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ストバーラ帝国編
銅級昇格
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「ルカくん銅級昇格おめでとうー」
「えっ?」
「この前のフォレストウルフの依頼。先方がすっごく喜んで、最高評価になったのが後押しになったわね。それがなくてもそろそろ上がってたと思うけどー」
「ルカおめでとう」
「やったー!兄さんありがとう!モニカもね」
「ああ」
「スピード昇格ね、おめでとうー」
モニカに呼び出されたと思ったら、いきなり銅級昇格を祝われた。目標達成だ。これでダンジョンにいける!
「でも寂しくなるわー。ルカくん達ダンジョンに行くでしょ?」
「うん、行く」
「そうなるとダンジョンの近くに冒険者ギルドの出張所があるから、ここに来る必要がないのよねー」
「そうだね。でもまた戻ってくるから」
「約束よ。はぁ、銅級に上がりたての冒険者はダンジョン巡りをしたがるのよねー。戻ってくるのは何ヶ月後になるかしら。ルカくんみたいな子いないから癒しだったのにー」
この支部は本当に荒々しいからね。トリフェではよく行ってたギルド酒場にも、ここに来てから行かなくなった。
いつ行っても誰かが喧嘩してるから。酷い時には殴り合いしてるし。今も誰かが怒鳴り合いの喧嘩をしている。
銅級に上がったので、改めて依頼を確認しているとセレナが僕を呼んだ。
「ルカ!銅級に昇格したとは本当か!?」
「セレナ久しぶり。昇格したよ」
「おめでとう!私のせいでオークジェネラル討伐がなかったことになって心配してたんだ」
「もう謝らなくていいのに。気にかけてくれてありがとう」
「ぜひお祝いさせてほしい!今度私の行きつけの喫茶店に行かないか?私がご馳走しよう。アイザック、お前は来るなよ。男は邪魔だ」
「ありがとうセレナ!行きたい!兄さん行ってもいい?」
「……わかった。おい女、ルカに変なことするなよ。当日は不審者じみた言動をやめろ、距離を取って話せ」
「いちいち失礼な男だな!なんでこんなやつが乙女達にキャーキャー言われてるのか、理解に苦しむ!」
セレナとふたりで話すことになった。聞きたいこともあったし、ちょうどよかった。
セレナはまだぶつぶつ兄さんの文句を言っている。
兄さんモテるからなぁ。精悍な顔つきで背も高い、あの金級冒険者アルトゥロが認めた実力者で、冒険者なのに粗暴なところもなく表面上は穏やかな性格に見えるし。
一時期は女性からのアプローチがすごかった。兄さんがあまりにも無視するものだから、『将を射んと欲すればまず馬を射よ』の精神で僕に近づく女性も出てきた。それに気づいた時の兄さんが、本当に怖かったので今では遠巻きに眺めるくらいに収まった。今も何人か女性の視線を感じる。
「じゃあなルカ!3日後よろしく!」
「またねセレナ」
待ち合わせ場所や時間を話し合ってセレナと別れる。あいかわらず乙女達の育成に忙しそうだ。
「その日は待ち合わせ場所まで送るし、喫茶店まで迎えに行く。あの女の言動には注意してほしい」
「わかった。気をつけるね」
初めて会った時が衝撃的だったから、兄さんはセレナをすごく警戒している。
聞きたいことがあったから許可してくれてよかった。兄さんは渋々許可した様子だったが、セレナとふたりで話すのは今回きりにするので許してほしい。
3日後、僕達は待ち合わせの広場でセレナを待っていた。
「ルカ!待たせてすまない!」
「僕も今来たところだよ。気にしないで」
「悪いな!で、どうしてアイザックはここにいるんだ?」
「心配だからここまで送った。帰りは喫茶店まで迎えに行く」
「この辺りは街で1番治安がいい場所だぞ!心配しすぎだろ!なんなら帰りは私が家まで送ろうか?」
「絶対にやめろ。不審者は家に近づくな。じゃあルカまた後で」
「ありがとう兄さん」
兄さんの背中が遠くなったのを見届けると、セレナが訝しげな顔をして僕に聞いてきた。
「あれは過保護と片付けていいのか?あいつは弟離れをしたほうがよくないか」
「さあ?僕は嫌じゃないから問題ないよ」
「そ、そうか。ならいい……のか?」
僕も送迎はやりすぎかなと思う。ここら辺は女性ひとりで歩いても問題ない場所だし。
でも兄さんが心配してくれるのが嬉しいから、つい甘えてしまう。僕も兄離れが出来そうにないのでお互い様というやつだ。
「えっ?」
「この前のフォレストウルフの依頼。先方がすっごく喜んで、最高評価になったのが後押しになったわね。それがなくてもそろそろ上がってたと思うけどー」
「ルカおめでとう」
「やったー!兄さんありがとう!モニカもね」
「ああ」
「スピード昇格ね、おめでとうー」
モニカに呼び出されたと思ったら、いきなり銅級昇格を祝われた。目標達成だ。これでダンジョンにいける!
