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エルフの国と闘技大会編
目※
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「あっ、やっ……そこ、ばっか」
リビングに響くのは僕の甘ったるい声と兄さんが乳首をすするように舐める音、そして結合部から漏れるいやらしい水音だ。
僕と兄さんはソファに向かい合わせで座っている状態で繋がっている。いわゆる対面座位というやつだ。
初めての体位に戸惑ったのは最初のほうだけで、瞬く間に兄さんと密着する心地よさに夢中になった。下から腰を突き刺すように動かされると声が我慢できないくらい気持ちいい。
今の僕はゆるゆると腰を揺らしながら、兄さんに胸を責められている。絶え間ない快感に頭がぼーっとしてきた。どうしてソファの上にいるんだっけ、とよく働かない頭で考える。
ああ、そうだった。寝室がある二階に上がるのも煩わしくて、ふたりとも止まれなくなったんだ。お互い服を脱がせあった後、無限収納から香油を出した時は自分でも必死すぎると感じて笑ってしまった。
「んうっ!それ、だめっ……ぁっ」
「痛いくらいに締めつけてくるのに?嘘はよくないな」
唇を使って扱くように乳首を吸われていたら、いきなり軽く歯を立てて甘噛みされた。痛みというには快すぎる刺激に身体がびくりと跳ねる。
僕の言葉に返事をした兄さんが胸への責めを再開した。兄さんの両手は僕の腰を支えているから、刺激を受けていない方の乳首がもどかしさで疼いている。触れられてもいないのに痛いほどに立ち上がってるそれがひどく浅ましいものに見えた。
「あぁッ、んっ!」
兄さんの舌先が先端に触れた途端、待ちわびた刺激を与えられて思わず大きな声が出てしまった。
兄さんの動きが止まって愛おしげに目を細めて僕の顔を見つめる。それはほんの一瞬の出来事でまたすぐに快楽を引き出された。
「あー、これも……ふ、あぁ」
舌先で乳首を転がされると、甘噛みされた時とは違う、ゆるやかにのぼりつめるような悦楽に身体の力が抜けてしまう。
そんな僕の反応に何を思ったのか、兄さんは舌全体を使って硬くなった乳首の弾力を楽しむように弄んでいる。
舌先で乳首の下から上へとなぞりあげられると、ぞくぞくとした痺れが背筋を這い上がってくる。
舌の中央の部分を乳首に押し付けて細かく震わせるように動かれると、身を捩らせながら悶えてしまう。
でも何かが足りない。それの好さを知ってしまった身体が、僕の理性とは裏腹に早く強請れと責め立てる。
「う……っん、ふぅ、あ……」
兄さんの頭を抱え込むようにして胸元に押し付ける。媚びるように腰を揺らすと前立腺がずりずりと擦れて、完全に理性が決壊した。
「お願い、んっ、噛んで。強いのがいい」
「こうか?」
「ああぁっ!つよっ……はあ、いい」
望んでいた刺激に頭が真っ白になる。背中を逸らして強すぎる快楽から逃れようとしたら、兄さんに抑えられてそれも叶わなかった。
やってしまった。こんなはずではなかった。自分でもコントロールできない身体に恐ろしささえ感じる。
「気持ちよかったか?」
そんなの見たらわかるのに、どこか楽しそうな兄さんが憎たらしい。
乳首でイってしまった。中の刺激もあったとはいえ、そこを甘噛みされただけで絶頂したのはこれが初めてだ。
「……」
少しだけ反抗の意味を込めて、小さく頷くだけに止める。兄さんは満足気に微笑んでから、僕の腰を強く掴んで下から突き上げてきた。
「ぅっ、やっ、ああっ……!激しい、からぁ!ひ……っ」
「もっと俺を欲しがってくれ」
「あっ、奥に、もっと……ぉっ」
切れ目のない快感に口の端から上擦った声と唾液がこぼれ落ちていく。兄さんがそれを舐め上げて噛み付くように唇を奪う。激しい律動を続けながら、舌先を絡ませてくる。
