【本編完結】異世界まったり逃避行

ひなた

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番外編

ヒポディアの街①

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※注意
・まったり要素がありません
・ルカが伯母に対して当たりが強いです
・ルカがアイザック以外から言い寄られます
・残酷な描写あり



 夏の名残を感じさせる大きな雲が、燦々と輝く太陽を覆い隠す。今から建物に入るのにタイミングが悪すぎて、意味もなく空を睨みつけた。
「ルカ?」
「ごめん!今行く」
 両開きの大きな扉に手をかけている兄さんが僕を呼んだ。慌てて扉に近づくと初めて訪れるはずの建物なのに、見慣れた内装が目に飛び込んだ。

 ここは冒険者ギルドヒポディア支部だ。港町らしい、素材買取カウンターが多い造りに既視感を覚える。
「やけに人が少ないな」
「たしかに。有名な港町のはずなのに」
 ギルド酒場にほとんど人がいない。今までたくさんの街を巡ってきたけど、そんなこと一度もなかった。嫌な予感に身体を硬くしながら受付カウンターに向かう。

 受付嬢に冒険者カードを見せて一通りの説明を受けた後、疑問をぶつけてみた。
「ずいぶん静かですね」
「それは」
「魔物ですか?」
「いえ、実はこの街に所属している冒険者の方がほとんど出払っていまして」
「理由を伺っても?」
 受付嬢が表情を歪めた。よほど言いづらい理由なのかと身構えていたら、思いの外早く彼女は口を開いた。

「この街を治めている領主様のご子息が三日前に攫われてしまい、その調査で出ているんです。自警団や領主様の私兵も動いているのですが、その。あまり、良い報告を受けていません」
「それは大変な状況ですね。しかし、ほとんどの冒険者が出払うというのは少々異常なような」
「そんなことありません!」
 落ち着いた印象の彼女が声を張り上げた。警戒を強めて話の続きを促す。

「失礼しました。領主様は私たち市民にも分け隔てなく接してくださる、優しいお方なのです。冒険者の方々も志願して調査に参加されていまして」
 なるほど。ここまで領主が愛されている街というのも珍しい。下手なことを言って反感を買う前に話を終わらせよう。
「事情は理解しました。私たちも微力ながら調査に協力致します。気になることがあったら相談させていただきますね」
「ありがとうございます。是非ともお願いいたします」
「ええ。行こうか、兄さん」
「ああ。失礼する」

 依頼を受けず一直線に出口を目指す。冒険者ギルドから出た直後、兄さんが心配そうな様子で僕を見つめた。
「大変な時に来てしまったな。すぐにこの街を発とう」
「そうだね。依頼は受けずに旅支度を済ませたほうがいいかも。乗合馬車で教えてもらった店に行こうか」
「そうだな」

 目的の店に到着すると街の雰囲気とは裏腹に、広い店内は賑わっていた。この店に行けば何でも揃うという評判通り、様々な種類の商品が棚に並んでいる。
 利便性を優先させた結果なのか商品の質はそこそこだが、人気が出るのも頷ける品揃えだ。
「兄さん見て。虫除けにもいろんな種類があるんだね。これとか蚊専用だってさ」
「野宿だと蚊は厄介だからな。特設の棚があるのも納得だ」
「ま、僕がいれば必要ないけど」
「いつも頼りにしてる」
 ふたりで笑い合いながら店内を物色する。僕の魔法でなんとかなるから虫除けがいらないのは事実だ。

 必要な商品を買い揃えて店を出ようとしたら、突然男性に声をかけられた。
「失礼。あなたの血縁にアメリアという女性はいませんか」
 覚えのある名前に思わず足を止めてしまう。
「グレイセル王国にあるココレ村のアメリアですか?彼女なら私の伯母にあたりますが」
「そうです!いやあ、彼女に瓜二つだからつい声をかけてしまいました。私はこの商店を経営しているトラヴィスと申します。以後お見知りおきを」
「はあ。よろしくお願いします」

