけ兄さんが彼らにダメージを与えたということだろう。
トラヴィスはある程度兄さんの文句を言って気が済んだのか、長い息を吐くと再び口を開いた。
「あの商品に損失を穴埋めさせよう」
「本当に大丈夫なんですか?もし足がついたら」
「元はといえばお前達が四日前にヘマしたせいだろうが!面倒事を持ちこみやがって」
「それは!あんなところにいるガキがまさか」
「言い訳はよせ。いいから計画を進めろ」
「はいはい。ま、あれを誘拐したことがバレたら旦那も俺たちもおしまいですからね。せいぜい頑張りますよ」
男が出ていくと、トラヴィスは隠し部屋の棚をスライドさせ、隠し金庫にある冊子に目を通し始めた。
「あれを売れば……アメリアにも協力を……損失分はあそこから……」
独り言の内容から察するに、あの冊子は裏帳簿のようなものだろう。すごいな。全部見せてくれるじゃん。おかげで捜索の手間が省けた。
なんか、トラヴィスたちの会話に嫌な予感がする。覚悟を決めて隠し部屋のフロア全体に魔力を巡らせると、奥まったところに人の気配を感じた。
牢屋のような造りの部屋だ。先ほどの会話から推察すると、あの商品とは子どものことを指しているのだろう。違法賭博に加えて人身売買もしているのか。救いようがないな。
それにしても、子どもを誘拐して閉じ込めるなんてひどい話だ。攫ったのが四日前か。ふと、昨日聞いた話を思い出した。まさかね。そんな出来すぎたことあるわけない。
しばらくしてトラヴィスも部屋から出て行った。念のため彼の魔力を追ったが、一直線に地下一階へ向かっていた。今日はもうここに戻ることはないだろう。
「とりあえず裏帳簿を確認しようか」
「そうだな」
豪華な部屋に忍び込み、裏帳簿らしき冊子を開く。符号のようなものが散見されてわかりにくいが、間違いなく違法行為が記載されていた。
この金庫に入っているだけでも数十冊。かなりの量だ。
「どうする?原本を持っていくにしても、盗まれたとわかったらやつらが何をするか。子どもが拘束されていることを考えると、大胆なことはしたくないな」
「僕もそこは悩んでいたけどね。手に取った瞬間、解決策を思いついたよ」
裏帳簿はすべて魔法陣用のインクで書かれていて、うっすらと文字に魔力を感じた。おそらく、第三者がこの部屋から持ち出したら帳簿が燃える仕組みになっているのだろう。
悪事を隠滅するため、あらかじめ証拠を消し去る仕掛けを用意する。いかにも犯罪者の考えそうなことだ。
帳簿に魔紙を押し当てる。成功だ。予想通り、魔紙に帳簿の内容を転写できた。
魔紙はインクではなく魔力で文字を書く魔道具だ。つまり魔力を写し取る鏡のようなものだ。
魔力が少ないせいで文字は薄いが、見る分には問題ない。
「このやり方で転写して自警団に持ち込もう」
「さすがだ。しかし悔しいな。何冊か原本を持ち込めたらよかったが、これでは難しい」
「文字の魔力抜いたら大丈夫だよ。転写が終わったら数冊だけ持ち去ろう」
「魔力を抜く?そんな魔法あったか?」
「あるよ。あんまり知られてないけどね」
その名も聖属性魔法《魔力変換》だ。文字通り相手の魔力を自分の魔力に変換させる魔法だ。魔力変換率が著しく低く、実用性がほとんどないので知られていない。
僕もまさかこんな使い道があるとは思わなかった。全属性適性持ちでよかった。魔法って本当に便利だ。
黙々と帳簿を転写していたら、兄さんが静かに語り始めた。
「興行が始まるまでの間、俺は戦士たちから情報収集をしていた」
「そうだったんだ」
「初戦で片腕の戦士がいただろう?あれは数ヶ月前の興行で魔物に噛みちぎられたらしい。それでも意地で勝ってやったと誇らしげに話してた」
「でも彼は……」
「今日魔物に蹂躙されて死んだ。あいつが腕を失っても最後まで戦い抜いたのは妹のためだ」
「妹の?」
「病気の妹を治療するため違法な金融業者から借金して、ここに売られたらしい」
観覧席で見たトラヴィスの目を思い出した。何の感情もない、冷たい目だった。
「内臓が出ても諦めず魔物にとどめをさした戦士は、村のために自分を売ったと笑っていた。流行病で壊滅的な状況の村を救うため、志願してこの興行に参加したらしい。村のために、一戦でも多く勝ち残ってやると豪語していた」
彼の遺体は清掃作業の一部のように処理された。トラヴィスはそれを笑って見ていた。
「あいつらは、どこにでもいる普通の青年だった。あんな惨たらしい最期を迎えるようなやつらではなかった。俺はトラヴィスを絶対に許さない」
静かな、だけど強い怒りのこもった声だ。僕は兄さんの握りしめられた拳に手を重ねると、そっと力を込めた。
「必ず、トラヴィスに報いを受けさせよう」
「そうだな。ありがとう、ルカ。少し気が楽になった」