もっと兄さんを感じたくて抽送に合わせて腰を動かした。さすがに呼吸が辛くなって唇を離すと、兄さんが荒い息を吐きながら動きを止める。
「あっ、どうして?」
「奥がいいんだな?」
「うん。はやく」
「そのまま首に腕をまわせ……いいこだ」
「えっ、なに、」
言い終わる前に僕の太ももに兄さんの両手が滑りこんできた。兄さんはそのまま両足を持ち、僕の身体を持ち上げた。繋がったまま抱え上げられて不安定になった僕は慌てて兄さんの首にしがみつく。
「んああああっ!」
気がつけば重力によって深く身体が沈み、まだ入ったことのないような奥まで貫かれた。
「あっ……これ、だめに、んっ…なる」
「痛くないか?」
しがみつきながら首を何回か縦に振ると、兄さんはさらに強い力で僕を支えてきた。
「動くぞ」
言うなり兄さんが動き出した。最初はゆっくりとした抜き差しだったが、徐々にその激しさを増していく。
お互いの汗でしっとりとした肌を密着させながら、迫りくる絶頂感に耐えていたがやがて限界がきた。
「ああっ!もうだめっ、イク、またイっちゃう……ぁ」
強すぎる快感に目の奥がチカチカする。許容量を超えた悦楽に身体が痙攣する。兄さんの首に回していた腕の力が抜けそうになるのをなんとか堪えた。
射精せずにイったせいで、絶頂の波が引かない。休みたくても中が勝手に収縮して、深々と刺さった陰茎を締めつけてしまう。そこから快感が生まれてしまい、この気持ちよさが永遠に続くのではないかと錯覚しそうになる。
このままじゃおかしくなってしまう、と必死で兄さんにしがみついた。
「しっかり掴まってろ」
「あっ、まだ、イってるから」
「大丈夫だ。激しくしないから」
「んんっ」
兄さんはそう言ってゆっくりと歩き出した。兄さんが歩く度に振動が伝わって、穏やかな愉悦に夢心地になる。激しい抽送とは違い優しく腸壁を擦られると、全身をじんわりと快いものが循環して蕩けてしまいそうだ。
「あぁ、すごい…気持ちいい、うぁ、は……」
兄さんの肩に顔を埋めながらビクビクと身体を震わせる。
「顔を見せてくれ」
「ん」
何をしても取り繕えないくらい緩みきった顔を見せるのは何回言われても抵抗感がある。それなのに素直に顔を見せてしまうのは、こんな時兄さんが粘り強いことを知っているからだ。
「ああ最高に綺麗だ。ルカの目が大好きだ」
「僕も同じ。兄さんの目大好き」
吸い寄せられるように唇を重ねる。いつもと違ってお互いの目を見つめ合いながら何度もキスをした。
ふわふわと浮き上がるような感覚にまたイってしまいそうだと思っていると、兄さんの手が力強く僕を掴んだ。
「俺も限界だから強くするぞ」
「うん、きて」
兄さんの動きがだんだん激しくなっていく。抉るように前立腺も奥も一気に刺激され、すぐにイってしまいそうになる。
「ん、あぁっ!ふ…あ……ぁ、ンンっ」
揺さぶられながらいつもより近くにある兄さんの顔を見る。今まで知らなかった。兄さんの余裕がなさそうな、男らしい顔。荒々しい息遣いのなかでたまに漏れる声がすごくかっこいい。この顔は今後一生僕だけのものなんだと思うと幸福感に満たされる。
「は、ルカ……もう」
「うん」
もっと近くで、まつ毛が触れ合うくらいの距離で兄さんの目が見たくなって、僕はもう一度唇を重ねに行った。押し付けるだけの飾り気のないキスが、今だけはなぜか正解のような気がした。
兄さんの律動がさらに深まって、グリグリと奥を責めたてられる。中を掻き回す動きに少しだけ残っていた余裕も奪われた。
「ああぁっっ!深すぎ、んうっ……イっちゃう、イく……あ、うあ」
「っは……」
脳裏に響く快感の波に何も考えられなくなった。
「あっ……すご、あつい……」
じわじわと広がる熱に身体が震える。兄さんは息を整えてからゆっくりと自身を引き抜いた。収まりきれなかった白い液体が溢れ出しやがて太ももを伝う。