 トラヴィスと名乗る男性の言葉に嘘は感じなかった。身なりや話し方から社会的地位が高そうな印象を受ける。
 見た目は四十代半ばくらいか。小麦色の肌に、明るい金髪と赤みの強い茶色い目は、この地方の住民の特徴だ。
 鍛えているのか、ほどほどに筋肉がのっている体つきをしている。

「本当に若い頃のアメリアにそっくりだ!どうです?彼女に会っていきませんか?」
「特に話すこともないので結構です。失礼します」
「そんなこと言わずに!お連れ様もぜひ」
「必要ない。行くぞ」
 兄さんが僕の手を引いて扉に手を伸ばそうとしたら、近くにいた従業員が行く手を遮った。

「この街にいる限り私の申し出は断れないと思ったほうがいい。是非、私の屋敷に。歓迎しますよ」
「ずいぶんと乱暴な歓迎だな」
「別にあなたは来て頂かなくて結構。アメリアに似た彼を招待するだけです」
 兄さんにだけ聞こえるように耳打ちする。
「ここは彼の言葉に従おう。離されるのが一番厄介な気がする」
「わかった」
 トラヴィスが勝ち誇ったように笑う。兄さんと僕は半ば強制的に彼の屋敷に連れていかれた。
 正直に答えたのは失敗だった。伯母の名前を出されると冷静でいられなくなる自分に腹が立つ。
 申し訳なさと不安から兄さんの手を握ると、力強く握り返してくれた。


 街の中心街から馬車でしばらく行ったところにその建物はあった。一言で表すと豪華絢爛。他者を圧倒するギラついた外観から持ち主の嗜好が伺える。個人的には趣味が悪いとしか思えない。
 この手の見た目を好む人物にいい印象を抱けないのは、前世の記憶も影響しているのだろう。腐っても旧家の跡取り候補だったからね。

「君はずいぶん落ち着いているね。この屋敷を訪れた者は、彼のように緊張するのが普通なのだが」
 トラヴィスは初めに会った時の態度から一変して、馴れ馴れしくこちらに話しかけてくるようになった。
 兄さんに気づかれないよう、慎重に距離を詰めてくるのがいやらしい。
 無駄に長い廊下をぎこちなく歩いている兄さんの後ろ姿に癒されながら、会話を続ける。
「慣れているので」
「いいね。ますます気に入った」
 別に気に入られなくてもいいから早く帰してほしいんだけど。
 そう返したら一層気持ち悪い笑みを向けられる気がして、あえて聞こえないふりをした。

 トラヴィスと途中で別れ、僕と兄さんは応接間に案内された。
 執事らしき人物は出入り口近くに留まったまま動こうとしない。監視されているようで嫌な感じだ。
「げっ!本当にそっくりだわ。ま、私のほうが断っ然、綺麗だけど」
 年齢の割に幼い話し方の女性が無遠慮に入室してきた。十中八九、彼女が伯母のアメリアだろう。
 銀にも見える薄いプラチナブロンドの髪。薄紫の瞳。年齢は五十手前だと記憶しているが、三十半ばにしか見えない。
 丸みを帯びたフェイスラインなど、男女の骨格の違いは感じるが、ベースは少し似てるかもしれない。

 母の精神が壊れた元凶が目の前にいる。僕の人生に付きまとう疫病神は、大商人の愛人になって贅沢な暮らしを送っているようだ。
 ジャラジャラと音を鳴らす宝飾品と濃い化粧、遠くからでも漂う香水の匂いでだいたい察した。

「トラヴィスが言うから来てやったわよ。ふたりとも私の甥なのね。あんたは気持ち悪いけど、そっちの彼は素敵。ね、私と遊ばない?」
 伯母が兄さんにしだれかかろうと近づいてきた。兄さんは伯母を睨みつけながら、僕に身を寄せる。
「断る。甥に色目を使うな。気持ち悪い」
「険しい顔もかっこいいわね。気に入ったわ」
 愛人関係というのは感性が近くないと成り立たないのだろうか。先ほどのトラヴィスの発言を思い出して鳥肌が立った。