兄さんは緊張を解くように一つ息を吐くと、いつもの優しい笑顔に戻った。
帳簿を写し終え、原本も数冊無限収納にしまい部屋から出た。
「これからどうする?」
「とりあえず、拘束されてる子どもの様子を見に行こう」
「そうだな」
場所はわかりにくいが、特に何の仕掛けもなかったのですんなり牢屋まで辿り着いた。
牢屋のドアは、強力な魔法でしっかりと施錠されている。解除に時間をかけるより、自警団に駆け込んだほうが早いだろう。
いかにも育ちのよさそうな子どもが膝を抱えて座っている。頼りない見た目の僕と、圧が強すぎる兄さん。
だめだ。助けを呼ぶから協力してほしいと伝えても、大泣きされて話ができない可能性が高い。
どうしようかと悩んでいたら、この施設を案内された時のことを思い出した。あれを見せたら落ち着いてくれるかもしれない。
兄さんに待機するよう伝え、人目を避けながらある部屋に忍び込む。ちょっと借りるだけなので、これは断じて窃盗ではない。
待機場所に戻り、土魔法で作った檻の中にいる生き物を兄さんに見せる。
「テイルラビットか」
「そうそう。若い女性に見せたら目を輝かせるらしいよ。たぶん子どもも喜ぶでしょ」
「なぜ魔物を見てそんな反応を?」
「可愛いんだって」
「理解できん」
「同感」
まあ、脅威がわからなければそんなものかもしれない。僕たち冒険者からしたら、容赦なく頸部を圧迫してくる生き物を可愛いとは思えないけど。
防音の魔法をかけたあと、静かに子どもに近寄る。
「こんばんは。僕は銀級冒険者のルーク。そっちはアラン」
嫌な予感がしたので偽名を使うことにする。目と髪の色も変えているのでちょうどいい。
最初は警戒されていたが、事情を説明すると子どもは素直に名前を教えてくれた。
予想通り、彼はこの街の領主の息子だった。今年で十歳になるらしい。
テイルラビットを見て年相応に喜んでくれた。苦労したかいがあった。おかげで話がスムーズに進みそうだ。
話し始めると、時間が惜しいから畏まる必要はないと言われた。賢い子どもだ。テイルラビットを見てはしゃいだのは、それだけ彼が緊張状態に置かれていたということだろう。
「ここから出たら、証拠を持って自警団に駆け込む予定。でも時間が足りなくて。君をいち早く保護するためにも、個人を特定できる物が欲しい」
「ではこれを。メイドのシンシアが用意したと言ったら、家の者は納得するから」
領主の息子が差し出したのは、綺麗な色のスカーフだった。よく見たら彼の名前が刺繍されている。
「ありがとう。絶対届けるから」
「頼む。それともう一つだけ……胸を貸してくれないか」
「俺が代わりに貸してやろう。感謝しろ」
「アラン、大人気ないよ」
「ルークがいい」
まさかのご指名だ。兄さんが不機嫌そうだけど、あとでフォローしたらいいだろう。
領主の息子に近づくと、彼は牢越しに抱きついてきた。僕の胸に顔を埋めるようにぎゅっと抱え込んでいる。
「父上……母上……」
すすり泣く声が聞こえる。ずっと我慢していたのだろう。歳の割に落ち着いているとはいえ、彼はまだ十歳の子どもだ。
「思いっきり泣いていいよ。大丈夫だから」
僕たちが自警団に駆け込んだら、彼は領主の私兵に保護されるはずだ。そうなったら、声を上げて泣くことは許されない。それが身分というものだ。
だから、今だけ彼はただの子どもだ。しばらくの間、子どもが親を呼ぶ哀しげな泣き声が牢屋に響いていた。
地下施設を後にして、冒険者ギルドに向かう。目と髪の色は変えたままだ。
最悪の興行が終わってから、かなり時間が経っていたようだ。空が白み始めている。
「ルークってこう、たまに女神みたいな顔になるよな」
「なにそれ。アランはたまに変なこと言うよね」
僕たちが冒険者ギルドに向かっているのは、仲介を頼むためだ。いきなり自警団に駆け込むよりそのほうがいいだろう。
領主に目をつけられる可能性があるため、ルークとアランを名乗る作戦だ。
冒険者ギルドに着いて、ギルド長に面会を頼むと思ったよりすんなりと通された。
獣人の国の闘技大会で優勝したことが影響しているらしい。まさかそんな権威ある大会だとは思わなかった。改めて優勝の喜びを噛み締める。
しばらく待っていると眠そうな顔のギルド長が現れた。事の経緯を説明し、証拠を提出すると、彼は血相を変えて部屋を飛び出していった。
おそらく、これから大きく事態が動くことであろう。
僕と兄さんはギルドの空き部屋で仮眠をとることにした。大丈夫、きっと上手くいくはずだ。
兄さんに抱きつくと、優しく抱き返してくれた。兄さんの香り、すごく安心する。この人がそばにいるなら、どんなことでも乗り越えられる。
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