兄さんは僕を一度慎重に降ろしてから、抱きかかえてソファに向かった。
兄さんは無限収納から出して既にソファに敷いてあったシーツに座ると、僕を膝の上に乗せて横抱きにした。
「気持ちよかった」
「俺もだ」
兄さんが僕の髪を優しく撫でて髪や頬にキスをする。僕はそれをクスクスと笑って受け止めながら、体液に塗れた身体を綺麗にした。
「魔法か?」
「うん。ソファ汚しちゃまずいかなって。あ、しまった」
「どうした?」
普段はベットだから場所が変わることがなくて、最後に清浄の魔法を使うからうっかりしてた。おそらくこの熱は一回で収まるものではないだろう。兄さんも同じ気持ちのはずだ。
だけど「もう一回するよね?足りないよね?ならちょっとお願いしてもいい?」と聞くのも直接的すぎる気がする。ここはさりげなくお願いする方向でいこう。
僕は横抱きの体勢のまま兄さんの手を取った。兄さんが目を細めて笑うのを見つめながら、兄さんの節くれだった指に舌を這わせる。
驚いて目を丸くした兄さんの顔を見ながら、今度は指を咥えて唾液を絡ませる。口から指を出すと、てらてらと光る僕の唾液で濡れた指先が顔を出した。
「ルカ一体なにを」
「さっきの魔法失敗だった」
「魔法?失敗?」
「綺麗にするイメージで使ったから香油まで消えちゃった……だからさ」
不思議そうな顔をしている兄さんの目を見つめながら、指先に唇を落とす。
「もう一度兄さんが慣らしてくれる?」
兄さんは一瞬息を飲んだあと、僕を抱き上げて二階の寝室に向かった。
兄さんに抱きかかえられて優しくベッドに下ろされる。兄さんはベッド横のサイドチェストにある香油が入った瓶を手に取ると、僕の頬を撫でたあと、触れるような口付けをした。
「傷つけてはいけないからな。俺に任せてくれ」
「え、別にそこまで……んっ」
不意に乳首を摘まれて声が出てしまう。その隙を突くように兄さんの手が窄まりに触れる。
「あ……」
香油が穴の周りに塗り込まれる。そこをくすぐられているような感覚にゾクゾクする。この指が今から奥を……そう思うと疼きが止まらない。
兄さんが香油に濡れた中指を、焦らすように少しずつ根本までじっくりと入れていく。中指が全て埋まったと思ったらそこから動きが止まった。
「指を動かすぞ。力を抜いてくれ」
ゆっくりと兄さんの指が中から引いていく。穴の縁ギリギリまで引き抜かれたら次はゆっくりと奥まで入れられる。
「あっ、あっ」
じわじわと追い詰めるような、でも決定打に至らない緩やかな快感に声が止まらない。
もともとほぐれていたそこが、兄さんが指をなぞるたびに柔らかくなっていく。離れてほしくないと兄さんの指に絡みついてしまう。
「指を増やすぞ」
「あっ!」
兄さんが掌が上になるように、手をぐるりと半回転させる。絡みつく腸壁を振り払うかのような動きに気持ちよさが高まる。
中指に続いて人差し指が入ってきた。二本の指を馴染ませるように、ゆっくりと出し入れされる。
「んっ……や、は……んぅ」
絶頂とは遠い、でも確実な快楽が身体を満たしていく。ふわふわと宙に浮いているような感覚に身を委ねていると、突然兄さんの指先が僕の一番感じるところを激しく擦り上げた。
「ルカはここを擦られるのが好きだったな」
「あぁっ!んんっ、そこ、だめ」
ただひたすらに気持ちよくて何も考えられなくなる。香油が絡んだ指が水音を立てながら的確に性感を引き出していく。
頭が痺れるほどの絶頂感にただただ喘いでいると、突然兄さんが出し入れする指の動きを止めて、前立腺を突き上げるように押した。
「あっ……ぅあ」
「挿れるぞ」
「んっ!ふ、ゃ……んああっ!」
窄まりから指が抜かれたと思ったら、兄さんが僕の膝裏を持ち上げて、一気に奥まで貫いた。その瞬間、頭が真っ白になった。