「でも寂しくなるわー。ルカくん達ダンジョンに行くでしょ?」
「うん、行く」
「そうなるとダンジョンの近くに冒険者ギルドの出張所があるから、ここに来る必要がないのよねー」
「そうだね。でもまた戻ってくるから」
「約束よ。はぁ、銅級に上がりたての冒険者はダンジョン巡りをしたがるのよねー。戻ってくるのは何ヶ月後になるかしら。ルカくんみたいな子いないから癒しだったのにー」
この支部は本当に荒々しいからね。トリフェではよく行ってたギルド酒場にも、ここに来てから行かなくなった。
いつ行っても誰かが喧嘩してるから。酷い時には殴り合いしてるし。今も誰かが怒鳴り合いの喧嘩をしている。
銅級に上がったので、改めて依頼を確認しているとセレナが僕を呼んだ。
「ルカ!銅級に昇格したとは本当か!?」
「セレナ久しぶり。昇格したよ」
「おめでとう!私のせいでオークジェネラル討伐がなかったことになって心配してたんだ」
「もう謝らなくていいのに。気にかけてくれてありがとう」
「ぜひお祝いさせてほしい!今度私の行きつけの喫茶店に行かないか?私がご馳走しよう。アイザック、お前は来るなよ。男は邪魔だ」
「ありがとうセレナ!行きたい!兄さん行ってもいい?」
「……わかった。おい女、ルカに変なことするなよ。当日は不審者じみた言動をやめろ、距離を取って話せ」
「いちいち失礼な男だな!なんでこんなやつが乙女達にキャーキャー言われてるのか、理解に苦しむ!」
セレナとふたりで話すことになった。聞きたいこともあったし、ちょうどよかった。
セレナはまだぶつぶつ兄さんの文句を言っている。
兄さんモテるからなぁ。精悍な顔つきで背も高い、あの金級冒険者アルトゥロが認めた実力者で、冒険者なのに粗暴なところもなく表面上は穏やかな性格に見えるし。
一時期は女性からのアプローチがすごかった。兄さんがあまりにも無視するものだから、『将を射んと欲すればまず馬を射よ』の精神で僕に近づく女性も出てきた。それに気づいた時の兄さんが、本当に怖かったので今では遠巻きに眺めるくらいに収まった。今も何人か女性の視線を感じる。
「じゃあなルカ!3日後よろしく!」
「またねセレナ」
待ち合わせ場所や時間を話し合ってセレナと別れる。あいかわらず乙女達の育成に忙しそうだ。
「その日は待ち合わせ場所まで送るし、喫茶店まで迎えに行く。あの女の言動には注意してほしい」
「わかった。気をつけるね」
初めて会った時が衝撃的だったから、兄さんはセレナをすごく警戒している。
聞きたいことがあったから許可してくれてよかった。兄さんは渋々許可した様子だったが、セレナとふたりで話すのは今回きりにするので許してほしい。
3日後、僕達は待ち合わせの広場でセレナを待っていた。
「ルカ!待たせてすまない!」
「僕も今来たところだよ。気にしないで」
「悪いな!で、どうしてアイザックはここにいるんだ?」
「心配だからここまで送った。帰りは喫茶店まで迎えに行く」
「この辺りは街で1番治安がいい場所だぞ!心配しすぎだろ!なんなら帰りは私が家まで送ろうか?」
「絶対にやめろ。不審者は家に近づくな。じゃあルカまた後で」
「ありがとう兄さん」
兄さんの背中が遠くなったのを見届けると、セレナが訝しげな顔をして僕に聞いてきた。
「あれは過保護と片付けていいのか?あいつは弟離れをしたほうがよくないか」
「さあ?僕は嫌じゃないから問題ないよ」
「そ、そうか。ならいい……のか?」
僕も送迎はやりすぎかなと思う。ここら辺は女性ひとりで歩いても問題ない場所だし。
でも兄さんが心配してくれるのが嬉しいから、つい甘えてしまう。僕も兄離れが出来そうにないのでお互い様というやつだ。
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