「こんにちは。おばさん」
「言い方に悪意を感じるわね。男なのに女に似てるなんて恥ずかしくないの?」
「別になんとも。骨格が違うから言うほど似てないし」
「甥っ子ってこんな生意気なもんなの?アナはいじめがいがあって可愛かったのになー。あ、でもアイザックは可愛いから安心してね」
 ふざけんな。母の人生を踏みにじっておいて、自覚なしにのうのうと生きているくせに。
 あと兄さんを視界に入れないでほしい。こんな汚い視線に晒されるなんてかわいそうだ。自分の恋人に色目を使われるのは我慢がならない。

 警告するため伯母に声をかけようとしたら、トラヴィスが部屋に入ってきた。
「アメリア。彼らと話すのは夕食の時間だと言っただろう」
「トラヴィス!こいつすごい失礼なんだけど!」
「人を指差してはいけないよ。部屋に戻りなさい」
「はーい。またね、アイザック」
 兄さんに投げキスするな。純粋に不愉快だ。伯母がいなくなった空間は、不気味に感じるほど静まり返っている。
 それにしても、いつのまに夕食の約束をしたのだろうか。

「夕食の約束をした覚えはないが」
 兄さんが話を切り出す。いつもより硬い声だ。
「今から取引をしようと思ってね。伝えるのが遅くなってしまって申し訳ない」
 現役冒険者の威圧をにこやかに返すトラヴィスは、まさしく大商人だ。

「ルカくんを私の愛人にしたい。いくら積めばいい?」
 この男は冒険者との取引に慣れている。平坦な声で端的に内容を伝えたのがその証拠だ。
「ふざけんな!ルカは誰にも渡さない!」
 ビリビリと空気を震わせる怒声が部屋中に響いた。兄さんは今にもトラヴィスに飛びかかりそうで、僕は慌てて兄さんの腕を掴んだ。感情的になったら彼の思う壺だ。

「おー、こわいこわい。冒険者との取引は話がすぐ中断されてよくないな」
「あいにく、あなたの愛人になる気は微塵もありませんよ。ありがたいことに、経済的にも余裕があるので」
 僕が不本意であることを伝えると、トラヴィスは愉快そうに目を細めた。
「言ったでしょう?この街にいる限り私の申し出は断れない、と。まあ、こちらとしては無理やり事を進めてもいいが、問題が起きてしまってね」
「問題?」
 兄さんが訝しげに聞き返す。すでに落ち着きを取り戻したようだ。

「明日、戦士と魔物を戦わせる催しを予定している。だけど運悪く欠員が出てしまってね。仕入れが間に合うかも微妙だ。アイザックくんが代わりに出場してくれたら、愛人の話は諦めよう」
 それが本題か。魔物と戦士を戦わせる催し──典型的な違法賭博だ。

「いいんですか?そんなこと僕たちに話して。自警団に駆け込むかもしれませんよ」
「私が主催だと決めつけるのはよくないな。そもそも、証拠がなければこの街の住民でもない君たちの証言なんて、誰も取り合ってくれないだろう。私はただ、出場者が一人足りないから補充したいだけだ」
 トラヴィスは余裕の笑みでかわしながら、ちらりと視線を巡らす。
「それで?どうする?」

 取引と言いながら、僕たちになんのメリットもない話を持ちかけるとは、さすが商人。付き合ってられない。隙をみてこの街から逃げ出そう。
「乗った」
「兄さん!」
「取引成立だな。契約書を持ってきてくれ」
 トラヴィスが執事に指示を出すと、すぐに契約書が運ばれてきた。兄さんが話に乗るとわかっていて事前に用意したのだろう。
 契約内容を入念に確認する。先ほどトラヴィスが話していた内容とほとんど相違ない。