「動くからな」
「まっ、て……イってる!イってるからぁ」
僕の懇願は聞き入れてもらえず、絶頂を上書きするような強い律動が絶えず襲ってくる。僕の陰茎からはだらだらと白濁が漏れていた。
兄さんはそんな僕の様子を見て微笑むと、さらに激しく腰を打ちつけてきた。兄さんの余裕のない乱雑な動きが、いつもと違う快感を生む。
息が止まりそうになるほどの深い快感に追い詰められて、兄さんに縋りつきたくなった。兄さんの背中に腕を回して見つめ合い、頭に浮かんだ言葉を直接紡ぐ。
「にいさ、んっ……ぁ、すき。にいさん、すきっ!んんっ……あっ、ああぁ!」
「俺も、ルカが好きだよ…くっ……」
「にい、さ…んっ、またイくっ、あっ、だから」
「ああ、一緒にいこうな」
兄さんは穏やかな声でそう言うと、さらに腰の動きを速める。兄さんの屹立が一際強く奥を貫くと、身体が溶けてしまいそうな快楽が拡がった。それと同時に兄さんの陰茎をきつく締めつける。その刺激で兄さんも果てたようで、お腹の奥がじんわりと熱くなった。
兄さんは達したあとも、ぐっぐっと腰を押し付けて最後の一滴まで僕の中に白濁を注ぎ込んだ。
しばらくの間荒い呼吸の音だけが寝室に響いていたが、やがてふたりとも呼吸を整えると見つめ合ったまま会話を始めた。
「ちょっと休憩」
「何か俺にやってほしいことはあるか?」
「喉乾いた。兄さんが飲ませて」
水が入ったコップを兄さんに手渡すと、僕がやってほしいことがすぐにわかったようで、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「方法は?」
「兄さんに任せる」
「後で文句言うなよ」
兄さんは僕の希望通り口移しで水を飲ませてくれるはずだ。その後どんな展開になるかは、兄さんの熱い眼差しを見たらすぐにわかる。
短い休憩だったなぁと思いながら、それを歓迎している自分に苦笑いした。
リビングに響くのは僕の甘ったるい声と兄さんが乳首をすするように舐める音、そして結合部から漏れるいやらしい水音だ。
僕と兄さんはソファに向かい合わせで座っている状態で繋がっている。いわゆる対面座位というやつだ。
初めての体位に戸惑ったのは最初のほうだけで、瞬く間に兄さんと密着する心地よさに夢中になった。下から腰を突き刺すように動かされると声が我慢できないくらい気持ちいい。
今の僕はゆるゆると腰を揺らしながら、兄さんに胸を責められている。絶え間ない快感に頭がぼーっとしてきた。どうしてソファの上にいるんだっけ、とよく働かない頭で考える。
ああ、そうだった。寝室がある二階に上がるのも煩わしくて、ふたりとも止まれなくなったんだ。お互い服を脱がせあった後、無限収納から香油を出した時は自分でも必死すぎると感じて笑ってしまった。
「んうっ!それ、だめっ……ぁっ」
「痛いくらいに締めつけてくるのに?嘘はよくないな」
唇を使って扱くように乳首を吸われていたら、いきなり軽く歯を立てて甘噛みされた。痛みというには快すぎる刺激に身体がびくりと跳ねる。
僕の言葉に返事をした兄さんが胸への責めを再開した。兄さんの両手は僕の腰を支えているから、刺激を受けていない方の乳首がもどかしさで疼いている。触れられてもいないのに痛いほどに立ち上がってるそれがひどく浅ましいものに見えた。
「あぁッ、んっ!」
兄さんの舌先が先端に触れた途端、待ちわびた刺激を与えられて思わず大きな声が出てしまった。
兄さんの動きが止まって愛おしげに目を細めて僕の顔を見つめる。それはほんの一瞬の出来事でまたすぐに快楽を引き出された。
「あー、これも……ふ、あぁ」
舌先で乳首を転がされると、甘噛みされた時とは違う、ゆるやかにのぼりつめるような悦楽に身体の力が抜けてしまう。
そんな僕の反応に何を思ったのか、兄さんは舌全体を使って硬くなった乳首の弾力を楽しむように弄んでいる。
