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ストバーラ帝国編
ダンジョン初探索
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現在、僕達はダンジョンの入り口にいる。長かった、やっとここまできた。
ダンジョンの入り口を囲んでいる建物は意外と広くてしっかりとした造りだ。ちょっとした要塞に見える。入って右側の方に、ぽっかりと暗く開いた穴から地下へと続く階段が見える。
その階段から少し離れたところに、不思議な紋様が刻まれた円柱が突き刺さっている。円柱が淡く光るたびに、人が消えたり現れたりする。あれが転移の石柱か。
バチードの街の初心者向けダンジョンは全7階層となっている。地下3階入り口と地下6階入り口にワープの魔法陣があり、そこに1回でも触れると転移の石柱から瞬間移動ができるようになる。
既に攻略され尽くしたダンジョンで、全階層の地図も公開されている。隠し部屋や罠もなくモンスターも強くない。入場料は銀貨2枚。初めて挑戦するダンジョンにここを選んで正解だった。
さっそく地下1階へ降りるため、階段に向かう。
「緊張してきた」
「そろそろ降りないか?」
なんだろう、この既視感は。兄さんには緊張というものがないのかもしれない。
地下1階は一本道の広い通路だった。20人が横に並んで歩いてもまだ幅に余裕があるだろう。真っ直ぐ遠くの方に地下2階へと続く階段が見える。
階段を目指してひたすら歩いていると、ぷるぷると動く水溜りがあった。試しに近づいてみると、いきなりこちらに飛びかかった。
「うわっ」
咄嗟に魔法で迎撃すると、ベチャッと地面に叩きつけられ消滅した。スライムが消えた場所には銅貨が1枚落ちている。
「大丈夫か?」
「ごめん、ちょっと油断した。銅貨が落ちたよ」
「当たりか、幸先がいいな」
ダンジョンのモンスターは倒されると消滅して、お金やアイテムを落とす。最下層をクリアすると少しいいものがもらえるらしい。
ちなみにスライムはスライムゼリーか銅貨を落とす。スライムゼリーは買取額が安いので、銅貨が当たりと言われている。
この後、スライムとの戦闘は避けて無事地下2階へと降りる階段に辿り着いた。
階段を降りると、そこは海が見える草原だった。思いもよらない絶景に、ここがダンジョンだということを忘れてしまう。
ダンジョンは暦通りに時間が経過する。一部のダンジョンは、季節に関係なく安定した気温で過ごせるらしい。しかし、このような自然が広がるダンジョンは季節によってその姿を変える。
今の季節は夏。コバルトブルーの海と新緑のコントラストが眩しくて目が痛いほどだ。
「話は聞いていたが驚いた」
「ね、すごい景色。ダンジョンって不思議だね」
「春に来たら花見ができたかもな」
「いいねそれ、気持ちよさそう」
「あの時のルカは綺麗だったから、またあの花畑に行きたい」
「兄さん言い間違いだよ。綺麗だったのは花でしょ?」
「それで合ってる。俺に花を愛でる趣味はない……ホーンラビットだ、俺がやる」
兄さんはそう言うと、こちらを襲撃しようと近づくホーンラビットの集団に駆け出していった。
残された僕はダンジョン内だというのに、先程の兄さんの言葉で頭がいっぱいになった。
何だ今のは、何だよそれ。あれは僕に向けて言ってたのか。
『ああ、綺麗だ……すごく』
あの時の言葉が頭に浮かぶ。顔に熱が集まるのを感じ、慌ててブンブンと首を振る。
だめだ、ここはダンジョンだ。冷静にならなければ。このことは一旦忘れよう。僕は一度深呼吸をしてから、兄さんの元に向かった。
そして草原を抜けると、地下3階の入り口にある魔法陣からダンジョン入り口に戻り、その日の探索は終了した。
ダンジョンの入り口を囲んでいる建物は意外と広くてしっかりとした造りだ。ちょっとした要塞に見える。入って右側の方に、ぽっかりと暗く開いた穴から地下へと続く階段が見える。
その階段から少し離れたところに、不思議な紋様が刻まれた円柱が突き刺さっている。円柱が淡く光るたびに、人が消えたり現れたりする。あれが転移の石柱か。
バチードの街の初心者向けダンジョンは全7階層となっている。地下3階入り口と地下6階入り口にワープの魔法陣があり、そこに1回でも触れると転移の石柱から瞬間移動ができるようになる。
既に攻略され尽くしたダンジョンで、全階層の地図も公開されている。隠し部屋や罠もなくモンスターも強くない。入場料は銀貨2枚。初めて挑戦するダンジョンにここを選んで正解だった。
さっそく地下1階へ降りるため、階段に向かう。
「緊張してきた」
「そろそろ降りないか?」
なんだろう、この既視感は。兄さんには緊張というものがないのかもしれない。
地下1階は一本道の広い通路だった。20人が横に並んで歩いてもまだ幅に余裕があるだろう。真っ直ぐ遠くの方に地下2階へと続く階段が見える。
階段を目指してひたすら歩いていると、ぷるぷると動く水溜りがあった。試しに近づいてみると、いきなりこちらに飛びかかった。
「うわっ」
咄嗟に魔法で迎撃すると、ベチャッと地面に叩きつけられ消滅した。スライムが消えた場所には銅貨が1枚落ちている。
「大丈夫か?」
「ごめん、ちょっと油断した。銅貨が落ちたよ」
「当たりか、幸先がいいな」
ダンジョンのモンスターは倒されると消滅して、お金やアイテムを落とす。最下層をクリアすると少しいいものがもらえるらしい。
ちなみにスライムはスライムゼリーか銅貨を落とす。スライムゼリーは買取額が安いので、銅貨が当たりと言われている。
この後、スライムとの戦闘は避けて無事地下2階へと降りる階段に辿り着いた。
階段を降りると、そこは海が見える草原だった。思いもよらない絶景に、ここがダンジョンだということを忘れてしまう。
ダンジョンは暦通りに時間が経過する。一部のダンジョンは、季節に関係なく安定した気温で過ごせるらしい。しかし、このような自然が広がるダンジョンは季節によってその姿を変える。
今の季節は夏。コバルトブルーの海と新緑のコントラストが眩しくて目が痛いほどだ。
「話は聞いていたが驚いた」
「ね、すごい景色。ダンジョンって不思議だね」
「春に来たら花見ができたかもな」
「いいねそれ、気持ちよさそう」
「あの時のルカは綺麗だったから、またあの花畑に行きたい」
「兄さん言い間違いだよ。綺麗だったのは花でしょ?」
「それで合ってる。俺に花を愛でる趣味はない……ホーンラビットだ、俺がやる」
兄さんはそう言うと、こちらを襲撃しようと近づくホーンラビットの集団に駆け出していった。
残された僕はダンジョン内だというのに、先程の兄さんの言葉で頭がいっぱいになった。
何だ今のは、何だよそれ。あれは僕に向けて言ってたのか。
『ああ、綺麗だ……すごく』
あの時の言葉が頭に浮かぶ。顔に熱が集まるのを感じ、慌ててブンブンと首を振る。
だめだ、ここはダンジョンだ。冷静にならなければ。このことは一旦忘れよう。僕は一度深呼吸をしてから、兄さんの元に向かった。
そして草原を抜けると、地下3階の入り口にある魔法陣からダンジョン入り口に戻り、その日の探索は終了した。
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