 兄さんが負けた場合、僕はトラヴィスの愛人になり、戦闘で命を落としても契約は有効。一方、兄さんが勝った場合、愛人の話は無効となり、欠員した戦士に支払う予定だった報酬金を渡す。

 こんな不条理な契約が許されるのだろうか。これを正当な取引という体で話を進めるなんて、商人というより詐欺師だ。
 契約内容の一つ一つに、質問という名の駄目出しをしていく。意外にもそれを止めたのは兄さんだった。
「俺が勝てばいいだけの話だ」
「でも」
「いやー、美しい絆だ。兄弟というのはいいもんだねえ。次の催しは兄弟タッグとかいいかもしれない。庇い合い傷つきながら魔物に立ち向かう。まさに英雄譚だ。両方死ぬのも、片方だけ生き残るっていうのもありだな。ルカくんもそう思わないか?」
 トラヴィスは楽しそうに話しているが、全く共感できない。人として大事なものが欠けていて、聞いているだけで気分が悪い。

「明日はよろしく。催しが始まるまではこの屋敷に滞在してくれ。おい、彼らに部屋を案内してやれ。じゃあまた夕食の時間にね?ルカくん」
 一方的にトラヴィスは話を終えて応接間から去った。使用人に案内された部屋は、嫌味なくらい華美を極めた内装だ。
 人の気配が完全になくなったのを確認して防音の魔法をかけた後、僕は兄さんに思いっきり抱きついた。

「ばかばかばかばか兄さんのばか!なんであんな契約したの!」
「あいつが気に食わない」
「それだけの理由であんな危険なこと」
「俺だって考えなしではないぞ。あいつ、やけに自信満々で主催じゃないと言っていたからな。証拠を屋敷ではない別の場所に隠している可能性が高い。闘技場にあるかもしれないから調査する絶好の機会だ」
「それは僕たちがやることではないでしょ」
「うっ……。まあ、その通りだが」

 兄さんが僕を抱き寄せて唇にキスをする。こんな状況なのにドキドキしてしまうなんて、僕はもう駄目かもしれない。
 唇が離れると、兄さんが早口で捲し立てた。
「はらわたが煮えくり返って抑えられなくてな。トラヴィスを頭の中で何回も殺した。今も殺してる。あいつだけは絶対許さん。死んだほうがマシなくらいの後悔をさせてやる。商人への復讐といったら全財産を失わせることだろう?二度と商売をさせないようにしてやる」
「兄さん、落ち着いて。お願い。本当お願いだから」

 兄さんが、怒っている。怒りの感情がわからない人間に、今の兄さんを見せたら一発で理解できるようになるくらい怒りを全身で表現している。
 感情のままに早口で話し、荒い息づかい、額に浮き出る血管、真っ赤な顔、血走った目、握り締まった拳、これら全てが怒りの表れだった。

「巻き込んですまない。ルカを賭けの対象にしてしまった」
「気にしてないよ。僕は兄さんが心配なだけ」
「俺は大丈夫だ。絶対負けない。ルカがいるからな」
 兄さんが再び僕にキスをする。今度は深く長いキスだ。唇が離れると、僕の頬を撫でて微笑む。

「兄さん」
「どうした?」
「僕のために怒ってくれてありがとう」
「当然だ。俺は嫉妬深い男だからな。知らなかったか?」
 顔を合わせて声を上げて笑った。笑いすぎて涙が出そうだ。
 知ってるよ。兄さんが僕のことを一番に考えてくれてること、ちゃんとわかってる。

 大好きだよって言ったら兄さんはどんな顔をするのだろう。
 悪趣味な部屋だけど、これだけは感謝しないといけない。強い光を放つ照明の魔道具のおかげで、兄さんの笑顔がはっきり見えた。
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