舌先で乳首の下から上へとなぞりあげられると、ぞくぞくとした痺れが背筋を這い上がってくる。
舌の中央の部分を乳首に押し付けて細かく震わせるように動かれると、身を捩らせながら悶えてしまう。
でも何かが足りない。それの好さを知ってしまった身体が、僕の理性とは裏腹に早く強請れと責め立てる。
「う……っん、ふぅ、あ……」
兄さんの頭を抱え込むようにして胸元に押し付ける。媚びるように腰を揺らすと前立腺がずりずりと擦れて、完全に理性が決壊した。
「お願い、んっ、噛んで。強いのがいい」
「こうか?」
「ああぁっ!つよっ……はあ、いい」
望んでいた刺激に頭が真っ白になる。背中を逸らして強すぎる快楽から逃れようとしたら、兄さんに抑えられてそれも叶わなかった。
やってしまった。こんなはずではなかった。自分でもコントロールできない身体に恐ろしささえ感じる。
「気持ちよかったか?」
そんなの見たらわかるのに、どこか楽しそうな兄さんが憎たらしい。
乳首でイってしまった。中の刺激もあったとはいえ、そこを甘噛みされただけで絶頂したのはこれが初めてだ。
「……」
少しだけ反抗の意味を込めて、小さく頷くだけに止める。兄さんは満足気に微笑んでから、僕の腰を強く掴んで下から突き上げてきた。
「ぅっ、やっ、ああっ……!激しい、からぁ!ひ……っ」
「もっと俺を欲しがってくれ」
「あっ、奥に、もっと……ぉっ」
切れ目のない快感に口の端から上擦った声と唾液がこぼれ落ちていく。兄さんがそれを舐め上げて噛み付くように唇を奪う。激しい律動を続けながら、舌先を絡ませてくる。
もっと兄さんを感じたくて抽送に合わせて腰を動かした。さすがに呼吸が辛くなって唇を離すと、兄さんが荒い息を吐きながら動きを止める。
「あっ、どうして?」
「奥がいいんだな?」
「うん。はやく」
「そのまま首に腕をまわせ……いいこだ」
「えっ、なに、」
言い終わる前に僕の太ももに兄さんの両手が滑りこんできた。兄さんはそのまま両足を持ち、僕の身体を持ち上げた。繋がったまま抱え上げられて不安定になった僕は慌てて兄さんの首にしがみつく。
「んああああっ!」
気がつけば重力によって深く身体が沈み、まだ入ったことのないような奥まで貫かれた。
「あっ……これ、だめに、んっ…なる」
「痛くないか?」
しがみつきながら首を何回か縦に振ると、兄さんはさらに強い力で僕を支えてきた。
「動くぞ」
言うなり兄さんが動き出した。最初はゆっくりとした抜き差しだったが、徐々にその激しさを増していく。
お互いの汗でしっとりとした肌を密着させながら、迫りくる絶頂感に耐えていたがやがて限界がきた。
「ああっ!もうだめっ、イク、またイっちゃう……ぁ」
強すぎる快感に目の奥がチカチカする。許容量を超えた悦楽に身体が痙攣する。兄さんの首に回していた腕の力が抜けそうになるのをなんとか堪えた。
射精せずにイったせいで、絶頂の波が引かない。休みたくても中が勝手に収縮して、深々と刺さった陰茎を締めつけてしまう。そこから快感が生まれてしまい、この気持ちよさが永遠に続くのではないかと錯覚しそうになる。
このままじゃおかしくなってしまう、と必死で兄さんにしがみついた。
「しっかり掴まってろ」
「あっ、まだ、イってるから」
「大丈夫だ。激しくしないから」
「んんっ」
兄さんはそう言ってゆっくりと歩き出した。兄さんが歩く度に振動が伝わって、穏やかな愉悦に夢心地になる。激しい抽送とは違い優しく腸壁を擦られると、全身をじんわりと快いものが循環して蕩けてしまいそうだ。
「あぁ、すごい…気持ちいい、うぁ、は……」
兄さんの肩に顔を埋めながらビクビクと身体を震わせる。
「顔を見せてくれ」
「ん」
何をしても取り繕えないくらい緩みきった顔を見せるのは何回言われても抵抗感がある。それなのに素直に顔を見せてしまうのは、こんな時兄さんが粘り強いことを知っているからだ。
「ああ最高に綺麗だ。ルカの目が大好きだ」
「僕も同じ。兄さんの目大好き」
吸い寄せられるように唇を重ねる。いつもと違ってお互いの目を見つめ合いながら何度もキスをした。
ふわふわと浮き上がるような感覚にまたイってしまいそうだと思っていると、兄さんの手が力強く僕を掴んだ。
「俺も限界だから強くするぞ」
「うん、きて」
兄さんの動きがだんだん激しくなっていく。抉るように前立腺も奥も一気に刺激され、すぐにイってしまいそうになる。
「ん、あぁっ!ふ…あ……ぁ、ンンっ」
揺さぶられながらいつもより近くにある兄さんの顔を見る。今まで知らなかった。兄さんの余裕がなさそうな、男らしい顔。荒々しい息遣いのなかでたまに漏れる声がすごくかっこいい。この顔は今後一生僕だけのものなんだと思うと幸福感に満たされる。
「は、ルカ……もう」
「うん」
もっと近くで、まつ毛が触れ合うくらいの距離で兄さんの目が見たくなって、僕はもう一度唇を重ねに行った。押し付けるだけの飾り気のないキスが、今だけはなぜか正解のような気がした。
兄さんの律動がさらに深まって、グリグリと奥を責めたてられる。中を掻き回す動きに少しだけ残っていた余裕も奪われた。
「ああぁっっ!深すぎ、んうっ……イっちゃう、イく……あ、うあ」
「っは……」
脳裏に響く快感の波に何も考えられなくなった。
「あっ……すご、あつい……」
じわじわと広がる熱に身体が震える。兄さんは息を整えてからゆっくりと自身を引き抜いた。収まりきれなかった白い液体が溢れ出しやがて太ももを伝う。
兄さんは僕を一度慎重に降ろしてから、抱きかかえてソファに向かった。
兄さんは無限収納から出して既にソファに敷いてあったシーツに座ると、僕を膝の上に乗せて横抱きにした。
「気持ちよかった」
「俺もだ」
兄さんが僕の髪を優しく撫でて髪や頬にキスをする。僕はそれをクスクスと笑って受け止めながら、体液に塗れた身体を綺麗にした。
「魔法か?」
「うん。ソファ汚しちゃまずいかなって。あ、しまった」
「どうした?」
普段はベットだから場所が変わることがなくて、最後に清浄の魔法を使うからうっかりしてた。おそらくこの熱は一回で収まるものではないだろう。兄さんも同じ気持ちのはずだ。
だけど「もう一回するよね?足りないよね?ならちょっとお願いしてもいい?」と聞くのも直接的すぎる気がする。ここはさりげなくお願いする方向でいこう。
僕は横抱きの体勢のまま兄さんの手を取った。兄さんが目を細めて笑うのを見つめながら、兄さんの節くれだった指に舌を這わせる。
驚いて目を丸くした兄さんの顔を見ながら、今度は指を咥えて唾液を絡ませる。口から指を出すと、てらてらと光る僕の唾液で濡れた指先が顔を出した。
「ルカ一体なにを」
「さっきの魔法失敗だった」
「魔法?失敗?」
「綺麗にするイメージで使ったから香油まで消えちゃった……だからさ」
不思議そうな顔をしている兄さんの目を見つめながら、指先に唇を落とす。
「もう一度兄さんが慣らしてくれる?」
兄さんは一瞬息を飲んだあと、僕を抱き上げて二階の寝室に向かった。
兄さんに抱きかかえられて優しくベッドに下ろされる。兄さんはベッド横のサイドチェストにある香油が入った瓶を手に取ると、僕の頬を撫でたあと、触れるような口付けをした。
「傷つけてはいけないからな。俺に任せてくれ」
「え、別にそこまで……んっ」
不意に乳首を摘まれて声が出てしまう。その隙を突くように兄さんの手が窄まりに触れる。
「あ……」
香油が穴の周りに塗り込まれる。そこをくすぐられているような感覚にゾクゾクする。この指が今から奥を……そう思うと疼きが止まらない。
兄さんが香油に濡れた中指を、焦らすように少しずつ根本までじっくりと入れていく。中指が全て埋まったと思ったらそこから動きが止まった。
「指を動かすぞ。力を抜いてくれ」
ゆっくりと兄さんの指が中から引いていく。穴の縁ギリギリまで引き抜かれたら次はゆっくりと奥まで入れられる。
「あっ、あっ」
じわじわと追い詰めるような、でも決定打に至らない緩やかな快感に声が止まらない。
もともとほぐれていたそこが、兄さんが指をなぞるたびに柔らかくなっていく。離れてほしくないと兄さんの指に絡みついてしまう。
「指を増やすぞ」
「あっ!」
兄さんが掌が上になるように、手をぐるりと半回転させる。絡みつく腸壁を振り払うかのような動きに気持ちよさが高まる。
中指に続いて人差し指が入ってきた。二本の指を馴染ませるように、ゆっくりと出し入れされる。
「んっ……や、は……んぅ」
絶頂とは遠い、でも確実な快楽が身体を満たしていく。ふわふわと宙に浮いているような感覚に身を委ねていると、突然兄さんの指先が僕の一番感じるところを激しく擦り上げた。
「ルカはここを擦られるのが好きだったな」
「あぁっ!んんっ、そこ、だめ」
ただひたすらに気持ちよくて何も考えられなくなる。香油が絡んだ指が水音を立てながら的確に性感を引き出していく。
頭が痺れるほどの絶頂感にただただ喘いでいると、突然兄さんが出し入れする指の動きを止めて、前立腺を突き上げるように押した。
「あっ……ぅあ」
「挿れるぞ」
「んっ!ふ、ゃ……んああっ!」
窄まりから指が抜かれたと思ったら、兄さんが僕の膝裏を持ち上げて、一気に奥まで貫いた。その瞬間、頭が真っ白になった。
「動くからな」
「まっ、て……イってる!イってるからぁ」
僕の懇願は聞き入れてもらえず、絶頂を上書きするような強い律動が絶えず襲ってくる。僕の陰茎からはだらだらと白濁が漏れていた。
兄さんはそんな僕の様子を見て微笑むと、さらに激しく腰を打ちつけてきた。兄さんの余裕のない乱雑な動きが、いつもと違う快感を生む。
息が止まりそうになるほどの深い快感に追い詰められて、兄さんに縋りつきたくなった。兄さんの背中に腕を回して見つめ合い、頭に浮かんだ言葉を直接紡ぐ。
「にいさ、んっ……ぁ、すき。にいさん、すきっ!んんっ……あっ、ああぁ!」
「俺も、ルカが好きだよ…くっ……」
「にい、さ…んっ、またイくっ、あっ、だから」
「ああ、一緒にいこうな」
兄さんは穏やかな声でそう言うと、さらに腰の動きを速める。兄さんの屹立が一際強く奥を貫くと、身体が溶けてしまいそうな快楽が拡がった。それと同時に兄さんの陰茎をきつく締めつける。その刺激で兄さんも果てたようで、お腹の奥がじんわりと熱くなった。
兄さんは達したあとも、ぐっぐっと腰を押し付けて最後の一滴まで僕の中に白濁を注ぎ込んだ。
しばらくの間荒い呼吸の音だけが寝室に響いていたが、やがてふたりとも呼吸を整えると見つめ合ったまま会話を始めた。
「ちょっと休憩」
「何か俺にやってほしいことはあるか?」
「喉乾いた。兄さんが飲ませて」
水が入ったコップを兄さんに手渡すと、僕がやってほしいことがすぐにわかったようで、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「方法は?」
「兄さんに任せる」
「後で文句言うなよ」
兄さんは僕の希望通り口移しで水を飲ませてくれるはずだ。その後どんな展開になるかは、兄さんの熱い眼差しを見たらすぐにわかる。
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紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
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